原子力産業新聞

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核融合エネの安全規制でパブコメ実施中 内閣府

05 Mar 2025

石川公一

核融合発電のイメージ

内閣府(科学技術政策)は3月18日まで、核融合エネルギーの安全規制の検討に向け、その前提となる指針「フュージョンエネルギーの実現に向けた安全確保の基本的な考え方(素案)」についてパブリックコメントを募集している。

政府の統合イノベーション戦略推進会議による「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」に基づき、2024年3月、内閣府の呼びかけにより核融合エネルギーの産業化を目指す「一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会」(J-Fusion)が設立された。ITER(国際熱核融合実験炉)計画の進展を踏まえ、核融合による将来の発電実証が行われるよう、民間企業の積極的参画を見据えたものだ。これを受け、同年5月からは、「フュージョンエネルギーの実現に向けた安全確保の基本的な考え方検討タスクフォース」が立ち上がり、検討が進められてきた。

今回、取りまとめられた基本的な考え方では、まず、核融合装置の法令上の位置付けを整理。燃料としてトリチウムを使用し放射線を発生することが想定されることから、「放射性同位元素等の規制に関する法律」(RI法)の規制対象となるとしている。実際、量子科学技術研究開発機構の「JT-60SA」、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置「LHD」などが、「プラズマ発生装置」として該当している。

その上で、世界各国での多様な方式による核融合エネルギー実現に向けた取組の進展、今後数年間でパイロットプラントや原型炉の建設が行われる可能性を見据え、「予見性を高め、民間企業の参画やイノベーションを促進する観点から、安全確保の枠組みの整備が急速に求められる」と、問題意識を強調。今後検討すべき課題を、法的枠組み、安全確保の枠組みを検討する体制、知見の蓄積、セキュリティと不拡散に整理し、「規制当局と安全確保のあり方について対話するなど、早期の検討が不可欠」と述べている。

2月26日の原子力規制委員会定例会合では、本件について取り上げられ、開発の現状や今後の見通しについて、事業者を招き公開の場でヒアリングを実施する方針が了承された。

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