内閣府、感染症流行下での原子力災害避難に関し考え方まとめる
03 Jun 2020
内閣府(原子力防災)は6月2日、昨今の新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、感染症流行下における原子力災害発生時の避難や屋内退避など、防護措置の基本的考え方をまとめた。
内閣府(防災)では4月以降、自然災害に伴う避難所の新型コロナウイルス感染症対策について随時情報発信を行っており、原子力災害においても、これを原則適用し感染拡大・予防対策を十分考慮することが第一にあげられている。
具体的には、避難する場合、移動中や避難先での感染拡大を防ぐため、避難所・車両における感染者の分離、人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗いなどの感染対策を実施すること。また、自宅などでの屋内退避の際は、放射性物質による被ばくを避けることを優先し、屋内退避の指示が出されている間は原則換気を行わないとしている。今回示した基本的考え方について、内閣府(原子力防災)では、各地域の実情を踏まえ、当面の対応、避難計画見直しの参考として欲しいとしている。
新型コロナウイルス感染症対策に関し、全国知事会では5月22日に緊急提言を発表し、政府に対し、医療提供・検査体制の充実化や社会経済活動の段階的な引き上げとともに、災害時の避難所体制整備についても所要の予算措置を要望。また、58の学会で構成される防災・減災ネットワーク「防災学術連携体」も同1日、気象災害が多発する時期を前に緊急メッセージを発表し、「感染リスクを考慮した避難が必要」、「熱中症への対策も必要」などと呼びかけている。
こうした中、大阪府の吉村洋文知事は6月3日、記者会見を開き、人気アーティストを起用したライブハウス支援策などとともに、新型コロナウイルス感染症対策に応じた「避難所運営マニュアル作成指針」を公表。「3密(密閉・密集・密接)を避ける」、「保健所との連携」、「多様な避難所(学校の教室も含め)の確保」、「避難所における感染防止対策」がポイントに据えられており、今後これを踏まえ職員研修や市町村における運営訓練を行うとしている。