
海外NEWS
04 Sep 2026
172

オランダ 米仏企業と大型炉新設に向けて調査契約締結
国内NEWS
04 Sep 2026
247

規制委 技術系の高齢化に対応 採用含む人事戦略を策定
海外NEWS
03 Sep 2026
362

仏政府 グラブリーヌのEPR2建設準備工事を認可
国内NEWS
03 Sep 2026
468

規制委 運転中保全の計画的実施へ審査基準改正案
国内NEWS
03 Sep 2026
468

東京電力 福島県双葉町に廃炉訓練施設と分析施設を開設へ
海外NEWS
02 Sep 2026
625

米スタートアップ 原子力産業向けAIアシスタントを全面展開へ
国内NEWS
02 Sep 2026
593

美浜3号機 10月営業運転再開へ
国内NEWS
02 Sep 2026
387

泊発電所 雑固体廃棄物処理施設建設へ事前協議申し入れ

オランダで原子力発電所の新設準備を担う国有企業NEO NLは8月25日、フランス電力(EDF)、米ウェスチングハウス(WE)社と、新規原子力発電プラント2基の建設に向けた基本設計(FEED 1)調査契約をそれぞれ締結したことを明らかにした。両社は今夏以降、オランダでの新規建設を具体化するための設計作業を開始する。オランダ政府は今年2月、2基の新設を担う国有企業「NEO NL(Nuclear Energy Organisation Netherlands)」を設立した。NEO NLは、政府の方針や立地決定に基づき、新設2基の許認可から建設、運転、最終的な廃止措置までを担う実施主体。同2基は、それぞれ少なくとも100万kWeの設備容量を持ち、同一地点に建設される。今夏以降、気候・グリーン成長相と住宅・空間計画相が共同で優先立地の決定案を策定する予定で、NEO NLはその間、ベンダーの選定に向けた準備を進める。FEED 1は2段階で実施。まず「FEED 1a」では、建設地点がまだ正式に決定していないことから、立地条件に左右されない設計・技術面の検討を進める。政府による優先立地の決定案策定後、「FEED 1b」に移行し、候補地の条件を反映した検討を行う。これにより、政府の立地選定と並行して準備作業を進めることが可能になる。FEED 1では、両社がそれぞれ提案する第3世代+(プラス)炉について、オランダの建設規則、原子力安全規制、許認可要件、技術基準、工程などへの適合性を詳細に検証する。また、早い段階でリスクや重点的に対応すべき事項を洗い出すとともに、将来の発電所所有者とベンダーの責任範囲についても整理。期間は12~18か月程度と見込む。今回の契約により、両社は今後の入札に向け、より精度の高い提案を行うための準備を進めることができる。これにより、将来の建設費の予見性を高め、事業リスクの低減につながることが期待される。なおFEED 1は、オランダ政府が以前、米WE社、仏EDF、韓国水力・原子力(KHNP)の協力を得て実施した実現可能性調査(F/S)に基づいている。F/Sでは各社の原子炉設計が同国への導入に適しているかを評価したのに対し、FEED 1では法令や規制要件への適合性など、設計についてさらに詳細な評価を行う次段階のもの。オランダ政府は、原子力を2040年までに炭素排出ネットゼロを達成するための主要なエネルギー源に位置づけており、2021年12月に発足した連立政権が連立合意文書に原子力発電所の新設を明記するなど、原子力を段階的に縮小する従来の方針を転換。2022年12月には、新規大型炉の建設地として同国ゼーラント州で唯一運転中のボルセラ原子力発電所(PWR, 51.2万kWe)サイトが最適との見解を示していた。政府は2023年12月、KHNP、WE社、EDFとボルセラ・サイトにおける2基の新規建設の技術的可能性、安全性、環境影響、コストと時間の詳細な見積りを含む、F/Sの実施について契約。2024年にF/Sは完了したが、KHNPは以後の選定プロセスからは撤退している。なお、優先候補地とされたボルセラだけでは環境影響評価の手続き上、法的に持続可能な立地決定にならず、今年2月の時点で、ボルセラ・サイトを含むスロー地域に加え、フローニンゲン州のエームスハヴェン、ロッテルダム港のマースフラクテII、ゼーラント州のテルネーゼンの4地域の7か所がサイト候補に挙がり、安全・環境面を含めた総合評価が実施された。その結果、以下の2地域3地点に候補が絞り込まれた。ゼーラント州: テルネーゼン(Terneuzen)のMosselbanken/Paulinapolder フローニンゲン州: エームスハヴェン(Eemshaven)のEmmapolderとEemscentrale政府は今年末には、テルネーゼンとエームスハヴェンのいずれかを選定する予定である。政府は最大4基の大型炉の新設を計画し、最初の2基は早ければ2030年代末までに稼働させたい考え。追加2基については2028年頃には建設方針を決定する一方、別途、小型モジュール炉(SMR)の導入の可能性についても、並行して検討していくとしている。
04 Sep 2026
172

