
国内NEWS
01 May 2026
417

福井県知事が経産大臣に要望書
海外NEWS
01 May 2026
276

バングラデシュ初の原子力発電所 ルプール1号機が燃料装荷を開始
海外NEWS
01 May 2026
232

チョルノービリ事故から40年 NSC復旧に資金提供
海外NEWS
28 Apr 2026
445

カザフスタン SMRや第4サイトも検討へ
海外NEWS
28 Apr 2026
376

ロシア VVERで事故耐性MOX燃料集合体の試験運転を開始
海外NEWS
28 Apr 2026
306

nucleareuropeが行動計画 EUに制度見直し求める
国内NEWS
28 Apr 2026
487

最終処分地選定 進展のカギは「地域の意思決定支援」MRIが提言
海外NEWS
27 Apr 2026
555

米DOEが新イニシアチブ 「国家安全保障」として再処理も視野に

バングラデシュのルプール原子力発電所1号機(PWR=VVER-1200、120万kWe)で4月28日、燃料装荷が開始された。同発電所はロシア国営原子力企業ロスアトムの協力を得て建設された同国初の原子力発電所。同機は2017年11月、同型の2号機は2018年7月に着工。バングラデシュ原子力規制庁(BAERA)は4月16日、1号機の試運転認可を発給した。1号機には、163体の燃料集合体が装荷され、徐々に出力を上昇、今年末までに送電網に接続される予定。両機の稼働により、同国の電力需要の約10%をまかなう見込みである。同日に開催された記念式典には、バングラデシュのF. アナム科学技術大臣やロスアトムのA. リハチョフ総裁らが出席。アナム大臣は、「原子力の平和利用は、エネルギー安全保障を確保し、工業化を加速させ、経済成長を促進する上で極めて重要な役割を果たす。ルプール・プロジェクトは科学的進歩の象徴であり、我々の能力を示すものである」と語った。ルプール原子力発電所は、首都ダッカから160kmにあるパブナ地区のガンジス川東岸に位置する。バングラデシュ原子力委員会(BAEC)が所有し、運転者は原子力発電法に基づき設置されたバングラデシュ原子力発電会社(NPCBL)。BAECとロスアトムは2011年11月、ルプール発電所建設に関する政府間協定を締結。2015年12月、BAECとロシアのエンジニアリング企業のアトムストロイエクスポルト(ASE)社間で、建設契約(総額126.5億ドル)が締結された。ロシアが総建設費の約90%を融資している。VVER-1200は第三世代+(プラス)設計のロシアの原子力輸出の旗艦炉。ロシア(4基)、ベラルーシ(2基)で運転中。また、ロシア(2基)、エジプト(4基)、ハンガリー(2基)、トルコ(4基)、中国(4基)で建設中である。カザフスタンでは、2基建設に向けてエンジニアリング調査が進行中である。
01 May 2026
276

ウクライナのチョルノービリ原子力発電所4号機の事故から40年を迎えた4月26日、同発電所のサイト内で「国際復興・原子力安全会議」が開催された。同会議では、2025年2月のロシアのドローン攻撃により損傷した新シェルター(New Safe Confinement: NSC)の修復に向けた資金調達活動が開始された。同会議にはウクライナのV. ゼレンスキー大統領、D. シュミハリ第一副首相兼エネルギー大臣のほか、国際原子力機関(IAEA)のR. グロッシー事務局長、欧州復興開発銀行(EBRD)のO. ルノーバッソ総裁、欧州委員V. ドンブロフスキス氏(経済担当)とD. ヨルゲンセン氏(エネルギー担当)、パートナー国のエネルギー大臣らが出席した。暫定的な推計では、NSCの修復および安全性向上の費用は約5億ユーロに達する。2028年から2030年にかけて修復作業を実施する予定である。EBRDはチョルノービリ原子力発電所側と、EBRDが管理する国際チョルノービリ協力基金(ICCA)からNSC修復の早期のエンジニアリングおよび調達作業向けに3,000万ユーロを割り当てる合意文書を締結。会議ではまた、パートナー国による約1億ユーロ拠出の初期コミットメントが発表され、NSC修復と原子力安全強化に充てられることとなった。シュミハリ大臣は、財政資源の動員プロセスでリーダーシップを発揮するEBRD、ウクライナのエネルギーシステムの強靭性強化を支援するIAEA、欧州連合、パートナー国政府に謝意を示した。同会議では、NSC修復に向けたウクライナの取り組みを支持する共同声明を採択。同声明には、日本を含む26か国が参加している。
01 May 2026
232

カザフスタンのK.-J. トカーエフ大統領は4月15日、2050年までの原子力産業の国家戦略を承認した。エネルギー安全保障の強化、持続可能な経済成長、脱炭素対応、技術力向上を目的とする同戦略では、具体的な建設計画として、2050年までに少なくとも3サイトで原子力発電所の稼働を想定。小型モジュール炉(SMR)の導入に加え、第4サイトの検討も行っていくとしている。同国では電力需要の増加と供給不足が顕在化しており、統一電力システムによる見通しでは、2026~2032年に追加で最大約266万kWの設備容量が必要となる可能性がある。特に南部および西部で不足が顕著とされ、安定供給には地域特性を踏まえた複数の原子力発電所の段階的整備が不可欠と位置づけている。戦略では、①原子力発電の拡大、②ウラン資源の活用、③研究開発、④廃棄物・使用済み燃料管理、⑤核セキュリティ強化、⑥人材育成・産業育成、⑦デジタル化――を柱に掲げる。建設計画としては、第1、第2サイトは、同国の南部エリアに計画。第1サイトでは、ロシア国営原子力企業ロスアトムとの協力により、アルマティ州のジャンブール地区にて、ロシア製VVER-1200×2基の建設が決定しており、2025年8月にエンジニアリング調査が開始されている。第2サイトでは、最大出力240万kWeの導入を計画しており、第1サイトと同じ、ジャンブール地区がすでに候補として特定されており、中国との協力が有望視されている。第3サイトでは、最大合計出力120万kWeの小型モジュール炉(SMR)の導入を計画。さらに、電力消費量の増加が予測される中、有望な地域に4番目の原子力発電所の建設プロジェクトを実施する計画を示している。SMR導入については、地域的な特性、プロジェクトの技術的・経済的な妥当性を考慮し、SMRの適用可能性に関する技術経済分析を行い、SMRの設置優先地域の特定(エネルギー不足地域や電力網インフラが未整備な地域を含む)、および老朽化した石炭火力発電所の代替可能性を検討していくとしている。安全面では、福島第一原子力発電所事故の教訓を反映し、外部電源なしでも機能する受動的安全システムを採用、国際基準に基づく廃棄物管理を実施すると強調した。この戦略の推進により、建設段階(1つの原子力発電所の建設ピーク時には最大1万人)だけでなく、エンジニアリング、科学、教育、サービス分野においても、数千の雇用の創出が想定されている。送電線などのインフラ整備、教育・人材育成の強化によるスキル向上、原子力クラスター形成で国内産業を活性化させて国際競争力を高め、エネルギー安全保障と経済・技術の自立性を長期的に向上させる考えだ。
28 Apr 2026
445

