海外NEWS
03 Apr 2025
253
米国 オコニー1~3号機も80年運転承認
国内NEWS
03 Apr 2025
375
敦賀2号機 再稼働に向け追加調査を検討
海外NEWS
03 Apr 2025
284
BN-600 2040年まで運転期間延長へ
国内NEWS
02 Apr 2025
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規制委 高浜と女川の乾式貯蔵施設設置で審査書案了承
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02 Apr 2025
445
米NRC WE社製マイクロ炉のPDCを承認
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02 Apr 2025
462
米テキサス州でXe-100の建設許可を申請
海外NEWS
01 Apr 2025
610
フィンランド 将来の選択肢として原子力発電の開発を継続
海外NEWS
31 Mar 2025
625
米DOE SMR初期導入に9億ドルの支援を再募集
米原子力規制委員会(NRC)は3月31日、デューク・エナジー社がサウスカロライナ州で運転するオコニー1、2、3号機(PWR、各90万kW級)に対して、2回目となる運転期間延長を承認した。これにより3基は、80年運転が可能となる。 NRCは2021年6月、デューク社による運転期間延長の申請を受理。審査手続きの一環として、NRCは2022年12月に安全評価報告書(SER)を完成。2025年2月に環境影響評価書(EIS)の最終版を公表し、「20年間の運転期間延長を妨げるような環境への悪影響はない」と結論づけた。NRCの原子力安全許認可会議(ASLB)も2025年1月、延長申請に関する裁定手続きを終了し、「解決のために残された争点はない」としている。 オコニー発電所は、1、2号機が1973年に、3号機が1974年に送電を開始し、2000年に当初の運転期間である40年間に加え、20年間の運転期間延長が認められ、現行の運転認可はそれぞれ2033年、2034年まで有効であった。デューク社は、オコニー発電所のメンテナンスとアップグレードに多額の投資を行い、原子炉容器のベッセルヘッド、蒸気発生器、タービン、変圧器、ポンプ、バルブなどの機器交換を含む、バックフィット作業を行った。今回さらに20年の運転期間延長が認められたことから、それぞれ運転期間は80年となり、1号機は2053年2月、2号機は2053年10月、3号機は2054年7月まで運転することが可能となった。米国で80年の運転期間が認可された原子炉は、これで計12基となった。 デューク社は、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州において、計6サイト・11基の原子力発電所を所有し、両州の消費電力の50%以上を供給している。すでに、全11基は最初の運転期間延長の認可済みであり、同社はさらなる運転期間の延長を目指している。うち、オコニー発電所は、2度目の運転期間延長の認可を受けた、同社初の発電所。同社は今年4月には、サウスカロライナ州にあるロビンソン発電所(PWR、78万kW)についても2度目の運転期間延長の申請をする予定である。 同社のK. ヘンダーソン原子力部門責任者は、「オコニー発電所の運転期間延長は重要なマイルストーンであり、当社の他の発電所の延長申請において重要な教訓となる」「バックフィット作業の実施、よりクリーンな技術への投資を通じ、原子力は当社の発電ポートフォリオの柱であり続ける」と語った。 サウスカロライナ州のH. マクマスター知事も、今回の80年運転の認可を受け、「手頃な価格で信頼できるエネルギーは、サウスカロライナ州の継続的な経済的繁栄のカギであり、エネルギーの未来を形作る中で、原子力は重要な役割を果たす」とその意義を強調した。
03 Apr 2025
253
ロシアの連邦環境・技術・原子力監督庁(ロステフナゾル)は3月31日、原子力発電所運転機関であるロスエネルゴアトム社に対し、スベルドロフスク州にあるベロヤルスク原子力発電所3号機(ナトリウム冷却高速炉BN-600、60万kW)の15年間の運転期間延長認可を発給した。これにより同機は、2040年まで運転が可能となった。 原型炉であるBN-600は1980年4月に送電開始、1981年11月に営業運転を開始した。送電開始以降、約1,770億kWhの発電実績がある。運転期間の延長により、さらに600億kWhの発電が見込まれている。 運転期間の延長審査にあたっては、圧力容器と炉内構造物、支持ベルト、熱交換器支持部など、交換不可能な部品の状態を検査。その結果、これら部品は運転期間延長においても問題がないことが示された。また、建屋、設備およびシステム安全性の向上を目的に、蒸気発生器モジュールや、1次循環系ポンプが交換されるなど、多くのバックフィットが実施されている。 同発電所のI. シドロフ所長は、「ベロヤルスク発電所3号機は原子力の未来のカギ。使用済み燃料を利用したMOX燃料が初めて試験され、将来の第4世代の高速炉であるBN-1200MおよびBREST(鉛冷却高速炉)向けの燃料と材料の高い品質を確認するために、現在、新しい燃料集合体が炉心にある。さらに重要なのは、高速炉の信頼性の高い運転経験から得られた貴重なノウハウである」と語った。 ベロヤルスク発電所では、BN-600の他、4号機として実証炉のBN-800(88.5万kWe)が2016年10月から営業運転中。両機は、核燃料サイクルの完結という原子力産業の戦略的課題の解決に取り組んでおり、数百年にわたる燃料供給、使用済み燃料の再利用とともに、放射性廃棄物の最大限の減容を目指している。
03 Apr 2025
284
米ウェスチングハウス(WE)社は3月31日、米原子力規制委員会(NRC)がWE社製のマイクロ炉eVinciの基本設計基準(PDC)トピカルレポートを承認したことを明らかにした。WE社は、PDC承認を許認可手続きの上で、重要なマイルストーンの達成と捉えている。 PDCは原子炉の設計ベース、すなわち原子炉の構造、システム、および構成要素の各部分がどのように機能するかを定義し、原子炉設計がNRC規則にある設計基準に適合することを保証するもの。トピカルレポートとは、NRCが承認する、特定の技術的課題や安全設計基準などを詳細に説明した報告書である。WE社は、今回のPDC承認により、eVinciを導入するための許認可取得の明確な道筋が示されたとし、顧客による許認可取得手続きの簡素化および合理化に期待を寄せている。 WE社傘下のeVinciテクノロジー社のJ. ボール社長は、「PDC承認により、当社の顧客はeVinciが非常に合理化され、反復可能な方法で導入に向けた許認可を取得できるという確信を持てる」「eVinciの小型かつ輸送可能という特長を生かし、必要な時に必要な場所へ迅速に展開でき、競争力のあるコストで、かつレジリエントな電力供給を実現する」と強調している。 eVinciは熱出力1.5万kW、電気出力0.5万kWのヒートパイプ冷却の可搬式原子炉で、軽水炉のような冷却ポンプは不要。燃料交換なしで8年以上にわたり電力の安定供給が可能だ。工場で製造・組立してから設置場所に輸送される。
02 Apr 2025
445
