原子力産業新聞

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春の叙勲で旭日大綬章を前経団連会長・榊原氏、元四電社長・常盤氏が受章

30 Apr 2020

福島第一原子力発電所を訪れ作業員らを激励する榊原氏(2016年、©東京電力)

政府は4月29日、春の勲章受章者を発表した。旭日大綬章を元東レ社長で前日本経済団体連合会会長の榊原定征氏、元四国電力社長の常盤百樹氏が受章。

多年にわたり化学繊維業の発展に尽力してきた榊原氏は、2014年6月~18年5月に経団連会長を、2019年4月からは総合資源エネルギー調査会会長を務めるなど、経済政策においても手腕を発揮。2020年3月には関西電力会長に内定しており、今後は金品受領問題で損なわれた信頼の回復に向け、同社の経営改革・刷新に取り組んでいく。

常盤氏は、2005年6月~09年6月の四国電力社長在任中、伊方3号機のプルサーマル発電計画推進に向け、三菱重工業・フランスメロックス社とのMOX燃料製造契約や地元理解活動に取り組んだ。電気事業連合会副会長や四国経済連合会会長を歴任するなど、電気事業・地域経済の発展に尽力。2017年にはフランス大使館より「レジオン・ドヌール勲章」を受章しており、日仏協力の功績に関しても高く評価されている。

また、瑞宝重光章を元科学技術事務次官の石田寛人氏が受章。同氏は、1964年に科学技術庁(現文部科学省)に入庁し、当時通称「サブロク長計」と呼ばれた1961年策定の原子力長期計画を出発点に、日本の原子力開発利用の推進に取り組んできた。科学技術事務次官退任後は、駐チェコ大使として外交分野で、金沢学院大学学長や原子力安全技術センター会長として原子力人材育成や技術基盤の強化で幅広く手腕を発揮。古典芸能に造詣が深く子供歌舞伎に関する著書も出している。

この他、旭日中綬章を科学技術振興機構理事長や日立製作所副社長を務めた中村道治氏が受章。同氏は、2008年の大強度陽子加速器施設「J-PARC」供用開始を機とした「中性子産業利用推進協議会」設立に関わるなど、研究開発施設の産業利用にも力を入れた。

瑞宝中綬章を、2014年4月~17年12月に原子力委員を務めた元軍縮担当国連事務次長の阿部信泰氏、元科学審議官の池田要氏、元内閣府政策統括官の興直孝氏、元科学技術庁長官官房審議官の内藤香氏が受章。池田氏は科学技術庁の要職を歴任後、駐クロアチア大使を務め、2005年には初代ITER機構長に選任された。興氏は、科学技術庁原子力局長に在任中、JCO臨界事故が発生し、その後の原子力行政の立て直しに取り組んだ。IAEA保障措置局での勤務経験を持つ内藤氏は、行政職を退いた後、核物質管理センター理事長を務めており、近年も核セキュリティに関する原子力規制委員会での検討や海外調査などで活躍している。

外国人では、旭日大綬章をマイクロソフト社共同創業者兼会長兼CEOのビル・ゲイツ氏、旭日重光章を元米国エネルギー省(DOE)副長官のダニエル・ポネマン氏が受章。ゲイツ氏は、技術誌やブログを通じ、地球温暖化問題の解決に貢献するものとして原子力技術の有用性を訴え続けている。ポネマン氏は「民生用原子力協力に関する日米二国間委員会」の米国議長を務めるなど、エネルギー分野における日米関係の強化に寄与した。

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