ロシア国営原子力企業「ロスアトム」は4月7日、サラトフ州にあるバラコボ原子力発電所1号機(PWR=VVER-1000, 100万kWe)に、事故耐性型MOX燃料を含む燃料集合体3体を装荷したことを明らかにした。今回初めて、大型商用炉において、クローズド・サイクル技術と事故耐性燃料(ATF)を組み合わせた独自のソリューションを実装。これにより、天然ウランの消費量を20%以上削減できる可能性があるという。各燃料集合体には、従来のジルコニウム合金被覆にクロム被覆を施した燃料棒が312本含まれており、そのうち18本はMOX燃料を使用している。ロスアトムはこの燃料と構造材料の組み合わせを、高速炉だけでなく、従来の軽水炉もクローズド・サイクルに組み込む上で、戦略的に重視している。MOX燃料は、劣化ウランと使用済み燃料由来のプルトニウムから製造。ATF向けに開発されたクロム被覆燃料棒は、過酷事故での安全性と耐性を高めるだけでなく、完全に自動化された「無人」燃料製造を可能にし、現場作業員の放射線被ばくを最小限に抑制する効果があるという。なお、ロスアトムがVVER向けに開発した最初のウラン・プルトニウム混合燃料にREMIX(REgenerated MIXture=再生混合物)燃料がある。REMIX燃料は、使用済み燃料の再処理過程で生じるウランとプルトニウムの混合物を分離せずに回収し、濃縮ウランを添加して製造。プルトニウム含有量は低い(最大1.5%)。その中性子スペクトルは標準の濃縮ウラン燃料と変わらず、炉心における燃料挙動が似ていることから、原子炉の設計変更や追加の安全対策なしに導入可能である。バラコボ発電所1号機に装荷されたREMIX燃料集合体3体が、18か月サイクル×3回のパイロット運転を2026年3月に成功裏に終了。ウリヤノフスク州のディミトロフグラードにある原子炉科学研究所(NIIAR)で照射後試験が計画されている。一方のMOX燃料はREMIXよりも数倍多くのプルトニウム(最大5%)を含む上に、劣化ウランを使用。保有する劣化ウランの在庫を活用することにもつながる。ロスアトムの試算では、VVER燃料集合体が25%のMOX燃料棒と残り75%の標準濃縮ウラン燃料棒(回収ウランを含む)で構成される場合、プルトニウム含有量はフルREMIX燃料の集合体と同等となり、VVER-1200のライフサイクル全体において、天然ウランの消費量を20%以上削減すると予測されている。なお、バラコボ1号機炉心へのMOX燃料装荷にあたり、NIIARの研究炉とカルーガ州オブニンスクにある物理エネルギー研究所(FEI)のBFS-1臨界試験装置においてMOX燃料棒の試験を実施。バラコボ発電所におけるMOX燃料の試験運転は、ロシア連邦環境・技術・原子力監督庁(ロステフナゾル)との厳格な連携のもと、同庁が発行した認可に従って実施されている。ロスアトム燃料部門であるTVEL社のA. ウグリュモフ研究開発担当上級副社長によると、現在、VVER-1200向けの第5世代の燃料集合体、MOX燃料およびクロム被覆の燃料棒、完全自動化ペレット製造の新技術の開発まで試験的に進めており、将来的には、これらの技術を全部盛り込んだ次世代燃料として一本化する方針であるという。
28 Apr 2026
376

欧州各国の原子力協会17団体などで構成される欧州原子力産業協会(nucleareurope)は3月24日、EU域内での原子力導入拡大に向けた行動計画を発表し、EUに対し資金調達や規制のあり方を含む政策枠組みの見直しを求めた。EUが原子力をめぐる制度設計を進める中、業界側から具体的な見直しを求める踏み込んだ提言が示された。今年3月に最終版が公表された欧州委員会(EC)の原子力実証プログラム(PINC)によると、加盟国が計画する原子炉の運転期間延長および新規大型炉の建設には、2050年までに約2,410億ユーロ(約38兆円)の投資が必要と試算されている。なお、小型モジュール炉(SMR)や先進モジュール炉(AMR)には追加的な投資が必要とされる。原子力発電設備容量は2025年の9,800万kWから2050年には1億900万kWへ増加する見通しだ。このような巨額の投資需要を背景に、同行動計画では導入加速に向けた課題として、長期的な政策ビジョン、投資促進のための財政枠組み、規制手続きの迅速化、燃料サイクル、サプライチェーン―の5分野を提示した。財政面では、原子力が他電源と同等に資金調達できる環境の整備を求め、EUの中長期財政枠組み(MFF)において、再生可能エネルギーと同等の扱いとする必要があるとした。また、長期契約への保証などによるリスク低減を通じ、民間投資の呼び込みを図る必要性を強調した。規制面では、許認可手続きの長期化が新規建設の制約要因となっていると指摘。審査期間の短縮や手続きの合理化、加盟国間の制度の統一を求めた。さらに、供給安定性の観点から燃料サイクル全体への投資や、域内のサプライチェーンと人材基盤の維持・強化の必要性も示した。nucleareuropeのE. ブルティン事務局長は「原子力プロジェクトを加速するには、今後20年にわたる多額の投資が欠かせない」と強調。EUの政策が投資を後押しするカギを握ると訴えた。
28 Apr 2026
306

米エネルギー省(DOE)原子力局は4月23日、国内の燃料サプライチェーンを確保するための新イニシアチブ「Nuclear Dominance - 3 by 33」(2033年までに原子力の主導権を確立するための3つの目標)を開始すると発表した。原子力発電の拡大に不可欠な燃料供給体制の強化と、対外依存の低減を柱とする。原子力発電は現在、国内総発電電力量の約20%を占める。製造業の国内回帰や、人工知能を支えるデータセンターの需要などを背景に、安全で信頼性の高い電力需要は今後数年間で増加が予想されている。既存炉の出力増強、閉鎖済みの原子力発電所の運転再開、および先進炉の商用導入など電力供給量の増強をめざす取り組みが進められているが、すべて燃料の確保にかかっている。2025年5月、トランプ大統領は原子力発電の復活を促進するため、4件の大統領令を発令。その数か月後、DOEは燃料供給量の増強、信頼性の高い電力へのアクセス拡大、濃縮ウランや重要物資の海外依存からの脱却に焦点を当て、国防生産法(DPA)に基づき、燃料サイクル・コンソーシアムの設立意向を示し、自主的合意による参加企業を募集していた。DPAは1950年に制定された連邦法で、緊急時に政府が産業界を直接的に統制できる権限を与えるもの。DPAコンソーシアムの下では、採掘・精錬から転換、濃縮、再転換、燃料製造、リサイクル、再処理に至るまでの燃料サイクル全体を対象に、産業界による協議の場を設ける。サプライチェーン能力の強化に向けた行動計画の策定を通じて、既存炉に加え将来の先進炉の運転を支える体制の構築を目指す。参加企業は特定の基準を満たす場合、独占禁止法の適用除外が認められる。政府はDPAに基づく燃料サイクル・コンソーシアムを通じて、原子力産業基盤を支える90社以上を総動員し、サプライチェーン全体を統合的に再構築することをねらう。同コンソーシアムは、「Nuclear Dominance - 3 by 33」キャンペーンの下、2033年までに以下の目標を達成することを目指している。安全かつコスト競争力のある国内燃料サプライチェーンの構築促進先進炉導入の加速と燃料サイクルの完結原子力発電所の建設を支援するため、DPAの枠組みを活用した、人材、資金、イノベーション、協力の拡大と調整DOEは、コンソーシアムの目標達成の迅速な進展を図るため、60日毎の短期間で進捗を確認していくという。またDOEは、前日の22日、使用済み燃料のリサイクル能力向上を民間企業と共同で推進するため、パートナー募集を開始した。対象となるのは、燃料の再処理から再利用までを担う商業規模のプロジェクトで、民間企業に対し、DOEの承認プロセスを活用した設計・建設・運営を含む包括的な提案を求めている。今回の取り組みでは、政府が施設や制度面での支援を行う一方、資金調達や事業運営は民間側で主導する形を想定。あわせて、アイダホ州のアイダホ原子力技術・工学センター(INTEC)を活用した実証プロジェクトが計画されており、防衛関連の使用済み燃料を対象に、商業規模でのリサイクルの実現可能性を検証する。DOEは、使用済み燃料を「未開発のエネルギー資源」と位置づけ、廃棄物の削減と燃料供給の安定化を図る方針。今回のパートナーシップを通じて、燃料の循環利用を進め、国内の原子力産業基盤の強化につなげたい考えだ。
27 Apr 2026
555

米先進炉開発企業のテラパワー社は4月22日、ワイオミング州ケンメラーで開発を進める先進炉「Natrium」の原子力部(Nuclear Island)の建設を開始した。米国で実用規模の先進炉が本格的な建設段階に入るのは初めてであり、次世代炉の商業化に向けた重要な節目となる。同プロジェクトは、ナトリウム冷却高速炉(約34.5万kWe)に加え、熔融塩を用いた蓄熱システムを組み合わせた設計が特徴。需要に応じて出力を一時的に50万kWeまで引き上げることが可能で、再生可能エネルギーの変動を補完する柔軟な電源として位置づけられている。米原子力規制委員会(NRC)は2026年3月初旬、同発電所の建設許可を発給した。建設地点は既存の石炭火力発電所に隣接しており、化石燃料から原子力への転換モデルとしても注目される。プロジェクトは米エネルギー省(DOE)の先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の支援を受けて進められており、エンジニアリング・調達・建設(EPC)はBechtelが担当する。テラパワー社のC. レベスクCEOは建設開始について、「同発電所は信頼性が高く、調整可能な電力を送電網に供給する。今後、米国および世界でNatrium炉を採用した発電所フリートを展開するうえで実用的なモデルとなるだろう」と語った。同発電所の建設には約1,600人の作業員が参加予定。稼働後、約250人の常勤スタッフを雇用する。原子炉建屋基礎への初コンクリート打設は2027年を予定し、全体の完成は2030年を見込む。なお同プロジェクトは2024年6月に起工式が行われ、非原子力部の建設が先行して進められていた。テラパワー社は、Natrium炉の商業展開も視野に入れている。2026年1月にはIT大手のMeta社と、2035年までに最大8基の導入に向けた開発支援契約を締結。また2026年2月には、英国における包括的設計審査(GDA)が開始されており、海外展開も進みつつある。
27 Apr 2026
621

