電事連、中学生向けにSDGs教材
16 Apr 2021
中学生向け動画コンテンツの一コマ(電事連発表資料より引用)
電気事業連合会は4月15日、中学校の社会科授業向けにエネルギー問題をSDGs(国連の持続可能な17開発目標)の視点から学べる副教材「SDGs×電気」を新たに制作したと発表。同日より全国中学校への案内を開始し、順次、希望する1,000校に無償提供する。〈電事連発表資料は こちら〉
エネルギーに関する課題は、SDGsが掲げる17目標のうちの7つ目「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とともに、気候変動対策、資源・環境の持続可能性など、他の開発目標とも密接に関わっている。電事連では、日本政府による2050年カーボンニュートラル実現に向けた目標表明の他、中学校の新学習指導要領に「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されたことなど、SDGs達成への取組を支援するため、社会科副教材として、エネルギー問題とSDGsの関りを切り口とした動画コンテンツとその内容に合わせたワークシートを制作。同教材を授業で活用してもらうことを通じて、持続可能な社会づくりに必要な「多様なものの見方」を養うとともに、生徒一人一人の思考力や判断力の育成に貢献していくとしている。
副教材は、動画コンテンツ(DVD)、教師用手引書(ワークシート併催)、生徒用小冊子からなっており、概要編と実践編とに分かれた動画コンテンツは、ウェブサイトでも公開。そこでは、電気で動くAIロボットキャラ「Elex-17」が先生役(声:江口拓也さん)となり、女優の麻木玲那さんが中学生に扮し、対話を通じて、SDGsと電気の関係とともに、資料やデータに基づいて考えることの大切さも教える。
概要編では、まずSDGsが採択された背景やねらいを解説。住民の80%が電気のない生活をしているボツワナの農村を例に、燃料となる“まき”を集めるため、森林の伐採が環境問題を引き起こすほか、子供たちが働き学校へ通えず、教育水準にも影響を及ぼしているという現状を示し、「SDGsの目標はつながっている」、「電気は色々な目標の達成につながっている」ことを伝える。実践編では、「環境」、「経済」、「安定供給」をキーワードに、日本が取り入れている多様な発電方法をSDGsの視点で紹介。発電別のCO2排出量から、再生可能エネルギーや原子力がSDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成につながるエネルギーであることを示し、他方で、電力量当たりのコスト比較、エネルギー資源の確認可採埋蔵量から、環境保全の面で課題のある石炭火力発電も他のSDGs目標には貢献しうる発電方法であることを説く。その上で、「発電方法には長所や短所がある」、「SDGsの色々な目標は一つの発電方法では達成できない」ことに気付かせ、色々な発電方法をバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」の重要性を述べている。