海外NEWS
24 Jan 2025
210
エストニア 原子力発電所のサイト選定を開始へ
国内NEWS
24 Jan 2025
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「原子力総合シンポ」でリスコミなど議論 学術会議
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23 Jan 2025
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米国 WE社が月面マイクロ炉開発を継続へ
国内NEWS
22 Jan 2025
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電事連 政府案に意見提出
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22 Jan 2025
830
IEA 原子力投資の増加を予測 SMRに注目
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21 Jan 2025
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米国 インド原子力関係機関に対する規制を撤廃へ
国内NEWS
21 Jan 2025
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三菱重工 伊方に乾式キャスク納入
海外NEWS
21 Jan 2025
590
ベトナム 原子力分野におけるロシアとの協力関係を強化
エストニアの新興エネルギー企業であるフェルミ・エネルギア社は1月14日、経済通信省に、電気出力60万kWの原子力発電所建設に向けて、サイト調査手続きを開始する申請をした。同社のK. カレメッツCEOは「これにより安全性、環境影響、技術的実現可能性の要件を満たす、原子力発電所サイトの適地を見つけることが可能になる。手続き開始が原子力発電所建設とイコールではないが、近年の電力需要の増加により、エネルギーシステムの安定性を守り、今後数十年にわたって電力料金を引き下げるため、制御可能で信頼性の高いエネルギー源が必要であることは明白だ」と語った。本申請の準備に向けて、フェルミ・エネルギア社は過去6年間、住民を対象とした説明会を16か所の自治体で50回以上実施し、500人以上が参加した。西ヴィル郡ヴィル・ニグラ、ならびに東ヴィル郡リュガヌスの各自治体議会は、それぞれ2023年9月、2024年3月、サイト調査への参加を決定した。フェルミ・エネルギア社の考える原子力発電所の建設完了までの計画は以下のとおり。サイト候補地の事前選定(2025~2027年)候補地を評価するための関連調査と協議を実施。フェルミ・エネルギアが実施した予備調査によると、候補地は、西ヴィル郡クンダ近郊のヴィル・ニグラと、東ヴィル郡リュガヌセのアー村の人口の少ない地域に所在。自然保護区域は回避。サイト検証(2027~2029年)選定サイトと原子力発電所のサイト条件との適合性を確認するため、詳細な調査を実施。プラントの建設段階(2029年~)計画プロセスの完了。エストニア議会(リーギコグ)による原子力規制法の採択後、2029年に建設許可申請を管轄の規制当局に提出。手続きが順調に進めば2031年に着工。2035年後半には初号機が運転開始。今回の申請は、6年間にわたる詳細な計画と分析の結果であるという。32ものパートナー機関・企業との協力を得て、71件の調査を総費用140万ユーロ(約2.3億円)をかけて実施した。エストニアの新興エネルギー企業のフェルミ・エネルギア社は、米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製SMR「BWRX-300」(BWR、30万kWe)を2基を備えた原子力発電所の建設を計画している。エストニアの現在の電源は、化石燃料、特にオイルシェールが大半を占める。2050年までに排出量実質ゼロを達成することを掲げており、国内のオイルシェール利用の段階的廃止を開始する2035年までにエネルギー・ミックスを多様化するため、信頼性が高く低炭素な電源の選択肢として原子力発電に注目。小規模なバルト海電力市場、再生可能エネルギー、供給目標、欧州の水素市場の発展の可能性を考慮し、水素製造が可能なSMRの導入可能性を検討した。炉型の選択にあたっては稼働実績と燃料供給の安定性を重視し、2023年2月にBWRX-300を選定した。リーギコグは翌年6月、エストニアにおける原子力導入支援に関する決議を採択。これにより、政府は原子力安全法の起草、必要に応じて既存の法律の改正・補足、原子力の規制組織の設立、および専門家の育成を実施していくこととしている。
24 Jan 2025
210
米ウェスチングハウス(WE)社は1月7日、米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)から月面に原子炉を設置する「月面原子力発電(FSP)」プロジェクト向けのマイクロ炉の概念設計開発を継続する契約を獲得したことを明らかにした。FSPプロジェクトは、NASAが米DOEとアイダホ国立研究所(INL)と協力して実施。月面や将来的には火星でも使用も想定する、信頼性の高い電力供給源となる小型の発電用核分裂炉の概念設計の開発に重点を置いている。INLから獲得した今回の新契約は、フェーズ1でWE社が完了した設計作業をベースに、FSPシステムの設計と構成を最適化し、重要な技術要素の試験を開始するもの。NASAはフェーズ1の契約を延長して更に情報を収集、リスクの低いシステム設計をするための要件を設定し、フェーズ2で月面実証の最終的な原子炉設計の依頼を計画する。FSPプロジェクトの継続的な進展により、NASAが掲げる今後10年以内の月面実証という目標の達成が期待されている。NASAによると、FSPシステムは比較的小型で軽量なほか信頼性も高く、日射量等の自然条件や場所を選ばずに継続的に電力供給が可能。月面でFSPシステムの能力を実証し、火星等への長期ミッションに道を拓きたい考えだ。WE社は月や火星、その他の惑星軌道上にある宇宙探査機への電力供給や地表面での設置を目指して、マイクロ炉「eVinci」の小型版を開発している。eVinciは熱出力1.5万kW、電気出力0.5万kWのヒートパイプ冷却の可搬式原子炉で、軽水炉のような冷却ポンプは不要。近いうちにINL内で国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)が運営するマイクロ炉のテストベッドで試験を行う予定である。月や火星、その他の惑星軌道上にある宇宙探査機への継続的な電力供給や地表面での設置において、設計がシンプルな同炉は、信頼性の高い自動稼働式の低質量発電システムを月面や人工衛星等に構築する技術として理想的であると、WE社は指摘する。また、この頑丈な炉は可動部分が非常に少なく、故障箇所を減らすことでミッションに応じて柔軟に対応可能。また、操作が簡単で、過酷な宇宙環境にも耐える高い信頼性を実現するとしている。WE社は2022年6月、宇宙用原子力技術の開発で協力中のNASAとDOEから、月面で稼働可能なFSPシステムの概念設計の提案企業に選定された。NASAの主導により有人宇宙飛行、月面着陸および持続的な探査活動を目指す「アルテミス計画」では、2020年代末までにFSPシステムを月面に設置するため、NASAとDOEはこれに間に合うようWE社を含む3社を選定。当初の仕様には、月面環境下で少なくとも10年間連続稼働する電気出力40kWであることのほか、システムが直径4メートル、長さ6メートルの格納シリンダー内に収まること、システムの総重量が6トン以下であること、月面着陸船のデッキまたは別の移動システムからの自律運転が可能であることなどが含まれていた。3社はシステムの初期概念設計を開発するため、INLと12か月契約を締結、各社に約500万ドルが支払われた。WE社は2023年6月、月着陸船やローバーの設計や配備を行うアストロボティック社と、NASAと国防総省(DOD)の宇宙開発技術プログラムでの協力可能性を探る了解覚書を締結している。
