原子力機構 福島第一廃炉作業に資する放射線検出器を開発
13 Mar 2025
日本原子力研究開発機構はこのほど、福島第一原子力発電所の廃炉作業の加速化に資するアルファ線検出器を開発した〈原子力機構発表資料は こちら〉
同機構福島廃炉安全工学研究所によるもの。福島第一原子力発電所の廃炉作業では、アルファ核種を含むダスト(アルファダスト)による内部被ばく評価が重要とされるが、従来の測定器では、全体の放射能量しか測れず迅速な評価が困難だった。同研究所の環境モニタリンググループは、ガラス研磨剤などに用いられるセリウムを用いた従来の約8倍の精度を有する「YAP Ce(セリウム)シンチレータ」を開発し、国内では困難なアルファダストの実試料を用いた性能確認試験を、米国エネルギー省(DOE)のサバンナリバ―国立研究所(SRNL)の協力で実施。現地でエネルギーレベルの異なる2種類のアルファ線核種として、プルトニウム238、ネプツニウム237を含む酸化物粒子のサンプルを用いた試験を実施した結果、いずれも現場でリアルタイムに識別測定できることが実証された。
研究グループでは、新たな検出器が迅速にアルファ線をイメージングできることから、医療分野での応用にも期待を寄せている。