原子力産業新聞

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文科省が学校安全調査、原子力災害に備えた訓練実施状況も

16 Apr 2020

東海村の原子力防災訓練では小学生が参加し避難所(つくばみらい市)で保護者への引き渡しが行われた(東海村広報誌より引用)

文部科学省はこのほど、全国国公私立の幼稚園から高校まで約5万校を対象に実施した学校安全の推進に関する2018年度調査の結果を発表。校内施設や通学路の安全点検、地域連携・防犯体制の整備状況、安全に関わる教育活動・教職員研修などの実態とともに、危機管理関連で、原子力災害や津波浸水に備えた訓練実施状況についても調査結果が示された。

それによると、原子力施設から概ね30km圏内の「緊急時防護措置を準備する区域」(UPZ)に所在する学校2,340校(幼稚園・認定こども園520校、小学校996校、中学校515校、高校242校他)のうち、原子力災害を想定した危機管理マニュアルを作成している学校は1,932校(82.6%)、避難訓練を実施している学校は1,175校(50.2%)だった。

都道府県別には、UPZ内に所在する学校が最も多いのは茨城県の317校で、次いで静岡県の245校、福島県の196校、島根県の186校、新潟県の178校、福井県の144校などとなっている。茨城県では、1999年のJCO臨界事故を受け、学校における原子力防災マニュアルを整備し、国による原子力災害対策指針の改訂を踏まえた見直しも行っている。今回の調査で、県内の学校のうち原子力災害を想定した危機管理マニュアルを作成していたのは306校(96.5%)、訓練を実施していたのは243校(76.7%)だった。東海村では、2019年6月に原子力発電所事故を想定した広域避難訓練の中で、初めて村内の小学生約80人を参加させ、避難所での保護者への引き渡し訓練を実施するともに、非常用物資の配布や自衛隊装具の展示を行うなど、防災対策の実効性向上に努めている。

この他、危機管理の関連で、津波浸水の可能性が示されている学校は5,950校で、そのうち津波被害を想定したマニュアルを作成している学校は5,375校(90.3%)、避難訓練を実施している学校は5,344校(89.8%)。また、弾道ミサイル発射に関する避難訓練を実施、または合同訓練に参加したという学校は6,624校(13.4%)だった。

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