原子力産業新聞

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政府、2050年の環境エネ技術確立に向け「グリーンイノベーション戦略推進会議」始動

07 Jul 2020

開会挨拶を行う松本経産副大臣(オンライン会議)

パリ協定で掲げる温室効果ガスの排出削減目標実現に向け、環境エネルギーに関わる技術課題について議論する「グリーンイノベーション戦略推進会議」(座長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構副理事長)が7月7日、初会合を開催した。

「2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減」を目指し、2019年6月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」が閣議決定。2020年1月には、2050年までの確立を目指す具体的な行動計画「革新的環境イノベーション戦略」が策定された。同戦略では、(1)エネルギー転換、(2)運輸、(3)産業、(4)業務・家庭・その他・横断領域、(5)農林水産業・吸収源――の5分野・16技術課題について、コスト目標、開発内容、実施体制、工程などを整理した「イノベーション・アクションプラン」が示されており、このほど戦略実行に向けた府省横断(経済産業省、内閣府、文部科学省、農林水産省、環境省)の有識者会議「グリーンイノベーション戦略推進会議」が立ち上げられた。温室効果ガス排出削減総量約300億トン以上を目指すエネルギー転換の分野では、革新的原子力技術や核融合エネルギー技術の実現も含まれている。戦略推進会議では、ワーキンググループを設置し、これらの技術課題について専門的検討を進め、年内にも報告書の取りまとめを行う予定。

戦略推進会議のキックオフに際し、松本洋平経済産業副大臣は、「高い目標達成のためには中長期的に多くの技術課題があり俯瞰的視点が重要」と、大所高所から幅広い議論がなされることを期待したほか、「地球温暖化は共通の課題」と、近年の環境イノベーションに関わる産学官連携の進展を歓迎。また、八木哲也環境大臣政務官も、新型コロナを踏まえた社会の再設計や、SDGs達成に向けた地域レベルでの実践的取組などに触れ、2021年のCOP26でアピールできるよう活発な討議を期待した。

国際社会への発信に関し、前回のCOP25(スペイン)への参加経験から竹内純子氏(国際環境研究所理事)は、「環境政策はイメージが先行しがち、どのくらいの効果があるのか、エビデンスに基づいた説明も意識する必要」などと、メディアの役割に言及。また、橋本和仁氏(物質・材料研究機構理事長)は、太陽電池の世界的導入に結び付いた1970年代の「サンシャイン計画」を例に、日本がエネルギーの技術革新でいかに貢献してきたか、改めて見直す必要性を強調。

一方、「日本はビジネスモデルを作っていくことが非常に苦手」、「成果をいかに社会へ還元していくか」、「将来の社会ビジョンを見据えながら有効な技術を考えていく必要」といった産業創出や社会実装に関する指摘もあった。

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