仏政府は8月20日付の政令で、フランス電力(EDF)に同国北部にあるグラブリーヌ原子力発電所(PWR, 95.1万kW×6基)において2基の改良型欧州加圧水型炉(EPR2, 165万kWe)の建設準備工事に必要な環境許可を発給した。これにより、EDFはサイト整備や地盤補強工事を段階的に進めることができるようになる。なお、原子炉の建設許可そのものではなく、核物質を扱う施設や原子力安全に関わる設備の建設は対象外。2023年6月の「原子力推進法」に基づき、環境許可の取得後には特定の土木工事や付帯施設の建設を開始することができるようになった。具体的には、敷地造成・土工、地盤改良、建設用設備の整備、鉄道設備の移設、取水路の建設、初期の土木工事など。保護対象の動植物種の移送や水管理、自然生息地の保全、公害対策、建設現場の環境モニタリングなどの環境対策も講じる必要がある。環境許可の取得により、原子炉建設に必要な全ての手続きが完了するのを待たずに、長期を要する複雑な準備工事に着手できる利点がある。グラブリーヌ・サイトに建設される2基のEPR2は、EDFの6基の新設計画の2組目となり、同サイトで既に稼働している6基の90万kW級の原子炉を補完するものとなる。1組目はパンリー発電所(PWR, 138.2万kW×2基)に、3組目はビュジェイ発電所(PWR, 90万kW級×4基)に建設される。なお、2025年12月に明らかにされたEPR2計6基の建設費用の見積額は合計728億ユーロ(2020年価値)。■グラブリーヌの基礎工事における課題グラブリーヌ・サイトでは、敷地整備が特に重要な課題となっている。この敷地は海から埋め立てられた干拓地に位置しており、厚い砂層と粘土層、地表に近い地下水位が特徴。巨大で重量の大きいEPR2を建設すると地盤が不均一に沈下・変形し、建物や配管などの安定性を損なう恐れがある。地盤改良をしなければ、EPR2では約50~80センチの沈下が起こる可能性があると予測されている。既存の90万kW級原子炉6基でも25~30センチ程度の沈下が確認されているが、EPR2は場所によって従来炉の約2倍の重量があるため、より厳しい対策が必要になる。EDFは当初、地中に鉄筋コンクリート製の柱を多数設置し、さらに土と固化材を混ぜて地盤を硬くする方法を検討していた。しかし、仏原子力安全・放射線防護局(ASNR)は、その規模は前例がなく、十分な施工実績もないと懸念を表明。より実績のある技術の使用に加え、補強システムの有効性、地震荷重下での動的挙動、および追加の地盤工学試験・調査の結果について、さらなる根拠を示すように求めた。そこでEDFは設計を見直し、長さ約50mの鉄筋コンクリート製の柱を約2,000本、重量の大きい建物の下に配置し、建物の基礎に直接つなぐのではなく、その間に十分に締め固めた粒状充填材の厚い層を挟む方法を提案。この層によって建物の重さを柱と地盤に分散させ、局所的に影響が集中するのを防ぐ仕組みである。さらに、地震の際に砂地の「液状化」を防ぐため、建物の下にある約15mの砂層を取り除き、液状化しにくい材料に置き換える計画だ。フランス技術アカデミーは、この新たな方法について、基本的な考え方は妥当で、特に大型液化天然ガス(LNG)タンクの建設において国際的な施工経験の実績もあるとし、「頑健な(robust)」設計だと評価。一方で、地下水位より深い場所を掘削する難しさや、塩分を含む地下水に100年間さらされるコンクリート製の柱の耐久性など、今後注意すべき課題も指摘した。さらに同アカデミーは、建設後に基礎を直接見ることができなくても、センサーとデジタル技術によって沈下や劣化の兆候を長期間監視できるように、建設段階から光ファイバーセンサーや腐食を調べるセンサーを組込み、「デジタルツイン(仮想モデル)」から実際の建物の挙動をセンサーで常時把握し、設計時予測と比較する仕組みを推奨した。ASNRはこの新しい地盤対策について、EPR2の設置許可申請(DAC)審査の中で2026年秋に意見を示す予定となっている。DACは今年6月に実施されている。■パンリー・サイトでは準備工事が進行中同国北部にあるパンリ―・サイトでは、EPR2初号機の準備工事が2024年夏に始まり、2026年初めには1,000人以上が現場で作業している。1990年代に中止されたN4原子炉プロジェクトの旧基礎を解体し、崖の形状を整えるために100万㎥以上の白亜(石灰岩)を掘削して崖を整形するほか、海側への拡張工事も進む。準備工事は2028年初めまで続き、その後、土木工事および電気機械設備の設置が開始される。DACは2023年6月に実施済みであり、環境許可を2024年6月に取得している。
03 Sep 2026
362

米国のAI開発企業Atomic Canyon社は8月18日、原子力産業向けAIアシスタント「NIVA(Nuclear Industry Virtual Assistant)」を、北米の商業用原子力発電所向けに全面展開すると発表した。NIVAは、米国原子力発電運転協会(INPO)、電力研究所(EPRI)、原子力エネルギー協会(NEI)と共同開発したもので、これらの組織に加盟する商業用原子力発電所が利用できる。約6か月間の試験運用を終え、原子力発電所に蓄積された膨大な技術、規制、運転情報をAIで検索・整理し、現場の専門家が必要な知識に迅速にアクセスできる仕組みが、実証段階から本格運用の段階に入った。NIVAでは、「Knowledge Assistant」と「Operating Experience(OE)Assistant」の2機能を提供。「Knowledge Assistant」は、利用者が自然な言葉で質問すると、原子力規制委員会(NRC)の規制指針やNEIのガイダンス、INPOの基準、EPRIの技術報告書などを根拠として回答を生成し、回答中に出典を示す。もう一つの「OE Assistant」は、単純なキーワード検索ではなく、質問の意味や文脈を分析して関連する過去の運転経験を抽出し、その内容についてさらに掘り下げて質問することができる。技術的な問題への対応を支援する「Troubleshooting」機能も開発中で、2026年後半の試験運用を予定している。NIVAの技術基盤となるのが、Atomic Canyon社のAIプラットフォーム「Neutron」と、原子力分野に特化したAIモデル「FERMI」。Neutronは、許認可根拠、運転手順、保守履歴、エンジニアリング記録などとAIをつなぐ役目を担う。FERMIはオークリッジ国立研究所(ORNL)とスーパーコンピューター「Frontier」を活用して共同開発され、5,300万ページを超えるNRCの規制関連データを学習。原子力特有の用語や略語、文脈を理解するとともに、回答を実際の記録に紐付け、専門家が検証できる仕組みを採用している。先行導入企業には、米国最大級の原子力事業者であるコンステレーション社も含まれる。同社が所有する12の原子力発電所でNIVAを6か月間試験運用し、今後も業務強化や知識継承、効率向上に活用する方針だ。Atomic Canyon社は今回の全面展開と同時に、NVIDIA社、ベンチャーキャピタルのPlug and Play Ventures社、米資産運用会社バンガード社のT. バックリー元CEOらから新たな資金を調達した。NIVAの全面展開により、原子力産業が長年蓄積してきた知識をAI検索で共有し、運転・保守、人材育成の効率化につながることが期待されている。
02 Sep 2026
625

