
国内NEWS
10 Apr 2026
269

原子力委員会でINSOの成果を報告 「成果はメダルにあらず」
海外NEWS
10 Apr 2026
342

ニュークレオ LFRで米国参入へ
海外NEWS
10 Apr 2026
329

フィンランド原子力法改正 許認可手続き簡素化へ
国内NEWS
09 Apr 2026
638

伊方発電所 前面海域調査を実施へ
海外NEWS
09 Apr 2026
438

中国 金七門2号機が着工
海外NEWS
09 Apr 2026
434

韓国 米船級協会とSMR推進船舶の共同開発で提携
海外NEWS
08 Apr 2026
2187

インド高速増殖原型炉PFBR 初臨界を達成
国内NEWS
08 Apr 2026
461

科学技術の発展と社会の在り方をテーマに高校生の作文コンクール

仏パリに拠点を置く先進炉開発企業のニュークレオ社は3月25日、米国における鉛冷却高速炉(LFR、48万kWt)および関連するMOX燃料製造施設の設置に係る将来的な許認可取得に向け、米原子力規制委員会(NRC)との事前申請の協議(pre-application engagement)を開始したと発表した。同社はこれに先立ち、2月下旬に意向書(Letter of Intent)を提出しており、今回の協議開始は米国市場参入に向けた規制プロセスへの本格的な着手となる。今回の協議は、LFRおよび燃料製造施設の設計や安全アプローチについて、NRCとの認識を早期にすり合わせるとともに、核物質の保有・使用・輸送を含む将来の許認可申請に向けた規制戦略の明確化を図るもの。事前段階から規制当局と対話を重ねることで、審査の予見可能性を高める狙いがある。鉛冷却高速炉は、冷却材に鉛を用いる第4世代炉の一つで、ナトリウム冷却炉と比べて化学的安定性が高いとされる。一方で、NRCにとって鉛冷却技術の審査経験は限られており、今後の審査は長期化する可能性がある。今回の取り組みは、将来的なLFRの許認可に向けた先例となる可能性もある。ニュークレオは欧州でも開発を進めており、フランス中部では出力3万kWe級の原型炉「LFR-AS-30」の建設を計画、2032年までの稼働を目指している。また、同炉の燃料となるMOX燃料製造施設についてもフランス国内での整備を構想している。なお、今回の動きは、ニュークレオ社と米国の先進炉・燃料サイクル開発企業オクロ(Oklo)社との戦略的パートナーシップの一環。ニュークレオ社は2025年10月、オクロ社が開発する発電所向けに、米国内での先進燃料製造・供給インフラ開発に関する共同契約を締結、最大20億ドル規模を投資する計画を発表しており、NRCとの早期協議を通じて、米国でのプロジェクトの許認可取得に向けて規制の予見可能性を高めていく方針である。
10 Apr 2026
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フィンランド政府は3月12日、新原子力法案を議会に提出した。原子力施設の安全性を確保しつつ、より柔軟な規制体系を構築して許認可プロセスを簡素化。プロジェクトのリスクを管理し、小型モジュール炉(SMR)などの新技術の利用促進を目的とする。現行の原子力法は廃止され、放射線法や刑法を含む14の法律が改正予定である。経済・雇用省は法改正により、原子力発電への投資を促進したい考えだ。また、より柔軟な許認可手続きを導入し、これにより、エネルギー消費地に近接したSMR発電所が実現可能になるという。新規発電所プロジェクトにおいて、社会全体の公益への適合性に関する最初の包括的な評価は、現行のものよりもより一般的な性質を持つ「原則決定」により内閣が行う。但し、最大熱出力5万kWt以下の原子力発電所プロジェクトについては、経済・雇用省が評価するという。ムルタラ気候・環境相は、「フィンランドには、原子力発電のような炭素排出ゼロで、低廉かつ安定供給が確実なエネルギーが常に必要。今回の法改正により、様々な技術の選択肢や技術の進歩への適応が可能になる。同時に、多様な原子力施設プロジェクトについて、開発者のリスク管理や原子力施設への投資の予見性を向上させ、資金調達の環境を改善を図っていく」と述べ、不必要に詳細な技術的規制を緩和する一方で、安全性、供給の確実性、核物質の管理面では、当局による監督を強化するとしている。新法は2027年1月1日に施行予定。現行の政権期間中に、改正された規則に基づき原則決定の申請を行うことが可能。
10 Apr 2026
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中国の浙江省寧波市で4月4日、中国核工業集団公司(CNNC)の金七門(Jinqimen)第Ⅰ原子力発電所2号機(PWR=華龍一号「HPR1000」、120万kWe)が着工した。「華龍一号」は、中国が第三世代炉として独自に開発した量産型建設における主力炉型。同発電所1-2号機の建設計画は2023年12月に国務院常務会議で承認され、国家核安全局(NNSA)が2025年8月5日、両機の建設許可を発給。同サイトでは2号機と同型の1号機が2025年8月に着工している。それぞれ2030年、2031年に送電を開始する計画だ。金七門プロジェクトは全6基の「華龍一号」を建設する計画であり、全基が稼働すると合計設備容量は約720万kWeとなる。年間発電量は550億kWhに達する見込みで、年間約4,500万トンのCO2削減に貢献するという。
09 Apr 2026
438

韓国のHD現代(ヒュンダイ)傘下の韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)とHD現代三湖(HSHI)は3月9日、次世代のカーボンフリー船舶を開発するため、米国船級協会(ABS)と、大型コンテナ船向け原子力電気推進システムの概念設計に関する共同開発契約(Joint Development Agreement: JDA)を締結した。本契約により、16,000 TEU(20フィートコンテナ換算)級のコンテナ船に特化した、原子力電気推進システムの技術的実現可能性を評価。海運業界の脱炭素化基準を満たすため、コンテナ船向けに最適化された原子力電気推進システムの基本設計、電子製品仕様の選定、動力設備のレイアウト設計などで協力する。特に、最大10万kWe級の安定供給が可能な小型モジュール炉(SMR)を船舶動力源として利用したい考えだ。加えて、衝突・浸水などの緊急事態でも安全性を確保できるよう強化された安全基準を設計に反映。国際海事機関(IMO)の規定および国際原子力機関(IAEA)の安全基準に適合する船内電力システムを適用することで、国際規制への適合性と運航の信頼性を確保する方針である。またHD現代は、長時間の航海および高速運航が求められる大型コンテナ船向けに、ツインスクリュー(Twin Screw)プロペラ推進システムを適用し、推進力と機動性の向上を図る。また、エンジンモーターをプロペラに直接連結する直結推進方式を採用し、動力伝達過程で発生するエネルギー損失を最小限に抑え、運転効率を高める計画だ。電力消費の大きい冷凍・冷蔵貨物輸送用のリーファーコンテナの積載拡大も可能となり、荷主の輸送需要に柔軟に対応するという。ABSのM. ミューラー北太平洋事業開発担当副社長は「本協業は、大型コンテナ船向けの原子力電気推進システムの可能性を検証する極めて重要なプロジェクト。HD現代の造船技術とABSの海事安全分野におけるエンジニアリングのノウハウを組合わせ、次世代推進ソリューションの安全性、効率性、環境性能を総合的に検証する」と語った。一方、KSOEのB. クォン電動化センター長は、「環境に優しい船舶の需要増加に応え、原子力電気推進システムの研究開発を拡大し、技術競争力を強化していく」と意欲を示した。HD現代は2025年2月、米ヒューストンで開催された「New Nuclear for Maritime Houston Summit」で、15,000 TEU級SMR駆動コンテナ船の設計モデルを初公開した。今回、共同開発するコンテナ船はそれを上回る規模となる。同年9月に伊ミラノで開催された「Gastech 2025」において、KSOEとHD現代重工業(HD HHI)は、電気推進システムを搭載した16,000 TEUコンテナ船の概念設計について、ABSから基本設計承認(AiP)を取得し、開発の第1フェーズを完了している。
09 Apr 2026
434