米原子力新興企業のケイロス・パワー社は4月17日、テネシー州オークリッジにある米エネルギー省(DOE)の「東部テネシー技術パーク(ETTP)」で、フッ化物塩冷却高温実証炉「ヘルメス2」の起工式を開催した。ヘルメス2は、Google社との電力購入契約(PPA)の下で展開される初プロジェクト。最大5万kWeの電力をテネシー峡谷開発公社(TVA)の電力網に供給し、テネシー州およびアラバマ州にあるGoogle社のデータセンターへの電力の安定供給を支える。米原子力規制委員会(NRC)から2024年11月、ヘルメス2の建設許可を取得している。ヘルメス2は、2025年5月に同サイトで着工したフッ化物塩冷却高温実証炉「ヘルメス」(非発電炉、熱出力3.5万kW)から得られる知見を活用。ヘルメスは、NRCが半世紀ぶりに建設を許可した非水冷却炉で、TRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料やFlibe熔融フッ化物塩冷却材((Flibe(フリベ)と呼ばれる化学的に安定したフッ化リチウム塩とフッ化ベリリウム塩の混合物である熔融フッ化物塩冷却材))など、オークリッジ発の原子力技術を採用し、設計の簡素化、コスト低減、そして高い固有安全性を特徴とする。ケイロス社は、これらのヘルメス・シリーズで得られる運転データやノウハウを活用して、技術、許認可、サプライチェーン、および建設のリスクを軽減、コストを正確に算定し、商業規模の「KP-FHR」(熱出力32万kW、電気出力14万kW)の完成を目指している。ケイロス社は、ニューメキシコ州アルバカーキの製造開発拠点でヘルメス2の機器モジュールを製造し、オークリッジへ輸送して組み立てる計画。また、ヘルメス2の土木構造には、プレキャストコンクリート((建設現場でコンクリートを流し込む(=現場打ちコンクリート)のではなく、工場であらかじめ製造されたコンクリート部材))や免震基礎を取り入れたモジュール建設手法を採用。これにより建設期間の短縮、コスト削減、標準化設計の実現が期待されている。ヘルメス、ヘルメス2の両プロジェクトの建設工事は、Barnard Construction Companyが担当する。建設サイトは、かつて、オークリッジ・ガス拡散濃縮プラントK-33があり、DOEによる大規模な環境浄化の後、地域の経済開発用地として再利用されている。ケイロス社は2021年、隣接するガス拡散濃縮プラントK-31のサイトとともに取得している。
24 Apr 2026
670

スウェーデンで計画されている小型モジュール炉(SMR)プロジェクトをめぐり、最終供給候補に残る米 GE ベルノバ日立 ニュークリアエナジー(GVH)社と英 ロールス・ロイス SMR 社が、相次いで現地企業との連携を強化している。2026年のサプライヤー選定を前に、両社はスウェーデンを拠点としたサプライチェーン構築を進め、欧州展開も視野に入れる。スウェーデン国営電力会社バッテンフォールは、リングハルス原子力発電所隣接地でのSMR建設に向け、GVH社とロールス・ロイスSMR社の2社を最終候補として選定している。計画では、採用炉型に応じて3~5基、合計出力約150万kWe規模の導入が想定されている。GVH社は4月7日、同社製SMR「BWRX-300」の導入に向けて、スウェーデンのエンジニアリング、プロジェクトマネジメント企業であるAFRY社と非独占的な主要サービス契約( Main Services Agreement: MSA)を締結したと発表した。AFRY社はエンジニアリングおよびコンサルティングサービスを提供。GVH社の実績ある技術とグローバルなプロジェクト経験を組み合わせ、欧州での複数プロジェクトで効率的かつ再現性・拡張性のある導入支援が想定されている。AFRY社は、エンジニアリング業務に加え、スウェーデン放射線安全局(SSM)へのBWRX-300の許認可申請も支援するという。一方、ロールス・ロイスSMR社は3月25日、スウェーデンの原子力関連技術サービス企業であるスタズビック(Studsvik)と、SMRプログラム支援に向け、幅広いサービス全体にわたる協力を検討する覚書を締結した。両社は、スタズビック社の技術力や保有施設を評価し、ロールス・ロイス SMR 社の工場製造型原子炉の導入において、同社がどのような役割を担えるかを検討していく。MOUでは、燃料の認証および試験、プラント寿命管理、ホットセル技術、炉心設計および運転モデリング、規制当局向け許認可支援などでの協力を検討していくこととしている。
24 Apr 2026
643

米アイダホ国立研究所(INL)内の国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)は4月8日、マイクロ炉実験機の実証(Demonstration of Microreactor Experiments: DOME)テストベッドの稼働を開始した。これにより、民間企業が開発した先進炉の迅速な開発、試験、実証を可能にする施設として、燃料装荷済みのマイクロ炉の実験を実施する準備が整った。DOMEは、先進原子力への需要拡大を背景に、産業界向けの実証用に開発された。こうしたニーズに対応できる専用の試験環境は、米エネルギー省(DOE)の国立研究所のみが提供可能とされている。さらに、2025年5月に発令された先進原子力の開発加速に関する大統領令を受け、テストベッドの建設は、当初計画より約1年前倒しで進められた。DOMEは、高さ約30m、直径約24m、高速増殖実験炉II(EBR-II)の格納容器構造を再利用して建設された。同施設で、実験用原子炉の概念試験や将来の商業用ライセンス申請に活用可能な性能データを収集する。原子炉デベロッパーの開発時間やコストの削減、プロジェクトリスクの低減につなげるのが目的。最大2万kWtの熱出力をもつマイクロ炉の実験用に特別に設計され、初臨界時には安全性を重視した閉じ込め機能を持つなど、世界で唯一の試験施設だという。マイクロ炉は、通常最大2万kWtの熱出力を発生し、その熱の直接利用や発電が可能なコンパクトな原子炉。工場で製造され、搬送可能な設計となっており、緊急時の復旧電源や現在ディーゼル発電機に依存する遠隔地のコミュニティへの電力供給に適しているとされる。その小型さと信頼性の高い電力供給能力により、宇宙や海洋分野での利用のほか、軍事施設の支援や拡大するデータセンターの電力需要への対応としても検討されている。DOEのR. バーラン次官補代理(原子炉担当)は、「DOMEテストベッドは先進原子力技術における米国のリーダーシップを再確立するための、DOEの包括的戦略の礎となるだろう」と述べた。DOMEテストベッドでは、ラディアント(Radiant Industries)社が開発する電気出力約0.12万kWのヘリウム冷却マイクロ炉「カレイドス」(Kaleidos)による1年間の試験プログラムがまもなく開始される予定で、原子炉の初起動は夏頃を見込む。同炉は、2025年8月にDOEの先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」の対象炉に選定されている。DOMEでの実験は、毎年実施される競争的な申請プロセスを通じて計画され、技術の成熟度や燃料の入手可能性、規制当局の承認計画、さらには申請者が試験コストを自己資金で賄えるかなど、いくつかの基準に基づいて決定される。次回の申請受付は今春に開始予定。
23 Apr 2026
795

