原子力産業新聞

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エネ総研、廃炉に伴い発生する大型構造物の処理で提言

21 May 2021

原子力発電プラントの廃炉スケジュール(総合資源エネルギー調査会原子力小委〈2021年2月開催〉資料に基づき作成)

エネルギー総合工学研究所はこのほど、原子力発電所の廃炉に伴い発生する大型構造物の処理に関する提言(技術レポート)をまとめた。

現在、国内では18基の原子力発電プラントで廃止措置が進められている(福島第一を除く)が、5月18日の原子力委員会定例会で同研究所の「原子力発電所廃止措置調査検討委員会」委員長を務める東京大学大学院工学系研究科教授の岡本孝司氏が説明した報告資料によると、廃止措置プロセスのうち、原子炉などの主要設備の解体が2020年代半ば以降に本格化するという。解体作業を円滑に進めるため、蒸気発生器(PWR)などの大型構造物の処理が今後の課題となる。プラントの高経年劣化対策の改良工事で取り外された蒸気発生器は、現状では放射性廃棄物として専用保管庫で保管中。一方、欧米では、大型構造物の処理・処分に関し、主に(1)原子炉建屋内で細断し容器に収納、(2)一体撤去し施設外の廃棄物処理施設へ輸送し処理、(3)一体撤去し処分施設へ輸送し一体で処分――する方法がとられており、米国、スウェーデンでは、海外からの大型構造物受入れやこれに由来する金属のリサイクルも行われている。

日本では放射性廃棄物の輸出は原則として禁止されているが、岡本氏は、大型構造物の海外処理について、「安全上の課題もなく、廃止措置の着実な進展というメリットにつながる」と、選択肢の一つとなることを強調。国内では、放射性物質として扱う必要のない廃棄物の再利用に向けたクリアランス制度が施行されている。同氏は、310トンの蒸気発生器1基から、80%の重量に相当する約245トンの金属部材が再利用できるというOECD/NEAによる評価を示し、有用資源をリサイクルし廃棄物を低減する「循環型社会」形成への貢献からも、原子力発電所の廃炉において大型構造物が適切に処理される必要性を説いた。提言では、大型構造物の処理について、中長期的には、国内で共同利用可能な集中処理施設の導入を、当面は、海外での委託処理に向け(1)放射性廃棄物の輸出を可能とする制度整備、(2)放射性廃棄物の定義の見直し、(3)ガイドラインの策定――を取り組むべき課題としてあげている。

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