23 Jan 2025
715
国際エネルギー機関(IEA)は1月16日、報告書「原子力エネルギーの新時代への道(The Path to a New Era for Nuclear Energy)」を発表した。報告書は、世界的な電力需要の急増を背景に、政策支援や投資、小型モジュール炉(SMR)の技術開発などが原子力発電の成長を後押しする一方、コスト超過、プロジェクトの遅延リスク、資金調達などの課題に対処する必要があると指摘している。IEAは原子力について、24時間供給可能で大規模展開できる、クリーンで実証済みの電源・熱源であると評価、再生可能エネルギーを補完するとともに、エネルギー・セキュリティや排出量削減に寄与するエネルギー源であるとしている。<原子力発電の現況>2023年現在、原子力発電は世界の総発電電力量の約9%を占め、30か国以上で410基以上が運転中。水力発電に次ぐ第2位のシェアを誇る低排出電源である。IEAによると、現在、原子力3倍化に向けた取組みなど、40か国以上で原子力発電の利用拡大に向けた支援が行われており、原子力への関心は、1970年代の石油危機以来最高水準に達している。現在建設中の原子炉は63基、発電設備容量は7,000万kWを超え、1990年以降で最高水準の一つとなっている。また、ここ数年では、新規建設や既存発電所の運転期間延長の取組みも活発化しており、2025年には原子力発電量が過去最高を記録する見通しである。さらに、新規建設と既存発電所の運転期間延長の両方を合わせた、原子力への投資額は、2023年には約650億ドル(約10兆1,000億円)に上昇し、10年前のほぼ2倍の水準となった。一方で、IEAは、現在運転中の原子力発電所の70%以上が先進国に集中しているものの、平均運転年数が36年以上と比較的古く、原子力シェアも減少傾向にあると指摘。世界の原子力市場の勢力図が、中国をはじめとする新興国へと変化しつつあり、2017年以降に建設が開始された原子炉52基のうち、48基が中国(25基)またはロシア(23基)の設計であると分析した。また、現在建設中のプロジェクトの大半が中国で行われており、中国が2030年までに原子力発電設備容量で米国と欧州を上回るとの見通しを示している。IEAはまた、燃料供給に関するリスクにも言及しており、特にウラン濃縮については、世界の濃縮能力の40%をロシアが占めている現状を問題視。将来へのリスク要因であるとし、燃料分野におけるサプライチェーンの多様性を高める必要性を強調した。また、近年の米国やフランスなどでの大型炉建設における大幅な遅延やコスト超過などの課題も克服すべきとした。<原子力投資の見通し>IEAは、世界の原子力投資は今後増加すると予測しており、大型炉が主要な投資対象となる一方で、SMRが急成長する可能性に言及している。現行のエネルギー政策に基づく「公表政策シナリオ」(STEPS)では、SMRの発電設備容量が、2050年に4,000万kWに拡大すると予測。また、各国政府による誓約目標が期限内に完全に達成されることを想定した「発表誓約シナリオ」(APS)では、政府の支援強化により、2050年までに1,000基以上のSMRが導入され、総発電設備容量は1億2,000万kWに達するとの見通しを示した。これに伴い、SMRへの投資額も大幅な伸びが予想され、現在の50億ドル(約7,800億円)から2030年には250億ドル(約3兆9,000億円)を超え、2050年までに累計投資額は6,700億ドル(約104兆円)に達する見通し。IEAは、データセンター(DC)の拡大等を背景に、安定的で低排出な電源としてのSMRへの関心が高まっていると分析している。現在、DC向け電力供給として合計最大2,500万kWのSMR建設計画が進行中であるという。また、近年では10%未満にとどまっていた先進国の設計を採用する大型原子力プロジェクトの割合が、欧州や米国、日本での新規着工により、APSでは2030年までに40%に増加、その後は半数を超えると予測した。さらに、SMRの広範な導入により、2050年までに新規建設の60%以上が、米国または欧州の設計が採用されるとの見方を示した。但し、IEAは、SMRの成功と導入のスピードは、2040年までにコストを大規模水力や洋上風力と同水準にまで引き下げられるかどうかにかかっているとも指摘している。<原子力プロジェクトへのファイナンス>IEAは、APSでは、2030年までに原子力への年間投資額が1,200億ドル(約18兆7,000億円)にのぼると見ており、この投資の規模を考えると、公的資金に依存するだけでは不十分であり、民間投資の促進が不可欠であるとの見方を示している。一方で、原子力プロジェクトは、その規模の大きさや資本集約性、長い建設期間、技術的複雑さから資金調達が難しく、コスト超過や工期遅延が頻発しており、投資家にとって大きなリスク要因となっている。こうしたなか、IEAは、政府の支援が商業銀行による資金提供を後押しするカギと強調。予測可能なキャッシュフローの保証や建設リスクの政府負担が、プロジェクトの資金調達を容易にするとした。また、長期の電力購入契約や差金決済取引(CfD)、規制資産ベース(RAB)モデルといったリスク軽減策が、安定した資金調達を支える仕組みとして重要性が増しているとした。さらに、IEAは、新規の大型原子炉建設プロジェクトは、建設段階での資金調達が難しいとされる一方、既存発電所の運転期間延長プロジェクトは、運転中の資産を対象とするため、銀行からの資金提供を受けやすいと指摘。また、SMRについては、その規模の小ささから建設期間が短く、投資回収期間が従来型プロジェクトの半分程度に短縮される可能性があることから、投資コスト全体の大幅削減につながる可能性があるとした。また、昨今のグリーンボンドなどの環境金融商品が、新たな資金源として注目を集めており、原子力への資金調達の幅を広げる可能性も併せて指摘している。また、IEAは、原子力事故のリスクに関して、影響を十分に補償する体制を確保するとともに、原子力事業が持続可能に運営できる仕組みの重要性を強調。日本の原子力損害賠償法に言及し、例外的な事象による原子力事故を除き、原子力事業者に損害賠償責任を無制限に課す現行制度について、「大きな財務的テールリスク((統計的な分布における「尾(テール)」に該当するリスクを指す。発生確率は非常に低いが、発生した場合には甚大な影響を及ぼす可能性があるリスクを指す。))を伴う」と指摘した。
22 Jan 2025
830
米商務省の産業安全保障局は1月15日、インド原子力省(DAE)傘下の3研究開発機関・公営企業を貿易取引制限リストから削除した。エネルギー安全保障のニーズと目標を共有する両国間の共同研究開発や科学技術協力などの先進エネルギー協力への障壁を減らし、原子力の平和利用協力および関連する研究開発の推進がねらい。同リストから削除されたのは、DAE傘下のインディラ・ガンジー原子力研究所(IGCAR)、バーバ原子力研究所(BARC)およびインド希土類公社。米国のJ. サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官は1月6日、インド工科大学デリー校で講演。インドの主要な原子力機関と米国企業との間の民生用原子力協力を実質妨げてきた長年の貿易規制を撤廃するための必要な手続きが最終段階に入っていることを明らかにしていた。サリバン大統領補佐官は、「J. ブッシュ前大統領とM. シン前首相は20年前に民生用原子力協力のビジョンを打ち出したものの、我々はまだそれを完全に実現できていない」「平和的原子力協力への取組みを共有する戦略的パートナーとして、これまでの協力の歩みを継続していく」と述べ、貿易規制撤廃による両国間の民生用原子力協力促進への期待を示した。貿易規制の背景にはインドによる1974年の核実験の実施がある。核実験実施を契機にそれまで初期のBWRやCANDU炉の導入に協力してきた米国やカナダなどが原子力協力を停止。