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福島県漁業をPRする試食イベント 築地市場で開催

26 Feb 2025

石川公一

試食に供されたアンコウの唐揚げ、サバの塩焼き、メヒカリのにぎり(左より)

福島県漁業の現状を広く知ってもらうための試食・展示イベントが2月22日、東京都中央区の築地市場「築地魚河岸」ビル内で行われた。福島県漁業協同組合連合会(福島県漁連)の主催。

海産物を業者相手に卸売する市場機能は既に豊洲市場(東京都江東区)に移転しているが、現在も築地界隈は、新鮮な魚介類、水産加工品の他、寿司屋のまな板やお品書きなど、業務用品を扱う専門店があり、休日も多くの人々で賑わっている。「築地魚河岸」もその一つで、道路を挟み2棟に食品を取り扱う数十店舗が入っている。

今回の試食・展示イベントでは、メヒカリのにぎり、サバの塩焼き、アンコウの唐揚げの3品を盛り合わせ、およそ1,000食を無料提供。メヒカリは頭からまるごと食べる唐揚げが定番のようだが、にぎりでも歯ごたえが実によく酢飯との相性も他の寿司ネタと遜色ない。時節柄、鍋もので美味しいアンコウは唐揚げでもホクホク感がよし。サバの塩焼きは、その場で調理し出来立てを提供。来場者からは「脂がのってるねぇ」との声も聞かれ好評だった。試食コーナーは、朝8時の開場後、近隣の物販店も営業を開始した9時半頃からは、折しも連休中とあり、列ができるほどの盛況となり、外国人観光客の姿も見られた。

親潮と黒潮が出会う福島県沖の海で水揚げされた魚介類は、築地市場では「常磐もの」と呼ばれ、「身が締まって味が良い」とされる。会場では、その旬の時期や味を紹介するパンフレットも配布(和英)。試食後、アンケートに回答すると、レアなグルメとされるカナガシラアヒージョの缶詰が土産として手渡された。

同イベントは、16回目の開催となったが、開会に際し挨拶に立った福島県漁連の野﨑哲会長は、「回を重ねるごとに福島の漁業者への力強い支えとなってきた」と絶賛。福島県産の魚介類は、モニタリング検査により安全性が確認されており、現在、出荷制限が指示されている魚種はない。一方で、漁獲高はまだ震災前の水準には達していない状況だ。引き続き「様々な困難はあるが漁業に励んでいきたい」と強調。家族連れも増えてきた開始1時間後ほど、取材に応じた野﨑会長は、夏が旬のカツオの水揚げ見通しにも触れたほか、日本の水産業を背負う後継者の課題に関しては「その道のプロであるという自信があれば何とかなるものだ」などと、前向きな見方を示した。

大手スーパーのイオンでは、福島県漁連の協力を得て首都圏を中心とする大型店で「福島鮮魚便 復活!常盤もの!」と銘打つセールを随時行っている。

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