米国の大手化学メーカーであるダウ(Dow)社とX-エナジー社は3月31日、テキサス州シードリフトで計画されているX-エナジー社製SMRの高温ガス炉(HTGR)「Xe-100」(電気出力8万kW)を採用する発電所の建設許可を米原子力規制委員会(NRC)に申請したことを明らかにした。 ダウ社が提案する先進炉プロジェクトは、同社の完全子会社であるLong Mott Energy社が開発。ダウ社のテキサス州メキシコ湾沿いに位置するシードリフトの製造サイトに、運転期間満了間近の既存の発電・蒸気設備に替わる、安全かつ信頼性が高く、クリーンな電力と産業用蒸気を供給する発電所を設置する。本プロジェクトは、米エネルギー省(DOE)が先進炉の展開の加速を目的として開始した、先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の中で、5~7年以内に実証(運転)を目指し、支援対象に選定した二つの設計のうちの一つである。 2018年以降、X-エナジー社、続いてダウ社は、高度な燃料設計、受動的安全機能、最先端の分析技術を通じて、Xe-100の安全性を実証し、広範な許認可申請前活動を通じてNRCと協力してきた。建設許可の承認は、最大30か月かかると予想。ダウ社は許可を取得後、財務上のリターン目標を達成しつつ、プロジェクトの遂行能力を確認できれば、建設を開始するとしている。本プロジェクトが実現すれば、2020年代後半に建設を開始、2030年代初めに稼働し、北米の産業施設に配備される最初のグリッド規模の先進炉になると期待されている。X-エナジー社のJ. セルCEOは、「今回の建設許可申請は、米国を先進炉の商業化の最前線に位置づけるという議会とDOEのビジョンを実現するための重要なステップである」「世界クラスのダウ社とともに、テキサス州シードリフトで展開される先進炉を迅速かつ効率的に複製して、全米の驚異的な電力需要の増加への対応を実証する」と意欲を示した。 X-エナジー社は、Xe-100およびTRISO-X燃料製造施設の開発、許認可取得手続き、建設活動が2020年10月にDOEのARDPの支援対象に選定後、Xe-100のエンジニアリングと予備設計を完了、テネシー州オークリッジにおけるTRISO-X燃料製造施設の開発と許認可手続きを開始し、その技術の商業化に向け民間から、約11億ドル(約1,648億円)を調達している。 ダウ社のシードリフト・サイトは、約19㎢の広さを有し、食品の包装と保存、履物、ワイヤーとケーブルの絶縁、太陽電池膜、医療および医薬品の包装など、幅広い用途で使用される材料を製造している。
02 Apr 2025
462
フィンランドの電力会社であるフォータム社は3月24日、フィンランドとスウェーデンにおける原子力発電所の新規建設の前提条件を調査する2年間の実行可能性調査(F/S)の完了を発表。また、大型炉のベンダー2社と小型モジュール炉(SMR)ベンダー1社と協議を継続する方針を明らかにした。フォータム社は2022年10月に、フィンランドとスウェーデンの2か国における新規原子力発電所の商業面、技術面、社会面での前提条件を調査する、広範なF/Sを開始した。調査の過程で、複数のベンダー、潜在的なパートナー、顧客、社会的利害関係者と詳細に協議を行ったという。フォータム社は、安定し、競争力のある低炭素の北欧電力システムにおいて、原子力の新設が重要な役割を果たすと認識。将来の顧客需要を満たすための選択肢として、既存の原子力発電所とのリプレースを視野に入れ、長期的な選択肢として原子力発電開発を継続する考えだ。同社のM. ラウラモCEOは、「電化による産業と社会の脱炭素化は、2050年に向けて北欧の電力需要を大幅に増加させ、場合によっては倍増させる。再生可能エネルギーのみに頼るのは、非常に不安定な電力システムにつながる恐れがあり、顧客や社会にとって望ましくない」「将来的にもあらゆる低炭素の発電オプションを堅持しておくことは理にかなう」と強調した。同氏はまた、「今後5年から10年の間、北欧の新規電力需要は主に、新たな陸上風力発電と太陽光発電に加え、揚水発電および既存のロビーサ原子力発電所の運転期間延長によって対応する。新規の原子力発電は、市場と規制の条件が揃えば、2030年代後半の早い時期に導入される可能性がある」との展望を示した。フォータム社は、産業規模の大口顧客の多くが、安定した電力の長期購入契約による供給確保を望んでおり、バランスのとれた電力ミックスの維持は、すべての顧客と社会にとり利益をもたらすと指摘。一方で、新規建設プロジェクトの主なリスクは、長期に及ぶ建設期間、資金手当の難しさ、不透明な電力の市場価格によるものと言及している。F/Sの結果、現在の電力市場の見通しでは、新規建設プロジェクトは商業ベースだけでは経済的に実行可能ではないが、独自の分析と他の西側諸国で進行中の新規建設プロジェクトに基づき、顧客需要の増加に対応すれば、スウェーデン政府が準備しているような強固なリスク分担の枠組みにより管理可能であると結論づけている。また、新規原子力プロジェクトのリスク軽減にとって重要なものとして、EUと各国レベルでの規制のすり合わせや、政治的安定性を掲げている。さらに資金調達においては、原子力発電は、水素、肥料、クリーンスチールなどの低炭素製品の原料として、他のクリーン技術と同等に扱われるべきと訴えている。同社は今後数年間、新規原子力発電プロジェクトの共同開発と共同投資へ関心を持つパートナーシップを模索するほか、潜在的な顧客との間で、ニーズを満たす最適解について協議を続ける方針である。F/Sの中で、ベンダーとともに何千時間も大型炉や小型モジュール炉(SMR)の設計評価を行い、今後、大型炉を開発するフランス電力(EDF)、米ウェスチングハウス(WE)社と韓・現代E&C社からなるコンソーシアムの2社、およびSMRを開発する米GE・日立社との協力を深める方針だ。フォータム社のL. ルヴェーグル新規原子力担当副社長は、「新規建設プロジェクトの実施にあたり、技術の成熟度の確保、国別の要件の制限、投資前の段階ですでにベンダーの能力を検証することが必要」とし、「投資を検討する前に、3社のベンダーと協力してプロジェクトのリスクを軽減する。コストのかかる設計変更の可能性を減らすには、建設前に可能な限りプラント設計の許認可リスクを軽減する。結果的に、プロジェクトの遅延を防ぐことになる」と指摘した。フォータム社は、VVER-440(PWR、53.1万kW)×2基で構成されるロビーサ発電所を運転。同発電所はフィンランド初の原子力発電所であり、現在、同国の総発電電力量の10%を供給している。1号機は1977年に、2号機は1981年に営業運転を開始。両機は2023年2月、20年間の運転期間延長の認可を取得し、2050年末まで運転可能となった。なお、同社はフィンランドのオルキルオト原子力発電所の他、スウェーデンのオスカーシャム原子力発電所、フォルスマルク原子力発電所の共同所有者でもある。
01 Apr 2025
610
米エネルギー省 (DOE)は3月24日、トランプ大統領によるエネルギーおよび人工知能(AI)分野の規制緩和方針に基づき、小型モジュール炉(SMR)の配備に向けて、総額9億ドル(約1,352億円)の支援に対する再申請プロセスを開始した。 C. ライトDOE長官は、「米国の原子力ルネサンスは今始まる。豊富で安価なエネルギーは、米国の経済的繁栄と安全保障のカギだ。本募集は、先進的な軽水炉型SMRの配備を通じて、より多くのエネルギーの送電をめざす、先行企業への行動を呼びかけるもの」と強調した。 米国の電力需要は、消費者のニーズ、データセンターの成長、AI利用の増加、産業部門の恒常的な電力需要によって、今後数年間で急増すると予測されている。DOEは、SMRはエネルギー集約型部門に信頼性の高い電力の提供とコンパクトなサイズおよびモジュール設計により柔軟な設置が可能であり、特に、軽水炉型SMRが、米国の既存の軽水炉を支えるサービスとサプライチェーンの活用により、短い期間で導入可能な利点を指摘する。DOEは、第3世代+(プラス)軽水炉SMRの配備のリスクを軽減するために、次の2つのカテゴリーに分けて資金提供を実施する。1つ目のカテゴリーとして先陣を切る、ファースト・ムーバー・チーム支援(First Mover Team Support)では、DOEは、同時に複数の第3世代+SMRの受注促進を目的として、コンソーシアム・アプローチ、すなわち、電気事業者、原子炉ベンダー、建設業者、エンドユーザーなどがチームとして参加することを条件とし、最大2チームを支援。支援額は最大8億ドル(約1,202億円)。プロジェクト設計に保障措置とセキュリティを取り込むため国家核安全保障局との協業を考慮する。2つ目のカテゴリー、ファスト・フォロワー・導入支援(Fast Follower Deployment Support)では、設計、許認可申請、サプライチェーン、サイト準備などの分野で国内の原子力産業の発展を妨げてきた主要なギャップに対処し、第3世代+SMRのさらなる配備の促進に向けて約1億ドル(約150億円)を支援する。選考は、技術的な利点のみを考慮し、応募締め切りは2025年4月23日。前バイデン政権下で2024年10月に実施された募集時における申請者が再び審査を受けるには、新しいガイダンスに従って提案を再提出する必要があるとしている。詳細は、第3世代+SMRのWebページの参照を呼び掛けている。