さらに国際的な輸出規制のための原子力供給国グループ(NSG)が設置されたため、インドは原子力関係の資機材や技術の輸入ができなくなり、ウラン燃料、重水、原子炉関係機器などの調達から、建設・運転・保守の技術に至るまで国産で賄わざるを得なくなった。その後、インドが核実験モラトリアムの継続をはじめ、核不拡散に協力する姿勢を見せたため、米国は大規模な原子力開発計画を持つインドでの商機を狙い、2005年に対印原子力政策を転換。2008年8月には国際原子力機関(IAEA)理事会が保障措置協定案を承認、同9月にNSGは核不拡散条約(NPT)未加入のインドに対する民生用原子力協力を容認(インド例外措置)し、翌10月に米印間で原子力協力協定(通称123協定)が締結され、原子力協力が進められてきた。なお、インドの原子力損害賠償制度は、海外の原子炉ベンダーにも一定の賠償責任を盛り込んでおり、技術協力の障害となっていたが、インドは2016年2月に原子力の損害賠償の補完的補償に関する条約(CSC)を批准し、海外ベンダーのインド進出が容易になった。同年5月、インドはNSGへの加盟を申請。米国はインドのNSG加盟を支援している。これらの動きを受け、インド東海岸のアンドラ・ブラデシュ州のコヴァダが米ウェスチングハウス社(WE)製のAP1000×6基の建設サイトに選定され、現在、サイトの準備作業とWE社との建設計画の協議が進行中である。
21 Jan 2025
780
ロシアのM. ミシュスチン首相によるベトナム・ハノイの公式訪問に同行した、ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁は1月13日、ベトナムのファム・ミン・チン首相と会談した。双方は原子力発電開発だけでなく、原子力科学技術分野においても協力と支援を継続し、ベトナムの社会経済の発展に貢献することで合意した。ファム・ミン・チン首相は会談の中で、原子力発電分野の科学者や専門家の育成、ダラット原子力研究所における研究炉の設計と運用、がんの診断と治療のための放射性医薬品の供給など、ロシアのベトナムへの長年の協力と支援を高く評価。ロスアトムに対し、ベトナムの原子力技術部門の人材育成と技術移転を支援するよう要請した。リハチョフ総裁は、ロスアトムは、原子力発電所の建設、近代的な原子力科学技術センター(CNST)の設立、技術移転、ローカライゼーション、原子力科学と産業の発展の実現に向けて、長期的にベトナムに協力と支援を行う用意があると述べ、ベトナム側の期待に応えた。翌14日には、ベトナムとロシア両首相の立会いの下、ベトナム商工省傘下のベトナム電力公社(EVN)とロスアトム傘下のロスアトム・エネルギー・プロジェクト社(REP)との間で原子力発電分野における協力に関する了解覚書が調印された。REP社は大型炉からマイクロ炉までロスアトム製の原子炉を扱っており、世界市場での商業展開を目的に設立されている。2024年11月25日、ベトナム共産党中央委員会(CPV)は、国家エネルギー安全保障の確保のため、ニントゥアン原子力発電プロジェクトを再開する政府提案に合意。11月30日、第15期第8回国会でニントゥアン原子力発電プロジェクトを再開するという政府提案が承認された。2016年11月、国会は、国の経済状況を理由にニントゥアン原子力発電プロジェクトの中止を決定していた。ベトナム政府は1月10日、原子力発電所建設プロジェクトの運営委員会を設立。同委員会委員長を首相、副委員長を副首相兼外相と商工相が務める。委員会は、ニントゥアン原子力発電プロジェクトの実施に責任を負い、原子力開発に関する法制面、原子力発電プログラムの研究と策定を指揮する。なおEVNは、政府から同プロジェクトの投資家に任命されている。委員会の初会合が1月15日に開催され、首相はニントゥアン原子力発電所の建設を5年以内に完成させるという目標を提示。党創立100周年にあたる2030年までに原子力発電所を建設するための各年のロードマップと作業を決定したという。
21 Jan 2025
590
米ウェスチングハウス(WE)社は1月16日、韓国電力公社(KEPCO)ならびに韓国水力・原子力(KHNP)との間で、知的財産権に関する紛争の終結で合意したことを明らかにした。併せて、WE社は韓国の両社と協力して、現在係争中の訴訟をすべて取り下げる予定であると表明。なお、和解の条件については、当事者間の合意により機密事項となっている。WE社のP. フラグマンCEO(今年3月末にCEOを退任予定)は、「世界的にベースロード電源の需要が高まる中、この合意は両社による新たな原子力プロジェクトを推進するための協力関係の基盤となる」と述べた。一方、KHNPのJ. ファンCEOは、「今回の合意は、両社のより一層緊密な協力関係を構築する契機となる」とし、世界市場での協力体制と競争力を強化する方針だ。この和解を受け1月16日、米エネルギー省(DOE)のJ. グランホルム長官は声明を発表、「民生用原子力部門で数十万人の雇用創出を維持し、数千億ドルの協力プロジェクトを進める道を開く可能性のある大きな成果。私はこれら関係企業とリーダーたちの献身、決意、忍耐力に感謝している」と述べた。WE社は、韓国のAPR1000やAPR1400が同社の技術を組み込んでおり、KHNPはWE社の同意なしに第三者にサブライセンス供与する権利も有しておらず、米政府から技術輸出に必要な承認を取得する法的権利を有しているのはWE社だけであると主張。知的財産権と輸出管理をめぐり、2022年以降、KEPCOならびにKHNPと係争を繰り広げてきた。国際仲裁ならびに米国での訴訟が進行しており、WE社は仲裁が2025年後半までに決着する可能性は低いとみていた。こうしたなか1月8日、米DOEと韓国の産業通商資源部(MOTIE)は、2024年11月に仮調印していた、原子力輸出及び協力の原則に関する覚書(MOU)に正式調印。両政府が、原子力輸出協力の意向を明確に示したことにより、両企業間の交渉が今後円滑に進む可能性が指摘されていた。
20 Jan 2025
848
フランス電力(EDF)の子会社であるNUWARD社は1月6日、同社製小型モジュール炉(SMR)である「NUWARD」の再設計作業を開始したことを明らかにした。EDFとNUWARD社は2024年6月、プロジェクトの遅延や予算超過を避けるためにNUWARD SMRの設計を見直し、既存の実証済みの技術を利用し、設計を最適化する計画を決定。その後まもなく、英国の原子力発電所の新設計画を牽引する政府機関「大英原子力(Great British Nuclear:GBN)」が実施するSMR支援対象選定コンペから撤退した。NUWARD社は、「ここ数か月に実施された研究は極めて重要であり、当社は電力会社と産業界の期待に完全に応えるべくSMR戦略を見直してきた。NUWARD SMRは、電気出力40万kW、熱出力約10万kWのコジェネのオプションを提供する。市場のニーズに適合した安全な製品を提供するため、原子力部門でよく知られ、完全に習得された実績ある技術コンポーネントのみから構成される設計に見直す」と説明。「NUWARD SMRの付加価値は、競争力と建設時間の最適化を目的とした、シンプルさとモジュール工法にある」と強調した。同社は現在、2026年半ばまでに概念設計を完成させ、2030年代に市場投入し、国内に初号機の建設を計画している。2019年9月、EDFは仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)などと協力して、欧州主導のSMR「NUWARD」(電気出力17万kWの小型PWR×2基)の開発を発表。2基の独立した原子炉圧力容器(RPV)を鋼製格納容器内に収納、格納容器は水中設置を特徴とし、基本設計段階に進んでいた。
17 Jan 2025
951