ノルウェーのT. オースラン・エネルギー相は4月8日、ノルウェー原子力委員会(Nuclear Commission)から、同国における原子力発電をエネルギー源の一つとして検討する報告書を受け取った。同報告書は、原子力について長期的選択肢と位置付ける一方、短中期の気候目標への貢献は限定的とし、現時点で導入推進は推奨せず、将来に備えた知識基盤や規制などの整備を提案している。オースラン大臣はK. ハルヴォルセン原子力委員会委員長とともに記者会見に出席。同大臣は、「原子力委員会は包括的で綿密な作業を行っており、本報告書は原子力発電について知識と事実に基づいた議論を進めるにあたり良い基盤となる。労働党政権にとって、安全で適切なプロセスを踏み、広く徹底した議論を行うことが重要」と述べた。原子力委員会は2024年6月に設置され、委員長にはオスロにある国際気候・環境研究センター(CICERO)のK. ハルヴォルセン所長が任命された。同委員会は、ノルウェーにおける原子力発電所建設の将来的な可能性について、ノルウェーの電力システムへの適否、研究・技術開発の現状、導入コスト、発電所の立地やインフラ設備の要件、地域や環境への影響、廃棄物問題、原子力安全、セキュリティおよび不拡散、緊急時対応や人材育成、規制や許認可プロセスの必要性などの重要課題を検討し、4月1日までに政府に報告する任務を担っていた。本報告書では、ノルウェーのように原子力発電の新規参入国にとって、必要な規制の包括的な整備、当局間の責任分担の明確化、必要インフラの確立は、広範かつ長期にわたるプロセスであり、少なくとも20年はかかると明言。原子力は現状のコスト予測と市場価格を考慮すると採算性が乏しく、巨額投資は小規模な原子力発電の展開に見合わず、制度整備、人材確保、廃棄物管理など多くの課題があると指摘した。さらに、気候目標達成への寄与は当面限定的で、電力供給の安定性や気候目標など、原子力発電に対する国家補助を正当化する具体的な社会的根拠を見い出せず、原子力発電は2050年以前の主要対策にはなりにくいと結論付けた。一方で、将来の発展に関する不確実性、電力需要の伸びから、将来的に選択肢になる可能性があるとして、主に2050年以降の選択肢として捉える必要があるとした。よって、現時点で直ちに原子力発電の導入に向けた包括的プロセスを開始するのではなく、将来的に検討対象となった場合に備えて、知識基盤や規制の整備、スウェーデンやフィンランドとの協力を含む準備などを進めるべきと提言している。ノルウェーでは2024年時点で、総発電電力量の約9割を安価で排出ゼロの水力発電が占め、残りの大半を再生可能エネルギー源(風力、太陽光)が占めている。ノルウェーで原子力発電が公的委員会で検討されたのは1978年以来。ノルウェー国内では、地域偏在の電力需給ギャップや、電化の推進、データセンターの建設を見据えた電力不足への懸念、水力発電の拡大にも限界があることから、天候に左右されない排出ゼロで、電力供給の可能な原子力への関心が再び高まっている。また、技術の進展や、民間事業者が自治体と協力して原子力発電を計画していることも議論を押し上げる要因となっている。その例として、民間の事業者(ノルスク・シェルネクラフト社)は複数の地域で原子力発電所の設立を計画し、これまでに政府に対し、建設計画の提案について合計10件の届出を行っている。2026年2月には、エネルギー省、保健・ケアサービス省、気候・環境省が共同で、アウレ市およびハイム市にあるタフトイ(Taftøy)工業団地での複数の小型モジュール炉(SMR)発電所建設計画に関する環境影響評価プログラムを策定した。一方、政府は、他の届出についての対応を決定する前に、原子力委員会の評価を待つ方針を表明した。本報告書は、2026年10月8日まで公開協議に付され、その後、政府は今後の対応方針を検討し、国会に付議する予定。
22 Apr 2026
721

