原子力文化財団が2020年度世論調査結果発表
18 Mar 2021
「今後日本は原子力発電をどのように利用していけばよいと思うか」への回答状況(原子力文化財団ホームページより引用)
日本原子力文化財団はこのほど、全国1,200人(15~79歳男女)を対象に実施した2020年度の「原子力に関する世論調査」の結果を発表した。
それによると、今後の原子力利用に関して、「原子力発電を増やしていくべき」(増加)、「東日本大震災以前の原子力発電の状況を維持していくべき」(維持)、「原子力発電をしばらく利用するが、徐々に廃止していくべき」(徐々に廃止)、「原子力発電は即時廃止すべき」(即時廃止)、「その他」、「わからない」、「あてはまるものはない」の選択肢で尋ねたところ、最も多かったのは「徐々に廃止」の48.0%だった。近年の調査で、「徐々に廃止」は最多を維持し続け回答割合もほぼ同水準で推移している。また、「即時廃止」は8.4%で4年連続の減少。「増加」は2.2%、「維持」は8.0%で、両者を合わせた割合は「即時廃止」を上回った。今回、「わからない」が28.2%で前年度調査より5.5ポイント増加し、近年で最も高い水準となった。
「増加」と「維持」と「徐々に廃止」を合わせた割合について、性別にみると、男性は65.2%、女性は51.3%と、男性の方が高く、原子力やエネルギーに関する情報の保有量別(他の設問への回答から、多、中、少、無に4分類)では、「多」が80.2%、「中」が71.9%、「少」が62.8%、「無」が27.9%と、情報保有量との正の相関がみられ、この傾向は前年度調査と比べ顕著となっていた。「わからない」について、性別にみると、男性が19.8%、女性が36.3%となり、年代別にみると、10代が39.2%、20~30代が36.7%、40~50代が27.0%、60~70代が19.8%と、女性と低年齢層で高くなっており、この傾向も前年度調査と比べ顕著であった。
また、原子力発電所の再稼働に関する意見では、「国民の理解は得られていない」が最も多く44.7%で、前年度調査より5.6ポイント減少。2017年度調査では、電力安定供給、地球温暖化対策、経済影響の各視点からも「必要ない」が「必要」を上回っていたが、その後、要否の意見は逆転または拮抗しており、「再稼働に否定的な意見は軒並み減少の傾向にある」と、同財団では分析している。
高レベル放射性廃棄物については、「私たちの世代で処分しなければならない」が41.7%、「自分の住む地域または近隣地域に最終処分場が建設されたら反対すると思う」が52.7%などとなり、「直近の4年間では大きな傾向の変化はみられない」としている。
原子力やエネルギーに関する情報源については、約8割が「テレビ(ニュース)」をあげ、年代を問わず最も高く、これに次ぐ「新聞」は10代で20.3%、70代で80.9%などと、年齢層による開きが極めて顕著だった。10代では「LINE」が他の年齢層に比べ多かったが、ここ数年で高年齢層でもインターネット関連を情報源とする回答が増加傾向にあった。