海洋分野の原子力利用プロジェクトを進める英国のコアパワー社は8月24日、米国ワシントンD.C.で米運輸省海事局(MARAD)と協力覚書(MOC)を締結した。米国籍の原子力商船の実用化に向け、商業、産業、規制面での取組みを加速することが目的で、連邦機関と民間企業の協力としては初。同社は準備が整えば、2028年にも米国で原子力推進商船の初建造開始をめざしている。本MOCは、米政府主催で8月26日~27日にワシントンD.C.で開催された「海洋分野における原子力技術の応用(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea, ATLAS)」発足に向けたIAEA閣僚級会合に先立って締結された。米トランプ政権は2026年2月、「海事行動計画」を公表。米国の海洋分野の衰退を食い止め、民間投資を動員し、経済および国家安全保障の要と位置づける 海事産業の再建と米国の造船能力の強化をめざしている。こうした中、小型モジュール炉(SMR)などの先進炉を活用した原子力推進は、商業海運の復興の一翼を担う重要な存在になると期待されている。原子力推進船舶は、長期間の連続航行が可能で、従来の舶用燃料への依存を減らし、推進時の炭素排出がないことが利点とされる。原子力商船の活用は重大な商業的機会である一方で、安全かつセキュリティを確保し、投資可能な環境を整備する必要がある。両者は今回のMOC締結を受け、政府、産業界、その他利害関係者が、規制承認、港湾運営、労働力の資格認定、燃料およびライフサイクルサービス、保険・資金調達、建造・運用面での産業側の能力、連邦政府による将来的な需要創出の仕組みなどについて協議する場を設ける。こうした取組みを通じて不確実性を低減し、船舶、造船所、関連インフラへの民間投資が可能な環境を整備していく方針だ。コアパワー社のM. ボー氏CEOは、中国が世界の商用造船市場を席巻し、原子力推進の商船開発も積極的に進めるなか、戦略的な対応が急務となっていると指摘。同社は、米国の70年にわたる海軍での原子力運用実績と次世代の原子力専門知識を活用し、米国内に原子炉の搭載、初期燃料装荷、試験、試運転、燃料交換・取出しなどを担う専用の「原子力統合・ライフサイクル造船所」の整備を計画している。船体の建造は通常の商業造船所や世界トップレベルの造船能力を有する日本や韓国などの同盟国が担い、米国内の専用造船所では、原子力関連の工程・保守に必要な専門能力を重点的に構築することを想定している。原子力商船の就航を支援すると同時に、原子力資格を有する人材、サプライヤー、重工業の生産能力を拡大し、米国の海事産業基盤の強化につなげたい考えだ。さらに、コアパワー社は8月19日、米テキサス州のコーパスクリスティ港湾局と同港の「海事原子力対応能力(maritime nuclear readiness)」を調査するMOCを締結。調査では、同港に浮体式原子力発電所を設置し、港湾や周辺地域に安定した電力を供給する拠点として活用することや、将来の原子力商船の寄港地とする可能性を検討する。これとは別に、MARADも同日の8月19日にコーパスクリスティ港湾局とMOCを締結した。SMR技術の統合、耐障害性の高い港湾マイクログリッド、陸上電源システム、次世代船舶推進システムに対応可能なインフラ、人材育成などを検討し、海洋エネルギーシステムの発展に向けた取組みを共同で進めていく。同港は米国最大の石油輸出港であり、国内有数の液化天然ガス輸出拠点でもある。本協力は、今年7月のカリフォルニア州ロングビーチ港湾局とのMOC締結に続くもの。MARADは2026年5月、海上輸送システムへのSMR導入支援について業界から意見を募った情報提供要請(RFI)を実施しており、今回の協力もこれを受けたものである。米国では海運・造船の再建政策に加え、国際海事機関(IMO)が掲げる2050年頃までの国際海運の温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロ目標や、SMRなどの先進炉開発の進展を背景に、原子力船の実用化に向けた動きが活発化している。こうしたなか、IAEAを中心とするATLASが、海洋における民生用原子力利用を国際的な規制・制度面から支える構図が形成されつつある。
01 Sep 2026
517

国際原子力機関(IAEA)は8月26日、民間船舶や浮体式原子力発電所への小型モジュール炉(SMR)などの原子力技術利用を安全・セキュリティ・平和利用の観点から国際的に支援する新たな枠組み「海洋分野における原子力技術の応用(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea, ATLAS)」イニシアチブを立上げた。ATLASは、特定の原子炉を開発・導入するプロジェクトではなく、原子力推進船舶や浮体式原子力発電所を商用化するための国際的な安全・規制・制度面の土台づくりを目的とした、原子力分野と海運分野を国際的に結びつける初の協調的な取組みである。米政府がワシントンD.C.で主催したIAEA閣僚級会合(8月26日~27日)でATLASイニシアチブが発表された。同会合には50か国以上から政府、規制当局、原子力・海運業界、港湾関係者など約600名が参加。28か国((アルゼンチン、バングラデシュ、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、ドミニカ、エクアドル、フィンランド、フランス、ギリシャ、インド、イタリア、日本、韓国、マルタ、オランダ、ノルウェー、パラグアイ、ポーランド、ルーマニア、サウジアラビア、シンガポール、スロベニア、トルコ、UAE、英国、米国))が共同声明に参加した。原子力の海洋用途を現実化するには、国際的な原子力・海事コミュニティが協力し、原子力技術の安全かつ確実な導入を確保、海上における民生用原子力利用に対する保障措置の効果的かつ効率的な実施の強化が不可欠。そのためIAEAは今後、運営委員会のほか、各国や産業界などからなる6つの専門プロジェクトグループを設置し、原子力安全、核セキュリティ、保障措置、規制などを検討する。特に、原子炉を船舶や海上施設に搭載する場合に必要となる国際的なルールや規制、港湾インフラ、責任分担など、陸上の原子力発電所とは異なる実務上の課題への対応を進めていくとしている。IAEAは、1962年に運転を開始した世界初の民間原子力貨物船「NSサバンナ」から60年以上を経て、次世代の民間海洋原子力利用に向けた国際的なルール作りを本格化させる方針。ATLAS発足の背景には、世界の貿易の約80%を海上輸送が担い、海上貿易が年間約2%拡大する一方で、長距離輸送のエネルギー安全保障や脱炭素化が課題となっていることがある。特にSMRなどの先進炉は海洋用途において安全かつ実現可能な選択肢となり得る。頻繁な燃料補給を必要としない高速海上輸送を可能とし、コンテナ船、バルク船、タンカー、クルーズ船、砕氷船、オフショア支援船などへの利用が期待されている。また、浮体式原子力発電所は、送電網などのインフラが整っていない沿岸・遠隔地の産業に、電力、熱、淡水、非常用電源などを供給する用途も見込まれる。IAEAは設計、燃料、海洋工学の進展により、一部の原子力推進船舶は2030年代にも導入可能になると予測している。IAEAのリーダーシップの下、ATLAS参加国や産業界の間で海事分野における革新的な民生用原子力技術の開発と導入が促進され、あらゆる活動が最高水準の原子力安全、核セキュリティ、および不拡散に根差した協力の継続が期待されている。
31 Aug 2026
701

ウラン濃縮事業者のウレンコUSA社は8月18日、米ニューメキシコ州ユーニスにある濃縮施設の増設工事の起工式を開催した。米エネルギー省のC. ライト長官も出席した。 同社は今年6月、米国唯一の商業規模のウラン濃縮施設の能力を約50%拡張すると発表しており、新たに遠心分離機のカスケード24基を設置し、年間2,100tSWUの濃縮能力を追加する。最初のカスケードは2032年から順次稼働し、2036年まで段階的に増設する計画である。 既存の濃縮プラントの生産能力は4,300tSWU/年で、米国の濃縮ウラン需要の約1/3を占める。現在、700tSWU/年の拡張工事も進行中で、2027年に完了予定。今回の拡張工事と併せると、2030年代には生産能力が7,000tSWU/年以上となる見込みである。建設ピーク時には300~600名、操業段階では約70名の新たな雇用創出が予想されている。 今回の増設計画により、ウレンコUSA社の投資総額は80億ドルを大幅に超える見込み。同社は、原子力発電の拡大に伴う米国内の低濃縮ウラン(LEU)需要に対応し、国内原子燃料サプライチェーンとエネルギー安全保障の強化に貢献していく考えだ。
31 Aug 2026
437