中国の広東省恵州市で4月20日、中国広核集団(CGN)の太平嶺(Taipingling)原子力発電所1号機(PWR=華龍一号、112.6万kWe)が営業運転を開始した。広東・香港・マカオ大湾区初となる「華龍一号」である。年間発電量は90億kWhを超えると見込まれている。華龍一号は、中国が独自開発した第3世代炉で、別名「HPR1000」。中国の主力輸出炉としても位置付けられている。太平嶺原子力発電所プロジェクトでは、3期に分けて建設が進められ、最終的に6基の華龍一号を建設する計画。総投資額は1,200億元(約2.8兆円)を超えると見込まれている。太平嶺サイトでは、同2-3号機がそれぞれ、2020年10月、2025年6月に着工している。2号機では、近日中に燃料装荷が開始される予定である
21 Apr 2026
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福井県の石田嵩人知事は4月28日、経済産業省を訪問し、「エネルギー政策の実行・原子力発電所の安全対策の強化及び原子力発電所立地地域の振興」に関する要望書を、赤沢亮正経済産業大臣に手交した。石田知事は、エネルギー政策は国民生活の安定や産業の発展、国家の安全保障に直結する重要事項だと強調したうえで、第7次エネルギー基本計画に基づく原子力政策の明確化と着実な実行が求められているとの認識を示した。そして、福井県に立地する原子力発電所15基のうち、運転中が7基、廃止措置中が7基(敦賀2号機が停止中)である現状に触れ、同県が安全対策や使用済み燃料対策、立地地域の振興などの分野で全国に先行したさまざまな取り組みを進めていると説明。そのうえで、半世紀以上にわたり、国策である原子力政策に志を持って協力してきた県の首長という立場から、現場の声や課題を踏まえたエネルギー政策を要望した。要望書には、「エネルギー政策の実行・原子力発電所の安全対策の強化」と「原子力発電所立地地域の振興」の2項目が示された。「エネルギー政策の実行・原子力発電所の安全対策の強化」について石田知事は、4点を要請した。まず、2050年以降を見据えた原子力政策の将来像を明確化し、安全投資や人材確保を後押しするよう求めた。次に、関西電力の使用済み燃料対策ロードマップの着実な実行と、事業者間連携による搬出の加速を要請。あわせて、六ヶ所再処理工場の竣工に向けた国の厳格な審査と進捗管理を求めた。乾式貯蔵については発電所内の一時措置であることを国が説明し理解を得る必要性を指摘したほか、使用済みMOX燃料については仏での実証研究を踏まえた技術開発の加速と具体策の提示を求めた。このほか、国民理解の促進と、安全対策への投資を支える事業環境の整備を求めた。また、「原子力発電所立地地域の振興」では3点を要請。避難道路整備のための別枠財源の確保や、北陸新幹線(小浜・京都ルート)の早期認可・着工、舞鶴若狭自動車道の4車線化などを挙げ、これらが有事の安全確保にも資すると強調した。あわせて、クリアランス制度推進に向けた関連事業者への支援具体化と、電源三法交付金の充実も求めた。これに対し赤沢大臣は、電力需要の増加を踏まえ、「原子力と再エネの二項対立ではなく、双方を最大限活用することが重要」と述べ、エネルギー安全保障の観点からも、脱炭素電源を最大限活用することが不可欠との認識を示した。その上で、原子力の将来像に関する議論を深めるとともに、事業環境整備を進める考えを表明。使用済み燃料対策では、関西電力のロードマップの着実な実行と事業者間の連携強化の重要性を指摘。六ヶ所再処理工場の竣工に向けて国として進捗管理と支援を行う方針を示した。さらに、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する理解促進に取り組むとともに、使用済みMOX燃料については日仏協力のもとで実証研究を進め、2030年代後半の技術確立を目指すとした。立地地域振興や、クリアランス制度の活用、電源三法交付金のあり方についても関係省庁と連携し対応していく考えを示し、電源三法交付金のあり方についても検討を進める考えを示した。そして最後に、「福井県の皆様の声をしっかり受け止め、政策に反映していく」と述べた。
01 May 2026
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三菱総合研究所(MRI)は4月15日、「高レベル放射性廃棄物最終処分地選定への提言 実行性のある選定プロセス構築に何が必要か?」と題したコラムを公表。高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分地選定プロセス(文献調査→概要調査→精密調査→処分地選定)の実態と課題を明らかにしたうえで、意思決定を地域任せにしない環境整備に向けた方策を提言した。同コラムは冒頭、現行の最終処分地選定プロセスの制度化から25年以上が経過した現在も、文献調査の実施地点が3地点(※コラム執筆時、現在4地点)に留まっていることに言及。なぜ現行プロセスでは、「文献調査地点が広がらないのか」「選定プロセスが次段階(概要・精密調査)へ進まないのか」の2点を課題に挙げ、停滞状況にある現状を憂いた。その理由のひとつとして、選定プロセスの進展が実質的に地域の発意や意思決定に委ねられている点にあると記された。国が定めた「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」では、文献調査の受け入れや次段階への移行には、「国が都道府県知事や市町村長の意見を聴き、これを尊重しなければならない」と定められた規定(尊重規定)が存在し、調査の進展が地域の判断に大きく左右される構造であると指摘した。無論、この尊重規定は、選定プロセスの可逆性と地域による実質的な拒否権を担保するもので、地域の意向に反して国が一方的に進めることを避けるための規定であるが、同コラムでは、この尊重規定を踏まえつつ、調査地点の拡大とプロセスの進展を進める方策を3点、提言した。【意思決定を地域任せにしない環境整備に取り組む方策】①国として積極的な申し入れや意思の提示を行い地域の意思決定の一助とすること②責任の分担方策の導入と地域インセンティブに関する議論機会の設定③柔軟性のある調査ステップへの見直し同コラムでは、この状況を打破するカギは「地域の意思決定の一助」にあるとし、国が主体的に関与し、地域の意思決定を後押しする必要性を挙げた。今年1月、赤沢経済産業大臣が全都道府県知事に対し、処分地選定に向けた調査について「地域任せにすることなく、国の責任で協力を求めていく」とした文書を発出。そして、今年4月、新たに東京都小笠原村での文献調査の実施が決定。同件は、国が主導して地方自治体に文献調査を申し入れ、受け入れが正式に決定した初の事例となり、まさに、国が主導してHLWの処分地選定プロセスを進めていく姿勢の表れであり、一歩前進したと評している。コラムを執筆したMRIの防災・レジリエンス政策本部の小野寺将規氏と、インフラ・都市政策本部の伊原隼人氏は、南鳥島の特殊性を加味すると、必ずしも後続地域への調査申し入れ・選定プロセスの進展がスムーズに進むとは限らない可能性にも言及する。また、最終処分法における尊重規定は、「概要調査地区等の所在地を定めようとするときは…」と規定されており、文献調査から概要調査、概要調査から精密調査、精密調査から処分地選定、といったタイミングで発生するものだと解釈されると指摘。そのため、今回の小笠原村の事例のように、文献調査申し入れ時、厳密には尊重規定の適用対象外と考えられるため、法令上の観点で構造の変化、大きな影響は無いものと言える。こうした事例を今後、増やしていけるかがカギとなる。MRIは2点目として、責任の分担と地域インセンティブに関する議論の必要性を指摘。調査受け入れの判断は地域に大きな影響を及ぼすことから、特定の個人や組織に責任が集中しない仕組みが求められるとし、住民や議会などの意見を意思決定の前提に位置付けるなど、地域参画の枠組みを組み込むことを提言した。また、処分場受け入れに伴うリスクを踏まえ、地域振興策などについて国と議論・調整できる場の整備も必要だと訴えた。当該自治体は文献調査で最大20億円、概要調査で最大70億円の交付金を得ることが可能だが、そうした金銭的なインセンティブ以外の提示も重要だと訴えた。そして第3に、調査ステップの柔軟化を挙げた。現行の3段階の処分地選定プロセスについて、文献調査と概要調査を一体的に扱うなどの見直しを行うことで、より実態に即した情報に基づく判断が可能になるとし、地域の要望に応じた柔軟な運用を検討すべきだと記した。
28 Apr 2026
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原子力発電環境整備機構(NUMO)は4月8日、高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分に用いるオーバーパックの製作技術について、今後の技術展望を取りまとめた報告書を公開した。検討の結果、炭素鋼製および銅コーティング型のいずれについても、既存の産業技術を活用して製作可能であることが確認され、処分システムの実現性を支える重要な技術基盤が整いつつあることが示された。オーバーパックとは、ガラス固化体を入れて密封する金属製の容器を指し、ガラス固化体と地下水の接触を防ぐ役割を担うもの。ガラス固化体の放射能や発熱の影響が大きい初期段階において、閉じ込め機能を確実に維持するために必要で、その性能確保こそ、地層処分の安全性を支える重要な要素となる。そのためNUMOでは、品質を確保した上で、より効率的にオーバーパックを製作する技術が求められており、長年、研究が進められてきた。オーバーパックの材料は、腐食特性や材料強度、耐放射線性、調達性やコスト、使用実績など、様々な観点から検討され、これまでのところ鉄(炭素鋼製)が有力候補である。一方で炭素鋼を標準設計の材料としつつも、代替材料として腐食に強い銅を表面にコーティングする技術(銅コーティング型)も長年検討され、最近はこの溶接方法の効率化の検討が進んでいた。同報告書によれば、炭素鋼製と銅コーティング型のいずれの方式についても、一般産業で確立された技術を活用することで製作が可能であり、必要な技術基盤はすでに整っていることが確認されたという。さらに、複数のガラス固化体を収納する大型のオーバーパックについても、既存の製作・接合技術を基本に適用可能であることが確認され、将来的な処分作業の効率化や設計の幅の拡大につながる知見が得られたと記された。NUMOはあわせて、ガラス固化体の設置方式として検討している「横置き・PEM方式」の高度化についても言及。同方式では構造の見直しにより、オーバーパックおよび緩衝材の重量を従来比で約3分の1に軽減できる可能性が示されており、設備の小型化や搬送・設置作業の効率化につながるとみられる。NUMOは、これらの技術的知見を今後の処分事業や安全評価に反映し、操業時の安全性を確保しつつ、より柔軟な処分場設計の実現につなげていく方針。