31 Mar 2025
625
オランダの原子力研究機関のNRGパラス(Nuclear Research and consultancy Group PALLAS)は3月20日、米ケイロス・パワー(Kairos Power)社と、ケイロス社が開発する小型モジュール炉(SMR)で使用される燃料と材料を評価する試験契約を締結した。ケイロス社は2024年10月、米IT企業大手Google社と、ケイロス社が開発する先進炉を複数基、合計出力にして最大50万kWeを2035年までに導入し、Google社のデータセンターに電力を供給する、電力購入契約(PPA)を締結している。そのため、ケイロス社は開発中の第4世代SMRであるフッ化物塩冷却高温炉 (KP-FHR、熱出力32万kW、電気出力14万kW)の商業化に向けて、オランダ・ペッテンにあるNRGの高中性子束炉(HFR)での燃料照射プログラムを通じて、燃料および材料の照射試験を行い、米原子力規制委員会(NRC)に対して、燃料の安全性を実証したい考えだ。また、ケイロス社がNRGと協力して実施する黒鉛照射試験は、KP-FHR炉心で使用される黒鉛反射体構造の高レベルの中性子曝露に対する安全限界を実証するもの。照射後特性は、NRCの許認可において重要な指標となり、原子炉技術の安全性を示すものとなる。原子炉容器と構造部材に使用されるステンレス鋼材料の照射試験も実施し、安全性と設計限界を実証することで、ケイロス社の許認可活動を支援するという。なお、NRCはケイロス社の実証炉「ヘルメス」と後継の「ヘルメス 2」の建設許可をすでに発給しており、ケイロス社は、これらヘルメス炉から学んだ教訓を基に、2030年までにGoogle社向けの商用フリートに初号機を配備、稼働させる計画である。ケイロス社のM. ハケット燃料・資材担当副社長は、「当社の原子炉技術を進歩させるために、正確で信頼性の高い照射性能データに依存している。優れた照射データの作成に長年の実績のあるNRGは、Google社や将来の他クライアントとのコストやスケジュール面でのコミットメントの達成を支援する、信頼できるパートナーである」と語った。
28 Mar 2025
605
米国の原子力開発ベンチャー企業であるテラパワー社は3月11日、同社が開発する先進炉「Natrium」の部品のグローバル製造サプライチェーンの拡大に向けて、韓国のHD現代重工業と戦略的提携を発表した。テラパワー社の最先端技術と、HD現代の製造ノウハウを組み合わせ、ナトリウム冷却高速炉と統合エネルギー貯蔵システムを備えたNatrium(34.5万kWe)の大規模生産と迅速なグローバル展開を可能にする新たなサプライチェーン能力の構築が目的。この提携は2024年、米ワイオミング州に建設予定のNatrium初号機の原子炉容器供給者にHD現代重工業が選定されたことが契機となっている。HD現代重工業は、造船を専門とするHD現代の傘下企業である。テラパワー社のC. レベスクCEOは、「当社は、米国でNatrium初号機導入の後、今後10年間に米国内外で競争力のある価格で後継機の迅速な展開をしていく。Natriumは、ベースロード電力とギガワット級のエネルギー貯蔵を提供し、増大するエネルギー需要に応える、信頼性が高く、柔軟性のある電力供給が可能。世界的に高い評価の製造能力を有する、HD現代重工業との協力により、Natriumのグローバル展開に不可欠な商業規模の生産能力を確立していく」と抱負を語った。HD現代重工業のK. ウォン上級副社長は、「Natriumの部品製造において、当社の実証済みで高精度な製造ノウハウと、大規模生産が可能なサプライチェーン能力を活用し、テラパワー社の商業展開のビジョンを支援していく。本提携は、次世代原子力エネルギーソリューションの商業可能性を加速させる、画期的な協力関係の始まりとなる」と意気込みを示した。Natriumは2020年10月、米エネルギー省(DOE)が支援する先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の「5~7年以内に実証可能な炉」に選定されたプロジェクトの1つ(もう1つは、X–エナジー社の高温ガス炉「Xe-100」)。テラパワー社はARDPを通じて、Natriumの設計、建設、運転特性を検証する。初号機は、米ワイオミング州南西部のケンメラーで閉鎖予定の石炭火力発電所の近くに建設される。テラパワー社は、Natriumがクリーンエネルギーを生産するだけでなく、閉鎖する石炭火力発電所に代わり、エネルギー生産地域の経済を支え、建設やその後の運転期間における雇用を促進すると見込む。同社は2024年3月、米原子力規制委員会(NRC)に建設許可を申請、6月には起工式を挙行し、非原子力部の建設工事を開始した。原子力部の着工は早くて2026年、送電開始は2030年を予定している。
26 Mar 2025
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ロシアのレニングラード第Ⅱ原子力発電所4号機(PWR=VVER-1200、119.9万kW)が3月20日、着工した。昨年3月には、同型の3号機が着工している。計画では、同第Ⅱ発電所の3号機、4号機を稼働させ、1980年代初めに運開した3、4号機(軽水冷却黒鉛減速炉のRBMK-1000、100万kW級)を閉鎖する。1、2号機(RBMK-1000、100万kW級)は45年の運転期間を経て、第Ⅱ発電所1、2号機の運転開始後の2018年12月と2020年11月に閉鎖され、現在は廃止措置の準備中である。着工式典には、ベラルーシのベラルシアン原子力発電所、エジプトのエルダバ原子力発電所、バングラデシュのルプール原子力発電所の代表者らも、オンラインで参加した。これらの発電所では、ロシア国営原子力企業ロスアトムの支援を受けて建設された、または建設中のVVER-1200を採用している。VVER-1200はロシアが開発した第3世代+(プラス)炉で、動的と静的、2種類の安全系を持ち、コンクリート製の二重格納容器や、設計基準外事象の発生時に放射性物質の漏洩を防ぐコア・キャッチャーを備える。ロシアではノボボロネジ第Ⅱ原子力発電所1、2号機で先行採用・運転されている。ロスアトムのA. ペトロフ第一副総裁(原子力発電担当)は本着工に際し、「国のエネルギーミックスにおける原子力発電の割合を増やすという主要な国家目標に向けた新たな一歩、早ければ今年中には、スモレンスク原子力発電所とコラ原子力発電所でリプレース作業を開始し、ベロヤルスク原子力発電所では第4世代の高速炉(BN-1200M)の建設に向けたエンジニアリング調査を完了する予定。今後20年間で、ロスアトムはシベリア、ウラル地域、極東において新たな建設プロジェクトに取組み、国民はクリーンなエネルギーにアクセス可能になる」と展望を示した。ロスアトムは、露大統領の指示により、2045年までに総発電電力量に占める原子力シェアを25%にすることを目指している。ロスアトムのA. リハチョフ総裁は3月7日、ニジニ・ノヴゴロド州南端のサロフ市で開催された「情報Day」で、「大統領の指示により、今年は沿海地方で原子力発電所(VVER-1000×2基)の建設に取組む必要があり、早ければ2032年に送電開始する」と語った。