カザフスタンの国営原子力企業カザトムプロム社は1月6日、東カザフスタン州ウスチカメノゴルスクにある燃料集合体(FA)製造工場「ウルバ-FA」の年間製造能力が2024年12月末までに設計容量の200トンに達したことを明らかにした。同工場は、2021年11月に操業開始。3年以内に設計上の生産能力到達を目指すスケジュールで、計画的に増産してきた。同工場を操業するウルバ-FA 社には、カザトムプロム社傘下のウスチカメノゴルスクにあるウルバ冶金工場(UMP)が51%、中国広核集団有限公司(CGN)傘下のウラン資源開発企業である中広核鈾業発展有限公司(CGNPC URC)が49%出資しており、同工場は実質的に中国の原子力発電所専用のFA製造施設となる。200トンは、原子炉6基の再装荷に必要な燃料量に相当。同工場は中央アジアで唯一の原子力発電所用燃料製造施設でもある。同工場が製造したFAはカザトムプロム社とCGNが結んだ協力契約に基づき、CGNPC URC 向けに全量(年間200トン)を20年にわたり供給することとなっている。なお中国向け初出荷は2022年12月に実施されており、2023年以降も出荷されている。同工場のFA製造技術は仏フラマトム社から移転されたもので、フラマトム社は「AFA 3G型燃料集合体」の製造ライセンスとともに、主要な製造機器やエンジニアリング文書、関連人材等を提供。一方、FAの構成要素である燃料ペレットは、カザフスタン産のウランを原料にUMPで製造している。カザフスタンは世界最大のウラン生産国で、旧ソ連時代からウラン原料の輸出だけでなく燃料加工が重要な産業となっている。燃料ペレットは、ソ連時代よりUMPで主にロシア向けに製造・出荷されていたが、ソ連崩壊後、核燃料サイクル産業の高度化に必要な燃料集合体の製造技術の習得を志向していた。
16 Jan 2025
765
インド原子力発電公社(NPCIL)は12月31日、22万kWeのバーラト小型炉(BSR、バーラトはヒンディ語で「インド」の意味)の建設に向け、民間部門からの提案依頼書(RFP)募集を開始した。提案締切りは2025年3月31日。BSRは、自家発電用に設計された国産の加圧重水炉(PHWR)。鉄鋼、アルミニウム、銅、セメントなどのエネルギー集約型産業における石炭火力発電所の代替を目指している。インドにおけるPHWRは22万kWから54万kW、70万kWと進化し、すべての出力サイズで順調に稼働している。これらのPHWRに必要なコンポーネントや機器を供給する国内サプライ・チェーンも成熟している。BSRは工場での部品製造、現地組立てによって建設時間を短縮。堅牢な安全性と効率性を実証済みであり、費用対効果に優れ、脱炭素化が困難な分野において安定したクリーンな電力供給源として期待されている。NPCILは、BSRは経済的利点、特に炭素排出税に関連するコストの削減によってインドの産業の国際競争力が強化されるとの考えだ。2024年7月、N. シタラマン財務相は2024~25年度の連邦予算で民間部門と提携し、BSRの展開やバーラト小型モジュール炉(BSMR)の研究開発等を支援する方針を発表。今回のRFPの実施は、現行の法的枠組みと合意されたビジネスモデルに基づき、初の民間部門の参入を認める原子力開発計画の一環である。1962年制定の原子力法により、原子力部門は中央政府に独占的権限が与えられ、民生用原子力発電所の設置と運転を許可されているのは、原子力省(DAE)傘下のNPCILとバラティヤ・ナビキヤ・ビデュト・ニガム社(BHAVINI、高速増殖原型炉PFBRの建設と運転主体)のみ。2015年の原子力法改正によりインド国営火力発電会社(NTPC)のような政府系公社だけがNPCILと提携が可能となった。民間部門の原子力発電への関与はエンジニアリング/調達/建設(EPC)の役割に限定され、原子力インフラ開発の補助的役割を担ってきた。原子力安全や放射性廃棄物管理の問題、核拡散リスクの面から、民間部門の参入は依然として制限事項が多いものの、今回、民間部門との提携が認められたことで、新規原子力発電所の資金調達に新たな道が開かれた意義は大きい。NPCILは、BSRの設計、品質保証、運転と保守、廃止措置までを実施。原子力発電所の立地、建設、試運転、および運転と廃止措置の認可は、NPCILが原子力規制委員会(AERB)から取得。選定された民間事業者は、NPCILの監督・監督下で資金調達と土地取得の上で2基のBSRを建設する。建設完了後、BSRはNPCILに移管され、長期にわたる運転・保守管理(O&M)契約の下で運営される。発電した電力は事業者が使用でき、DAEが承認した価格での売電も可能。なお事業者は、プロジェクトの開始から、損害発生時の復旧作業および廃止措置を含むライフサイクル全体に必要なコスト(税および保険費用込み)をすべて負担する。燃料や使用済み燃料、重水の所有権はDAEが有する。インドは、2070年までにネットゼロの実現を掲げている。エネルギーミックスにおける原子力シェアの拡大に向けて、DAEは原子力発電設備容量を現在の818万kWから2031年までに2,248万kWの約3倍に、2047年までに1億kWに増強するという野心的な目標の達成を目指しており、民間部門の原子力参入は重要な一歩となる。
16 Jan 2025
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チェコ政府は2024年12月20日、欧州委員会(EC)に「国家エネルギー・気候計画」(NECP)の最終文書を提出した。2033年までに電力や熱生産における石炭利用を全廃し、再生可能エネルギーとともに、原子力発電を拡大する方針を明示。原子力を、対外エネルギー依存の低減や脱炭素化戦略の重要な柱と位置付けた。NECPは、EU加盟国が脱炭素化やエネルギー効率、再エネなどの実施計画を含む、気候変動目標と行動を詳述した文書。今回チェコ政府は、再エネの総発電電力量に占める割合を現在の約12%から2030年には31%、2050年には52%まで引き上げるとともに、原子力は、現在の約40%から2040年には68%にまでシェアを拡大させる方針を表明した。原子力の増分は、大型炉と中小型炉(SMR)の導入により賄うとしているが、まずは、既存原子力サイトのドコバニ(VVER-440、51.0万kWe×4基)とテメリン(VVER-1000、108.6万kW×2基)での増設を優先させる。チェコ電力(ČEZ)は2024年7月、最大4基の増設プロジェクトの優先交渉者として、韓国水力・原子力(KHNP)を選定、今年3月末にも正式契約が調印されると見られている。現在、同プロジェクトの入札手続きについては、WE社が、韓国のAPR1000やAPR1400は同社の技術を組み込んでいると主張し、知的財産権と輸出管理をめぐってKHNPと係争中だ。こうしたなか、2025年1月9日、米エネルギー省(DOE)と韓国の産業通商資源部(MOTIE)は、昨年11月に仮調印していた、原子力輸出及び協力の原則に関する覚書(MOU)に正式調印した。今回、両国政府が、原子力輸出協力の意向を明確に示したことにより、両企業間の交渉が今後円滑に進む可能性を指摘する向きもある。NECPはまた、石炭火力全廃後の、特に2035年以降のSMRの役割を強調、石炭火力をSMRに順次リプレースすることにより、地域暖房を含めたSMRの活用方針を打ち出した。既にČEZは、SMR初号機の建設サイトとして、テメリン・サイト南西部を選定済みで、地質調査など建設準備作業が進められている。2024年9月には、チェコ政府とČEZがSMR供給者7社の中から入札によって、英ロールス・ロイスSMR社をSMRの建設プロジェクトの優先サプライヤーに選定。SMR初号機の運転開始は2030年代半ばを予定しているが、大型原子炉の建設状況次第では、最大300万kW導入する可能性もあるという。そのほか、ČEZは、国内2基目、3基目のSMR建設候補サイトとして、チェコ北東部のポーランド国境に近いジェトマロヴィツェ(Dětmarovice)と北西部のドイツ国境付近のトゥシミツェ(Tušimice)を暫定的に指定している。両地点とも、ČEZの石炭火力サイトである。
15 Jan 2025