27 Apr 2026
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量子科学技術研究開発機構(QST)と日本原子力研究開発機構(JAEA)は4月13日、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR) ※1が、2月12日に公表した最新の報告書「UNSCEAR 2024年報告書 (Volume.2)」において、JAEAが開発した宇宙線挙動解析モデル「PARMA」が採用されたと発表。あわせて、QSTが同モデルを用いて算出した公衆の宇宙線被ばく線量も同報告書に採用された。高精度な「世界の宇宙線被ばく線量地図」の作成に両機構が大きく貢献し、世界の公衆被ばくにおける影響評価の基礎データへの利用が期待されるという。同報告書によると、自然放射線源からの世界平均年間実効線量は約3.0mSv(ミリシーベルト)と推定される。地球上では、自然放射線による被ばくは日常的に生じており、その線量の把握はリスク評価の基礎となっている。UNSCEARは自然放射線による被ばく線量を最新の科学的知見に基づき、適宜見直しを行ってきた。自然放射線のうち宇宙から飛んでくる宇宙線は、高度や緯度、太陽活動によって大きく変動するため、従来の評価手法では十分に反映しきれず、以前から、世界平均線量が過大に評価される課題が指摘されてきた。しかし、JAEAが開発したPARMAモデルは、大気中での宇宙線の挙動を物理学的に精緻にシミュレーションし、あらゆる条件下での線量を解析的な数式で与えることができるという。この、画期的なモデルを用いることで、地球上のあらゆる地点における高度や緯度・経度、さらには日付に対する宇宙線強度や被ばく線量を導き出すことが可能になった。同報告書はこのPARMAモデルを、「現在利用可能な最も信頼性の高いモデル」と位置付けており、QSTはこれを用いて、地球上の居住地域を1km四方のグリッドで約3,000万地点の宇宙線被ばく線量を解析。人口分布データも組み合わせることで、世界各地の実態に即した線量評価を行った結果、「世界の宇宙線被ばく線量地図」が完成。報告書の基礎データとして全面的に採用された。なお、宇宙線による全世界平均の年間実効線量は、従来の0.38mSv/年から0.30mSv/年へと見直された。今回、日本発の解析モデルが採用されたことで、宇宙線による被ばく線量の評価精度は一段と向上。こうした成果は、日本の放射線科学分野における国際的な存在感を示すとともに、今後の放射線防護や被ばく評価の高度化につながるものとして期待される。※1 1955年設立。日本を含む31の加盟国から任命された科学分野の専門家で構成され、人やその環境が受ける放射線被ばくのレベル、影響、リスクについて評価し報告が任務。
23 Apr 2026
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東京都小笠原村の渋谷正昭村長は4月20日、高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分に関する文献調査について、国の申し入れを受け入れる考えを表明した。翌21日、経済産業省を訪れ、赤沢経済産業大臣に回答書を手交。これにより、南鳥島での文献調査の受け入れが正式に決まった。文献調査を実施する自治体は、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に続き、南鳥島が国内で4例目。他の3地点と異なり、南鳥島は全域が国有地で、民間人は居住していない。また、国が主導して地方自治体に文献調査を申し入れ、受け入れが正式に決定した初の事例となる。渋谷村長は会談の冒頭、3月3日の赤沢大臣の申し入れ以降、村民や議員との意見交換に加え、村内外から多様な意見が寄せられたことに言及。そのうえで、「賛否を一つに絞るのではなく、寄せられた意見をそのまま国に返すべきだと考えた」と述べ、文献調査の実施可否について「国の責任で判断すべき」との認識を改めて示した。さらに渋谷村長は、4月13日に同村が公開した「文献調査申し入れに対する村長見解」に記された5つの要請事項の順守を徹底するよう、赤沢大臣に直接要請した。そして、住民説明会が1度行われたのみであることや、村民が抱く風評被害への懸念等に触れ、「引き続き情報提供の場を設けるとともに、住民が理解を深める機会を確保してほしい」と強調した。渋谷村長が提示した5つの要請事項は、次のとおり。①エネルギー政策や処分方法に関する長期的な検討の継続②他地域への調査拡大③住民向け説明会や専門家による情報提供の強化④遠隔地である地理的条件への配慮・風評被害対策⑤文献調査が最終処分場の建設決定に直結しないことの明確化これに対し赤沢大臣は、エネルギー政策の基本である「S+3E(安全性+安定供給、経済効率性、環境適合)」のバランスをふまえ、責任ある政策を進めていく考えを示した。そのうえで、最終処分については将来世代への負担軽減の観点から、減容化に向けた技術開発を着実に進めるとした。また、諸外国の事例もふまえ、科学的に適地を選定するためには多角的な調査が必要との認識を示すとともに、対象地域の拡大に向けて今後も国が前面に立って取り組む考えを示した。さらに、新たな説明会の場を設けるなどして「村民の理解促進に努める」とコメント。加えて、南鳥島の地理的条件をふまえ、誤解が生じないよう正確な情報発信に取り組む考えを示したほか、文献調査が最終処分施設の建設決定に直結するものではないことを改めて明確にした。そのうえで赤沢大臣は、「今後の文献調査の実施にあたっては、これら5つの要請事項を踏まえ、小笠原村の皆様と丁寧にコミュニケーションを取りながら進めていきたい」とし、「国の判断を受け入れていただいたことに心より感謝申し上げたい」と述べた。一方、文献調査を実施する原子力発電環境整備機構(NUMO)の山口彰理事長は21日、ウェブサイト上で、村民説明会などへの参加を通じてHLWの議論に向き合ってきた小笠原村民に謝意を示した。そのうえで、HLWの最終処分は社会全体で解決すべき課題であると強調し、今後は国と連携しながら、小笠原村から示された要請事項に誠実に対応していく考えを示した。あわせて、村民らの疑問や不安に丁寧に応え、理解の深化に努めていく方針を示している。
22 Apr 2026
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関西電力は4月20日、大飯発電所1、2号機(PWR、117.5万kWe×2基)の廃止措置計画の変更認可を原子力規制委員会に申請。低レベル廃棄物の推定発生量が大幅減となった。同1、2号機の廃止措置は2019年度に開始され、2048年度までの約30年で完了する計画。現在は廃止措置の第1段階(解体準備)の終盤にあたり、2027年度以降に第2段階の原子炉周辺設備の解体撤去が本格化する見通しだ。今回の変更認可申請は、第1段階の進捗や、これまでに実施した残存放射能調査の結果を踏まえ、今後の工程や廃棄物処理の見直しを行うもの。残存放射能調査とは、原子炉の運転に伴い施設内に残る放射性物質の分布や量を把握するもので、汚染状況の評価や、管理区域内設備の解体撤去工法、放射性廃棄物の処理方法の検討に活用されている。今後、関西電力は2038年度以降に第3段階(原子炉領域の解体)、2045年度以降に第4段階(建屋等の解体撤去)へと移行する計画。また、使用済み燃料については、1、2号機の使用済み燃料ピットに貯蔵されている分を2037年度までに搬出する方針としている。そして、今回の変更認可申請で注目されるのが、廃止措置に伴い発生する放射性廃棄物の推定発生量の変化だ。前述の残存放射能調査結果等を踏まえた放射性固体廃棄物の推定発生量の見直しを実施したところ、放射性物質として扱う必要のない「クリアランス」の推定発生量が、当初推定の約1.3万トンから約3.9万トンへと大幅に増加し、約3倍に拡大する見通しとなった。それに伴い、低レベル放射性廃棄物についても内訳に変化がみられ、放射能レベルの極めて低い区分(L3)は当初の申請量よりも大幅に減少する見込み。一方で放射能レベルの比較的低い区分(L2)は増加する予想に変更されたが、全体としては、低レベル放射性廃棄物の総量の推定発生量は減少した。今回の変更申請では他にも、使用済み燃料ピット水(使用済み燃料プールの水)の冷却が不要となることに伴い、使用済み燃料貯蔵設備の機能について、従来の冷却・浄化機能から浄化機能のみに変更。また、非常用ディーゼル発電機や燃料取替用水タンクについては、廃止措置計画における性能維持施設から削除するなど、設備の合理化が図られることとなった。
21 Apr 2026
