核融合超伝導トカマク型実験装置「JT-60SA」が完成、今秋のプラズマ着火予定
23 Apr 2020
核融合超伝導トカマク型実験装置「JT-60SA」(量研機構提供)
量子科学技術研究開発機構の那珂核融合研究所(茨城県那珂市)で建設が進められていた核融合超伝導トカマク型実験装置「JT-60SA」が4月22日に組み立てを完了した。〈量研機構発表資料はこちら〉
国際熱核融合実験炉(ITER)計画を補完・支援するものとして日欧共同で取り組む「幅広いアプローチ(BA)」活動の一つで、2007年に従前の「JT-60」を改修する形で建設が開始。2013年より組立が始まり、2019年5月には、「JT-60SA」の心臓部となる「中心ソレノイドコイル」(直径2m、高さ7m、重量約100トン)の据付けが報道陣公開のもとに行われた。
トカマク型核融合は、ドーナツ状の磁気のかごを作り、その中にプラズマを閉じ込める方式。「JT-60」を用いた研究では、プラズマをITERの運転に相当する高閉じ込め・高圧力の状態で世界最長時間(28秒間)維持する成果をあげた。これを踏まえ、「JT-60SA」は、ITER計画に資するデータ取得に向け、BA活動における「サテライト・トカマク計画」と、(1)経済性・環境適合性に向けた研究開発、(2)ITERへの科学的知見の提供、(3)ITER研究をリードする人材育成――を掲げるトカマク国内重点化装置計画のもと、ITERの約半分規模の装置として建設が進められた。今後、「JT-60SA」では、超伝導コイル冷却など、順次各機器の健全性を確認しつつ動作させ、今秋頃にも最初のプラズマを着火し統合試験運転を開始する予定。
「サテライト・トカマク計画」の他、「国際核融合材料照射施設の工学実証・設計事業」など、日欧で3つの事業を進めるBA活動については3月に、2007年6月~2020年3月のフェーズIに続き、2024年度のITER運転開始を目指し、新たなフェーズに向けた共同宣言署名式(欧州委員会本部にて)が行われている。