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中国・福建省で昨年11月から試運転中だった、中国核工業集団公司(CNNC)の漳州(Zhangzhou)1号機(PWR、112.6万kWe)が2025年1月1日、営業運転を開始した。炉型は、中国開発のPWRである華龍一号(HPR1000)。同機は2019年10月に着工、国内の商業炉としては57基目となり、基数では世界第2位のフランス(56基)を抜いた。華龍一号としては国内5基目となる。漳州サイト内では、今回運開した1号機のほか、計3基が建設中。2号機が2020年9月に着工し、漳州第Ⅱ発電所1、2号機は、2024年2月と9月にそれぞれ着工した。さらに、CNNCは、華龍一号を2基採用した漳州第Ⅲ発電所を計画中である。総投資額1,000億人民元(約2兆1,500億円)超の漳州プロジェクトは、CNNC(51%)と中国国電公司(49%)の合弁企業である国電漳州エナジー社が運営している。華龍一号は、中国が知的財産権を有する第三世代の原子炉。設計上の運転期間が60年で、運転サイクル期間は18か月。安全系に動的と静的両方のシステムを装備し、格納容器は二重構造となるなど、中国は最高の国際安全基準を満たす原子炉と誇っている。また、中国の主力輸出炉としても位置付けられ、海外への輸出実績もある。既にパキスタンのカラチ原子力発電所で2021年5月に2号機が、2022年4月に3号機がそれぞれ営業運転を開始している。昨年末には、同じくパキスタンで、華龍一号を採用したチャシュマ5号機が着工したばかり。そのほか、2022年2月には、アルゼンチンの国営原子力発電会社(NA-SA)とCNNCが、アルゼンチンへの華龍一号の建設に向けてEPC(設計・調達・建設)契約を締結したほか、トルコなどへのプラント輸出の動きもある。
10 Jan 2025
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ロシア国営原子力企業ロスアトムは12月25日、鉛冷却高速実証炉「BREST-OD-300」の燃料加工/再加工モジュール施設の試験操業を開始したことを明らかにした。同施設は、BREST-OD-300と再処理モジュールと並んで、パイロット実証エネルギー複合施設(PDEC)を構成する3施設のうちの1つ。PDECは、ロスアトムが進める戦略的プロジェクト「ブレークスルー(Proryv)」の一環として、西シベリアのトムスク州セベルスクにあるシベリア化学コンビナート(ロスアトム燃料部門の企業)のサイト内で建設が進められている。BREST-OD-300は冷却材に鉛を使用、ウラン濃縮の副産物である劣化ウランと使用済み燃料から抽出したプルトニウムを利用した、ウラン・プルトニウム混合窒化物(MNUP)燃料を使用する。燃料加工/再加工モジュールでMNUP燃料を製造。併設される再処理モジュールでBREST-OD-300の使用済み燃料のリサイクルを繰り返すことで、ウラン濃縮工程で生じた劣化ウランの蓄積分を処分し、放射性廃棄物の発生量と放射能レベルを低減する。濃縮工場に貯蔵されている劣化ウランを除けば、単一のサイト内でクローズド・サイクルが完成する。MNUP燃料は、二酸化ウランベースの従来の原子燃料とは異なり、標準的技術と設備では製造できない。非標準的な燃料組成に加え、使用済み燃料から抽出したプルトニウムからの高線量被曝を防ぐため、燃料製造工程は可能な限り自動化される。MNUPの製造にはウランとプルトニウムの混合窒化物の炭素熱合成ライン、燃料ペレットの製造ライン、燃料棒の組立ライン、燃料集合体の製造ラインの4つのラインがある。施設のスタッフは250人。燃料製造施設では2024年4月、ロシアの産業・原子力規制当局であるロステフナゾルからの許認可を得て、劣化ウラン窒化物燃料を用いたBREST-OD-300向けモックアップ燃料集合体を初製造するなど、製造技術の習得に取組んでいる。ロステフナゾルがプルトニウムの取扱いを承認後、MNUP燃料の生産を開始、200体のMNUP燃料集合体を製造する計画だ。すでにMNUP燃料を使用した試験用集合体は、ディミトロフグラードの原子炉科学研究所にある高速実験炉BOR-60とベロヤルスク原子力発電所3号機(高速炉BN-600)に装荷され、燃料の燃焼度合いなど、BREST-OD-300の初期炉心装荷の妥当性を確認済みである。なお、PDECでの燃料製造支援に向け、特にBREST-OD-300初期炉心装荷やモックアップの燃料集合体の金属部品の生産拠点として、ロスアトムの燃料部門の企業群である、グラゾフのチェペツク機械工場(ウドムルト共和国)、エレクトロスタリのエレマシュ機械製造工場(モスクワ州)、ノボシビルスクの化学濃縮プラント(西シベリア)が協力している。
08 Jan 2025
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「原子力総合シンポジウム2024」が1月20日、日本学術会議の本部講堂(東京都港区)で開催された。日本原子力学会他、関連学協会の後援・協賛も得て行われているもの。今回は、原子力に係るリスクコミュニケーションが主なテーマ。前半は、日本電気協会で民間の技術基準として原子力規格の策定をリードしている越塚誠一氏(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻教授)の進行で、福島第一原子力発電所事故の環境影響評価に関し、原子力学会の活動状況を技術的観点から報告。現在進められているALPS処理水の海洋放出に関しては、モニタリング結果を公開し継続的な情報発信を行う必要性があらためて示されたほか、発災直後の大気拡散モデル評価(SPEEDI)については、有効性を認める一方、「実測とモデル予測の相補的使用が合理的」といった指摘もなされた。報告の中で、環境科学技術に詳しい山澤弘実氏(名古屋大学名誉教授)は、SPEEDIの有効活用に向け、三宅島火山ガス拡散予測、稲ウンカ飛来予測など、自然災害対策や農林分野での実績にも言及。他学会とも連携しアカデミアとしてさらに検討を深めていく方向性が示唆された。後半の総合討論では、原子力規制委員会委員長代理の伴信彦氏らを招き、「原子力のリスクをどのように考えるか」と題し議論。森口祐一氏(国立環境研究所理事)、野口和彦氏(横浜国立大学リスク共生社会創造センター客員教授)、更田豊志氏(原子力規制委員会前委員長)、小野恭子氏(産業総合技術研究所安全科学研究部門)、近藤寛子氏(マトリクスK代表)、岩城智香子氏(東芝エネルギーシステムズ)、上坂充氏(原子力委員会委員長)、大井川宏之氏(日本原子力学会会長)らが登壇し、一般参加者も交えた質疑もなされた。委員に就任して10年目となる伴氏はこれまで、随時公開で行われる事業者との意見交換の場でも、原子力規制に携わる人材育成などの視点から、安全文化醸成に関する問題点を多く指摘してきた。同氏は、安全文化の定義を、「非常に困難」としながらも、IAEAレポートを引用し、「最高の優先度をもって、原子力発電所の安全問題が、その重要性に相応しい注目を受けることを確立する、組織および個人の特性と姿勢を集約したもの」と解釈。規制機関に対する社会の信頼性を図る重要性を強調した上で、新規制基準の施行を踏まえ規制委が行ってきた安全性向上に係るワーキンググループの経緯を紹介。同WGでは原子力分野以外の規制手法についても広く意見を聴取しており、同氏は、海外の著書「市場の倫理 統治の倫理」(ジェイン・ジェイコブス)をもとに、「知られていない『欠け』を発見するのは市場の倫理。現状に満足せずそれをもう一度疑ってかかり崩してみる『ゆらぎ』の場が必要」と述べ、規制・被規制側の双方が適切な対話を図っていく必要性を示唆した。これに対し、プラントメーカーの立場から岩城氏は、重大事故対策評価「ROAAM」(確率論と決定論を組み合わせた事故進行の定量評価、Risk-Oriented Accident Analysis Methodology)について紹介した上で、「リスク評価は不確かさを伴うもの」と主張。「リスクとベネフィット」と題しプレゼンを行った上坂氏は、日本原子力発電敦賀2号機の審査不許可に関連し「リスク情報の活用も必要」などと定量的評価の必要性を提言したのに対し、大井川氏は「外にいる人たちともっと議論することが必要。繋がることがまだ弱いのでは」と述べ、学会の閉鎖的体質を自省。この他、市民説明会の経験から「再稼働ありきの説得になっている」といった批判、安全対策に関し重大事故の発生頻度とコストとの関係などをめぐっても意見が交わされた。更田氏は、学際化が進むことを評価する一方で、「縦割りの細分化を防ぐことも学術界に求められている」と指摘。学術会議では毎年7月初めに「安全工学シンポジウム」と題し、他産業も含めた安全に関する総合的な議論を行っているが、リスクマネジメント専門の立場から、同シンポを毎回リードしている野口氏は、安全分野の議論が理工系だけにとどまっていることを憂慮した。1963年に始まった原子力総合シンポは回を重ね、60回目の開催と「還暦」を迎えた。近年では若手参加者の少なさも懸念されている。年度内に見込まれる次期エネルギー基本計画策定も踏まえ、次回以降は将来の革新炉導入に関しさらに深堀りした議論が行われる見通し。