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OECD/NEAとの共催で行われた第59回原産年次大会のセッション4では、「国際的視座から原子力人材課題を解く」をテーマに、原子力人材の確保・育成をめぐる課題が議論された。セッション冒頭の「ファイヤーサイドチャット」に続き、産業界、政府、海外機関の関係者が登壇し、国内外の取り組みや課題認識を共有した。モデレーターを務めた黒﨑健教授(京都大学複合原子力科学研究所所長)は、日本の原子力を取り巻く環境が大きな転換点にあると指摘。第7次エネルギー基本計画において原子力は「最大限活用」と位置づけられ、2040年の電源構成において一定の役割を担うことが明確化された一方で、これを支える人材の確保と育成は深刻な課題となっているとした。福島第一原子力発電所事故後の約15年にわたる停滞により、研究開発力と人材の双方が十分に回復していない現状にある。また、日本全体で人口減少が進む中、働き手の減少と原子力分野における業務量の増加が同時に進行していると指摘し、「仕事は増えるが人は減る」という構造的なジレンマに直面していると指摘した。こうした状況は原子力分野に特有のものではないが、安全対策強化などにより業務負荷が増している同分野では特に顕著であるとした。産業界の立場から登壇した吉村真人氏(原子力人材育成ネットワーク 戦略WG主査/日立製作所)は、原子力人材育成戦略ロードマップの検討を通じて浮かび上がった課題を説明した。人材育成に関する施策は整理されているものの、実行段階に至っていないケースが多いとし、その要因として、必要なリソースの確保の難しさ、関係機関間での優先順位の不一致、さらには将来の人材需要の不確実性を挙げた。その上で、優先度の高い施策を特定し、実行を担う「司令塔機能」の必要性を強調し、人材需給の分析と施策の実行を一体的に進める体制の構築が不可欠との認識を示した。こうした議論を通じて、司令塔機能の具体化が今後の焦点として浮かび上がった。文部科学省の有林浩二氏(研究開発局 原子力課長)は、教育面の基盤が弱体化している現状を具体的なデータで示した。原子力関連学科の入学者数は1990年代と比較して大きく減少し、教員数も減少傾向にある中、特に若手教員の減少が顕著である。また、試験研究炉の減少により実習機会も制約を受けており、個別大学での一貫した人材育成が困難になっていると指摘した。こうした状況への対応として有林氏は、全国の大学や研究機関が連携し教育資源を共有する「ANEC(先進的原子力教育コンソーシアム)」の取り組みを紹介。同プログラムでは、参加学生の約7割が原子力関連分野へ進学し、約6割が関連企業へ就職するなど一定の成果を上げているとし、今後は他分野の学生への裾野拡大や産業界との連携強化が課題になるとの認識を示した。一方、海外の取り組みとして、ソアジグ・ドレヴィヨン氏(フランス原子力職業大学 国際関係・高等教育担当部門長)は、同国の人材確保戦略を紹介した。フランスでは原子力産業が約25万人規模に達し、今後10年間で約10万人の新規人材が必要だという。このため、教育・訓練・採用を一体的に進める「スキルロードマップ」を策定し、職業情報の可視化や原子力職業週間(業界見学や就職イベントを集中的に実施)の開催、奨学金制度の整備など、多面的な施策を展開していると説明した。また、NEAのタチアナ・イヴァノワ氏(原子力科学・教育部長)は、原子力人材の不足は世界共通の課題であると指摘した。原子力発電の拡大に伴い、建設・運転・燃料サイクルなどあらゆる分野で人材需要が増加している一方、多くの国で人材の高齢化が進んでいるとし、教育・訓練の高度化や国際連携の強化が不可欠であるとの認識を示した。パネル後半の学⽣との質疑応答では、会場から多数の学生の手が挙がった。⽂系学生の役割や、他分野から参入する際の心理的ハードル、さらには留学生が直面する国籍の壁など、若者ならではの等身大かつ切実な問いがパネリストに直接投げかけられ、白熱した議論が交わされた。これに対し登壇者からは、「原⼦⼒は技術者に限らず、社会科学の知見も不可欠な総合分野である」との力強いエールが送られるとともに、まずは原⼦⼒に関する理解を社会に広げることが重要であるとの意⾒が相次いだ。黒﨑氏は総括として、若年層の参加が増え、議論の雰囲気が変化してきている点を評価した上で、原子力分野が従来の「閉じた世界」から社会全体へ開かれた存在へと変わる必要性を強調。信頼の回復と社会的理解の醸成が人材確保の前提であり、「原子力村から社会へ」という意識転換が求められているとした。最後にNEAのW.D.マグウッド事務局長は、原子力人材の不足は短期間で解決できる問題ではなく、長期的な取り組みが必要であると指摘した。若年層への早期教育の重要性に加え、エンジニアのみならず社会科学分野の人材も含めた多様な人材の確保が不可欠であるとし、政府、産業界、教育機関が一体となった対応の必要性を強調した。
20 Apr 2026
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OECD/NEAとの共催で行われたセッション4の冒頭では、NEAのW.D.マグウッド事務局長と、日本原子力産業協会(JAIF)の増井秀企理事長による対談「ファイヤーサイドチャット」が行われた。原子力人材の確保をめぐる課題をテーマに、各国に共通する問題の構造や若年層への訴求の重要性について認識が共有された。対談は、その後に続くパネル討論の導入としての位置づけである。対談の中で増井理事長は、日本における原子力を取り巻く状況について、再稼働の進展や新設に向けた機運の高まりなど前向きな動きに触れつつも、「最大の課題は人材」と指摘。日本では年間約90万人規模で人口減少が進んでおり、この規模は原子力産業全体の労働力を大きく上回っている。また、JAIF会員企業の約8割が人材不足を感じているとの調査結果にも言及し、問題の深刻さを強調した。これに対しマグウッド事務局長は、人材問題は各国に共通する課題であるとの認識を示しつつ、不足人材の内訳は国ごとに異なるとの見解を示した。米国では原子力分野への学生流入は一定規模を維持している一方、溶接など技能職分野での人材不足が顕在化している。欧州では長期的な原子力業界停滞により原子力専業の高スキル人材が弱体化しており、再構築には時間を要する状況にあるとした。そして日本については、福島第一原子力発電所事故の影響により、原子力分野への関心が低下し、人材の流出が生じたとの見方を示し、課題が一層深刻化していると指摘した。議論はその後、日本特有の構造的課題へと移った。増井理事長は、事故後の安全対策強化に伴い、設計、審査、製造、保守などの業務が増加している一方で、人材は減少していると述べ、「業務量の増加と人材減少が同時に進行する構造的なジレンマ」に直面していると説明した。そしてこの課題への対応としては、人材の確保と生産性向上の双方が不可欠とし、とりわけ日本では新卒採用が中心であることから、若年層の確保がカギになるとの認識を示した。JAIFが主催する就職イベント「原子力産業セミナー」への参加企業は増加しているものの、参加学生数は横ばいにとどまっている現状も紹介され、若者の関心を引きつける難しさが共有された。一方で、より多くの学生にリーチするため、開催地を従来の東京/大阪のみならず、昨年は福岡、さらに今年は仙台へと拡大していくなどの、積極的な取り組みも報告された。若年層へのアプローチについてマグウッド事務局長は、学生が重視する要素として「将来性」と「社会的意義」の2点を挙げた。すなわち、安定した職業としての見通しに加え、その仕事が社会にどのように貢献するのかを明確に示すことが重要であると指摘した。原子力の役割が十分に伝わっていない現状を踏まえ、専門家が学校現場で直接語る機会を増やすことが有効だと強調した。増井理事長はJAIFが実施している大学生向け「出前講座」を紹介。短時間の講義でも受講前後で認識が大きく変化するなど高い効果が確認されている一方、対象は全体のごく一部にとどまるとし、「効果は高いが規模が限られる」という課題を指摘した。くわえて、電力会社など複数の組織が類似の取り組みを個別に実施している現状に言及。こうした取り組みを業界大で連携させることで、より大きな効果を生み出せるのではないかと指摘した。分散した活動から統合的な枠組みへの転換、すなわち「分断から協調へ」の移行が求められているとの認識である。マグウッド事務局長もこの点に同意し、教育コンテンツを集約しオンラインで共有する仕組みの重要性に言及。質の高い情報に対する需要は存在するものの、それを体系的に提供する体制が整っていないとし、日本は産業としてのまとまりがあることから、こうした取り組みを進めやすい環境にあるのでは、との見方を示した。その上で、「重要なのは宣伝ではなく、正確でバランスの取れた情報提供である」と述べ、メリットと課題の双方を提示し、若者が自ら判断できる環境を整える必要があると強調した。
20 Apr 2026
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東京都小笠原村の渋谷正昭村長は4月13日、南鳥島における高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分に関する文献調査の実施可否について、国が判断すべきとの見解を示した。渋谷村長は、電力の安定供給を必要とする現代社会において原子力発電は不可欠との認識を示した上で、HLWの最終処分施設についても将来的に必要になると指摘。「地域任せにすることなく国の責任で取り組むのであれば、国が判断すべきだ」と述べ、文献調査の実施可否については国が主体的に決定すべきとの考えを示した。そして、国が文献調査の実施を決定した場合には、村として以下の5項目を要請するとした。①地層処分が現時点で有力な処分方法であることを踏まえつつも、廃棄物の新たな処理方法や発生抑制に向けた研究開発を継続的に進めること②他自治体へも文献調査の申し入れが行われるまで、小笠原村でも次段階の意見表明は行わないこと③村民に対する理解促進活動や意見交換の実施を継続し、専門家を交えたテーマ別の議論の場を設け、説明機会の充実を図ること④風評被害への懸念を踏まえ、小笠原諸島と南鳥島の地理的条件や位置関係について、国およびNUMOが国内外に向けて適切に発信すること⑤文献調査の実施が、処分施設の建設決定を意味するものではないことを明確にすること渋谷村長としては、調査の必要性を含めた判断は国の責任で行うべきとの認識を改めて強調するとともに、他自治体への申し入れ拡大を通じて、地層処分を巡る国民的議論が深まることへの期待も示した形だ。赤沢亮正経済産業大臣は翌14日、渋谷村長の示した見解について、「小笠原村の対応に感謝したい」と述べた。そのうえで、渋谷村長が示した見解は村内の多様な意見を踏まえたものとの認識を示し、「国として重く受け止めている」とした。今後の対応については、渋谷村長が正式な回答をした際に、「直接話を伺ったうえで、国として責任を持って対応していく」とした。
