原子力産業新聞

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関西電力 使用済み燃料の県外搬出に向けロードマップ改定

14 Feb 2025

石川公一

六ヶ所で再処理できない使用済みMOX燃料に関しては、2027~29年度の200トンに加え30年度より100トンを仏に搬出し実証研究に資する計画だ

関西電力は2月13日、「使用済燃料対策ロードマップ」の見直しを発表した。核燃料サイクルの推進に向け、使用済み燃料の搬出を「確実に進めていく」としている。

同社では、今秋にも50年超運転に入る高浜発電所2号機が2023年10月に営業運転を再開しており、計7基の原子力発電プラントが新規制基準をクリアし稼働中だ。そのうち、高浜発電所3・4号機では、使用済み燃料を再処理して得られるMOX燃料を使った発電(プルサーマル)が行われている。同月、関西電力は、使用済みMOX燃料の再処理実証研究のため、2027~29年度に高浜発電所の使用済み燃料約200トンをフランス・オラノ社に搬出することを含む「使用済燃料対策ロードマップ」を策定した。

今回のロードマップ見直しは、関西電力として、六ヶ所再処理工場の早期竣工(2026年度中を目標)に向けて、審査・検査に対応する人材をさらに確保する必要性を第一に掲げた上で、2027年度からの再処理開始、2028年度からの使用済み燃料受入れ開始を目途に、2030年度までに使用済み燃料198トン(100万kW級PWR10年間運転分にほぼ相当)を搬出するとしている。

また、使用済みMOX燃料の再処理実証研究に向け、2023年策定のロードマップで「フランスへの積み増しを検討」とされていたが、データの充実化が必要となったことから、さらに200トンの搬出容量枠を確保し、そのうち2030年度より100トンを搬出することとされた。

関西電力は2021年2月に、福井県に対し、使用済み燃料の県外への中間貯蔵について、「2023年末までに計画地点を確保できるまでの間、美浜3号機、高浜1・2号機の運転は実施しない」と報告したが、2023年10月策定のロードマップで、使用済みMOX燃料のフランスへの搬出、乾式貯蔵施設の設置など、核燃料サイクルの取組を着実に図っていくこととし、県から容認を受けていた。乾式貯蔵施設に関しては、「発電所からの将来の搬出に備えて発電所構内に設置するもの」として、2024年2月に、美浜、高浜、大飯の各サイトにおける設置計画について、立地自治体に対し「事前了解願い」を提出している。 

見直し後のロードマップに従い、使用済み燃料の貯蔵量は、2032年度末にピークに達するものの、六ヶ所再処理工場とフランスへの搬出により、管理容量以下で推移するとみられている。

 

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