内閣府、日本海溝・千島海溝巨大地震で津波想定を発表
22 Apr 2020
日本海溝・千島海溝沿いにおける最大クラス地震の検討対象領域(内閣府発表資料より引用)
内閣府(防災)の有識者検討会は4月21日、日本海溝の北部から千島海溝を対象とし巨大地震が発生した場合の震度分布、津波高、浸水域などに関する検討結果について報告書を取りまとめ発表した。北海道厚岸町付近で震度7など、岩手県から北海道に及ぶ太平洋側の広い範囲での強い揺れが推定されている。
これは、東日本大震災の教訓を踏まえ2015年より検討を行ってきたもので、過去6,000年の津波堆積物に関する資料から最大クラスの津波断層モデルとして、「日本海溝(三陸・日高沖)モデル」と「千島海溝(十勝・根室沖)モデル」を構築し、津波シミュレーションを実施。沿岸における津波の高さや浸水範囲・深さを推計し、北海道、青森県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県について、その分布図が公表された。岩手県については自治体の要望により未公表。
同報告書よると、北海道では根室市からえりも町付近にかけて10~20mを超える津波高となっており最大で27.9m(えりも町)だった。青森県は太平洋沿岸で10~20m程度となり最大は26.1m(八戸市)。岩手県は10~20m程度で宮古市がおよそ30mと今回の検討結果で最も高かった。宮城県以南では、場所によっては10mを超えていたが、一部の地域を除き東日本大震災時より低かった。
今回の報告書発表に関し、武田良太内閣府防災担当大臣は21日の閣議後記者会見で、最大クラスの地震・津波に伴う被害想定や災対策について検討する新たなワーキンググループと、自然災害に対する政府の初動対応・応急対策強化に向け「自然災害即応連携チーム会議」を立ち上げたことを述べ、「危機管理体制をより万全なものとする」と強調した。
福島第一原子力発電所を立地する双葉町、大熊町の津波高は、「日本海溝モデル」によるシミュレーションで、それぞれ13.7m、14.1mだった。東京電力では昨秋より、福島第一原子力発電所の千島海溝津波対策として、高さ11m、全長約600mの防潮堤の設置工事を実施中。これに関し、原子力規制委員会の更田豊志委員長は22日の定例記者会見で、「強い関心を持っている」とした上で、「まず建屋の水密化をできるだけ早急に図って欲しい」と繰り返し述べた。