シンガポール貿易産業省(MTI)と中国国家原子能機構(CAEA)は8月17日、中国・北京で原子力技術の平和利用に関する協力覚書を締結した。MTIのS. タン・エネルギー・科学技術担当大臣とCAEAのZ. シャン主任の立会いの下、A. リー・エネルギー・貿易担当事務次官と J. リウ副主任が覚書に署名した。MTIは同覚書締結を、最近の米国、フランス、韓国を含む様々な国際パートナーとの協力と同様、原子力導入の可能性について客観的かつ技術的な評価を行うための自国の能力構築を支援するものと位置付ける。今回、中国と締結した覚書では、能力構築パートナーシップの対象となる主要分野として、原子炉技術の安全性および技術的評価人材育成および専門家の相互訪問市民への啓発、広報、および関与活動原子力安全、保障措置、および核セキュリティー原子力技術の応用を掲げている。シンガポールは、これら海外関係機関との協力による能力構築の取組みを2027年に予定されている国際原子力機関(IAEA)の「統合原子力基盤レビュー(INIR)」フェーズ1ミッションへの準備にも活かす方針である。INIRフェーズ1ミッションでは、将来的な原子力発電導入について「十分な情報に基づいて意思決定できる能力」が国内に整備されているか、能力構築の取組みが正しい方向に進んでいるかを確認するためIAEA専門家が評価する。同ミッションは、原子力導入を決定するための手続きではなく、シンガポールは原子力分野の人材・制度・技術基盤の整備状況を国際的な基準で確認したい考え。国際的に認められた評価フレームワークであるIAEAのマイルストーン・アプローチに基づき、原子力安全規制、放射性廃棄物管理、緊急時対応など19の分野にわたり包括的な評価を受ける。フェーズ1の完了後、安全性、信頼性、経済性、環境の持続可能性を慎重に考慮し、実際に導入を進める場合には、フェーズ2で建設入札を進める準備状況、フェーズ3で初号機を安全に運転できる準備状況についての評価となる。シンガポールが原子力を検討する背景には、電力の約95%を輸入天然ガスに依存し、国土が狭く再生可能エネルギーの拡大余地も限られていること、2050年ネットゼロに向けて安定した低炭素電源が必要なことがある。特に、小型モジュール炉や安全機能が強化された先進炉に注目している。2012年にも原子力導入の技術的可能性が調査されたが、当時の利用可能な原子力技術は同国での展開に適していないと結論付けられた。以後、シンガポールは将来の原子力の技術進歩に備えて能力強化をめざし、IAEAが原子力発電プログラムを確立するために必要とする19の主要分野の能力構築に取組んできている。
28 Aug 2026
460

米先進炉開発事業者のテラパワー社は8月14日、韓国ソウルで、韓国の現代E&C(現代建設)社およびSKイノベーション社と、先進炉「Natrium」の米国や韓国、一部海外市場での開発・商用化に向けた協力で合意。テラパワー社は、自社の先進原子力技術と韓国企業の原子力建設・運転の経験を組合わせ、Natrium炉の世界展開を加速させる方針である。Natrium炉は34.5万kWeのナトリウム冷却高速炉で、熔融塩蓄熱により一時的に最大50万kWeまで出力を高めることが可能。テラパワー社は今年3月、米原子力規制委員会(NRC)からワイオミング州ケンメラーにおける初号機の建設許可を取得し、翌4月から建設を開始しており、2030年に完成予定。同社はNatrium炉の商業展開も視野に入れ、今年1月にはIT大手のMeta社と、米国内で最大8基のNatrium炉を建設する商業契約を締結。早ければ2032年までに2基の供給に向けてMeta社が初期開発を資金面で支援し、さらに2035年までに最大6基の追加導入で合意している。2月には、英国における包括的設計審査(GDA)が開始されている。今回、現代E&C社とは、Natrium炉の商業展開を支援する枠組み協力で合意。現代E&C社を設計・調達・建設(EPC)の請負業者として選定し、最大8基の建設に向け、工期・価格・性能保証面で協力する。本提携により、コストの合理化、設計・建設効率の向上、グローバルなサプライチェーンを強化してNatrium炉の導入を加速し、米国および選定された国際市場へNatrium炉を展開する考え。加えて、テラパワー社はSKイノベーション社と韓国初となるNatrium炉の導入および国際的な事業拡大に向けて基本合意書を締結した。運用と保守の最適化のため、デジタルツイン技術やAIを含むエンジニアリング・デジタル技術面での協力を検討する。さらに、同日の8月14日、テラパワー社は斗山エナビリティ社とNatrium炉の主要機器製造契約を締結した。ケンメラーで建設中の初号機向けに、炉心バレル、原子炉容器ガードベッセル、炉内構造物を製造する。両社は2024年12月から製造可能性の検討を進め、設計改良を重ねて製造発注が可能な段階まで成熟度を高めてきた。
26 Aug 2026
555

