原子力産業新聞

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福島大と県立医大、廃炉とRI製造の技術を融合し新たながん治療法の共同研究開始

27 Apr 2021

放射線塞栓療法のイメージ(福島大発表資料より引用)

福島大学と福島県立医科大学は4月22日、「放射線塞栓療法」と呼ばれる新たながん治療法の共同研究に着手することを発表。放射性薬剤を包含したビーズをカテーテルにより人体へ投与し、悪性腫瘍部位の血管を塞栓。ビーズから放出される放射線を用いて体内から局所的に治療を行うもの。体内から放射線を照射するがん治療法としては、アルファ線を放出する放射性薬剤を体内に投与して行う標的アイソトープ治療が諸外国で普及している。同研究では、国内初の試みとして「放射線塞栓療法」の肝臓がんへの適用を目指す。〈福島大発表資料は こちら

今回の共同研究では、福島大学からは共生システム理工学類教授の高貝慶隆氏、福島県立医科大学からは先端臨床研究センター准教授の鷲山幸信氏(研究代表)が中心的に参画。それぞれの有する、廃炉研究のために開発した放射性物質を閉じ込める技術と、医療用放射性物質の製造技術を融合し、国内における新たながん治療法の開発に取り組む。

高貝氏は、福島大学が東京電力と共同で2020年4月に設置した「廃炉技術開発研究拠点」のプロジェクトリーダーを務めている。福島第一原子力発電所で発生する汚染水の迅速な核種分析法の開発など、廃炉現場が直面する様々な技術的課題の解決に向けた研究成果を活かしつつ、「放射線塞栓療法」に適応できるビーズの材料開発を行う。

一方、鷲山氏は、「放射性セラノスティックス」(核医学の診断と治療を組み合わせた概念)を標榜し、加速器による放射性核種生成の研究・ネットワーク活動に取り組んでおり、国際協力にも通じている。今回の共同研究をリードし、新たな治療法の実用化研究を進めていく。

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