また、今年内にはクルスク第Ⅱ発電所の1号機の営業運転を開始させるほか、海外では、トルコとバングラデシュで建設中の発電所で初併入、ウズベキスタンのSMR発電所の建設契約の実現とともに、大型炉の建設契約の獲得に努める、と語った。さらにリハチョフ総裁は、「世界市場で競争が激化し、経済的圧力と制裁下でも、技術力を活かし、グローバル市場でのリーダーシップの強化に努めなければならない」と強調。国内市場での技術とハイテク製品および輸入代替品の不足、労働市場の競争激化、厳しい経済・金融状況という困難の中、限られたリソースを活用し、効率的に活動すると明言した。具体的には、不採算事業の見直しに加え、諸手続きのデジタル化と簡素化、人工知能の活用により、あらゆる企業機能と投資およびプロジェクト活動の質と効率を向上させるとしている。また、BRICS+およびCIS諸国との協力も継続的に発展させる考えだ。2024年12月末に政府承認された、2042年までの原子力発電設備計画によると、ロシアでは既存および新規(シベリアや極東のような新たな地域を含む)の計15サイトで、大型炉、中型炉、小型モジュール炉(SMR)など計38基(約2,455万kWe)を新設する計画。一方、運転期間を満了する原子炉の閉鎖は約1,037万kWe規模である。この計画が実現すると、2042年の総発電設備容量は現在の11.7%から15.7%に拡大。総発電電力量に占める原子力シェアは、現在の18.9%から2042年に24%になると予測されている。
25 Mar 2025
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カザフスタンのK.-J. トカーエフ大統領は3月18日、大統領直属の機関として原子力庁を設立する大統領令を発令した。3月14日には、自身が議長を務める全国クルルタイ(国民会議)で演説し、今後数十年にわたる経済発展の強固な基盤となる新たなエネルギー産業の創出に向けて、原子力庁を設置することを明らかにしていた。原子力庁は、原子力産業の一層の発展と核セキュリティの強化を目的に、エネルギー省の機能及び権限を移転させ、ウラン採掘に関連する地下利用、原子力利用、住民の放射線安全の確保ならびに原子力発電所の建設及び運転の責任を負う。長官には、A. サトカリエフ・エネルギー相が就任した。(エネルギー相にはE. アッケンジェノフ次官が就任)。トカーエフ大統領は全国クルルタイでの演説の中で、ハイテクはあらゆるセクターの発展に必要な機関車であると指摘。政府は高度なデジタル化と人工知能(AI)の広範な導入に適した環境を作り出すため、エネルギーのポテンシャルを高めるとともに、電力の完全自給自足を達成するだけでなく、世界のエネルギー市場の主要な輸出国にならなければならない、と語った。そのうえで、現在のエネルギー需要だけでなく、今後数十年にわたるダイナミックな経済発展に向けて、新たなエネルギー産業の創出の戦略的重要性を説き、原子力発電所を1サイトではなく、3サイト建設する考えを示した。カザフスタンでは2024年10月、ソ連からの独立後、初となる原子力発電所の建設を問う国民投票が実施され、原子力発電所の建設に7割が賛成した。同年12月、政府はアルマティ州のジャンブール地区を建設地区に決定。今年中には、炉メーカー(またはコンソーシアム)を選定し、政府間協定および関連契約の締結を計画している。なお、省庁間委員会が2月25日に開催され、同国初となる原子力発電所の建設について、以下の提案が検討された。今後、各提案の徹底的かつ包括的なレビューを継続するという。・中国核工業集団公司(CNNC)製「華龍一号(HPR-1000)」(100万kW級PWR)・露ロスアトム製VVER-1200(120万kW級PWR)・韓国水力・原子力(KHNP)製「APR1000」「APR1400」(100万kW級/140万kW級PWR)・フランス電力(EDF)製EPR-1200(120万kW級PWR)サトカリエフ・エネルギー相(当時)や同省幹部は3月中旬、米エネルギー省(DOE)のC. ライト長官、中国核工業集団公司(CNNC)の申彦锋・総経理、仏EDFの幹部らと会談し、原子力分野における協力について協議を実施している。
24 Mar 2025
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インドネシアのPT Thorcon Power Indonesia(PT TPI)社は3月4日、インドネシア原子力規制庁(BAPETEN)に対し、米国のデベロッパーThorcon社製の先進的熔融塩炉を採用した実証プラント「Thorcon 500」(50万kWe)の建設に向けて、許認可手続きを開始したことを明らかにした。同国バンカ・ブリトゥン州のバンカ島の沖合にある、ケラサ島が同プラントのサイトとして提案されている。 シンガポールを拠点とするThorcon International社の子会社であるPT TPI社は2月13日、BAPETENに、サイト評価プログラム(PET)およびサイト評価管理システム(SMET)の承認を得るための申請書類を提出した。PT TPI社は、インドネシア史上初の原子力発電所の建設申請者。なお、インドネシアの国家エネルギー審議会(議長:大統領)が、Thorcon実証プラントを次の5か年計画に組み入れているという。 今回の申請は、約2年間にわたるBAPETENとの事前ライセンス協議に続くもの。2023年3月、両者は熔融塩炉(25万kWe)を2基搭載したThorcon 500の許認可取得に向けて3S(原子力安全、核セキュリティ、保障措置)の確保を前提に、協議を開始することで合意。プラント建設のためのマスタープラン文書のレビュー、原子炉プロトタイプおよび非核分裂性試験プラットフォーム(NTP)施設に係るロードマップに関する協議の他、許認可手続きに必要となる技術文書などの準備、および原子炉の設計承認について協議を行ってきた。PT TPI社は、審査プロセスにおいて迅速かつ徹底的な評価を確実にするために、BAPETENからのいかなるフィードバックにも全力で取組む意向を示している。 Thorcon 500は、1960年代に米エネルギー省オークリッジ国立研究所が開発した技術に基づいく。低圧下で熔融フッ化物塩を一次冷却材として使用、低濃縮ウラン燃料を用いた25万kWeの原子炉2基で構成され、交換可能な密閉「カン」(Can)に格納されている。造船所で船体に組み入れられ、浅瀬のサイトまで曳航される。8年間の運転後、原子炉モジュールは切り離され、カン交換のためにメンテナンスセンターに曳航される。熔融塩燃料は、緊急時には受動的に冷却タンクに排出され、核分裂を即座に停止。加熱のリスクを排除し、安全性を維持する運転員の介入や外部電源の必要はないという。モジュール製造向けに設計されたThorcon 500は、最高の国際安全基準に適合しており、インドネシアのエネルギー移行において重要な役割を果たすと期待されている。ケラサ島で実施された、安全性、生態学的要素、立地適性に焦点を当てた予備的なサイト調査により、同島が有力なサイト候補地とされた。PT TPI社は、2032年までにThorcon 500を稼働させ、インドネシア国営電力会社PLNに売電を計画する。すでに鉱業やIT企業から、ケラサ島でのプラントの完成後、電力購入契約の締結の打診もあるという。PT TPI社はプラントの初稼働後、Thorcon炉の国内製造・組立ラインを開発し、インドネシアの新しい産業部門の成長を促進させたい考えだ。 BAPETENは、3Sの枠組みの中で積極的に協議に参加したPT TPI社の取組みを評価し、事前協議は、許認可プロセスの継続にあたり、技術と管理両面での障壁を最小限にするものである、と指摘した。 インドネシア政府は、再生可能エネルギーや原子力など新たな無炭素電源の研究開発を促進して、CO2排出量の実質ゼロ化に移行していく方針。原子力発電所の設備容量を2035年に800万kWe、2060年には5,400万kWeへの拡大を目指している。現状、総発電電力量の約8割を火力発電(主に石炭火力)が占める。PT TPI社は、Thorcon 500プラントは「太陽光や風力などの再生可能エネルギーを補完する安定した低コストのベースロード電源となる」と語っている。