インド南部のタミルナドゥ州にあるカルパッカム原子力複合施設で4月6日、国産の高速増殖原型炉(PFBR)が初臨界を達成した。完全に稼働すれば、インドはロシアに次いで、世界で2番目の商用高速増殖炉を運用する国となる。PFBRは、原子力省(DAE)傘下のバラティヤ・ナビキヤ・ビデュト・ニガム(BHAVINI)が所有・運転する、出力50万kWeのナトリウム冷却高速増殖原型炉。DAE傘下の研究開発センターであるインディラ・ガンジー原子力研究センター(IGCAR)がPFBRの技術開発および設計を担当。2004年10月に着工、2024年3月に燃料装荷が開始された。PFBRの初臨界により、インドは3段階からなる長期原子力発電計画の第2段階に入った。インドの原子力発電開発計画は、国内で豊富なトリウムを燃料とする「トリウム・サイクル」が開発初期からの一貫した基本方針。第1段階は従来の重水炉・軽水炉、第2段階は高速増殖炉、第3段階は改良型重水炉を基軸とする。第2段階にあるPFBRはウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用。PFBRの炉心はウラン238のブランケットに囲まれ、高速中性子は、核分裂しにくいウラン238を核分裂性のプルトニウム239に変換し、これにより原子炉は消費する燃料よりも多くの燃料を生産する。またPFBRは、将来的にはブランケットにトリウム232を使用するように設計されており、核変換により、トリウム232はウラン233に変換されて増殖し、これがインドの原子力計画の第3段階にある改良型重水炉(AHWR)の燃料に利用される。これにより、燃料資源の利用効率が大幅に向上し、限られたウラン埋蔵量からはるかに多くのエネルギーを引き出すことが可能になる。またPFBRにより、使用済み燃料を再利用するクローズド・サイクルが完成するため、持続可能性が向上し、廃棄物の減容や有害度を低減し、大規模な地層処分施設の必要性を回避できるという。高速増殖炉は現在の加圧重水炉群と将来のトリウム系原子炉の導入との間のつなぎとして重要であり、将来的には同国の豊富なトリウム資源を活用して長期的なクリーンエネルギー発電を実現していく方針である。
08 Apr 2026
2187

米航空宇宙局(NASA)は3月24日、今後の宇宙開発計画に関する施策を発表し、原子力推進宇宙船を2028年末に打ち上げる方針を示した。将来的な火星探査など深宇宙ミッションを見据え、長距離輸送能力の強化を図る。同計画は、NASAが打ち出した一連の施策の一環。米エネルギー省(DOE)と連携し、原子力電気推進(NEP)を採用する惑星間宇宙船「スペース・リアクター1(SR-1)フリーダム」を、2028年末までの打ち上げを目指し開発する。機体には小型原子炉を搭載し、発電した電力により推進装置を動かす。従来の化学推進に比べ、長期間にわたり効率的な推進が可能となるほか、太陽光が弱い深宇宙環境においても、安定した電力供給が可能な点が特徴である。SR-1フリーダムにはヘリコプター型の無人探査機「スカイフォール」を搭載する。火星到達後にこれを展開し、表面の観測・探査を実施する構想とされる。「SR-1」は探査機の長距離輸送を担い、現地での探査は無人機が担う構成とすることで、探査活動の効率化を図る。米専門メディア「SpaceNews」によると、原子炉の燃料にはHALEUを用い、数十kW級の発電能力が想定されている。米国では、月面探査計画「アルテミス」を軸に宇宙開発が進められており、4月には有人月周回ミッションの打ち上げに成功するなど、探査活動は具体的な段階に移行しつつある。一方、火星を含む深宇宙探査に向けては、従来技術では輸送期間や搭載能力に制約があることが課題とされており、原子力の活用は長年検討が続けられてきた。計画はその実証に向けた取り組みとなる。また、NASAとDOEは今年1月、月面における原子力電源の研究開発に向けた覚書(MOU)を締結しており、2030年までの実現を目標に協力を進める方針を示している。
08 Apr 2026
655

米原子力規制委員会(NRC)は4月2日、カリフォルニア州のディアブロキャニオン原子力発電所(DCPP)1-2号機(PWR、各119.7万kWe)の20年間の運転期間延長を認可した。これにより米国の商用炉の運転認可更新の件数は100件に達した。DCPPはカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)社が所有・運転する。1号機は1985年5月、2号機は1986年3月に営業運転を開始。今回の認可更新により、各機の運転認可期限は、それぞれ2044年11月2日、2045年8月26日となる。DCPPによる発電電力量は現在、カリフォルニア州の総発電電力量の約10%、クリーンエネルギーの約20%を占める。DCPPは州最大のクリーンエネルギー源であるだけでなく、州全体で2045年までにピーク電力需要が2,000万kWe以上増加すると予想される中、安定供給が可能で、電力システムの信頼性向上に資する電源とみなされている。今回のNRCの審査と並行して、カリフォルニア州公益事業委員会、州土地委員会、カリフォルニア州沿岸委員会、およびセントラルコースト地域水質管理委員会など各機関による審査・承認も行われた。NRCはDCPPが今後20年間の運転継続が安全かつ環境的に適合していると判断したが、PG&E社は、2030年以降の運転継続には、カリフォルニア州議会の対応が必要になるとの見通しを示している。■これまでの経緯PG&E社は2016年、電力需要の減少ならびに州の太陽光・風力発電の増強目標により、2024年11月に1号機、2025年8月に2号機を閉鎖することで環境団体や労組と合意。州の規制当局は2018年に同合意を承認した。しかし、2020年の熱波による州全域の計画停電と2022年に発表された新たな需要予測を受け、電力供給の安定確保とクリーンなエネルギー供給のために、カリフォルニア州議会は2022年9月、DCPPの2030年までの稼働を支持する法案を可決し、G. ニューサム知事(民主党)が署名・成立した。2023年11月、PG&E社はカリフォルニア州議会の指示により、NRCにDCPPの運転認可延長を申請した。なおNRCの規定では、運転認可の更新申請は現行認可が満了する少なくとも5年前までに提出しなければならない。NRCは2023年2月、同規定の適用免除を求めるPG&E社の要請書を審査した上で、同社が2023年末までに20年の運転認可延長を申請することを条件に、適用を免除した。また、米エネルギー省(DOE)も2022年11月、早期閉鎖のリスクにさらされている商業炉を短期的に救済するために設置した「民生用原子力発電クレジット(CNC)プログラム」で、DCPPを最初の適用対象に認定。両機の運転期間の5年延長に向けて、最大11億ドルの拠出を発表していた。
07 Apr 2026
694