米原子力エネルギー協会(NEI)と米原子力学会(ANS)が共催する「Nuclear Energy Conference & Expo(NECX)」が8月24日、米テキサス州ダラスで開幕した。27日までの4日間の日程で、1800人を超える原子力関係者が参加しており、米国原子力産業の活況を映す大会となっている。25日の開会セッションでは、NEI理事会議長を務めるエンタジーのD. マーシュ会長兼CEOの開会挨拶に続き、米原子力規制委員会(NRC)のH. ニー委員長が登壇した。ニー委員長は約15分間にわたり、NRCが進める規制改革について説明。「もはや原子力を導入できるかどうかではなく、いかに早く、大規模に展開するかが課題だ。NRCはその実現を支える規制機関へと変革していく」と述べ、原子力発電の大幅な拡大を見据えて規制のあり方を変えていく考えを強調した。続いて、米国の主要電力会社で原子力部門を率いる幹部らによるパネルセッションが行われた。既設原子力発電所の最大活用に加え、新規建設に向けた投資の促進、サプライチェーンの強化、人材の確保など、今後の原子力発電拡大に向けて産業界が直面する課題が幅広く共有された。NEIのJ. コーテック上級副理事長は本紙の取材に対し、「今年のNECXには1800人以上が参加し、昨年から500人規模で増えた。これは現在の米国原子力産業界のモメンタムを表すものだと受け止めている」と指摘。「この機会を生かし、産業界の動きがさらに活性化していくことを期待している」と語った。
26 Aug 2026
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ハンガリー政府は8月23日、記録的な熱波に伴うドナウ川の低水位により運転制限を実施していた同国のパクシュ原子力発電所(ロシア製PWR=VVER-440、各50万kWe級×4基構成)について、同26日に全基を運転再開する見通しを示した。ドナウ川の記録的な低水位によって冷却水の取水が難しくなり、7月末から出力制限や運転停止を実施していたが、川底堰の建設やバージの設置に加え、上流での降雨によって水位が上昇し、運転再開の見通しが立った。パクシュ発電所は同国唯一の原子力発電所で、1983~87年に運転を開始し、ハンガリーの総発電電力量の約45%を供給している。8月2日時点で同2号機を除く全基が運転を停止、2号機は50%出力で運転を継続していたが、8月10日には水位の上昇を受け、定格出力に復帰した。一方で、政府は8月12日、事態の悪化に備え、長期的な対策として発電所前の川床に堰を建設するほか、緊急措置として全長80m、幅10m、深さ3mのバージ2隻を沈め、局所的に水位を引き上げることを決定していた。本事業の推定費用は総額61億フォリント(約30億円)。なお、パクシュ発電所の運転停止に伴う電力輸入による経済的損失は毎月少なくとも500億フォリント(約250億円)に達するという。翌13日には、川底堰の建設に向け、軍を動員して両岸から約14.5万m³の石材を投入する計画が示された。完成まで約30日を見込み、低水位時にパクシュ発電所付近の水位を少なくとも約50cm引上げることを目指している。バージの沈降や川底堰の建設に加え、ドナウ川支流の水門の開放、ドイツとオーストリア上流域での降雨による増水もあり、20日には水位が約15cm上昇。これにより、運転中の2号機の停止は不要となったほか、22日には3号機、23日には1号機が稼働を開始。8基の冷水ポンプのうち7基も稼働を再開した。P. マジャル首相は23日のパクシュ発電所での記者会見において、26日には全4基の定格出力での運転に復帰できるとの見通しを示した。また同首相は、記録的な干ばつとドナウ川の低水位を受け、今秋にも気候危機の影響から守るための気候法、水資源管理法、エネルギー管理法案を議会に提出する考えを示した。水資源確保のための貯水施設の建設などを検討していくとしている。隣国のルーマニアでは、同国唯一の原子力発電所であるチェルナボーダ発電所(CANDU6, 70万kW級×2基)においても取水するドナウ川の水位低下を受け、冷却ポンプを保護するための予防的措置として、1号機が7月28日に運転を停止。2号機の運転継続に向け、発電所の集水域に水を誘導するため、8月3日にはルーマニア海軍が発電所周辺の川底の岩盤を爆破。さらに、バージを沈めるなどの対策を講じたが、水位は安全基準を下回り、2号機も8月13日に運転を停止した。同国の原子力シェアは約20%。政府は不足する電力を補うため、国内の利用可能な発電設備を最大限活用し、輸入電力への依存を抑える措置を実施。今後10日間の電力需要や気象予測などをふまえ、両機停止による供給不足は既存の発電設備で補えるとの見通しを示している。一方で冷却水を確保するため、8月22日に国家緊急事態委員会が緊急措置を決定した。川床浚渫や取水地点に水を導く堤の設置に加え、オルト川のダムから5日間、平均50m³/秒の追加放流、必要に応じて大容量ポンプやドナウ・黒海運河からの放水を活用する。また、ブルガリアのコズロドイ原子力発電所では7月以降、ドナウ川の記録的な低水位でも独自の陸上揚水ポンプにより必要な水量を確保し、5-6号機(VVER-1000、各104.0万kWe)の運転を継続してきたが、水位予報が引き続き下降傾向を示す中、8月21日から5号機の出力を予防措置として約12万kWe低下させている。52年に及ぶ同発電所の運転史上初めての措置であるという。
25 Aug 2026
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インド政府は8月14日、2025年12月に成立した「インドの変革にむけた原子力の持続可能な利用と発展に関する法律」(SHANTI法)を実施するための施行規則(Rules)と規制(Regulations)案を公表し、パブリックコメントを開始した。今回のパブコメに付された規則・規制案はSHANTI法を実際に運用するための具体的な枠組みとなるもので、実際の原子力発電所建設につなげるための重要な制度整備となる。コメントの提出期限は9月4日。SHANTI法は、インドのクリーンエネルギー移行と2047年までに1億kWeの原子力発電設備容量を達成するという長期目標の実現に向けて、原子力分野を規定する法律の近代化を目的に制定された。1962年原子力法と2010年原子力損害民事責任法(CLNDA)に代わるものとして、原子力発電へ民間・外国企業の限定的な参入を初めて可能にし、従来の原子力関連法を一本化したもの。規則案では、原子力発電所の建設、所有、運転、廃止措置までを一つの「包括的ライセンス」で認可する制度を導入し、許認可手続きを簡素化する。アルミニウムやセメントなどのエネルギー集約型産業、データセンター、半導体製造向けの自家発電も対象とする。また、事業者がサイトや炉型を最終決定する前に「原則承認」を取得し、ベンダーとの交渉や土地・インフラ取得を進められる仕組みを設ける。外国製原子炉も原産国の規制当局で承認された設計・運転実績を一定の条件として導入を認める。さらに、事業者に対して原子力損害賠償に備えた保険や金融保証を求め、使用済み燃料の搬出までその維持を求める。SHANTI法は、規制監督のもとで限定的な民間の原子力分野への参加を認めており、原子力規制委員会(AERB)に法的権限を与えることで規制を強化。そのため、規制案では、原子力施設の設計、建設、試運転、運転、廃止措置など、ライフサイクル全体にわたる安全規制を具体化。設計段階では安全解析や設計審査、建設段階では品質保証や検査、試運転・運転段階では設備の性能確認や運転管理など、各段階で満たすべき安全要件を定める。また、原子力施設の立地、放射線防護、緊急時対応、放射性廃棄物管理、使用済み燃料管理、廃止措置、核セキュリティなども規制対象。AERBには、検査や試験・製造施設への立ち入り、必要に応じた是正措置を行う権限を付与し、施設の安全確保を継続的に監督する枠組みを整備する。