24 Mar 2025
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フランスのE. マクロン大統領は3月17日、自らが議長を務める閣僚級の「原子力政策評議会(CPN)」を招集。フランス電力(EDF)が計画する改良型欧州加圧水型炉(EPR2)6基の建設費の少なくとも半分を国が優遇融資で支援する方針を決定した。CPNは2022年より定期的に開催されており、フランスの原子力政策全般や各プロジェクトを短期的・長期的に管理・調整する役割を担っている。2022年2月のマクロン大統領による仏東部ベルフォールでの演説で示されたエネルギー政策目標に沿って、エネルギー複数年計画(PPE)に反映すべく、原子力再生に向けた戦略を協議している。同大統領はこの演説で、フランスのCO2排出量を2050年までに実質ゼロとし、国内の原子力産業を再活性化するため、フランスでEPR2を新たに6基建設し、さらに8基の建設に向けた調査を開始すると表明していた。EDFは、パンリー、グラブリーヌ、ビュジェイの各原子力発電所にEPR2を計6基建設し、2038年までに初号機の試運転を計画している。今回のCPNでは、EDFのEPR2による建設プログラムの資金調達と規制スキームの主要原則を検討。建設費用の少なくとも半分を国が優遇融資で支援し、最大100ユーロ/MWhの差金決済取引(CfD)を実施することで合意した。さらにCPNはEDFに対し、コストとスケジュールの管理強化を求め、コストと期限に関するコミットメントを今年末までに提示するよう指示。2026年のEDFによる最終投資決定(FID)を視野に、今後数週間で国とEDFの間で協議をまとめ、欧州委員会(EC)の承認取得に向けた交渉を迅速に開始する方針だ。また、世界各国で新設計画や新型炉の導入が発表される中、CPNは現在の地政学的状況におけるウラン主権の確保のため、サイクルの上流(採掘)における行動計画、特にフランスへの中長期的なウラン供給に向けて、オラノ社に対する国の支援を承認した。使用済み燃料の取扱いについては、ラ・アーグ再処理工場でオラノ社が主導するバックエンド施設の更新・投資計画の継続を確認。既存炉や新設されるEPR2の使用済み燃料を貯蔵するため、2040年までにラ・アーグ工場で新たな貯蔵プールの操業を開始する必要があるという。CPNはさらに、今世紀後半には天然ウラン輸入を必要としない、クローズド・サイクルを達成するためのガイドラインを確認し、研究再開に向けた準備作業を開始。プルトニウムと劣化ウランから燃料を製造し、高速炉で燃焼させた後の再処理には、大規模な技術開発が必要となるため、CPNは、燃料製造業者(EDF、フラマトム社、オラノ社)や仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)、および高速炉に係るすべての関係者に対し、今年末までに作業計画と産業組織の提案を国に提示するよう求めた。また、2021年10月にマクロン大統領が発表した産業投資政策「フランス2030」では、2030年までに10億ユーロを投じて、革新的な小型炉の実証をめざしている。CPNは、この開発プロジェクトの第一段階が順調に進んでいることを評価。2030年初頭に実証炉の試運転につながる可能性が最も高いプロジェクトに優先順位を付け、支援を継続する権限を投資総局に与えた。なおCEAに対しては、マルクールとカダラッシュのサイトに関連するデータを要請する企業がアクセスできるようにし、同サイトで最先端プロジェクトを実施するための協議を開始するよう求めている。
21 Mar 2025
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日本原子力発電は3月31日、敦賀発電所2号機(PWR、116万kWe)の新規制基準に係る適合性審査の再申請に向けた追加調査計画について、調査内容に万全を期すため、さらに検討を継続することとし、「まとまり次第、地域、関係者に知らせる」と発表した。当初、2025年3月末を目途に取りまとめる予定となっていた。 同日、原電が発表した2025年度「経営の基本計画」においても、「既設発電所の最大限の活用」との項目の中で、敦賀2号機について「設置変更許可の再申請、稼働に向けた対応を進めていく」ことが明記されている。 同機の審査に関しては、2024年11月13日に、原子力規制委員会が「適合するものであるとは認められない」とする審査結果を決定。これを受け、同社では、審査の再申請に向け、必要な追加調査の内容について、社外の専門家の意見も踏まえながら具体化していくとしていた。 原電は2015年11月に敦賀2号機の新規制基準に係る適合性審査を規制委に申請。地震・津波関連の審査で、同機敷地内の「D-1破砕帯」(原子炉建屋直下を通る)の延長近くに存在する「K断層」について、「後期更新世(約12~13万年前)以降の活動が否定できない」、「2号機原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性が否定できない」ことが確認され、結論に至った。審査期間は1年2か月の中断を挟み9年間に及んだ。 敦賀2号機は2011年5月以来、停止中。一部報道によると、追加調査の期間は2年以上を要するほか、再申請を行う時期も未定となっており、再稼働まで、今後の審査期間を考慮すると停止期間は十数年に及ぶこととなりそうだ。 原電では、審査途原電では、審査途上の2013~14年、旧原子力安全・保安院より引き継がれた敦賀発電所における敷地内破砕帯調査に関し、リスクマネジメントや地質学の専門家からなる2つの国際チームによるピアレビューも実施し、同社の調査について「正当な科学的基盤」があることを主張してきた。同時期、地球物理学分野で権威のある「米国地球物理学連合」も、専門家チームによる論文掲載を通じ、科学的知見に基づき、規制側と事業者側が十分に議論する必要性を述べている。上の2013~14年、敦賀発電所における敷地内破砕帯調査に関し、リスクマネジメントや地質学の専門家からなる2つのレビューチームによるピアレビューも実施し、同社の調査について「正当な科学的基盤」があることを主張してきた。
03 Apr 2025
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原子力規制委員会は3月26日の定例会合で、関西電力高浜発電所と東北電力女川原子力発電所の使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置に関し、原子炉等規制法で規定する許可の基準に「適合が認められる」とする審査書案を了承した。今後、原子力委員会および経済産業相への意見照会とともに、パブリックコメントを経て、正式決定となる運び。 使用済み燃料の乾式貯蔵施設については、東日本大震災発生時、福島第一原子力発電所において、その頑健性が維持されていたことから、規制委員会でも原子力発電所への設置を推奨している。 関西電力では2024年2月、美浜発電所、高浜発電所、大飯発電所の各々構内における使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置計画について、地元の福井県、美浜町、高浜町、おおい町に対し、安全協定に基づく事前了解願を提出。その中で、高浜発電所に関しては、同年3月15日、第1期工事分(2025~27年頃)について規制委員会に申請した。1~4号機共用で、輸送・貯蔵兼用キャスク最大22基(使用済み燃料約240トン分)を貯蔵するもの。これに続き、同年7月には、美浜発電所、大飯発電所についても、使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置計画に係る申請を同委に対し行っている。 一方、東北電力では2024年2月、2号機における使用済み燃料乾式貯蔵施設設置に係る原子炉設置変更について規制委員会に申請。1棟目、2棟目に分かれており、それぞれ貯蔵容器は最大で8基、12基、工事着工は2026年5月、2030年8月、運用開始は2028年3月、2032年6月が見込まれている。 両発電所とも、型式証明を受けた特定兼用キャスクとして、初めてのケースとなることから、各委員とも、審査書案の正式決定に向けて、パブリックコメントを行うことで一致した。