加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は3月25日、加原子力安全委員会(CNSC)に、ダーリントン新・原子力プロジェクト(DNNP)サイトで建設工事が進行中の米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製SMR「BWRX-300」(30万kWe)初号機の運転認可を申請した。同機は2025年4月にCNSCから建設許可を発給されている。また併せて、同サイトでの低・中レベル放射性廃棄物貯蔵施設の操業許可を申請した。OPG社は同日の3月25日、同機の原子炉建屋の基礎工事(コンクリート打設)に係る最初の規制ホールドポイント(RHP-1)の解除も申請していたが、CNSCは3月30日、RHP-1解除のために規定されたすべての前提条件を満たしていると結論づけ、解除を承認。これによりOPG社は原子炉建屋の基礎工事を開始することが可能になる。RHPとは建設許可の取得時に設定された段階的な条件で、許可取得者は事前に規制当局による承認を受けなければならない。DNNPの初号機の建設許可においては、3つのRHP、①原子炉建屋の基礎工事、②原子炉圧力容器の設置、③燃料未装荷の設備一式のフルスケール試験- が定められている。DNNPでは、G7諸国で初めてとなる4基構成の商用SMRを建設予定。OPG社は初号機の建設を2029年末までに完了させ、2030年末までに送電を開始したい考えだ。後続の2~4号機の建設は、2030年代半ばの完了を見込んでいる。
06 Apr 2026
917

スウェーデンの小型モジュール炉(SMR)プロジェクト開発企業シャーンフル・ネキスト(KNXT)社は3月23日、スウェーデンの新法「原子力施設の政府承認に関する法律」に基づく、同国初となる申請をJ. ブリッツ雇用大臣兼気候・環境担当代理大臣に提出した。KNXT社は、スウェーデン南部のバルデマーシュビーク(Valdemarsvik)のマルメ(Målma)SMR パークに出力30万kWe級のSMR×4~6基を建設する計画だ。2029年から2030年までの着工を見込んでいる。政府は2035年までに少なくとも250万kWe、2045年までに1,000万kWeの新規原子力発電設備容量を建設するという目標を掲げており、マルメSMRパークの建設が完成すれば、2035年までの政府目標を達成するために必要な原子力発電設備容量の多くをまかなうことができると指摘している。政府は3月5日、新規原子力発電所の建設を容易にするための沿岸部における原子力発電所の建設候補地の拡大、新規原子力施設に対するより適切な許認可審査、およびウラン採掘・製錬に係わる施設を原子力施設とみなさないようにする、原子力施設の定義に関する法改正を伴う3つの法案を議会に出すことを決定した。新規原子力施設向けの許認可審査にあたり、現行の制度に比べて予見可能性を高め、新規原子力発電所の導入加速を目的に、政府および関係自治体による早期の承認を可能にする新法を提案しており、今回のKNXT社の申請はこの新法に沿ったもの。この許認可審査に関する改正は2026年6月17日に発効予定であり、政府は2026年3月10日以降の申請は新制度適用として受付けている。マルメSMRパーク・プロジェクトは、KNXT社が同国南部全域でSMR導入に向けて開発を進めているサイト群である「ReFirm South」プログラムの一環。すでに発電設備容量が逼迫している同国南部では、電力需要の増加が見込まれており、KNXT社は消費地に近接してSMRを設置することで電力網の負担を軽減し、化石燃料に依存しない電力供給の安定性を高めたい考えだ。KNXT社は、他のReFirmサイトについても、プロジェクトが同程度の進捗に達した時点で、今年後半に追加申請を行う予定である。なおKNXT社は3月初め、スウェーデンの原子力関連技術サービス企業であるスタズビック(Studsvik)社による買収を発表。スタズビック社はこれにより、既存の原子力施設向けの技術サービスに加え、新規建設プロジェクトまで事業領域を拡大する。KNXT社のプロジェクト開発力とスタズビック社の技術基盤の統合により、スウェーデンにおける新規原子力プロジェクトの実現に向けた体制強化が図られる見通しであり、今回の申請とあわせ、同国の原子力導入政策が具体的な事業段階へ移行しつつあることを示す動きといえる。
06 Apr 2026
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米マイクロソフト社は3月24日、エヌビディア社と連携し、原子力分野の設計・許認可・運用に至る全工程を対象としたAI活用の枠組みを発表した。従来ボトルネックとされてきた許認可手続きの効率化を前面に打ち出しており、原子力プロジェクトの開発期間短縮につながる可能性がある。設計段階ではデジタルツイン((現実の発電設備などを仮想空間上に再現し、動作や変化を事前に検証する技術))や高精度シミュレーションを活用し、設計変更の影響を迅速に評価する。許認可段階では生成AIが文書作成や不整合の検出を支援し、申請手続きの効率化を図る。さらに建設段階では工程やコストのシミュレーションを通じた施工管理の高度化、運用段階では異常検知や予知保全による稼働率向上を見込む。また、設計から運用までのデータとシミュレーションを統合することで、各工程の進捗や設計内容、コスト情報の一元管理を可能とし、事業者や規制当局による確認作業の効率化と意思決定の迅速化につなげるとしている。こうした民間主導の動きと並行し、米国では政府・研究機関を巻き込んだAI活用の実証も進んでいる。ニューヨークに拠点を置く原子力分野向けAI開発企業、Everstar(エバースター)社は3月26日、マイクロソフト社、米エネルギー省(DOE)、アイダホ国立研究所、アルゴンヌ国立研究所との連携を発表した。DOEが主導するAI活用推進プログラム「ジェネシス・ミッション」の一環で、原子力分野におけるAI活用の具体化を図る。エバースター社は、同社開発のAIプラットフォーム「Gordian」を用い、DOEの安全解析報告書を米原子力規制委員会(NRC)の許認可申請書に相当する形式へ変換する実証を実施。同社によると、従来は専門家チームが4~6週間を要していた作業を、1日で完了したとしている。エバースター社では許認可分野での活用が実証段階に入りつつあり、マイクロソフト社が提示するAI活用の枠組みと合わせ、AIの適用範囲が設計・許認可といった中核領域におよび始めたことで、原子力プロジェクトの開発期間やコスト構造に影響を与える可能性がある。
06 Apr 2026
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韓国水力・原子力(KHNP)は、3月上旬にシンガポール、フィリピン、タイの各国と小型モジュール炉(SMR)を含む、原子力協力の推進に関する協力覚書(MOU)の締結や技術セミナーを開催。ASEAN地域におけるビジネス機会の拡大をめざし、エネルギー移行に貢献する協力枠組みの構築を進めている。■シンガポールKHNPは3月1日、シンガポールで、SMR分野における技術交流と協力を促進するため、シンガポールのエネルギー市場監督庁(EMA)と協力覚書(MOU)を締結した。両国は、シンガポール国内でのSMR適用可能性の共同調査、人材育成、先進原子力技術の情報やベストプラクティスの共有において協力を進める方針だ。EMAのコック・キョン・プアCEOは、「国内エネルギー資源が非常に限られている小国にとって、低炭素移行プロセスにおいて、エネルギー安全保障とレジリエンス強化のあらゆる可能性を探ることが極めて重要」とし、KHNPとの協力により、SMRに関する技術的理解を深め、原子力エネルギーの適合性について慎重かつ厳密に評価できるようになると期待を示した。KHNPのD. チョン暫定CEOは、「EMA がSMRの安全性と実現可能性を評価する中で、当社は責任あるパートナーとして、原子力発電所の運用において蓄積された経験とノウハウが、成果につながるよう全力を尽くす」と語った。シンガポール政府は原子力導入を決定してはいないが、先進原子力技術、特にSMRに焦点を当て、その安全性、技術の成熟度、商業化の準備状況に基づき、安全性能、技術的実現可能性を評価していく方針を示している。■フィリピンKHNPは3月4日、マニラで、韓国輸出入銀行(KEXIM)およびフィリピン最大の配電会社であるマニラ電力(メラルコ社: Meralco)と、新規原子力発電プロジェクト協力に関する3国間MOUを締結した。署名式には、KHNP のD. チョン暫定CEO、韓国輸出入銀行のK. ファン頭取、メラルコ社のM. パンギリナンCEOが出席し、韓国産業通商部のJ. キム長官とフィリピン貿易産業省のM. ロケ長官が同席した。本覚書は、フィリピンにおける新たな原子力発電所の推進に向けた技術、人材育成、実現可能性分析、資金調達の面において、戦略的協力の枠組みを確立することが目的。具体的には、原子力導入について共同で議論し、教育と訓練を通じた人材育成の強化、原子力発電所の初期開発段階におけるサイト選定やPAの向上、プロジェクトの実現可能な資金調達案の模索などで緊密に連携することとしている。■タイKHNPは3月5日~6日、バンコクで、国営タイ電力公社(EGAT)と「KHNP-EGAT SMR 技術セミナー」を共催した。2025年6月に締結されたSMR協力に関する覚書(MOU)の下、両組織間の実務的な技術協力の具現化のために開催された。同セミナーには、KHNP、タイのエネルギー省、規制当局、産学界の関係者を含む、約80名の専門家が参加。両国のエネルギー政策を共有するとともに、革新的なSMR(i-SMR)の開発状況、サプライチェーンなど様々なテーマについて発表し、タイにおけるSMR導入の条件や今後の協力の方向性について幅広く意見交換を行った。
03 Apr 2026
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ポーランド国営原子力事業者であるPolskie Elektrownie Jądrowe(PEJ)は3月31日、国家原子力機関(PAA)に対して、ポーランド初の原子力発電所の建設許可を申請した。同国北部のポモージェ県ホチェボ自治体内のルビアトボ–コパリノ・サイトにおいて、米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000(125万kWe)×3基を建設する計画で、WE社とベクテルの米コンソーシアムが建設を請負う。立地決定や環境条件に関する決定など主要な行政決定はすでに取得しており、同サイトでは2025年以降、建設準備作業が進行中である。エネルギー省のW. ヴロースナ次官兼戦略エネルギー・インフラ担当政府全権代表は、「今日は、ポーランド初の原子力発電所建設プロジェクトにとって最も重要な日の一つ。1989年以降のポーランドの歴史において、初めてかつ現時点で唯一の申請となる。申請の効率的な処理・評価のため、PAAと長期にわたり綿密に事前認可協議を行ってきた」と語った。許可申請書は、添付書類を含め4万ページを超え、主に原子力安全および放射線防護の分野の200名以上の専門家が作成に携わった。最も重要な付属文書の一つである予備安全解析報告書(PSAR)では、発電所の設計および建設予定サイトについて詳述。原子力安全、セキュリティ対策、放射線防護、ならびに保障措置に関するすべての要件を満たしていることを示す、技術的および環境的側面からの包括的な分析を実施。また、本プロジェクト遂行に必要な技術的・人的・組織的リソースを有していることを証明する文書などが含まれているという。PEJは本申請にあたり、計画中の原子力発電所が世界で最も厳しい基準を満たし、住民や環境にとって安全であることに妥協の余地はないと強調している。なお、PAA長官からの建設許可に加え、ポモージェ県知事による建設許可も必要であり、PEJは2027年に知事に建設許可を申請する計画で、2028年10~12月の着工、2036年の初号基運開を目指している。
02 Apr 2026
692

