福島大が社会研究・実証を行う「モデルビレッジ構想」を発表
08 Oct 2020
モデルビレッジのイメージ(福島大発表資料より引用)
福島大学は、復興庁が中心となって検討を進めている浜通り地域の「国際教育研究拠点」への参画として、社会づくりの研究・実証フィールド「モデルビレッジ」構想を提言した。三浦浩喜学長が10月7日の記者会見で発表したもの。
4月に就任した三浦学長はまず、新学長プラン「福島大学ミッション2030」を示し、その中で、「地域とともに21世紀的課題に立ち向かう大学」を基本理念に掲げ、人口減少・少子高齢化時代における地方の「新しい社会づくり」の実現・モデル化に取り組むとした。
「国際教育研究拠点」への参画に向けては、東日本大震災以降、他大学に先駆けて環境、エネルギー、ロボット、農業、地域交通、自治体・コミュニティなどの諸問題に取り組んできたことを踏まえ、2040年を見据えた新しい社会のあり方を提案できる「実験室」としての大学像を標ぼう。同学が2013年に設立した「うつくしまふくしま未来支援センター」では、各学類の特徴を活かした活動をベースに、避難所運営シミュレーション教材の発信や子供を対象とした電子工作・プログラミングワークショップなどが行われてきた。これらの取組を通じ蓄積された知見を活かし、地域の課題・ニーズを吸い上げ、浜通り地域内の一定の区域に特区などを設けた研究・実証フィールドを設定する「モデルビレッジ」構想を提案。計10領域(未来型農業実践、アグリフードチェーン、発効醸造、ロボティクス、環境放射能動態、廃炉基盤、再生可能エネルギー、スマートシティ・コンパクトシティ、防災・減災・地域づくり、未来型教育)に整理した研究分野群を学際的アプローチにより有機的に連携させ、新しい地域・社会づくりに資する「地域創造研究」に取り組む。農業分野では規制改革のフレームを盛り込むことも視野に入れており、例えば、公道における農機具の無人走行 (道路交通法)、宅地の農地転用(都市計画法・農地法)など、特区による社会実験があげられている。
「国際教育研究拠点」の整備に向けては、復興庁の有識者会議が6月に最終報告書を取りまとめており、2023年春の一部開所、2024年度の本格開所が目標とされている。