02 Apr 2025
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日本原子力文化財団はこのほど、2024年の10月に実施した「原子力に関する世論調査」の調査結果を発表した。18回目となるこの調査は、原子力に関する世論の動向や情報の受け手の意識を正確に把握することを目的として実施している。なお、同財団のウェブサイトでは、2010年度以降の報告書データを全て公開している。今回の調査で、「原子力発電を増やしていくべきだ」または「東日本大震災以前の原子力発電の状況を維持していくべきだ」と回答した割合は合わせて18.3%となった。一方、「しばらく利用するが、徐々に廃止していくべきだ」との回答が39.8%となり、両者を合わせると原子力の利用に肯定的な意見は過半数(58.1%)を超えた。このことから、現状においては、原子力発電が利用すべき発電方法と認識されていることが確認できる。一方、「わからない」と回答した割合が過去最大の33.1%に達し、10年前から12.5ポイントも増加していることが明らかになった。「わからない」と回答した理由を問うたところ、「どの情報を信じてよいかわからない」が33.5%、「情報が多すぎるので決められない」が27.0%、「情報が足りないので決められない」が25.9%、「考えるのが難しい、面倒くさい、考えたくない」が20.9%となっている。この「わからない」と回答した割合はすべての年代で増加しているが、特に若年世代(24歳以下)の間で増加傾向が高かった。また、同調査は、「原子力やエネルギー、放射線に関する情報源」についても分析を行っている。その結果、若年世代(24歳以下)は、「小・中・高等学校の教員」(27.2%)を主な情報源として挙げており、また、SNSを通じて情報を得る割合が、他の年代と比較して高いことがわかった。原文財団では、若年世代には、学校での情報提供とともに、SNS・インターネット経由で情報を得るための情報体系の整備が重要だと分析している。また、テレビニュースは年代を問わず、日頃の情報源として定着しているが、高齢世代(65歳以上)においても、ここ数年でインターネット関連の回答が増加している。「原子力という言葉を聞いたときに、どのようなイメージを思い浮かべるか」との問いには、「必要」(26.8%)、「役に立つ」(24.8%)との回答が2018年度から安定的に推移している。「今後利用すべきエネルギー」については、2011年以降、再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱)が上位を占めているものの、原子力発電利用の意見は高水準だった2022年の割合を今も維持していることがわかった。再稼働については、「電力の安定供給」「地球温暖化対策」「日本経済への影響」「新規制基準への適合」などの観点から、肯定的な意見が優勢だった。しかし、再稼働推進への国民理解という観点では否定的な意見が多く、再稼働を進めるためには理解促進に向けた取り組みが必要であることが浮き彫りとなった。また、高レベル放射性廃棄物の処分についての認知は全体的に低く、「どの項目も聞いたことがない」と回答した割合が51.9%に上った。4年前と比較しても、多くの項目で認知が低下傾向にあり、原文財団では、国民全体でこの問題を考えていくためにも、同情報をいかに全国へ届けるかが重要だと分析している。
28 Mar 2025
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日本原子力研究開発機構と筑波大学は3月21日、液体が大量の液滴に分裂する現象を3次元で可視化する手法を開発したと発表した。原子炉の事故時に燃料デブリが形成される過程の理解を深め、福島第一原子力発電所の廃炉への貢献や原子炉の安全性向上につながるもの。〈原子力機構他発表資料は こちら〉今回の研究では、原子炉の過酷事故時、炉内の燃料が溶けて下部の冷却材プールに落下した際、大量の細かな液滴に分裂して広がるという現象に着目。溶融燃料や液滴が冷え固まると燃料デブリとなるのだが、特に、プールが浅い場合、溶融燃料がプール床に衝突しながら液滴に分裂するため、非常に複雑な状況で燃料デブリが形成される。つまり、燃料デブリ形成過程の解明は非常に困難となる。原子力機構と筑波大の研究グループは、溶融燃料が液滴へ分裂する現象を研究対象とし、実験や詳細数値シミュレーション手法の開発を推進。溶融燃料と冷却材を模擬した2つの液体を使用し、大量の微小液滴が発生する現象を実験室レベルで再現することに成功した。しかしながら、液滴の量や一つ一つの大きさを計測することまでは実現できていなかった。今回、研究グループでは、レーザー光の制御が可能な「ガルバノスキャナー」と呼ばれる反射鏡を用いた3次元可視化手法「3D-LIF法」を開発。溶融燃料を模擬した液体の3次元形状データを取得し、コンピューター処理することで、液滴一つ一つの大きさや広がる速さを高精度に計測することが可能となった。「3D-LIF法」をプールに適用し実験を行ったところ、液滴は目視では理解できないほど複雑な広がりを見せたが、他の手法も併用することで、異なる2つの液体の速度差や遠心力による「サーフィンパターン」と、重力による「液膜破断パターン」で発生することが明らかとなった。研究グループでは、「3D-LIF法」が微粒子の動き解明につながることから、内燃機関や製薬など、幅広い分野で適用されるよう期待している。
25 Mar 2025
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経済同友会の新浪剛史代表幹事らは3月22日、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所を訪問し、中央制御室、7号機オペレーティングフロア、防潮堤などの安全設備を視察した。〈東京電力発表資料は こちら〉視察後、新浪代表幹事は、「福島第一原子力発電所で発生した問題を、いかにすべて起こらないようにするかの対応がしっかり打たれている。想定される問題について、あらゆる対応がなされていることに、驚きとともに敬意を表したい」と強調。さらに、現場で働く人の意識に関して、「『ワンチームであろう』という努力も相当なものと感じた。そういった意味で、安全面で大変努力し、非常に高いレベルであると感じた」と述べた。経済同友会は2023年12月、「『活・原子力』-私たちの未来のために、原子力活用のあり方を提起する-」を公表。既存炉の再稼働にとどまらず、「中長期的なリプレース・新増設については、安全性の高い革新炉の導入を前提として、既成概念にとらわれずに、新たな規制の整備や立地の選定を行うことが望ましい」との考え方を示している。同会は東日本大震災後、「縮・原発」を提唱。「活・原発」では、2050年カーボンニュートラル実現やエネルギー安全保障の重要性などから、原子力を「活用していく」表現として、見直したものとなっている。新浪代表幹事は、2024年7月の記者会見で、柏崎刈羽原子力発電所により首都圏が受ける電力供給の恩恵に言及。経済団体として、「きちんと『ありがたい』と思う首都圏にしていかなくてはならない」と述べている。原子力規制委員会による審査をクリアした柏崎刈羽6・7号機の再稼働に関しては現在、地元判断が焦点となっている。
25 Mar 2025