原子力委員会は3月24日の定例会議で、昨年夏にマレーシアのバンギで開催された「第2回国際原子力科学オリンピック(INSO)」について、東京大学の飯本武志教授から報告を受けた。INSOでは日本代表の高校生4名が全員がメダルを獲得した。飯本教授は、INSO創設の背景として、IAEAのアジア太平洋地域技術協力プログラム(TCP)において、多くの国で原子力分野の人材育成体制が十分に整っていないという問題意識があったと説明。2010年代前半から中高生向け教育強化の議論が進み、2024年にフィリピン・クラークで第1回大会が開催されたと述べた。その上で、「成果はメダルではなく、原子力の平和利用への理解深化や国際連携の促進、人材育成にある」と強調。参加者には知識だけでなく、コミュニケーション能力や主体的な発信力の向上を期待する考えを示した。委員からは、全員メダル獲得を評価する声とともに、参加学生の動機が純粋な探究心に基づく点を評価する意見が上がった。質疑では、今後の継続的な運営に向けた課題についても議論が行われた。委員からは「高いレベルの大会に挑戦する高校生の存在自体が大きな発見」との指摘があり、挑戦を支える仕組みづくりの必要性を問う声も上がった。これに対し飯本教授は、認知度向上と裾野拡大が課題であり、現状は関係者のネットワークに依存していると指摘。大学や研究機関にとどまらず、民間も含めた展開が必要との認識を示した。会議には、金メダルを獲得した田中優之介さん(私立東海高等学校3年 ※当時)も出席し、「原子力を知る入り口として取り組みやすく、実物を見ることで理解が深まった」と振り返った。また、海外選手との交流を通じて「多くのつながりが生まれ、大きな財産となった」と述べた。上坂充委員長は、「今回得た経験やネットワークを今後に活かしてほしい」と期待を示し、INSOについて「国際的なネットワーク形成と次世代人材の育成の観点から意義深い」と評価した。
10 Apr 2026
269