24 Jan 2025
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電気事業連合会は1月21日、次期エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画、および両計画を踏まえた「GX2040ビジョン」の各原案に係る意見を関係省庁に提出した。新たなエネルギー基本計画および地球温暖化対策計画の策定についてはともに、昨夏より各々経済産業省、環境省における審議会・有識者WGを中心に検討が進められ、昨年末に原案が取りまとめられている。さらに、両計画を盛り込み、政府が年度内にも策定する2040年頃を見据えた日本の産業構造国家戦略「GX2040ビジョン」についても12月26日に原案が示された。これを踏まえ、3つの原案については、いずれも1月26日まで、パブリックコメントが行われている。次期エネルギー基本計画(案)について、電事連では、全般として、電力需要が増加する見通しの中、S+3E(安全性の確保、エネルギー安定供給、経済適合性、環境適合性)の基本原則のもと、「必要となる脱炭素電源の供給が確保されるように万全を期すことが求められる」と、電気事業者としての使命を強調。エネルギー基本計画は法令で3年ごとの見直しが規定されており、年度内の策定後も遅滞なく検証作業に入ることが見込まれるが、「スピード感を持ちつつ、計画倒れとならないよう実効性の高い政策展開を期待する」と述べている。その上で、同計画原案に沿って、再生可能エネルギー、原子力、火力、電化、GX、電力システム改革の各項目について意見を整理。原子力については、これまでの総合資源エネルギー調査会でも議論されてきたが、「2040年以降は原子力の設備容量が減少する見通し」とあらためて指摘した。今回のエネルギー基本計画の原案では、これまでの「原発依存度の可能な限りの低減」の文言は削除され、新増設・リプレースについて、「廃炉を決定した原子力を有する事業者の原子力発電所サイト内での、次世代革新炉への建て替え」を対象として、具体化を進めていくとされている。今回の意見提出で、電事連は、「将来にわたり持続的に原子力を活用していく」観点から、こうした対象に限定しない開発・設置の必要性を提言した。電事連の林欣吾会長は、1月17日の年頭記者会見で、安全を大前提としたプラントの再稼働を第一にあげた上で、サプライチェーンの維持・強化についても、将来の新増設を見据え、「国としての開発規模の目標を持つべき」と強調している。
22 Jan 2025
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三菱重工業は1月17日、四国電力伊方発電所向けに受注した使用済み燃料輸送・貯蔵兼用の乾式キャスク計15基中、初回出荷分となる2基の製造を完了し同所に納入したと発表した。〈三菱重工発表資料は こちら〉四国電力では、2025年7月頃に伊方発電所構内で乾式貯蔵施設を開設・運用開始する計画。新規制基準をクリアした原子力発電所の再稼働が進む中、使用済み燃料については、六ヶ所再処理工場への搬出を前提とし、その搬出までの間、各原子力発電所などで貯蔵を検討している。四国電力では伊方3号機が稼働中。同社では、2020年9月にサイト内での乾式貯蔵施設(500トン)設置に係る原子炉設置変更許可を取得しており、現在設置工事が行われている。電力各社で進められている乾式貯蔵は、2011年の東日本大震災時、福島第一原子力発電所でもその頑健性が確認されており、原子力規制委員会でもその普及を推奨している。今回、三菱重工が納入した乾式キャスクは、MSF-32Pと呼ばれる型式で、直径2.6m、高さ5.2m、総重量約120トン。既に廃炉が決定している伊方1・2号機の使用済み燃料32体を収納する。同社の発表によると、乾式キャスクは実機スケールで9mの傾斜落下試験など、安全性実証試験をクリア。材料についても長期健全性試験結果を反映し、閉じ込め、臨界防止、遮蔽、除熱の4つの安全機能を60年間維持できることが確認されている。三菱重工では今後、残る伊方発電所向けに13基の製造を順次進めるとともに、今回の納入を契機に、PWRを中心とした原子力機器製造の技術力を活かし、製造・検査を高度に自動化したキャスク組立専用工場を整備し、量産体制を確立していくとしている。
21 Jan 2025
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武藤容治経済産業相は1月11~16日、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問した。〈経産省発表資料は こちら〉武藤経産相は、日本に対する原油の安定供給を図っている両国に対し、謝意を述べた上で、今後の国際原油市場の安定化について議論。合わせて、今春4月に開幕する「大阪・関西万博」のPRを行い、サウジアラビアに対しては、2030年に予定される「リヤド万博」にバトンをつないでいく決意を表明した。UAEでは、スルタン・アル・ジャーベル産業・先端技術大臣と会談。宇宙産業基盤の発展に向けた協力開始で合意するとともに、東芝エネルギーシステムズによるクリーブランド・クリニックへの重粒子線がん治療装置納入契約も披露された。UAEにおける重粒子線がん治療について、具体的な稼働計画は示されていないが、東芝ESSでは、量子科学技術研究開発機構(QST)とともに技術開発に取り組み、これまでも国内外で技術力を発揮してきた。2016年にはQST放射線医学研究所(千葉市)に世界初となる超伝導電磁石を採用した回転ガントリーを納入。重粒子線がん治療の小型・軽量化、低コスト化を図ってきた。海外展開としては、2023年、韓国延世大学向けに装置を納入し治療が開始されているほか、中国Ion Nova社との業務提携契約を締結。近年では北米地域への受注活動も進められている。
17 Jan 2025
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福島県産の米・食品・地酒を展示・販売し、観光スポットを紹介する「ほっこり ふくしま あったかフェア2025 魅力発見! 観光&大物産展」(主催=ほっこりふくしまあったかフェア実行委員会)が1月12、13日、JR大宮駅構内で開催された。福島県・埼玉県の後援により毎年1月に行われているもの。コロナ禍も沈静化し人々の往来も復活している。福島県では、4月より大型観光キャンペーンを企画しており、今回のイベントはそのプレデスティネーションとなる。場所は、大宮駅でも特に多くの人々が行き交う東北・上越・北陸新幹線ホーム近くで、近隣の商業施設とコンコースで直結する西口イベントスペース。3連休の最終日となる会期2日目の13日、会場は、土産ものとして菓子を買い求める家族連れでにぎわいを見せ、福島産の米をPRするキャンペーンクルー「ふくしまライシーホワイト」らが振る舞う地酒試飲コーナーにも多くの人々が訪れた。折しも「成人の日」。午後からは振り袖姿の新成人の姿も見られた。イベントでは、「福島環境・未来アンバサダー」として除染で発生する除去土壌の再生利用に係る啓発にも取り組むタレント・なすびさんのトークショーが行われ、浜通り地域を拠点とした映画制作など、若手クリエイター支援の動きも紹介。なすびさんは降壇後も来場者との記念撮影に応じた。13日夕刻はイベントもクライマックス。会期中計6回行われたフラダンスショーは、最終回、ステージ直前まで多くの人で溢れる盛況なった。パフォーマンスショーを披露した「HAPPYふくしま隊」は、福島の美味として、「クリームチーズのみそ漬」、「相馬もちパイ」を推奨。菓子類も人気を博しており、アンケートに回答すると福島銘菓「ままどおる」がプレゼントされるコーナーも設けられた。福島県産の食品は、都内のアンテナショップ「日本橋ふくしま館 MIDETTE」でも購入することができる。
