文科省原子力科学技術委員会が新たなメンバーで始動
20 May 2021
議事を進める出光主査(オンライン中継)
文部科学省の原子力科学技術委員会が5月19日、新たなメンバー(第11期)で初会合を行った。同委は、文科相の諮問機関として設置されている科学技術・学術審議会のもと、原子力政策の立案・評価に係る調査検討を行うもの。昨秋の菅首相による「2050年カーボンニュートラル」実現の表明を受け、脱炭素電源の一つとして位置付けられる原子力エネルギーのイノベーション創出に向けて、研究基盤・人材育成の強化を中心に検討を進めていく。
今期委員は、主査の出光一哉氏(九州大学大学院工学研究院教授、前期主査代理)以下、五十嵐道子氏(フリージャーナリスト)、遠藤典子氏(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)、小栗慶之氏(東京工業大学科学技術創成研究院教授)、北田孝典氏(大阪大学大学院工学研究科教授)、早田敦氏(電気事業連合会専務理事)、新井史朗氏(日本原子力産業協会理事長)、髙本学氏(日本電機工業会専務理事)、竹内純子氏(国際環境経済研究所理事)、中島健氏(京都大学原子力科学研究所教授)、八木絵香氏(大阪大学COデザインセンター教授)。
今期の検討開始に当たり、文科省研究開発局が、同委員会下に置かれた原子力研究開発・基盤・人材、原子力バックエンド、核不拡散・核セキュリティの各作業部会に係る政策の進展状況を説明。研究基盤の関連では、2017年度以降、「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉の設置に向けた調査や国内外有識者によるシンポジウムを実施し、2022年度中の詳細設計開始、2030年代の運転開始を目指して、3月には日本原子力研究開発機構、京都大学、福井大学を中核とし地元機関や産業界が参画するコンソーシアム委員会が行われたところだ。
委員からは、原子力機構が取り組む研究開発に関し、高温ガス炉を始めとする新型炉開発への期待の他、ニーズの絞り込みやリソースの適正な配分を求める意見、また、人材育成に関する検討体制の見直しや、「イノベーション創出は原子力関係者だけのネットワークではなし得ない」といった他分野連携の議論の必要性を示唆する声もあった。