新井理事長が初のプレスブリーフィング
28 Sep 2020
新井史朗理事長
原子力産業協会の新井史朗理事長が9月25日、月例のプレスブリーフィングを行った。8月3日の就任後初めてで、「原産協会の主要事業である、地域社会の理解促進、海外との交流、人材育成に自身が先頭に立って取り組んでいく」と抱負を述べた。
新井理事長は、最近の原子力界を巡る動きとして、六ヶ所再処理工場の新規制基準適合性審査に係る事業変更許可の発出を始め、MOX燃料加工工場についても原子力規制委員会において審査書案取りまとめの段階に至ったなどをあげ、「資源に乏しいわが国にとって大変重要な事業」と、核燃料サイクルに関するこの数か月間の着実な進展を歓迎した。今後六ヶ所再処理工場のしゅん工に向けた安全性向上対策工事が進められ、再稼働によりプルサーマル発電を行うプラントが増えていく必要性にも言及。
さらに、8月中旬以降、北海道寿都町や神恵内村における高レベル放射性廃棄物の処分地選定に向けた文献調査応募に関わる報道がなされていることについて、「大変ありがたいこと」と、最終処分への関心の高まりに期待感を示した上で、核燃料サイクル・バックエンド対策の重要性に対し「地域社会の理解促進が図られるよう努めていきたい」と述べた。
また、9月3日に原産協会が各国・地域の原子力産業団体と共同で作成・発信したビデオメッセージ「Voice from Nuclear Industry-Contributing to a clean and resilient recovery」を紹介。オンラインで行う海外との交流事業を「ウィズコロナ時代の新たな工夫」と述べ、引き続き「社会に貢献できる原子力の価値を積極的に訴えていく」ことを強調した。
今後の行事予定としては、合同企業説明会「原子力産業セミナー2022」の開催(大阪会場:10月10日、東京会場:同31日)、各会場の参加予定企業・機関を披露。今回は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い対面方式とWeb方式の併用となる。
記者より、9月16日の菅政権始動について問われたのに対し、新井理事長は、「課題が山積しているところだが、エネルギー政策も国の根本となる政策」と述べ、次期エネルギー基本計画の検討において、新増設・リプレースも含め原子力の位置付けがより明確となるよう新たなリーダーシップに期待。また、現行のエネルギーミックスで掲げる原子力の総発電電力量に占める割合「20~22%」の妥当性に関しては、再生可能エネルギーの経済性などから、「原子力を一定程度利用していく」必要性を強調。その上で、福島第一原子力発電所事故で失われた信頼の回復に向け、「どうすれば効果的に情報発信できるか。われわれとしても課題」との認識を示した。