14 Jan 2025
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原子力産業新聞が電力各社から入手したデータによると、2024年(暦年)の国内原子力発電所の平均設備利用率は30.6%、総発電電力量は888億7,031万kWhで、それぞれ対前年比2.6ポイント増、同9.6%増となった。いずれも新規制基準が施行された2015年度以降で最高の水準。2024年は、東日本大震災後、新規制基準をクリアし再稼働したプラントは、これまでPWRのみだったが、BWRとして、東北電力女川原子力発電所2号機(11月発電再開)、中国電力島根原子力発電所2号機(12月発電再開)が加わり、計14基・1,325.3万kWとなった。女川2号機は12月26日に営業運転に復帰しており、島根2号機も1月10日にこれに続く見込み。2024年は、関西電力高浜発電所1号機の50年超運転入りが特筆される。最も高い設備利用率を記録したのは、同3号機で105.8%。年内フル稼働したのは同機1基のみだった。
10 Jan 2025
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「原子力新年の集い」(日本原子力産業協会主催)が1月8日、東京プリンスホテル(東京・港区)で開催され、会員企業・組織、国会議員、駐日大使館関係者ら、参加者は700名に上り新年の門出に際し親睦を深めた。冒頭、年頭挨拶に立った原産協会の三村明夫会長は、2024年を振り返り、国際的には、依然として深刻な状況にあるロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の混乱をあげ、「エネルギーをめぐる不確実性を増大」させるものと懸念。加えて、世界各国における「エネルギー安全保障を最優先課題とする」動き、新興国の発展、生成AIやデータセンターの事業規模拡大に伴う電力需要増から、「経済的で安定したベースロード電源が強く求められている」と強調した。〈会長年頭挨拶は こちら〉国際機関を通じた動きについても、3月にIAEAとベルギー政府との共催で行われた「原子力エネルギー・サミット」などに言及。直近では、11月のCOP29(アゼルバイジャン・バクー)で、前回のCOP28で発出された「原子力3倍宣言」に6か国が新たに加わり署名国が31か国に上ったことから、「エネルギー安定供給と脱炭素の両立を可能とする原子力活用のモメンタムがさらに拡大している」と、期待を寄せた。国内については、11月の東北電力女川原子力発電所2号機、12月の中国電力島根原子力発電所2号機と、東日本大震災後に施行された新規制基準をクリアし、これまでのPWRに続いて、BWRの再稼働も進み、「原子力サプライチェーン維持・強化や人材育成にとっても極めて大きい意義を持つもの」、「プラントが動く際の感動を、次世代を担う若者たちにもしっかりと受け継いでいきたい」と強調。再稼働プラントは現在、計14基となっている。((女川2号機は12月26日に営業運転再開、島根2号機は1月10日に営業運転再開の予定))また、核燃料サイクル・バックエンド関連の動きとしては、国内初の使用済み燃料中間貯蔵施設となるリサイクル燃料貯蔵「リサイクル燃料備蓄センター」の事業開始(11月)、高レベル放射性廃棄物等の処分地選定に向けた佐賀県玄海町による文献調査の受入れ表明(5月)、北海道寿都町・神恵内村における同調査報告書作成(11月、現在地元で報告書に関する縦覧・説明会が進行中)をあげた。一方で、再処理工場とMOX燃料加工工場の竣工時期変更(それぞれ2026年度、27年度に送り)に関しては、「今年は正に正念場」と強調。事業主体の日本原燃をはじめ、関係各社に対し「力を合わせてこれらの事業を前に進めて欲しい」と訴えかけた。エネルギー政策に関しては、昨年末、次期エネルギー基本計画の原案が取りまとめられ、現行計画に引き続き、福島第一原子力発電所事故の反省が原点とされている。三村会長は、2024年11月の同2号機における燃料デブリの試験的取り出し開始に言及し「今後も安全確保を第一に着実な視点を期待する」と述べた。その上で、次期エネルギー基本計画の原案で、原子力の依存度低減の文言が削除され、次世代革新炉の開発・設置が記載されたことを、「原子力産業界にとって力強い推進力になる」と歓迎。原産協会の来年度事業方針を「新規建設実現の推進と促進」とし、来る4月に開催予定の「第58回原産年次大会」のメインテーマとすることを表明した。続いて来賓として訪れた武藤容治経済産業相、城内実・内閣府経済安全保障相、電気事業連合会・林欣吾会長が挨拶。武藤経産相はまず、2024年元旦の能登半島地震に続き相次ぎ発生した自然災害に伴う被災者への見舞いの言葉とともに、電源車の手配など、電気事業者ら、関係企業による被災地復興支援に対し謝意を述べた。今年の海外の動きとしては第一に、米国トランプ新政権誕生に言及。その上で、「強固な経済関係は二国間関係の土台をなすもの」と、日米同盟の機軸を述べたほか、国内企業による投資促進に向けて、「安心して日本企業が判断できる環境を整えることが重要」と、産業基盤の強化を図っていく必要性を示唆した。城内経済安全保障相は、科学技術政策・原子力委員会も担務する立場から、昨年12月ASEAN諸国、中国、豪州を中心とする政策対話の枠組み「アジア原子力協力フォーラム」(FNCA)の大臣級会合で、革新炉開発の重要性を力説したことを紹介。特に、核融合の推進については、ITER計画における日本の技術力発揮への期待、昨年発足した「J-Fusion」を通じた産業界の取組の他、本年3月にも核融合エネルギー実用化を見据え「安全確保の基本的考え方」を内閣府として策定することを明言した。電気事業者の立場から、林会長は、国内の原子力に関わる進展として、BWRの再稼働とともに、関西電力高浜発電所1号機の50年超運転入りにも言及。今後、新規制基準に係る審査途上若しくは未申請にある他プラントについても、「安全を最優先に再稼働につなげていきたい」と、原子力発電の安全・安定運転の継続に努めていく姿勢をあらためて示した。次期エネルギー基本計画や地球温暖化対策計画の原案が昨年末に示され、今後は日本経済の将来を見据えた国家戦略「GX2040ビジョン」の年度末策定が見込まれている。東原敏昭副会長(日立製作所会長)は、「2050年カーボンニュートラル実現に向け、全体の最適化を考えると、原子力なくしてうまくはいかない。新規建設に向け大きな年としたい」と強調。同氏の音頭で一同は祝杯を上げた。
09 Jan 2025
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武藤容治経済産業相は1月7日、閣議後記者会見を行い、新年の抱負を述べた。武藤経産相は、まず、今年の日本経済の見通しについて、「賃金上昇が物価上昇を上回ることで、消費が増加し、企業の国内投資が堅調に維持できれば、緩やかに成長していく」との見方を示した上で、経産省の最重要課題として「経済の好循環の定着」を強調。また、GXの取組に向けては、「再生可能エネルギーも原子力も最大限に活用し、脱炭素電源を新しい産業集積の起爆剤にするため、具体的なものを一つでも進捗させていく」ことを目標に据えた。12月には、昨夏より検討が開始された新たなエネルギー基本計画および地球温暖化対策計画、各々の原案が取りまとめられている。また、12月26日には、両計画を盛り込み、政府が年度内にも策定する2040年頃を見据えた日本の産業構造国家戦略「GX2040ビジョン」についても原案が示された。GXを加速するためのエネルギー分野の取組の中で、原子力については、安全性確保を大前提に再稼働を加速するとともに、「廃炉を決定した事業者が有するサイト内における次世代革新炉への建て替え具体化」があげられている。武藤経産相は、この他、大阪・関西万博の開催、昨年元旦に発生した能登半島地震や東日本大震災からの復旧・復興に引き続き取り組み、福島第一原子力発電所の廃炉についても「安全かつ着実に」進めていく姿勢を示した。