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原子力サプライチェーンの維持・強化策について議論する「原子力サプライチェーンシンポジウム」(第3回)が3月10日、都内ホールで開催された。経済産業省資源エネルギー庁が主催し、日本原子力産業協会が共催した。武藤容治経産相の開会挨拶(ビデオメッセージ)、資源エネルギー庁の村瀬佳史長官の基調講演などに続き、「サプライチェーン強化に向けた取組」と題しパネルセッション(ファシリテータ=近藤寛子氏〈マトリクスK代表〉)が行われた。パネルセッションの前半では、三菱重工業、東芝エネルギーシステムズが、革新型軽水炉として、それぞれ取り組む「SRZ-1200」、「iBR」の開発状況を紹介。サプライチェーンとしては、岡野バルブ製造が自社の取組について発表。同社は、高温高圧バルブを90年以上製造している実績を活かし、2023年より次世代革新炉向けのバルブ開発に取り組んでいるという。パネルセッションの後半では、三菱総合研究所と日本製鋼所M&E、日立GEと四国電力がペアとなって発表し議論。それぞれ、次世代炉建設に必要な人材維持に向けた「技能者育成講座」、原子力発電所におけるAI活用の取組について紹介した。これを受け、原産協会の増井秀企理事長は、ものづくりにおける人材確保の重要性をあらためて強調。原産協会が行う就活イベント「原子力産業セミナー」など、学生・次世代層への働きかけを通じ、「多様な人材確保につながれば」と期待した上で、「情報に触れて自分の頭で考える機会を与える」ことの意義も述べた。また、「サプライチェーンの課題を解決するためには、産官学の緊密な連携が必要」とも指摘。引き続き広報・情報発信に努めていく姿勢を示した。増井理事長は、プレゼンの中でリクルートワークス社による労働需給シミュレーションを紹介し、「2040年に1,100万人の働き手不足が生じる」と危惧し、将来的に「人口減・仕事増の矛盾解消策、総合的な対策が必要」と指摘。同シミュレーションによると、2040年の労働人口不足率は、地域別に、東京都はマイナス8.8%と供給過剰の見通しだが、原子力発電所の立地道府県では、新潟県が34.4%と全国的に最も厳しく、女性の就業率が高いとされる島根県では0.9%と、地域間のギャップが顕著となっている。同シンポジウムの初開催(2023年3月)に合わせ設立された「原子力サプライチェーンプラットフォーム」(NSCP)の会員企業は現在、約200社に上っている。パネルセッションの前半と後半の合間に、NSCP参画企業約20社によるポスターセッションが行われた。パネルセッションの締めくくりに際し、行政の立場から、文部科学省原子力課長の有林浩二氏がコメント。業種の枠を越え交流が図られたポスターセッションについては「いかに企業が若い人材を確保することが大変か」との見方を示した上、北海道大学で制作・公開が始まっている誰もが利用可能なオンライン型「オープン教材」の企業内教育における活用などを提案。また、資源エネルギー庁原子力政策課長の吉瀬周作氏は、国際展開の見通しにも言及し「若者に未来を示すことが出発点」、「しっかりと次世代にバトンをつないでいくことが必要」、「新たなチャレンジを」と所感を述べ、産官学のさらなる連携強化の必要性を示唆した。なお、電気業連合会の林欣吾会長は、3月14日の定例記者会見で、今回のシンポジウムに関し、先に決定されたエネルギー基本計画にも鑑み「サプライチェーンの維持には、事業予見性の向上はもとより、技術・人材を維持する観点から、国が具体的な開発・建設目標量を掲げることが重要だと考えている」とコメント。さらに、「将来にわたり持続的に原子力を活用していくには、いずれ新増設も必要になると考えている」とも述べている。
24 Mar 2025
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総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=黒﨑健・京都大学複合原子力科学研究所教授)が3月24日、第7次エネルギー基本計画の閣議決定(2月18日)後、初めて開かれた。〈配布資料は こちら〉冒頭、資源エネルギー庁の久米孝・電力・ガス事業部長が挨拶。前回、2024年11月の小委員会以降の国内原子力発電をめぐる動きとして、東北電力女川2号機、中国電力島根2号機の再稼働をあげた。これに続き、原子力政策課が最近の原子力に関する動向を説明。新たなエネルギー基本計画の概要についてもあらためて整理した。今回は、「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(GX脱炭素電源法)に基づく原子力発電の運転期間(電気事業法)に関し議論。同法では、「運転期間は最長で60年に制限する」という従前の枠組みは維持した上で、事業者が予見し難い事由による停止期間に限り、運転期間のカウントから除外する、いわゆる「時計を止める」ことが規定されている。同規定は6月6日に施行となるが、認可要件に係る審査基準の考え方が、資源エネルギー庁より示され、「事業者自らの行為の結果として停止期間が生じたことが客観的に明らかな場合」については、カウント除外の対象には含めないとされた。事例として、柏崎刈羽原子力発電所での核燃料物質移動禁止命令、敦賀発電所2号機の審査における地質調査疑義に伴う停止期間をあげている。委員からは、杉本達治委員(福井県知事)が、立地地域の立場から、原子力政策の明確化を引き続き要望。六ヶ所再処理工場の竣工時期変更に鑑み、核燃料サイクル事業に関し国が責任を持って取り組むよう、具体的枠組みを早急に検討すべきとした。運転期間延長認可について、遠藤典子委員(早稲田大学研究院教授)は、「現在の最大60年という規定は科学的根拠が乏しい」と述べ、主要国における長期運転の動向も見据え、中長期的視点からの制度整備検討を要望。長期運転に関し、同小委員会の革新炉ワーキンググループ座長を務める斉藤拓巳委員(東京大学大学院工学系研究科教授)は、プラントの劣化管理におけるリスク情報の活用などを、小林容子委員(Win-Japan理事)は、規制の観点から、国内では原子炉圧力容器の中性子脆化を調査する監視試験片の数が十分でないことを指摘し、原子力規制委員会の国際アドバイザーの活用を提案。原子力技術に詳しい竹下健二委員長代理(東京科学大学名誉教授)は、学協会の活用、国際組織によるレビューに言及した。新たなエネルギー基本計画に関する意見では、次世代革新炉の開発・設置に取り組む方針が明記されたことに対する評価は概ね良好。一方で、長期的見通しの深掘りなど、不十分な部分を指摘する発言もあった。専門委員として出席した日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、サプライチェーン・技術継承・人材確保の重要性を強調したほか、次世代革新炉の開発に関する事業環境整備の必要性を指摘した。〈発言内容は こちら〉運転期間延長認可の要件に係る審査基準については、今後パブリックコメントに付せられ、成案決定となる運び。
24 Mar 2025
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関西電力は3月14日、大飯発電所1・2号機から発生したクリアランス金属を加工し製作したリサイクルベンチを美浜町の公共施設、発電所のPR施設に設置したと発表した。同社の原子力発電所で発生したクリアランス金属の再利用製品が一般供用の施設に設置されるのは初めてのこと。〈関西電力発表資料は こちら〉大飯1・2号機は、いずれも1979年に運開した100万kW級のPWRだが、新規制基準への適合が困難なことなどから、2017年12月に廃炉が決定。現在、廃止措置が進められている。このほど、リサイクルベンチが設置されたのは、美浜町の公共施設「道の駅若狭美浜」と大飯発電所のPR施設「エルガイアおおい」だ。リサイクルベンチの素材はステンレス製で、寸法は幅約150cm、高さ約40cm、奥行き約45cmで、総重量約230kg中、約188kgのクリアランス金属が使用されている。ベンチの座面は木材で、クリアランス金属の使用箇所はベンチの部分となる。関西電力では、原子力発電所の運転・保守や解体に伴って発生する放射性廃棄物の低減に向けて取り組むとともに、クリアランス制度を活用し循環型社会の形成に貢献していくとしている。
