原子力産業新聞

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武藤経産相が中東訪問 重粒子線治療装置納入へ

17 Jan 2025

石川公一

武藤容治経済産業相は1月11~16日、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問した。〈経産省発表資料は こちら

武藤経産相は、日本に対する原油の安定供給を図っている両国に対し、謝意を述べた上で、今後の国際原油市場の安定化について議論。合わせて、今春4月に開幕する「大阪・関西万博」のPRを行い、サウジアラビアに対しては、2030年に予定される「リヤド万博」にバトンをつないでいく決意を表明した。

UAEでは、スルタン・アル・ジャーベル産業・先端技術大臣と会談。宇宙産業基盤の発展に向けた協力開始で合意するとともに、東芝エネルギーシステムズによるクリーブランド・クリニックへの重粒子線がん治療装置納入契約も披露された。

UAEにおける重粒子線がん治療について、具体的な稼働計画は示されていないが、東芝ESSでは、量子科学技術研究開発機構(QST)とともに技術開発に取り組み、これまでも国内外で技術力を発揮してきた。2016年にはQST放射線医学研究所(千葉市)に世界初となる超伝導電磁石を採用した回転ガントリーを納入。重粒子線がん治療の小型・軽量化、低コスト化を図ってきた。海外展開としては、2023年、韓国延世大学向けに装置を納入し治療が開始されているほか、中国Ion Nova社との業務提携契約を締結。近年では北米地域への受注活動も進められている。

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