東京電力、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護事案で改善措置報告書
24 Sep 2021
会見を行う東京電力の小早川社長、小林会長、牧野原子力立地・本部長(右より、インターネット中継)
東京電力は9月22日、柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用や核物質防護設備機能の一部喪失の事案に対する根本原因分析、改善措置活動の計画を取りまとめ、第三者による独立検証委員会からの検証報告書と合わせ、原子力規制委員会に提出した。〈東京電力発表資料は こちら〉
同日夕刻、小林喜光会長、小早川智明社長らが東京本社で記者会見を行い、小林会長は、「今回の検証で明らかになった弱みを自ら評価し、改善を繰り返していくことが原子力部門、発電所にとって重要」として経営幹部の人事措置を行うとともに、「現場を重視した再発防止策の実施とさらなる改革推進」に向け、原子力部門の本社機能の新潟移転、核物質防護や原子力安全で豊富な経験を有するOBや他社人材の幹部への積極登用などを図っていくと発表。
また、小早川社長は、一連の事案に対する陳謝、経営トップとしての責任を果たす重要性を述べた上で、「本社社員の執務場所を発電所の近傍に置くことで発電所運営をより密接にサポートできるようになる。地域の皆様の声に随時触れ、その声を発電所の安全最優先の運営に活かす体制を作る」と、スピード感を持って柏崎刈羽原子力発電所のパフォーマンス向上を図っていく考えを示した。
改善措置計画は、「リスク認識の弱さ」、「現場実態の把握の弱さ」、「組織として是正する力の弱さ」を一連の事案の根本原因と分析した上で、核物質防護に関するガバナンスの再構築、核物質防護教育の強化、警備業務の抜き打ち訓練、他電力との相互レビューなどを盛り込んでいる。
梶山弘志経済産業相は23日の閣議後記者会見で、「第三者委員会や他の電力会社の評価・指導も得ながら、報告書に盛り込んだ対策を徹底的に遂行していくことが重要。東京電力には、原子力規制委員会による検査に誠実に対応し、強い危機感と緊張感を持って核物質防護体制の再構築にしっかりと取り組んでもらいたい」と強調。柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関しては、「まだ口にする段階ではない。東京電力のこれからの努力次第だと思う」とした。