原子力産業新聞

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高校生が先端科学について発表 文科省主催イベント

20 Feb 2025

竹原菜々子

阿部俊子文部科学大臣と記念撮影

東京で21316日、高校生を対象とした科学リテラシー向上へ向けたユニークな活動が紹介された。京都大学複合原子力科学研究所の中村秀仁助教が主導する「Nプロジェクト」が、TIBTokyo Innovation Base、東京・千代田区)で開かれたイベントに出展したもの。

Nプロジェクト」は、中村助教の発案で2023年春から始動した取り組みで、大阪高等学校の約2,000人の生徒を対象に、文系・理系を問わず科学リテラシーの向上を目指している。スマホアプリを活用した参加型授業など、生徒たちが主体的に取り組めるよう、さまざまな工夫が凝らされている。

同プロジェクト最大の特徴は、生徒一人ひとりが学んだことをスケッチブックにまとめ、市民に向けて発表する機会を多く設けているという点にある。アウトプットを繰り返すことで、知識の定着を図るためのものであるが、発表の場では、熱心に説明する子供たちの姿に関心を持ち、足を止める女性が多く見られたという。この取り組みは、次世代層だけでなく、女性層における先端科学の理解促進にもつながっていると、中村助教は指摘する。

このイベントは、81419日に大阪・関西万博会場で開催される「わたしとみらい、つながるサイエンス展[1]産官学連携研究プロジェクトの成果や活動を国内外に広く発信するイベント。81419日の6日間、大阪・関西万博の会場で開催予定。」(主催:文部科学省)の展示を、一足先に体験できる場として企画されたもの。生徒たちは、「身の回りの放射線」や、「医療分野で活用されている放射線」など、さまざまなテーマについてまとめたスケッチブックを手に持ち、来場者に向けて発表した。14日には、阿部俊子文部科学大臣もブースを訪問。中村助教より参加型授業を模した2択クイズ形式でプロジェクトの紹介を受け、興味深そうに耳を傾けていた。

大阪高校2年生の坂部偉吹さんは、Nプロジェクトを通して、「電球はどのような仕組みで光るのか」など、日常の中で疑問を見つけ、それを調べる習慣がついたと話す。また、そうして学んだことを人に伝えることの楽しさを実感し、積極的に発表の場に参加するようにしているという。同校1年生の山守若葉さんは、今回のイベントでの発表を通じて、来場者からたくさん褒めてもらうことができ、「嬉しい、楽しい、といったプラスな気持ちでいっぱい」と笑顔で感想を話した。

中村助教は、同サイエンス展への参加を通じ、「生徒たちには、多くの方と対話し、社会とのつながりを感じると共に、自分たちの取り組みが社会に通用する素晴らしいものであることを実感してほしい」と期待を寄せた。

脚注

脚注
1 産官学連携研究プロジェクトの成果や活動を国内外に広く発信するイベント。81419日の6日間、大阪・関西万博の会場で開催予定。

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