大成建設が中間貯蔵施設の土壌分別を効率化、AIを活用した安全管理も
21 Apr 2021
除染土壌の分別処理フローと分別促進材の投入箇所(大成建設ホームページより引用)
大成建設はこのほど、福島県の中間貯蔵施設内の作業を効率化する技術開発成果を発表した。
中間貯蔵施設は、除染に伴う放射性物質を含む土壌や廃棄物を最終処分までの間、安全に集中的に管理・保管する施設で、輸送対象物量約1,400万㎥(2019年10月時点推計)のうち、累計約1,038万㎥(2021年1月末時点)が輸送済み。2021年度までに県内に仮置きされている除去土壌(帰還困難区域)を概ね搬入完了することが目標となっている。
今回の技術開発成果は、中間貯蔵施設のうち、仮置場から運ばれた大型土のう袋を破り、ふるいにかけて可燃物や金属などを取り除く受入・分別施設の作業に係るもの。ふるい分けは2段階で行われ、2段階目のふるい分けの前に改質材を投入するが、同社の発表によると、除去土壌中の水分を多く含む粘性土が処理で使用する各装置や残さに付着し処理効率が低下するのが課題だった。そのため、短時間で粘性土を砂状にできるよう、紙おむつなどに使われる吸水性ポリマーを主成分とした分別促進材「T-クイック土ライ」を開発。これを、ふるい分け前の破袋機に投入することで、除去土壌の効率的な分別処理が可能となった。「T-クイック土ライ」は、従来の改質材よりも細かい材料を採用しており、効率よく粘性土と混合でき、十分な給水量を確保しつつ吸水速度が向上する。粘性土の分離速度を高める吸水性ポリマーに関しては、粒径範囲75~150μmで吸水倍率(体積に対する吸水量)約300と、最も効果が発揮されることを実証している。〈発表資料は こちら〉
また、大成建設は、除染や中間貯蔵施設関連工事に従事する作業員の放射線被ばく管理強化に向け、入場時の画像データをもとにAIを用いて安全装備の装着を高速・高精度で確認できるシステム「T-iSafety Protection」を開発。作業員が立ち止まることなく安全装備が確認でき、不備状況を音声と警告灯で知らせる。目視による人的ミスを防ぐとともに、データベース化により効果的な安全教育も可能。同システムは昨秋より中間貯蔵施設関連工事で試験導入されている。〈発表資料は こちら〉