四国電力は4月7日、伊方発電所のさらなる安全性向上に向け、同発電所前面の海域における地質調査を実施すると発表した。発電所前面の海域(約2km×10kmの範囲)にて、海底ボーリング調査および海上音波探査を行い、地質データを収集する。調査期間は4月中旬から9月の予定。今回の調査は、発電所のリスク評価手法である確率論的リスク評価(PRA)※1の高度化に資する取り組みの一環だ。特に、同発電所前面の伊予灘(沖合6~8km)に分布する中央構造線断層帯について、活動時期などに関する地質データの拡充と知見の深化を図ることを目的としている。同社はこれまでも、従来の安全対策に加え、PRAを活用した自主的な改善活動等を継続しており、その成果を「安全性向上評価」として原子力規制委員会へ提出してきた。同3号機(PWR、89万kWe)では2025年5月に4回目となる安全性向上評価を届け出済みだ。<詳しくはこちら>また、同社はPRAの精緻化にも取り組んでおり、最新の米国の手法に準拠した確率論的地震ハザード解析を導入。地震発生確率を踏まえた揺れの強さを評価することで、安全対策の効果を比較し、施設全体の安全性を総合的に評価できるという。今回の海域調査により、こうした同ハザード解析の精度向上も図ることで、地震時の同発電所に内在するリスクをより正確に把握し、発電所の安全性を一層高めていく考えだ。※1 PRA(Probabilistic Risk Assessment)とは、原子力施設等で想定される事故の発生頻度と影響を定量的に評価し、リスクを把握する手法
09 Apr 2026
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日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)は3月26日、科学ジャーナリスト賞創設20周年記念の高校生作文コンクール(共催:東京都市大学、東京理科大学理数教育研究センター)の入賞3作品の表彰式を開催した。同コンクールは、指定された課題図書を読み、科学技術の発展や社会の在り方について自らの考えを作文にして表現するもの。課題図書には、「情報パンデミック あなたを惑わすものの正体」(読売新聞大阪本社社会部)、「江戸の骨は語る 甦った宣教師シドッチのDNA」(篠田謙一)、「生命の星の条件を探る」(阿部豊)の3冊が指定され、応募者はこれらを踏まえ、自身の考えや提案を論じた。入賞したのは、Harrow International School Appi Japanの大塚蓮さん、吉祥女子中学・高等学校の辻本伸子さん、福井南高等学校の世継真奈美さんの3名。大塚蓮さんは、「骨が僕に語りかけたこと」と題した作文の中で、骨に興味を持ったきっかけや、課題図書の著者である篠田謙一氏との出会いを通じ、自身の科学への関心がどのように広がってきたかを論じた。大塚さんは科学を好きな理由について、「分からなかったことを知る面白さ」や「身近な疑問が解決する楽しさ」の積み重ねにあると説明。こうした探究心が現在の自身を形作り、研究や知識の拡大につながっていると述べた。辻本伸子さんは、「情報洪水の渦の中で」と題した作文を発表。自身の新聞委員会での活動を通じ、「分かりやすく情報を伝える方法」を模索する中で、メディアや言語の伝達機能等に関心を広げ、探究活動に取り組んだという。探究では、X上で拡散された情報の収集・分析や、陰謀論が支持される背景等を考察。さらに、課題図書『情報パンデミック あなたを惑わすものの正体』から、「人は不安や孤独を埋めるために誤情報を手にする場合がある」との示唆を踏まえ、誤情報を信じる人々へ一方的に説得するのではなく、「相手の声に耳を傾けることや対話が重要だ」と話した。世継真奈美さんは、「情報の海のなかで」と題した作文を発表。世継さんが在籍する福井南高校では、長年にわたりクリアランス金属の理解促進活動に取り組んでおり、自身もその活動に参画し、原子力発電のバックエンドに関する探究活動を行っている。過去に同校が実施した高校生向けの意識調査では、原子力を学ぶ媒体として「メディア」が「学校の授業」を上回る結果となり、世継さんは「影響力の大きさを実感した」とする一方、「その影響が十分に意識されていないのではないか」と課題を指摘した。一方、SNSの普及により複雑な問題が単純化されやすく、原子力のバックエンドに関しても極端な意見が拡散されやすい現状に言及し、「科学リテラシーの向上が重要」と強調した。さらに、課題図書『情報パンデミック あなたを惑わすものの正体』の中で記された「科学的根拠に基づいた情報であっても自らの思いから外れると否定につながる」という一節が印象に残ったと述べ、これまでの経験と課題図書を通じて得た新たな気づきを整理し、「今後取り組むべき方向性が明確になった」と今回の作文コンクール入賞に伴う手応えを語った。また、表彰式に同席していた同校の浅井佑記範教諭(受賞者の所属ゼミ担当教諭)は、世継さんの入賞について、「彼女の好奇心の強さと、さまざまな活動に主体的に取り組む姿勢」を評価した上で、「自身が深く熱心に携わってきたテーマだからこそ、課題図書を踏まえ、科学技術や社会の在り方を自分の言葉で深く考察できたのではないか」と語った。そして、生徒の科学リテラシー向上に向けて意識して取り組んでいることとして、どんなテーマであっても、いずれの場合(立場の違い)も盲目的に受け入れるのではなく、「条件や前提を踏まえて考える姿勢が重要だ」と指摘。「多様な意見に目を向け、自分の頭で判断する力を身につけてほしい」と語った。
08 Apr 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は4月3日の定例記者会見で、自身が参加した原子力小委員会(経済産業省)や原子力科学技術委員会(文部科学省)での発言内容や、協会の取組みについて説明した。増井理事長は冒頭、3月31日の第48回原子力小委員会において専門委員の立場から、①原子力人材育成の司令塔機能、②革新炉建て替えに関する手続きの明確化、③高レベル放射性廃棄物の処分の3点について意見を述べたことに言及した。人材育成の司令塔機能の創出について増井理事長は、原子力人材育成ネットワークに司令塔機能を担わせる方向で検討が進んでいることを紹介し、自身もこれに賛同していると強調。人材育成分野が政策の柱として位置付けられたことについて「極めて適切な見直し」と評価した。次に、次世代革新炉の建て替えに関する手続きについて、増井理事長は原子炉設置変更許可申請以前のプロセスに不明確な点が残っていると指摘。公開ヒアリングの要否や運用の整理に加え、福島第一原子力発電所事故以前に手続きが進んでいた案件の取り扱いについて合理的な制度の整備を求めた。また、高レベル放射性廃棄物処分については、国が東京都小笠原村に文献調査を申し入れたことについて、「国が主体的に関与した画期的な動き」と高く評価した。続いて増井理事長は、3月30日に開催された文部科学省の原子力科学技術委員会での自身の発言を取り上げ、原子力損害賠償制度の見直しについて改めて言及。現行の無過失無限責任の制度では、投資判断の障害となるとした上で、過去の議論にとらわれず、十分な時間をかけて事前検討を進める必要性を強調した。また、東京都内で3月に開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラムを契機に、日本原子力産業協会が米国の原子力エネルギー協会(NEI)と協力覚書(MOU)締結したことを報告。NEIとともに、インド太平洋地域における原子力開発支援を筆頭に、今後の連携強化を図ると述べた。昨今の中東情勢の緊迫化を受けて、原子力発電が持つ意義について問われた増井理事長は、「電力会社のウラン調達先は多様であること」「国内に一定量の燃料備蓄が存在すること」を挙げ、「原子力はエネルギー安全保障の観点から一定の耐性を有する電源」との認識を示した。さらに、イラン国内の原子力施設への攻撃リスクについては、「国際条約上許されない行為であり、強く懸念している」とした上で、国際法の遵守が揺らぎつつある現状への危機感を露わにした。このほか、日本原燃の再処理工場の竣工目途や、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けた動き、フランスとの高速炉分野での協力について、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定の進捗など、多岐にわたる質疑があり、それぞれ見解を示した。
