内閣府、感染症流行下での原子力災害防護措置でガイドラインまとめる
05 Nov 2020
濃厚接触者や発熱・咳のある者を乗車させる場合のバス座席レイアウトの一例(内閣府発表資料より引用)
内閣府(原子力防災)は11月2日、新型コロナウイルス拡大の現状を踏まえ、感染症流行下での原子力災害時における防護措置の実施ガイドラインをまとめ、関係道府県への周知を行った。6月にまとめた基本的考え方の中で、避難所・避難車両における感染者の分離、ソーシャルディスタンスの確保、マスクの着用、手洗いなどの感染対策の実施とともに、原子力災害の特性を踏まえ、自宅での屋内退避については、「放射性物質を避けることを優先し、屋内退避の指示が出されている間は原則換気を行わない」とされた。
これを受け、感染症の専門家や関係省庁の助言を得てこのほど取りまとめられたガイドラインでは、避難時の一時集合場所、避難車両、安定ヨウ素剤の配布場所、避難退域時検査・簡易除染場所、屋内退避時・避難場所(UPZ内:緊急防護措置を準備する区域、発電所から概ね5~30km圏内)のそれぞれについて対応方法を具体的に整理。換気に関しては、「原則行わない」ことに加え、人が集まる場所・車両での「3つの密(密閉・密集・密接)を避ける」考えから、自宅や親戚宅での屋内退避以外については、「30分に1回程度、数分間窓を全開にする等の換気に努める」こととした。
今回のガイドラインでは、避難用バスの座席レイアウトも例示。運転席後方の座席を空け、濃厚接触者や発熱・咳のある者を乗車させる場合はビニールシートで区切ることとしている。
10月31日に実施された北海道電力泊発電所を対象とした道主催の原子力防災訓練でも、感染症対策を講じた避難所運営やバス避難が盛り込まれるなど、昨今の情勢を踏まえた自治体の危機管理意識も高まっている。