25 Aug 2026
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米国の原子力プロジェクト開発企業ブルー・エナジー社は8月13日、テキサス州ビクトリアで計画する「ガス+原子力」発電所の建設に向け、GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社と協力の次段階に進むことで合意した。GVH社製7HAガスタービンと小型モジュール炉(SMR)の「BWRX-300」(BWR, 30万kWe)を組合わせ、合計出力250万kWeの発電所となる。今年5月に発表された両者が提携して進めるハイブリッドの発電モデルの基本構想を次段階に進め、エンジニアリング設計、許認可、安全解析を本格化させ、2027年の最終投資決定(FID)を目指す。同プロジェクトでは、ガス火力を先行させ、原子力を段階的に追加。2030年に7HA.02ガスタービン2基、計約100万kWeの電力を近隣のデータセンターに供給し、2032年にはBWRX-300を最大5基、計150万kWeを追加導入する。AIや先端産業の拡大に伴い急増する米国の電力需要に対し、短期間で電力供給を開始できるガス火力と長期的に安定したベースロード電源となる原子力の組合わせで対応する。ブルー・エナジー社は、BWRX-300の標準化・モジュール化された設計をベースに、工場でのプレハブ化や輸送、現地での組立てを統合した独自のアプローチ「Blue Way」を採用して、従来の大型原子力発電所と比べ、工期やコスト、プロジェクト遂行の予測可能性を高める考え。非原子力設備を先行整備するアプローチは2025年12月に米原子力規制委員会(NRC)の承認を受けており、早期に電力供給と収益化を実現することで、建設資金の調達を容易にし、原子力プロジェクト特有の長期投資リスクの低減を図る。まず、非原子力かつ安全性に直接関与しないインフラのオフサイト製造と現場設置から着手。原子力コンポーネントの許認可・建設を進める間にも、機器製造やインフラ整備を進めつつ、ガス火力による電力供給を開始する。これにより、従来10年以上に及ぶ原子力発電所の建設スケジュールを少なくとも5年短縮するとともに、48か月以内に天然ガスによる電力供給を開始できると見込む。GVH社は自社の旗艦であるHAガスタービン技術と先進的な原子力技術を組合わせ、ブルー・エナジー社の革新的なプロジェクトモデルを支援していく方針だ。なお現在、BWRX-300初号機の建設がカナダのダーリントン原子力発電所の隣接サイトで進められており、2020年代末までに完成予定。完成すれば西側初の商用SMRとなる。
24 Aug 2026
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原子力規制委員会は9月2日の定例会合で、新たな人事戦略を策定した。従来の「職員の人材育成の基本方針」を見直し、新たに採用の方向性を盛り込んだ。採用から育成、配置、評価までを一体的に進める。 規制委では、一般行政職技術系の50代以上が約55%を占めるなど、職員の高齢化や中堅層の不足が課題となっている。特に検査分野では、職員178人のうち約7割が50代以上を占める。審査・検査分野では今後、多くの定年退職が見込まれる。 こうした状況を踏まえ新戦略では、採用面の具体策として、Web広告などの活用や大学・学会を通じた採用活動の強化を盛り込んだ。また、炉物理、原子燃料、機器耐震など、専門性の継承が課題となる分野を中心に、採用・育成を進める。 戦略策定には、国際原子力機関(IAEA)が今年実施した総合規制評価サービス(IRRS)の勧告も反映した。IRRSは、職員の流動性を維持・促進するための措置や、人事の柔軟性を高めることを求めた。今回の戦略では、独立性を担保しながら人材の流動性を確保する観点から、原子力規制庁職員を原子力利用の「推進」に関係する行政組織へ異動させない「ノーリターンルール」や再就職等規制に関する課題を整理することが盛り込まれた。 また、2027年度の機構・定員要求では、規制庁の体制強化に向け60人の増員を要求した。内訳は、再処理施設の本格稼働や福島第一原子力発電所の廃炉などへの対応が24人、新技術への対応が14人、DXの推進や専門人材の確保などが22人となっている。
04 Sep 2026
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原子力規制委員会は9月3日、実用発電用原子炉およびその附属施設における発電用原子炉施設保安規定の審査基準の一部改正案を公表。パブリックコメントの募集を開始した。現行の審査基準では、運転中保全(OLM)((米国での呼称:On-Line Maintenance(OLM))について、やむをえない場合を除いて、能動的に実施することが許可されていない。一方、原子力エネルギー協議会(ATENA)からの提案を受け、2025年4月から複数回にわたりOLM実施の現場実証が行われてきた。これらを踏まえ、2026年3月の原子力規制委員会で、AOT(Allowed Outage Time)((運転上の制限を逸脱した場合に要求される措置の完了時間))の範囲内でOLMを計画的に実施することが了承された。今回の改正案では、OLMを計画的に実施することを許容した上で、その際に事前に講ずるべき措置を規定する。改正案には、施設管理実施計画に基づきOLMを実施する場合、①AOT内に完了すること、②保全作業中に必要な安全措置を講じること、③あらかじめ確率論的リスク評価(PRA)等を用いて、安全措置の有効性を検証しておくことが規定されている。さらに、原子力規制庁の検査官が検査実施時に使用する基本検査運用ガイドにもOLM実施時の検査実施手順を新設する。パブリックコメントはwebまたは郵送で受け付けており、募集期間は10月2日まで。
03 Sep 2026
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東京電力は9月2日、福島県双葉町に福島第一原子力発電所の廃炉作業を着実に進めることを目的とした技能訓練施設と環境試料の分析施設を開設することを発表した。同発電所から直線距離で約5kmの場所にある双葉北小学校旧校舎を活用する。双葉町が2026年5月に立ち上げた、「双葉北小学校旧校舎等利活用事業公募型プロポーザル」に東京電力が応募し、審査を経て優先交渉権者に選定された。敷地面積は約2万平方メートルで、鉄筋コンクリート造3階建ての旧校舎だけでなく、体育館やプールなどの解体跡地や校庭も活用対象。技能訓練施設では、福島第一の作業や現場環境を再現した訓練を目的に、放射線防護装備を着用した状態での作業や非常に狭い場所での作業を行える環境を整備する。また、分析施設では、福島第一構外で採取した生物や海水などの試料を分析し、セシウム137等の測定などを行う。東京電力は今後、計画の具体化に向け、双葉町との協議や手続きを進める。
03 Sep 2026
468

