三菱重工 伊方に乾式キャスク納入
21 Jan 2025
今回納入された乾式貯蔵キャスク© MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD.
三菱重工業は1月17日、四国電力伊方発電所向けに受注した使用済み燃料輸送・貯蔵兼用の乾式キャスク計15基中、初回出荷分となる2基の製造を完了し同所に納入したと発表した。〈三菱重工発表資料は こちら〉
四国電力では、2025年7月頃に伊方発電所構内で乾式貯蔵施設を開設・運用開始する計画。新規制基準をクリアした原子力発電所の再稼働が進む中、使用済み燃料については、六ヶ所再処理工場への搬出を前提とし、その搬出までの間、各原子力発電所などで貯蔵を検討している。四国電力では伊方3号機が稼働中。同社では、2020年9月にサイト内での乾式貯蔵施設(500トン)設置に係る原子炉設置変更許可を取得しており、現在設置工事が行われている。
電力各社で進められている乾式貯蔵は、2011年の東日本大震災時、福島第一原子力発電所でもその頑健性が確認されており、原子力規制委員会でもその普及を推奨している。
今回、三菱重工が納入した乾式キャスクは、MSF-32Pと呼ばれる型式で、直径2.6m、高さ5.2m、操縦用約120トン。既に廃炉が決定している伊方1・2号機の使用済み燃料32体を収納する。同社の発表によると、乾式キャスクは実機スケールで9mの傾斜落下試験など、安全性実証試験をクリア。材料についても長期健全性試験結果を反映し、閉じ込め、臨界防止、遮蔽、除熱の4つの安全機能を60年間維持できることが確認されている。
三菱重工では今後、残る伊方発電所向けに13基の製造を順次進めるとともに、今回の納入を契機に、PWRを中心とした原子力機器製造の技術力を活かし、製造・検査を高度に自動化したキャスク組立専用工場を整備し、量産体制を確立していくとしている。