07 Jan 2025
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核燃料サイクル政策について青森県知事と関係閣僚らが意見交換を行う「核燃料サイクル協議会」が12月24日、総理官邸で開催された。〈資源エネルギー庁発表資料は こちら〉同協議会は、1997年以来、核燃料サイクル政策の節目、政権の動きを機に、これまで13回行われてきた。前回は、2023年8月、同6月に就任した青森県・宮下宗一郎知事の要請を受け開催。その後、六ヶ所再処理工場およびMOX燃料加工工場の竣工目標につき、それぞれ「2026年度中」、「2027年度中」への変更(2024年8月29日)、むつ中間貯蔵施設の事業開始(同11月6日)の他、高レベル放射性廃棄物等の地層処分地選定に向けた北海道寿都町・神恵内村における文献調査報告書取りまとめ(同11月22日)など、核燃料サイクル政策をめぐり動きがあった。今回の協議会で、宮下知事は、立地地域の立場から、 (1)原子力・核燃料サイクル政策の推進 (2)六ヶ所再処理工場の竣工・操業に向けた取組 (3)むつ中間貯蔵施設における中長期の貯蔵計画等 (4)プルトニウム利用 (5)高レベル放射性廃棄物等の最終処分と搬出期限の遵守 (6)資源エネルギー庁による「青森県・立地地域と原子力の将来像に関する共創会議」の方針――について、国・事業者による取組姿勢の確認を要請。国からは、林芳正官房長官、浅尾慶一郎内閣府原子力防災担当相、城内実同科学技術担当相、あべ俊子文部科学相、武藤容治経済産業相が、事業者からは林欣吾電気事業連合会会長が出席した。現在、次期エネルギー基本計画の策定に向けた議論が佳境となっている。原子力・核燃料サイクル政策の推進について、国からは、「エネルギーの安定供給と経済成長、脱炭素を同時に実現する上で、安全性確保を大前提とした原子力利用が不可欠であり、原子力・核燃料サイクルの推進を、国の基本方針として堅持する」との姿勢があらためて示された。また、六ヶ所再処理工場の竣工については「必ず成し遂げるべき課題」として、日本原燃に加え、産業界全体に対し、原子力規制委員会への審査対応など、進捗管理の徹底や必要な人材確保を強く指導し「総力を挙げて取り組む」と強調。事業者の立場から、電事連の林会長は、電力安定供給を担う使命として、「原子燃料サイクルは原子力発電所の安定運転と不可分」との姿勢をあらためて示し、使用済み燃料の管理、プルトニウムの利用などに着実に対応していくと述べた。
25 Dec 2024
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中国電力の島根原子力発電所2号機(BWR、82.0万kW)が12月23日13時、発電を再開した。同社では今後、「安全性を確認しながら原子炉の出力を上昇させ、安定して連続運転できることを確認していく」としている。原子力規制委員会による使用前確認証交付を経た営業運転再開は2025年1月10日の見込み。2012年1月の定期検査入り以来、およそ13年ぶりの戦列復帰となる。〈中国電力発表資料は こちら〉2013年の新規制基準施行以来、原子力発電プラントの発電再開は、これで14基目。BWRについては、11月15日の東北電力女川原子力発電所2号機に続き2基目となる。島根2号機は、2011年3月の東日本大震災後も稼働し続け、2012年1月の定期検査入りに伴い停止。その後、2013年12月に新規制基準に係る審査が申請され、2021年9月に原子炉設置変更許可に至った後、地元の了解を得て、2024年12月7日に原子炉を起動させた。今回の島根2号機の発電再開について、中国電力の中川賢剛社長は、関係者および地元への謝意を表した上で、「中国地域を中心とした電力の安定供給を支えるとともに、カーボンニュートラルの達成や電力料金の安定化に不可欠」と、その意義を強調。さらに、環境負荷の少ない低廉な電気を安定供給していくという電力事業者としての使命をあらためて述べ、緊張感を持って営業運転を再開し、その後の安定運転継続に向け、設備健全性の確認を着実に進めていく姿勢を示した。*理事長メッセージは こちら
23 Dec 2024
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原子力発電環境整備機構(NUMO)は12月4~6日、東京ビッグサイト(東京・江東区)で開催された環境保全をテーマとする国内最大級の展示会「SDGs Week EXPO 2024 エコプロ 2024」(日本経済新聞社他主催、エコプロ)に出展した。 エコプロは例年、循環型社会の啓発や災害対策に関する展示も多く、企業間のビジネスマッチングだけでなく、小中学生の環境・防災学習の場としても活用されている。今回も540社余りが出展し、会期中は約63,000人の来場者があった。 NUMOがエコプロに出展するのは昨年に続き2回目。展示ブースには3日間を通じ計4,000人超が来場した。今回は、SDGs目標の一つである「つくる責任、つかう責任」を柱に、クイズラリー形式でNUMOが取り組む地層処分について理解を深めてもらうよう、展示内容を工夫。特に、11月の北海道寿都町・神恵内村での文献調査報告書公表を踏まえ、電力消費地で理解活動を通じ、引き続き処分地選定に向け「国民全体で考えなければならない」ことの訴求に努めた。 エコプロは実体験型の展示が注目される。NUMOでは今回も、全国各地の科学館や商業施設を巡回する地層処分展示車「ジオ・ラボ号」を会場に搬入。日本のエネルギー利用の現状や各発電方法の利点や課題、海外の処分場の映像をVRゴーグルで体験しながら体験させる展示など、計7つのエリアを設け、地層処分事業の概要を紹介した。 修学旅行の生徒らも多く訪れ、「大都市の人が北海道のことをもっと知らなければならないと思った」、「他人事ではなく、自分事として考えるようになった」、「世界の状況も含め、皆が知るべきと思った」といった声も聞かれた。 NUMOでは、今回の展示成果も踏まえ引き続き地層処分の認知・理解を深めてもらうよう努めていくとしている。
20 Dec 2024
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九州電力は12月13日、玄海原子力発電所3・4号機(PWR、各118万kWe)の蒸気タービンを、より優れた材質・構造を採用した最新設計の蒸気タービンに更新することとし、設計・工事計画認可を原子力規制委員会に申請した。〈九州電力発表資料は こちら〉蒸気タービンは、高圧タービン1基と低圧タービン3基で構成。蒸気タービンの更新時期は、3・4号機それぞれ、2027年度、2028年度となっており、九州電力は、「信頼性が向上するとともに、発電効率が向上する」と説明している。今回、蒸気タービンの更新工事は、三菱重工業が受注。高砂製作所(兵庫県高砂市)で設計・製造し、現地で取替工事を実施する。三菱重工の発表によると、納入される蒸気タービンは、国内で4例、海外で5例の実績がある自社設計開発の54インチ翼タービンを採用。三菱重工は1月にも、0.01mmオーダーの加工精度が要求される蒸気発生器で、フランス電力(EDF)から受注した3基(取替用で計9基受注)の製造を完了するなど、PWRプラントメーカーとして、国内外で高い技術力を発揮している。〈三菱重工発表資料は こちら〉現在、玄海3・4号機は、運転開始からそれぞれ30年、27年が経過。3号機については、「GX脱炭素電源法」で、2025年6月に本格施行される高経年化した原子炉に対する規制として、30年以降の運転に必要な「長期施設管理計画」の審査が行われている。
19 Dec 2024
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