原子力産業新聞

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衆院原子力問題調査特別委員会、更田規制委員長らを招き質疑

04 Dec 2020

衆議院の原子力問題調査特別委員会が12月3日に開かれ、原子力規制委員会の更田豊志委員長(=写真上)ら政府関係者招致のもと質疑応答が行われた。

冒頭、更田委員長が規制委員会の業務について説明。新規制基準への適合性審査では、原子力発電プラントについて11事業者から27基に係る申請を受け、うち16基に設置変更許可を発出し、その他の原子力施設については9事業者から21施設に係る申請を受け、うち16施設に事業変更許可等を発出した実績を述べた。この他、福島第一原子力発電所廃炉の取組に関する監視・指導や事故の分析調査、新検査制度の運用、安全研究を通じた新知見の取得、原子力災害対策などをあげ、「原子力利用の安全が確実に担保され、原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後も努力していく」とした。

自由民主党で電力安定供給推進議員連盟に所属する細田健一氏(=写真下)は、審査の長期化がエネルギー安定供給に与える影響を懸念し、行政手続法が定める標準処理期間や、米国原子力規制委員会(NRC)の「良い規制の原則」をあげながら、審査の効率化を要望。更田委員長は、審査実績の有効活用やチーム体制の構築に努めているとする一方、「プラントごとに異なる自然ハザード」を、審査長期化の一因としてあげ、地震規模の想定や敷地内断層に関する追加検討など、「事業者の対応によるところも大きい」として、規制側・事業者側、双方の努力が必要なことを示唆した。

また、細田氏が原子力発電所の運転サイクル(定期検査の間隔)に関し柔軟な判断を求めたのに対し、更田委員長は、「運転サイクルを延ばすことは必ずしもリスクの増加につながるものではない。諸外国では一般に16~18か月、長いところでは24か月、日本の運転サイクルは国際的にみて短い。事業者からの提案があれば議論していきたい」と答えた。この他、細田氏は、バックフィット(既に許認可を受けた施設が新知見に基づく規制要求に適合することを確認する)運用に関する産業界とのコミュニケーションについて意見を述べた上で、規制委員会に対し、現場で運転管理に当たってきた電力会社OBの積極的採用や、新興国も含めた海外規制機関や国際機関との人的交流などを喚起し、「国際的に高く評価される組織であって欲しい」と期待した。

新型コロナウイルス感染症の拡大をとらえ、公明党の中野洋昌氏は、原子力災害発生時における感染症対策について質問。これに対し、内閣府大臣官房審議官(原子力防災)の佐藤暁氏は、6月に策定した「感染症流行下での原子力災害時における防護措置の基本的考え方」を踏まえ、女川、高浜、大飯の各原子力発電所立地地域の緊急時対応改定を図ったほか、11月には防護措置実施のガイドラインをまとめたとし、他の立地地域への対応についても「関係自治体と一体となって速やかに取り組んでいく」と答えた。

※写真は、いずれもインターネット中継より撮影。

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