07 Apr 2026
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九州電力は3月26日、純粋持株会社体制へ移行する方針を正式に決定したと発表した。グループを統括する親会社「キューデンホールディングス株式会社」を2026年10月1日に設立する。2026年6月に開催予定の定時株主総会での承認を前提に、段階的に体制移行を進めるという。キューデンホールディングスの社長には、九州電力の現代表取締役社長執行役員の西山勝氏が就任し、事業子会社へと移行する九州電力の取締役社長には中村典弘氏が就任する。大手電力9社のうち、純粋持株会社体制へと移行するのは九州電力が初。同日、記者会見には西山氏・中村氏の両社長が登壇。西山社長はキューデンホールディングスと名付けた理由について、「各所でお客様から『キューデンさん』と呼んでいただくことが多く、この名称自体が当社グループのブランドを象徴している」と説明。その上で、「今後は九州の電力事業にとどまらず、成長分野を含めた新たな事業にも挑戦し、九州の電力会社という枠にとらわれない姿勢を、この名称に込めた」と述べた。また、2027年4月にグループ再編を行うことも併せて発表し、九州電力送配電、九電みらいエナジー(再エネ)、QTnet(情報・通信事業)、キューデン・インターナショナル(海外事業)、九電都市開発(新設)の主要6社を中核とする体制を構築するという。新体制への移行は、「全体最適視点でのグループ経営」と「各事業の自律的かつ迅速な運営」の両立を狙いとしたもので、キューデンホールディングスの主な事業内容は、グループ全体の経営戦略策定や経営管理となる。事業子会社へと移行する九州電力は、原子力発電事業を含む国内の電気事業にフォーカスする。キューデンホールディングスの役割について問われた西山氏は、「グループ全体の成長を見据え、どのようにマネジメントしていくかが重要になる」とコメント。その上で、「経営管理にはアクセルとブレーキの双方が不可欠であり、どの分野を伸ばし、どこを抑えるかといったバランスを適切に取っていく必要がある」との考えを示した。なお、東京電力や中部電力も持株会社体制を取っているが、原子力事業はホールディングスが自ら担っている。一方で、キューデンホールディングスは同2社とは異なり、新体制へと移行後も、原子力事業を九州電力(子会社)が担う。このような事例も大手電力9社で初となる。原子力発電所を持つ主体が持株会社(キューデンホールディングス)ではなく子会社(九州電力)となることや、それに伴う責任のあり方について問われた西山社長は、「国内の電気事業を担う九州電力(子会社)が多様な電源を保有し、安定的に電力を供給するのが基本的な姿で、電源ごとに分ける必要はないと考える」との認識を示した。その上で原子力の安全性については、「事業者である九州電力が安全確保の責任を負うことは大前提」と強調。一方で、「キューデンホールディングスが別の視点から原子力の運転状況を監視・監督することで、チェック機能が強化される。監督する目が増えることはむしろ良いことだろう」と述べた。また、西山社長は、新たに九州電力の社外取締役にも就任する予定で、ガバナンスの実効性を確保していく方針を説明した。また、西山社長は、「今回の体制移行を通じて各事業に責任と権限を委ねることで、事業ごとの成長を促し、グループ全体としてキャッシュフローの積み上げを図ることができる」と説明。その上で、「各事業が成長すれば利益も積み上がり、その結果として原子力事業に投入できるリソースも拡大していくだろう」と述べ、新体制への移行は原子力発電事業を含めたグループ全体の持続的成長に繋がると強調した。
06 Apr 2026
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RX Japanが主催する国際エネルギー総合展示会「第25回スマートエネルギー WEEK春」が、3月17日から19日まで東京ビッグサイトで開催された。洋上風力や水素エネルギー、CCUS(CO2回収・利用・貯留)など、脱炭素社会の実現に向けた最新技術が一堂に会し、3日間で6万人超が来場した(主催者発表)。また、会期中にはエネルギー政策やカーボンニュートラルをテーマとしたセミナーが多数開催され、最終日の3月19日には、資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課長・多田克行氏が登壇。日本のエネルギー情勢と原子力政策の現状・展望について講演した。会場には多くの来場者が集まり、原子力に対する関心の高さがうかがえた。多田氏は、日本のエネルギー安全保障を取り巻く現状を踏まえ、既存の原子力発電所の最大限活用、次世代革新炉へのリプレース、事業環境整備、バックエンドプロセスの加速化の4点を軸に、日本の原子力政策の方向性について語った。多田氏はまず、日本のエネルギー自給率が低水準にとどまり、化石燃料への依存度が諸外国と比べて高いことについて言及。日本では、化石燃料の輸入額が年々増加しており、2024年度は約24兆円に達していることから、「高付加価値品で稼いだ外貨(2024年/28兆円)の大半が化石燃料の輸入費で消えている」と指摘し、警鐘を鳴らした。そして、エネルギー安定供給と脱炭素化を両立するうえで、原子力の活用が重要と強調した。また、生成AIの普及などを背景に、データセンターや半導体工場などにおける電力需要が急増していることから、安定的に供給できる脱炭素電源の確保が急務だと指摘。一方で産業界からは、脱炭素化の実現にはクリーン電力の安定供給と予見可能性が不可欠との指摘があることに言及。電力供給の不安定化は、生産拠点の海外移転を招き、国内産業基盤を揺るがしかねないとの見解を示した。多田氏は原子力政策の柱として、①既存発電所の最大限活用、②次世代革新炉へのリプレース――の2点が重要であると述べ、柏崎刈羽6号機(ABWR、135.6万kWe)や泊3号機(PWR、91.2万kWe)などの動向に言及しつつ、再稼働を進める重要性を強調。一方、次世代革新炉への建て替えも不可欠とし、革新軽水炉、小型モジュール炉(SMR)、高速炉などを挙げ、将来を見据えた開発・導入を進める考えを明らかにした。また、原子力を支える産業基盤(サプライチェーン)を維持し、人材を確保するために、経済産業省では、次世代革新炉の技術開発支援や安全性・信頼性向上に資する研究開発支援、プロセスのデジタル化支援などを進めていると説明。北米など海外プロジェクトへの参画支援を通じて、日本企業の技術力の維持・強化を図る方針だという。多田氏はバックエンド政策についても言及。六ヶ所再処理工場の2026年度中、MOX燃料工場の2027年度竣工を目標に、政府として事業者と一体となって支援する方針を示した。また、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、処分地選定は国家的課題だと強調。寿都町、神恵内村、玄海町で進む文献調査に触れつつ、全国的な理解醸成を通じて調査地域の拡大を図る方針を示した。そして、「原子力政策は発電所の建設・運転にとどまらず、原子燃料サイクルやHLWの最終処分等、バックエンドを含めた一体的な取り組みが不可欠」と述べ、講演を締めくくった。
03 Apr 2026