19 Mar 2025
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量子科学技術研究開発機構(QST)と日本電信電話(NTT)は3月17日、核融合エネルギーの実用化に向けて重要なプラズマ閉じ込めに適用するAI予測手法の確立を発表した。QSTとNTTは2020年に連携協力協定を締結。核融合エネルギー開発に関して、QSTは国際プロジェクトとなるITER計画を始め、それを補完する日欧協力「幅広いアプローチ」活動の一つとして、トカマク型実験装置「JT-60SA」(QST那珂研究所)の開発を進めてきた。NTTも総合資源エネルギー調査会に参画し、通信ネットワーク産業の立場から、革新的原子力技術の重要性を訴えてきた。核融合エネルギーの実用化に向けて、プラズマ閉じ込めが重要な技術課題の一つとなっている。今回の発表においても、両者は「計算量の大きな複雑な方程式を解く操作を段階的に行わなくてはならない」と、制御が困難なプラズマ閉じ込めに係る背景として、演算手法を確立することの重要性を強調。こうした背景から「混合専門家モデル」と呼ばれる複雑な状態を評価する新たな手法を開発した。同手法を「JT-60SA」に適用し、プラズマ閉じ込め磁場を評価した結果、従来手法では不可能だった「プラズマの不安定性を回避するために重要となるプラズマ内部の電流や圧力の分布まで、複数の制御量をリアルタイムに制御できる見通し」が得られたという。核融合エネルギーの実現に向けては、ITER計画に続き、発電実証を目指す原型炉開発の検討が文部科学省のワーキンググループで進められているほか、内閣府でも核融合の安全確保の考え方に関しパブリックコメントが行われた。ベンチャー企業を含む産業界の関心も高まりつつある。QSTは、NTTの通信ネットワーク構想「IOWN」を始めとし、先進技術を核融合研究開発に適用しながら、早期実用化に向け取り組んでいくとしている。
18 Mar 2025
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日本原子力研究開発機構(JAEA)は3月13日、資源の有効利用や脱炭素化への貢献が期待される「ウラン蓄電池」を開発したことを明らかにした。〈JAEA発表資料は こちら〉軽水炉(通常の原子力発電所)の燃料となるウランは、核分裂を起こしやすいウラン235が約0.7%、核分裂を起こしにくいウラン238が約99.3%含まれており、燃料集合体に加工して原子炉に装荷する際、核分裂の連鎖反応を持続させるため、ウラン235の割合を3~5%まで濃縮する必要がある。今回の研究開発では、濃縮の工程で発生するウラン235含有率が天然ウランより低い「劣化ウラン」に着目。「劣化ウラン」は、軽水炉の燃料には使用できないため、「燃えないウラン」とも呼ばれる。今回、JAEAは、ウランの化学的特性を利用し資源化を図ることで、再生可能エネルギーの変動調整にも活用できる「ウラン蓄電池」を開発した。原子力化学の技術で資源・エネルギー利用における相乗効果の発揮を目指す考えだ。「劣化ウラン」保管量は日本国内で約16,000トン、世界全体では約160万トンにも上っており、JAEA原子力科学研究所「NXR開発センター」は、資源利用としての潜在的な可能性を展望し、研究開発に本格着手。電池はイオン化傾向の異なる物質が電子をやり取りする酸化還元反応を利用し、電気エネルギーを取り出すのが原理。その電子数(酸化数)が3価から6価までと、幅広く変化する化学的特性を持つウランについては、充電・放電を可能とする物質として有望視され、2000年代初頭「ウラン蓄電池」の概念が提唱されてはいたものの、性能を実証する報告例はなかった。同研究で開発した「ウラン蓄電池」では、負極にウランを、正極に鉄を、いずれも酸化数の変化によって充電・放電を可能とする「活物質」として採用。つまり、蓄電池の充電・放電には、ウランイオンと鉄イオン、それぞれの酸化数の変化を利用するのが特徴。今回、試作した「ウラン蓄電池」の起電力は1.3ボルトで、一般的なアルカリ乾電池1本(1.5ボルト)とそん色なく、実際に、充電後の蓄電池をLEDにつなぐと点灯を確認。電池の分極は電圧降下を来す化学現象だが、試作した蓄電池では、充電・放電を10回繰り返しても性能はほとんど変化しなかったほか、両極とも電解液中に析出物が見られず、安定して充電・放電を繰り返せる可能性が示された。原子力発電に必要なウラン燃料製造に伴い発生したこれまで利用できなかった物質が、別のエネルギー源の効率化につながる「副産物」として活かせる可能性が示されたこととなる。「NXR開発センター」は、「新たな価値を創造し社会に提供する」ことを標榜し、2024年4月に開設された新組織。同センターは3月13日、オリジナルサイトを開設し、研究成果の発信に努めている。
17 Mar 2025
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政府の原子力災害対策本部は3月7日、飯舘村・葛尾村に設定された帰還困難区域の一部を、3月31日午前9時に解除することを決定した。原子力災害に伴う避難指示の解除は、富岡町の一部地域における2023年11月以来のこと。帰還困難区域について、線量の低下状況も踏まえ避難指示を解除し居住を可能とする「特定復興再生拠点区域」が6町村に設定されていた。 「特定復興再生拠点区域」の避難指示解除が完了したのに続き、今回の飯舘村・葛尾村における解除は、原子力災害対策本部が2020年12月に決定した「特定復興再生拠点区域外の土地活用に向けた避難指示解除」に基づくもの。帰還・居住に向けた避難指示解除とは異なり、住民が日常生活を営むことが想定されない事業用の土地活用が主目的。飯舘村については堆肥製造施設用地および周辺農地(イイタテバイオテック社)、葛尾村については葛尾風力・阿武隈風力発電事業用地(葛尾風力社・福島復興風力社)の用地がそれぞれ対象。飯舘村の施設では、脱水汚泥や畜糞などを乾燥させ堆肥原料を製造。乾燥のための燃料として、重油に加え、資源作物とされるソルガムを栽培し活用する。葛尾風力発電所では村内に3,200kWの発電機を5基、阿武隈風力発電所では4自治体を跨いで同規模の発電機を46基設置。風力発電機は、良好な風を受ける阿武隈山地の稜線に設置し、観光拠点として展望エリアも整備する計画だ。
13 Mar 2025
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日本原子力研究開発機構はこのほど、福島第一原子力発電所の廃炉作業の加速化に資するアルファ線検出器を開発した〈原子力機構発表資料は こちら〉同機構福島廃炉安全工学研究所によるもの。福島第一原子力発電所の廃炉作業では、アルファ核種を含むダスト(アルファダスト)による内部被ばく評価が重要とされるが、従来の測定器では、全体の放射能量しか測れず迅速な評価が困難だった。同研究所の環境モニタリンググループは、ガラス研磨剤などに用いられるセリウムを用いた従来の約8倍の精度を有する「YAP Ce(セリウム)シンチレータ」を開発し、国内では困難なアルファダストの実試料を用いた性能確認試験を、米国エネルギー省(DOE)のサバンナリバ―国立研究所(SRNL)の協力で実施。現地でエネルギーレベルの異なる2種類のアルファ線核種として、プルトニウム238、ネプツニウム237を含む酸化物粒子のサンプルを用いた試験を実施した結果、いずれも現場でリアルタイムに識別測定できることが実証された。研究グループでは、新たな検出器が迅速にアルファ線をイメージングできることから、医療分野での応用にも期待を寄せている。
13 Mar 2025
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