関西電力は9月1日、定期検査中の美浜3号機(PWR、82.6万kW)について、9月15日に送電を開始することを明らかにした。営業運転再開は10月上旬の見込み。美浜3号機は5月8日に高圧タービンからの蒸気漏れが確認され、原子炉を手動停止。6月16日から定期検査入りしていた。定期検査は計画通りに進捗しているという。蒸気漏れについてはその後の調査により、高圧タービン車室((蒸気発生器で発生した蒸気で回転するタービンの羽根(動翼)や固定翼(静翼)を覆うカバー))の上部車室閉止キャップのうち1つにあった、縦約1cm、横約8cmの損傷が原因と判明した。損傷部分のさらなる分析により、損傷のあった閉止キャップの内面に、流れ加速型腐食(FAC)((主に炭素鋼で発生する、流れの影響により金属表面の保護皮膜が水中へ溶出することで、腐食が加速する現象))が発生し、内面から外面に向けて減肉が進行して、損傷に至ったと推定された。これを踏まえ、今回の定期検査では耐腐食性を向上させた閉止キャップへの交換を行ったほか、高温・高圧の蒸気や水が流れる全ての機器を点検。また、新たな点検ガイドラインの策定などの対策も実施した。美浜3号機は12月1日に運転開始から50年を迎えるため、2025年12月に関西電力が原子力規制委員会に50年超運転に向けた長期施設管理計画を提出している。
02 Sep 2026
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北海道電力は9月1日、泊発電所(PWR、91.2万kW)構内に雑固体廃棄物処理施設を設置するため、北海道並びに泊村、共和町、岩内町、神恵内村へ安全協定に基づく事前協議を申し入れたと発表した。固体廃棄物貯蔵庫に保管している雑固体廃棄物を安全に固型化処理し、搬出するための雑固体廃棄物処理施設を泊発電所構内に設置する計画。雑固体廃棄物は防護服、手袋、紙類、金属片などで、放射能レベルに応じて処理した後、固体廃棄物貯蔵庫に保管し、青森県六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターへ搬出する。雑固体廃棄物のうち可燃物は、焼却してドラム缶に詰め、搬出する。不燃物は様々な材質や大きさのものが混在して保管されているため、その後の処理がしやすいように分別した後、必要に応じて切断や圧縮減容しモルタルで固型化しながらドラム缶に詰める。今回の雑固体廃棄物処理施設で対応するのは、不燃性の雑固体廃棄物のみ。雑固体廃棄物処理施設は鉄筋コンクリート造3階建てで、固体廃棄物貯蔵庫の西側、海抜39mの地点に建設する計画。充填固化体を年間1,000本以上処理することを見込んでいる。
02 Sep 2026
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経済産業省・資源エネルギー庁は8月31日、高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分地選定に向けた文献調査を茨城県常陸大宮市に申入れた。文献調査が実施されれば、本州では初。文献調査は、処分地選定の最初の段階で、地域の地質に関する文献・データについて机上調査を行うもの。およそ2年程度の調査期間中、国から最大20億円が交付される。放射性廃棄物は一切持ち込まれない。公開された申入れ文書によると、2017年に経済産業省が作成した「科学的特性マップ」により、同市内には最終処分場の建設に適した特性が確認できる可能性が相対的に高い地域があり、高レベル放射性廃棄物等の最終処分場を設置し得る未利用地が存在しているという。さらに、資源エネルギー庁が原子力発電環境整備機構(NUMO)に調査の実施見込みを確認したところ、その見込みがあるとの回答があったほか、同市内の有志から文献調査を求める要望があったことも踏まえ、今回の申入れに至った。常陸大宮市の鈴木定幸市長はコメントを発表し、「私自身も、将来世代に責任あるまちづくりを進める観点から、最終処分の調査については、選択肢の一つになる可能性も考慮し、これまで情報収集に努めてきました」と説明。そのうえで、「まずは、この地域が適した地域であるか否か、文献調査を実施し、地下環境の適性について情報を得ることが、議論を始めていく第一歩になるのではないかと考えております」と述べた。文献調査の対象となっているのは現在、北海道寿都町、北海道神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村南鳥島の4町村。このうち、寿都町と神恵内村では文献調査が完了し、報告書が公開されている。今回のように国から文献調査の申入れを行ったのは南鳥島が初で、今回で2例目。
01 Sep 2026
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福井県の石田嵩人知事は8月28日、臨時記者会見を開き、関西電力の美浜発電所(PWR、82.6万kW)と高浜発電所(PWR、82.6万kW×2基、87.0万kW×2基)の使用済み燃料乾式貯蔵施設(高浜は第一期)の設置について、立地地域の安全性向上にも寄与する点や六ヶ所再処理施設の進捗状況と見通しなどを踏まえ、建設を事前了解することを発表した。関西電力はこれを受け、美浜と高浜(第一期)の設計及び工事計画の認可(設工認)について、準備が完了次第、原子力規制委員会(規制委)に申請を行う予定であると発表した。関西電力は2024年2月に、福井県と美浜町、高浜町、おおい町に対し、安全協定に基づく事前了解願いを提出していた。また、関西電力は、2025年5月には高浜(第一期)、2025年10月に美浜の原子炉設置変更許可を規制委から取得した。なお高浜(第二期)の使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置については、原子炉設置変更許可申請を2025年6月に行った。乾式貯蔵施設とは、プールで一定期間冷却した使用済み燃料を、「キャスク」と呼ばれる金属容器に収容し、空気の自然対流によって冷却する方式の貯蔵施設。水や電源を用いないため、維持管理が比較的容易であり、海外で多くの使用実績がある。日本においては、乾式貯蔵施設での貯蔵はあくまで一時的なものとされており、使用済み燃料の再処理を前提としている。使用済み燃料の貯蔵量は、美浜で約100トン、高浜(第一期)で約240トンを予定している。会見終盤、石田知事は、今後、乾式貯蔵施設への使用済み燃料の搬入計画を厳格に確認し、関西電力の使用済み燃料対策ロードマップを適切に確認、必要な対応を求めるとともに、国に対し責任を持って進捗管理を行い、事業者を指導監督するよう求めるとした。
31 Aug 2026
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大阪府に本社を置く第一稀元素化学工業は8月25日、重要レアメタルの一種である「ハフニウム」の国内製造技術を確立したと発表した。2026年内に半導体用途などに向けたサンプル提供を開始し、生産規模拡大に向けた技術開発を経て、2028年の国内量産化を目指す。ハフニウムは、AI・データセンター向け半導体や航空宇宙分野などに用いられるレアメタル。原子力分野では、中性子を吸収する性質を生かし、原子炉の出力を調整する制御棒の材料として利用されている。自然界ではジルコニウム鉱石に微量に含まれるが、ジルコニウムとハフニウムは化学的性質がよく似ているため、分離・精製には高度な技術が必要で、国内での商用生産は事例に乏しいという。第一稀元素化学工業は、ベトナムの生産拠点でジルコニウム鉱石を精製し、中間原料となる「ジルコニウム中間体」を製造している。これを日本に運び、国内の生産拠点で最終製品となるジルコニウム化合物に加工している。今回確立した製造技術では、この中間体に微量に含まれるハフニウムを、液体から特定の成分を選択的に取り出す「溶媒抽出技術」を用いて国内で分離・精製する。同社は、ジルコニウム化合物を中心に、レアアース化合物などの無機化合物の製造・販売・研究開発を手掛けている。ハフニウムを分離することで、ジルコニウムの純度をさらに高めることも可能になるという。ジルコニウムは中性子を吸収しにくい性質などから、原子炉の燃料被覆管などに用いられている。