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高市首相は4月1日、訪日中のエマニュエル・マクロン仏大統領と迎賓館赤坂離宮で日仏首脳会談を執り行った。その後、署名式及び共同記者発表、そしてワーキング・ディナーを実施。その中では原子力協力に関する声明への言及がなされた。高市首相は同会談で、日仏両国がこれまで積み重ねてきた幅広い分野における戦略的連携を「一層深化・強化することで一致した」と述べ、両国のさらなる関係深化を歓迎した。今後、宇宙分野や重要鉱物のサプライチェーンの強靱化といった経済安全保障分野で協調を深めるという。また高市首相は、同日発表した4つの共同声明(日仏首脳共同声明・日仏原子力協力に関する共同声明・日仏AI分野の協力に関する首脳共同声明・グローバルヘルスに関する日仏共同声明)は、両国の戦略的連携を一層深化・強化する決意の現れだと強調。原子力分野について日仏両国は、高速炉の開発、原子燃料サイクルの推進などに加え、核融合に関するITER(国際熱核融合実験炉、仏カダラッシュ)やJT-60SA(核融合実験装置、茨城県)を通じた協力を強化していくという。両政府が発出した「日仏原子力協力に関する共同声明」では、原子力がエネルギー安全保障とカーボンニュートラルに貢献する重要な電源であるとの認識を再確認したほか、民生原子力協力が、日仏協力のロードマップ(2023~2027)に示されている日仏間の「特別なパートナーシップ」における主要な分野のひとつであることを強調。そして、核兵器不拡散条約(NPT)の枠組みを維持するとともに、とりわけ原子力の平和的利用に関する原則を重視する姿勢を強調した。そのなかで、以下の6つの分野における協力強化の重要性を強調した。 ①既存炉の運転期間延長②原子力新規導入国への支援及びサプライチェーン③燃料サイクル④廃炉⑤次世代炉⑥核融合既存炉については、安全かつ持続可能な長期運転に資する技術的知見の共有を進めるとともに、運転員や保守要員の訓練を含む人材育成の強化に取り組む。そして、研究機関と産業界の連携を通じ、次世代を担う専門人材の育成も重視する考えだ。また、原子力導入を検討する国々への支援については、国際原子力機関(IAEA)のマイルストーン・アプローチに則り、欧州やインド太平洋地域を含む各国に対する協力を強化する。これに合わせて、原子力サプライチェーンの強化にも取り組むという。原子燃料サイクル分野では、使用済みMOX燃料(SF-MOX)の再処理に関する実証研究を推進するほか、ウラン生産や新たな濃縮サービス、燃料製造などを含めたサプライチェーンの維持・強化を図る。廃炉分野においては、安全で責任ある廃炉の推進に向け、特に金属廃棄物の管理や処理に関する協力を進める。クリアランス金属など放射性廃棄物由来の物質のリサイクルや、再利用に関する取組みを進めるとともに、国民理解の促進に向けた知見の共有も図る。また、フランス電力(EDF)と福井県が進める嶺南Eコースト計画の枠組みを活用し、日本における廃棄物管理のあり方についても検討を進める方針だ。次世代炉分野では、高速炉の開発に寄与する燃料や炉の設計技術、安全評価に関する研究開発協力を加速させる。両首脳は、相互の協力を通じ、今世紀半ばまでに高速炉実証炉の開発を進めるという共通目標を確認した。さらに、核融合分野では、ITERやJT-60SAといった国際プロジェクトを通じた協力を継続する。JT-60SAの2026年後半の運転開始や、ITERの2034年の研究運転開始を見据え、開発を着実に進めるとともに、国際核融合材料照射施設の工学実証・工学設計活動(IFMIF/EVEDA)や国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)を含む幅広いアプローチ活動への貢献も再確認した。
03 Apr 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は3月31日、第48回原子力小委員会に専門委員として出席し、①原子力人材育成の司令塔機能、②革新炉建て替えに関する手続きの明確化、③高レベル放射性廃棄物の処分の3点について意見を述べた。人材育成については、原子力人材育成ネットワークに司令塔機能を担わせる方向で検討が進んでいることを紹介し、自身もこれに賛同していると強調。「原子力の最大限活用に向けて、人材確保・育成は最大の課題の一つ」との認識を示した。現在は産官学に加え規制当局も参画するコアチームを組成し、制度設計の具体化に向けた議論を進めていると説明した。また、人材育成分野が政策の柱として位置付けられたことについて「極めて適切な見直し」と評価した。次世代革新炉の建て替え手続きについては、原子力規制委員会と原子力エネルギー協議会(ATENA)との意見交換が進展している点を評価する一方、原子炉設置変更許可申請以前のプロセスに不明確な点が残っていると指摘。公開ヒアリングの要否や運用の整理に加え、福島第一原子力発電所事故以前に手続きが進んでいた案件の扱いについても明確化が必要との認識を示した。また、プロセス全体の透明性向上と、過去の検討成果を合理的に活用できる制度整備を求めた。高レベル放射性廃棄物の最終処分については、国が3月に小笠原村に対し文献調査の実施を申し入れたことを「画期的」と評価。自治体の自発的応募に依存してきた従来の枠組みから一歩踏み出し、国が主体的に関与する姿勢を示した点に意義があるとした。そして今後、最終処分問題が「国民全体の課題」として全国的な議論が広がることに期待を示すとともに、原子力産業協会としても情報提供や出前講座を通じた理解促進に取り組む考えを示した。
02 Apr 2026
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原子力規制委員会の山中伸介委員長は4月1日の会合で、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置期限の延長を決定した。これまで特重施設は、原子力発電所の工事計画が認可されてから5年以内(猶予期間)の設置が求められてきたが、今後は設置期限を、「原子力発電所の運転開始から5年以内」に変更する。対象となるのは、現行規則で設置期限を迎えていない原子力発電所のみとなる。そのため、2026年4月16日に営業運転予定の柏崎6号機の特重設置期限は、2029年9月から2031年4月に延長される一方で、同7号機は設置期限(2025年10月13日)を過ぎており、対象外となる。特重施設は、テロ等により炉心の損傷が発生するおそれがある場合などに対し、放射性物質の放出を抑制するための施設だ。設置のための経過措置期間は、2013年の新規制基準施行時に5年と設定され、2016年の規定改正以後、起算点を新規制基準施行日から各プラントの設計及び工事計画の認可(設工認)日に変更されたが、設置までの猶予期間は引き続き5年であった。2月18日の定例会見で山中委員長は、制度の運用開始から約10年が経過したが、特重施設が完成している12基を検証した結果、実際に5年以内に完成した例がほとんどないため、経過措置そのものの考え方を議論する必要があるとの認識を示していた。この度、設置期限の延長を決断した背景について山中委員長は、「今回の見直しは単なる延長ではなく、10年間の運用実績に基づく規制の実効性の適正化である」と強調。「規制が現場の実態と乖離し、達成不可能なものとなっている場合、それは規制として十分に機能していない」との認識を示した。その上で、従来の「設置許可を起点とする仕組みから使用前確認を起点とする仕組み」へと見直すことで、安全対策の水準を維持しつつ、確実に施設を完成させる現実的な制度設計へ見直したと説明した。記者から経過措置が終了した施設を対象外とした理由を問われ、山中委員長は「特定の施設に配慮したのではなく、全体の実績を踏まえてルールを変更した。既に期限を超過した施設については、建設を優先する判断とし、速やかな設置を求める姿勢は変わらない」と述べた。
