原子力産業新聞

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小中生にオンラインで放射線講義、京大・角山氏

02 Jul 2021

小中生にオンライン講義を行う京大・角山氏

京都大学環境安全保健機構放射性同位元素総合センター助教の角山雄一氏がこのほど、小中学生を対象にオンラインで講義を行った。同氏は、放射線が種類によって透過力が異なることを攻撃カード(透過)と防御カード(遮蔽)の対戦を通じて学ばせるゲーム「ラドラボ」(タンサン(株) 2015年発売)の監修に当たるなど、放射線知識の普及・啓発に努めている。

今回のオンライン講義は、「実践的な学び」を掲げ市民講座・ワークショップなどを開催するナレッジキャピタル(株)(大阪)のシリーズ講座「SpringX 超学校」の一つで、科学技術振興機構のジュニアドクター育成事業「めばえ適塾」とも連携。「放射線って? 基礎知識から先端研究事例まで」と題し、6月19、26日の2回にわたる連続構成で、近畿圏を中心とする小学3年生から中学3年生までの生徒たちが参加した。

霧箱製作の模様

角山氏は、クイズを交えながら、20世紀初頭のレントゲン博士によるX線の発見に始まり、放射線の種類と性質、食品中の放射性物質、宇宙放射線、原爆の惨禍など、基礎知識を説明。放射線測定器の操作、霧箱実験も披露した。霧箱実験では、金属缶、スポンジ、ろ紙、食品用ラップ、消毒用アルコール、ドライアイスなど、家庭で用意できる材料を用いて器具の組立から着手し、放射線が飛ぶ様子を見せ、生徒たちに「失敗しながら学んで欲しい」と、自身でも工夫し製作・実験してもらうことを期待。同氏は一人で研究室を駆け回り汗をかきながら実演し、オンラインではあったが臨場感あふれる内容だった。

この他、角山氏は、がん治療、美術品鑑定、タイヤゴムなどの材料加工の他、密入国者や爆発物の検知にも用いられる放射線の多方面にわたる応用例を原理から紹介。宇宙開発分野での利用に関し、同氏は、生徒たちの親の世代が幼少の頃、地球を飛び立った宇宙探査機「ボイジャー」搭載の原子力電池が太陽系を離れた現在も機能し40年以上データが送られ続けていることを感慨深く語った。

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