31 Aug 2026
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政府の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」(議長=高市早苗首相)は8月26日、昨今の中東情勢を踏まえ、エネルギー需給構造の強靭化を目的とする政策パッケージ「パワーGX(POWERR GX((Policy Package for Wide Energy and Resources Resilience through GX」の略称)))」を取りまとめた。その中で原子力について、安全性を大前提とした最大限の活用を掲げたほか、高市首相は次世代革新炉の早期導入に向け、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の機能強化を改めて明言した。「パワーGX」では化石燃料の調達安定性の抜本的向上と、投資拡大によるエネルギー転換・供給力増強・効率向上が柱となっており、原子力分野では2040年代2~5基、2050年代11~14基という建て替え見通しを見据え、次世代革新炉の社会実装に向けた研究開発・投資判断を促す措置の具体化、最終処分などバックエンドの取組加速、規制体制の充実・強化を行うとした。その中で7月の原子力関係閣僚会議で決定した、NEDOの役割強化にも言及があった。さらに、産業資源であるコンビナートや地域に偏在する脱炭素電源等を核に、「新たな産業クラスター」の創出を目指す「GX戦略地域制度」についても続報があり、4月24日に一次審査の結果として決定した「有望地域」の中から、近日中に「GX戦略地域」の第一弾の認定が行われることが発表された。有望地域の中には、青森県六ヶ所村、茨城県日立市、新潟県柏崎市、島根県松江市、鹿児島県薩摩川内市などが含まれている。
28 Aug 2026
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原子力規制委員会(規制委)は8月26日、特定重大事故等対処施設(特重施設)と所内常設直流電源設備(3系統目)の設置期限を見直す関係規則の改正を正式決定した。 あわせて、意見公募に寄せられた152件の提出意見への回答案を了承した。 規制委は、提出意見を受けて参照先の表記を正す記載上の修正1点を加えたが、規則改正案の内容に実質的な変更はなかった。今回の改正では、特重施設などの設置までの経過措置期間を5年間のまま維持し、その起算点を本体施設の「設計及び工事の計画認可(設工認)」の日から「使用前確認日」に変更する。 規制委は、現行制度では過去12件のうち期限内に特重施設が完成したのは1件だったのに対し、新たな起算点を当てはめると9件が期限内に収まると説明。 意見公募では安全性への懸念も寄せられたが、規制委は、特重施設が完成しないまま運転できる期間は大幅には増えず、現行制度と比べ安全上の大きな差異はないとしている。見直しの対象は、現行制度に基づく経過措置期間が満了していない女川2号機、島根2号機、柏崎刈羽6号機など。 女川2号機の設置期限は2026年12月から2029年12月となる。一方、既に期限が満了した東海第二と柏崎刈羽7号機は対象外とした。 同日午後に行われた規制委と東北電力経営層との意見交換で、東北電力の石山一弘社長は、今回の見直しについて、過去の工事実績に基づく「規制の継続的な改善」との認識を示し、女川2号機の特重施設について「早期完成を目指していく」と述べた。
28 Aug 2026
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政府は8月25日、福島第一原子力発電所事故後の福島県内の除染作業などで生じた除染土のうち、放射能濃度が比較的低く再利用が可能とされる「復興再生土」(放射能濃度が8,000Bq/kg以下)について、各府省庁の地方支分部局等で再利用する方針を示した。まずは、宮城県にある仙台合同庁舎と埼玉県にあるさいたま新都心合同庁舎での実施で調整している。首相官邸にて開催された、全閣僚が出席する「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議(第4回)」で明らかとなった。仙台合同庁舎とさいたま新都心合同庁舎の花壇などで計2立方メートル使用することを計画している。除染土は、法律により2045年3月までに福島県外で最終処分を完了するために必要な措置をとることが定められている。最終処分の量を可能な限り減らすため、復興再生土を公共事業などで活用する「復興再生利用」が進められている。2025年7月に復興再生土が首相官邸の前庭で芝生の基盤材として使用されたほか、2025年9~10月には環境省、復興庁等など9か所で、今年4月に防衛省など2か所で使用され、これまで計12か所での使用実績がある。これまで各所での工事後、空間線量率の測定を工事後1ヶ月間は週1回、その後1年間は月1回測定を行っている。施工前の同一地点の結果に対し、平均して0~+0.04μSv/hで、人体への影響を無視できるレベルという。全国知事会東日本大震災復興本部長でもある埼玉県の大野元裕知事は、8月25日に行われた定例記者会見で、今回の政府方針について意見を聞かれ、福島復興については、日本全体で取り組むべき課題と表現し、復興再生土の利用に関しては国や全国の自治体が自分ごととしてしっかりと向き合う必要があると述べた。その上で、安全で確実な施工や、モニタリングの情報開示など国民の理解を得る最大限の協力を求めたいと語った。
26 Aug 2026
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フュージョン(核融合)エネルギーの社会実装に向けた研究を行う慶應義塾大学フュージョンインダストリー研究センターは8月24日、「2026年度 核融合エネルギーに関する世論調査」の結果を発表した。 調査は2026年3月、慶應義塾大学の「責任ある研究・イノベーション」センター(KEIO-RRI)と共同で実施。全国の20~69歳の男女4,000人を対象に、核融合エネルギーをはじめ、原子力発電などのエネルギー技術に対する認知度や、核融合の実現時期への見方、社会的受容に必要な情報などを尋ねた。 各エネルギー技術について「どの程度知っているか」を尋ねたところ、認知度は原子力発電が89.1%、核融合が45.1%、高速炉が27.8%、次世代型原発が8.8%となった。 核融合エネルギーに対するイメージでは、「危険」を選択した割合が2019年の60.7%から、2023年には42.5%、2026年には37.7%へと低下。一方、「不安」は2019年の41.9%から2023年に28.0%まで低下した後、2026年には32.0%とやや上昇した。なお、日本原子力文化財団が実施する「2025年度原子力に関する世論調査」でも、原子力を「危険」と捉える割合は2019年度の65.5%から2025年度には52.9%へ、「不安」は55.3%から42.6%へとそれぞれ低下している。 核融合エネルギーによる最初の発電がいつ実現すると思うかとの問いでは、「20年以内」とする回答が合わせて55.7%と半数を超えた。 一方、核融合エネルギーが社会に受け入れられるために重要な情報を尋ねたところ、「起こり得るリスク・事故の深刻さ」が44.1%で最も多かった。次いで「リスク・事故を予防できるか」が35.4%、「事故が起きた際に対応できるか」が32.6%となり、安全性やリスクに関する情報が上位を占めた。また、核融合発電施設の建設にあたり、地元の同意を重要と考える人は69.9%に上った。
25 Aug 2026
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