02 Apr 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、3月30日に開催された「第40回原子力科学技術委員会」に委員として出席し、議題に上がった「ポストANEC(未来社会に向けた先進的原子力教育コンソーシアム)に向けた検討の方向性」や「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性」について意見を述べた。議題1の「ポストANECに向けた検討の方向性」に関して増井理事長は、経済産業省から示された司令塔機能の創出について言及し、原子力人材育成ネットワークのこれまでの取り組みを紹介。同ネットワークは2010年11月に産官学の連携のもと発足し、現在は84機関が参加する自主的な枠組みとして運営され、増井理事長が運営委員会の委員長を務めている。また、今後の体制強化に向けては、コアチームの組成が進んでおり、4月からの本格始動を予定していると説明。原子力の最大限活用に向けては人材確保が重要課題であるとの認識を示し、司令塔機能の具体化に向けた制度設計や仕組みづくりを進めていく考えを示したほか、関係機関との連携の必要性について強調した。同委員会で、文部科学省が示した資料によると、現行のANEC事業は令和2年度から令和8年度までの7年間を対象としているが、ポストANEC事業においては、より長期的な事業実施期間(例:10年間)を視野に入れた制度設計を目指すという。また、安定的な運営に向けた間接経費(研究を実施するために必要な管理・運営費を補うため、競争的研究資金の一定割合を研究機関に配分する仕組み)の導入が検討事項として示されている。また、人材育成の基盤となる公開講義コンテンツや、大型研究施設を活用した実験・実習機会の提供についても、継続的に維持・発展させていく必要性が指摘されたほか、人材育成対象の拡大に向けて、プロジェクトマネジメント能力を有するグローバル人材の育成や、他分野の学生に対する教育機会の提供など、裾野拡大に向けた取り組みの強化について言及があった。そして、育成プログラムの選定プロセスについて、現行の公募形式でプログラムを募るのではなく、原子力学会などを通じた意見集約を踏まえ、トップクラスの専門人材の育成に必要な教育メニューをあらかじめ策定し、その実施機関を選定する方式へ転換するなど抜本的見直しが検討されていることが示された。これにより関係機関の連携・事務局機能の強化への期待が高まるという。議題2の「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性」について増井理事長は、原子力損害賠償制度をめぐる議論に言及。次世代革新炉への投資検討が進む中で、現行制度では資金調達や投資判断の障害となりうるとし、「過去の議論にとらわれず、時間的余裕を持って事前検討を進めるべき」との考えを示した。
01 Apr 2026
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原子力事業者12社(北海道電力・東北電力・東京電力ホールディングス・中部電力・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・日本原子力発電・電源開発・日本原燃)は3月30日、原子力災害時におけるオンサイトでの医療体制のさらなる強化を目的として、産業医科大学(北九州市)と「原子力災害オンサイト医療における産業保健支援対策に関する基本協定書」を締結した。緊急時の作業従事者の初期医療対応やメンタルケアなどの健康管理における支援を強化する。今回の協定締結の目的は、オンサイトでの迅速な医療支援体制の確保だけでなく、同大学を中心とした支援チームによる産業保健面(健康管理等)でのサポート体制の構築にある。同大学は、日本で唯一、産業医学に特化した「産業衛生学(大学院医学研究科)」を学ぶことができることで知られる。この産業衛生学専攻の専門領域に、「放射線衛生管理学」や「災害産業保健学」があり、同大学は、これらの領域における豊富な知見を有している。これまでも同大学では、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業に従事する作業員の低線量被ばく影響について、実データに基づく分析・研究を進め、同研究における中核的役割を担ってきた背景がある。そのため、原子力事業者12社は、同大学からの支援について、これまで協議を重ねてきた。同協定では、原子力災害が発生した際、事業者の要請に基づき産業医科大学が支援チームを現地に派遣し、迅速な初期医療対応を行うほか、メンタルケアなどの健康管理面も支援するという。原子力災害時には、過酷な作業環境下での労働衛生管理・産業保健の重要性が高まるため、緊急時の医療体制の実効性を高めるべく、双方が平時からの備えを進めることが狙いだ。
31 Mar 2026
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素粒子や宇宙線をテーマとした中高生の探究活動を支援する「加速キッチン」の進捗報告会が3月29日、東京大学本郷キャンパスで開かれた。都内近郊の中高生ら約10人が参加し、自ら取り組んでいる探究活動の進捗を発表するとともに、今後の課題などについて議論した。普段は各自が自宅や学校で探究活動を行う中、研究内容を共有する場となった。加速キッチンは、早稲田大学理工学術院総合研究所の田中香津生准教授が主宰する教育プログラムで、2020年に活動を開始した。中高生に組み立て式の素粒子検出器を無償で貸与し、観測・解析やレポート作成を、研究者や大学生メンターの支援のもと進める。交流機会も設けているがオンラインを基盤としており、現在は全国や海外から約100人が参加している。進捗報告会は年2回開催し、春は対面、秋はオンラインで実施している。 報告会では、宇宙線と気象条件の関係や太陽活動との相関、放射線の遮蔽効果の測定など、生徒が自ら設定したテーマに基づく発表が行われた。探究の途中経過の共有を重視し、測定手法やデータ解釈、今後の展開についてインタビュー形式で議論が行われた。 都内から参加した女子中学生は、宇宙線の検出数の変化をもとに流星群との関連を探るため、昨年秋から自宅で観測を続けている。宇宙への関心をきっかけに参加したという。「学校の授業は方法が決められているが、ここでは自分で考えて進める必要がある。大変だが楽しい」と話す。データ解析に苦労しながらも、自ら課題を設定し、探究を進めている。 同じく参加者の電気工学を学ぶ国立高専生は、小学1年生の時に研究施設を訪れ、宇宙線が人体を通過する様子を可視化する展示を見たことをきっかけに関心を持った。目に見えないものが身近に存在し、物質を通り抜ける性質に魅力を感じたという。同プログラムに参加後は、他のメンバーと協力し、日本と英国での比較観測に取り組み、緯度や地磁気が宇宙線の到来に与える影響を検証している。「自分で組み立てた装置で宇宙線を測れるのは夢のようだ」と語り、留学も視野に入れるなど、活動を通じて関心が具体的な進路選択へとつながっている。 活動の目的について田中准教授は、「素粒子の専門家を育てることがゴールではない。6年間の取り組みの中で、放射線医療に関心を持って医学分野に進むケースや、国際分野に関心を広げる例もある。素粒子や放射線をきっかけに、自身の興味を起点として進路を選択することは、人材育成の本質に近い」と指摘する。その上で、「今後はより学際的な人材が求められる中、こうした関心を起点に人材が各分野に広がっていくことが重要だ」と話した。 同プログラムは募集期間を設けず、興味を持った時点で参加できる。参加のハードルを下げることで、探究を始めるきっかけを広げる取り組みとなっている。
31 Mar 2026
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