福島高専学生による演奏ロボットがバーチャル・ミュージアムで公開中
06 Aug 2021
演奏ロボット「鈴音」が踊る(福島高専ホームページより引用)
福島高専の学生が製作したロボットが、先端技術館「TEPIA」(東京都港区)のバーチャル・ミュージアム「デジタルTEPIA」で紹介されている。
福島高専は、「廃炉創造ロボコン」の開催など、廃炉人材育成に力を入れており、4月にはロボット製作を通じた廃炉遠隔技術に係る理解増進の功績から、同高専機械システム工学科准教授の鈴木茂和氏が2021年度文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞している。
「デジタルTEPIA」で紹介されているロボットは、2020年11月にオンライン開催された「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2020 全国大会」(高専ロボコン)でデザイン賞を受賞したハンドベル演奏ロボット「鈴音」(すずね)。暗闇の中、格子状に配置されたハンドベルの下を4台のロボットが異なる色の光を点滅させ動き回りながら、「きらきら星」や「ふるさと」を涼しげに演奏する。〈動画は こちら〉
「鈴音」を製作した電気電子システム工学科の鈴木碧さんと化学・バイオ工学科の鈴木菜緒さんは、「デジタルTEPIA」のインタビューの中で、ものづくりの面白さを強調。それぞれ、中学のラジオ製作、オープンキャンパスで体験したナイロン合成実験をきっかけに自身の専攻分野を選んだとしており、「全然うまくいかなかったものが動いた瞬間はすごく嬉しい」、「普段の生活で使っているものなのに、『どうやって作られているのかわからない』というものがたくさんある」と、話している。賞をとった「鈴音」は、磁石を使ってロボットがベルに直接触れずに音を鳴らすのが特徴で、音色の調節、特に人間が演奏するように「単発で『ポン』と鳴らすにはどうすればよいか」で最も苦心したという。高専ロボコンのテーマ「誰かをハッピーするロボット」に応え、「音楽で人を楽しませられれば」と、「鈴音」製作に取り組んだ鈴木碧さんは、ロボットがメンタルケア面で活躍する将来性を展望し、「まずは挑戦して欲しい」と、後輩たちのチャレンジ精神に期待を寄せている。
先端技術館「TEPIA」は現在、感染症対策・リニューアルに伴い休館中のため、ウェブサイト上で楽しめるバーチャル・ミュージアム「デジタルTEPIA」での見学を案内している。「鈴音」は、その中で若手によるアイデアを紹介する「若者イノベーター」で取り上げられたもの。「デジタルTEPIA」では、この他、「暮らし・経済」、「社会」、「地球・生命」や、コロナを踏まえた新しい生活様式「ニューノーマル」に関するテクノロジーを展示。自動ミキシング機能によるリモート合唱システム「tuttii」(電気通信大学)、AIを用いオンライン会議での身なりや表情をTPOに応じて置き換えられる「xpression camera」((株)EmbodyMe)、特殊な光学フィルタにより人が集まる施設での使用を可能としたウィルス抑制・除菌用UV照射器「UVee」(東芝ライテック)などが紹介されている。