17 Apr 2026
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「第59回原産年次大会」2日目には、「廃炉に挑む原子力人材の叡智と情熱」と題した福島セッション(セッション3)が行われた。福島第一原子力発電所の廃炉が長期に及ぶ中、作業は新たな段階に入りつつあり、それを担う次世代人材の確保・育成が重要な課題として改めて浮き彫りとなった。東京電力ホールディングス・福島第一廃炉推進カンパニープレジデントの小野明氏は、燃料デブリの分析や試験的取り出しの進展により、「現場の軸足が燃料デブリの取り出しに移りつつある」と指摘。これまでの処理水対策や使用済み燃料の取り出しなど、リスク低減に向けた主要な取り組みは一定の方向性が見えてきた一方、今後は「極めて困難で不確実性の高い」デブリ取り出しという新たなフェーズに入るとの認識を示した。こうした廃炉の段階の変化に伴い、人材への要請も質的に変化している。小野氏は、高度な技術課題に対応する高度専門人材と、長期にわたり現場を支える人材という「二層の人材」の必要性を指摘。遠隔操作や高線量環境下での作業など、高度技能を要する業務の増加を見据え、教育訓練環境の強化や海外の廃止措置経験者の活用に言及した。続くパネルディスカッションでは、福島で学び、働く若者が登壇し、廃炉とのかかわり方を自らの言葉で語った。福島工業高等専門学校4年の橋本拓真さんは、ロボット分野への関心から廃炉分野に進路を広げた経緯を説明。初めて福島第一原子力発電所を訪れた際には、「映像で見ていた景色でも、実際に見ると重みが違った」と語り、現場での体験や技術者との対話を通じて進路意識が具体化したとした。一方、当初は廃炉に距離を感じていたという声も共有された。福島県立小高産業技術高校3年の森山來星(らいる)さんは、震災後の復興が身近である環境で育ちながらも、当初は廃炉に対し「危ない、終わりが見えないもの」との印象を持っていたと振り返った。その後の学びや現場見学を通じて認識は変化し、「廃炉は未来の安全をつくるプロジェクト」との現場の言葉に共感。将来は電気工事士として廃炉に関わることを志していると述べた。また、廃炉関連事業に携わる株式会社ビーエイブルの伊藤斐菜(ひな)さんは、入社当初は廃炉への関心が高かったわけではないが、業務を通じて現場への関心を深め、自ら希望して工事部へ異動した経緯を紹介。現在はドローンを活用した構内車両管理に従事し、作業工程を支える役割を担っているとした。その上で、地元出身者が現場に関わることが、外部人材との信頼関係構築や地域の安心感につながるとの認識を示した。教育現場からは、福島県立相馬高校の高村泰広教諭が、普通科の生徒に原子力や廃炉への関心を持たせる難しさに触れつつ、現場見学や対話の機会を通じて理解を深める取り組みを紹介した。議論では、若い世代の関心喚起には現地見学や体験の機会に加え、「身近な人の声」が重要であるとの認識が共有された。震災の記憶が薄れる中、福島県内においても廃炉への関心が必ずしも高くない現状が指摘され、橋本さんは、同世代でも関心に差があり、発電所の位置すら十分認識されていないケースがあると語った。その対応として、修学旅行などでの現地見学の活用や、東京電力のウェブサイトを通じたVR体験を入り口とする提案も示された。モデレーターを務めた福島工業高等専門学校の鈴木茂和教授は、廃炉人材の育成には、学生たちが実際に現場を見て働く人の話を直接聞く機会を増やすことに加え、教員自身の理解深化も重要であると総括。国/産業界/教育機関の連携により、若い世代が廃炉に触れる機会を拡充する必要性を指摘した。福島第一原子力発電所の廃炉は世界でも前例のない長期プロジェクトであり、技術的な挑戦の側面を持つ分野でもある。作業が新たな段階に移る中で、その意義と魅力をいかに伝え、人材の裾野を広げていくかが、今後の進展を左右するカギとなる。
17 Apr 2026
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原子力産業における人材不足とデジタル変革をテーマとしたセッション2では、各社からAIやデータ活用に加え、ロボティクスやオープンイノベーションを軸とした取り組みが相次いで紹介された。かつて課題とされてきた属人化や紙ベースの情報管理に対し、変革は着実に進みつつある。一方で、その多くはなお途上にあり、現場への定着や運用での課題も浮かび上がった。セッションを通じて見えてきたのは、「変革は始まっているが、次の段階への移行が問われている」現状である。各社に共通する「変革への着手」セッションでは、欧米の事業者、メーカー、IT企業、建設業など、多様なプレイヤーが登壇した。立場は異なるものの、共通していたのは、過去の構造的課題を前提とした上で、それを変革しようとする明確な意思だった。フランス電力(EDF)では、これまでのドキュメント中心の情報管理からの脱却を掲げ、「クラウドやAIを活用したデジタル基盤の再構築を進めている」(アイハン ユルドゥズ・EDF原子力・火力デジタルトランスフォーメーション部門 統括ディレクター)。紙やPDFに依存した情報管理の限界を認識し、データとして活用可能な形へ転換することで、業務効率と意思決定の高度化を図るという。日立製作所の大坂雅昭氏(原子力ビジネスユニット 原子力事業統括本部 デジタルイノベーション本部長)は、原子力分野における技術伝承の課題に対し、ナレッジマネジメントとAIを組み合わせたアプローチを提示した。ベテランに依存していた知識を体系化し、次世代へ継承する仕組みを構築することで、属人化からの脱却を目指すという。すでに「使ってもらう段階に入りつつある」(同氏)とし、実運用への移行が進み始めていることが示された。日本電気(NEC)の千葉雄樹氏(デジタルプラットフォームサービス BU AIテクノロジーサービス事業部門 主席プロフェッショナル AIチーフナビゲーター)は、生成AIの進展を踏まえつつも、「技術先行」の限界を指摘した。AIは多様な課題に適用可能である一方で、「何に使うか」が設計されていない場合、価値創出につながらないというのだ。実際、AI活用は「うまくいっている企業とそうでない企業の二極化」(同氏)が進んでいるとされ、技術そのものよりも、業務プロセスやデータの設計が重要であることが強調された。一方、建設分野から登壇した村上陸太氏(建設RXコンソーシアム 会長/竹中工務店 顧問 エグゼクティブ・フェロー)は、人手不足という共通課題に対し、ロボティクスやデジタル技術を活用した「共創」による解決の必要性を強調した。個社ごとに技術開発を行う従来の在り方から、業界横断で技術を持ち寄り、実装につなげていく取り組みが進められているという。また、米国企業のウェスチングハウス(WE)やThe Nuclear Company(TNC)からは、原子力建設の現場における複雑性と人材不足を背景に、AIやデジタル技術に加え、ロボティクスや高度な製造技術を組み合わせた最適化の可能性が提示された。WEのルー・マルティネス・サンチョ氏(最高技術責任者)は、「どれだけ技術が進んでも、人間が中心にいるという原則は変わらない」と述べ、AI時代においても人材と知識の重要性を強調した。また、TNCのスーマントラ・ゴーシュ氏(バイスプレジデント)は、「原子力は技術や政策の問題ではなく、いかにプロジェクトを実行するかが本質だ」と指摘し、大規模プロジェクトにおける経験の継承と標準化の必要性を訴えた。各社の取り組みは一見異なるようでいて、本質的には共通している。AIやデータ活用に加え、ロボティクスの導入や企業・業界をまたいだオープンイノベーションなど、変革のアプローチは多様である。こうした取り組みを通じて進められているのは、ドキュメント中心の業務からデータ活用へ属人化した知識から体系化されたナレッジへ個別最適から全体最適へといった、「これまでの構造」そのものを変えようとする試みである。もっとも、これらの取り組みはまだ完全に定着したとは言い難い。日立製作所の事例に見られるように、技術は「ようやく使われ始めた段階」にあり、NECが指摘するように、AI活用も成果にばらつきがある。EDFにおいても、デジタル基盤の再構築は進行中であり、完成には至っていない。つまり、各社は確実に前進しているものの、その多くは依然として「途上」にあるのだ。「実装」のカギはどこにあるのかこうした状況について、モデレーターを務めた澤円氏(元・日本マイクロソフト業務執行役員)は、セッション後のインタビューで次のように語った。「どんなにいいプランや仕組みがあっても、人間の“気合”がないと前に進まない」さらに同氏は、この「気合」について、セッション終盤で村上氏が、デジタル技術やロボティクスを活用した共創の取り組みを紹介する中で示した視点に言及しながら、次のように説明した。「村上さんのおっしゃった、“面白がる、楽しむ”というキーワードそのものだと思います」課題を前にしたとき、それを負担としてではなく、自ら関わる対象として捉えられるかどうか。澤氏は、その姿勢こそが変革を前に進める原動力になると強調した。そして澤氏は、原子力における社会受容の問題にも言及。原子力においては、技術や業務の変革に加え、社会との関係も重要な論点である。澤氏は、「人は知らないものを恐れる」と指摘し、知識の共有と理解の深化が不可欠であると述べた。また、自身がこれまで「原子力」というタグを持たない立場であったことに触れつつ、「今回で(私も)“当事者”になりました」と語り、原子力は社会と対立するものではなく、社会をより良くするための力であり、その実現には多様な人材を巻き込み、「当事者」の裾野を広げていくことが重要だと指摘。デジタル化やAI活用が進む中でも、こうした理解の拡大とコミュニティの広がりを通じた信頼関係の構築が、引き続き意義を持つと強調し、「多くの人を巻き込んで、原子力コミュニティを大きくしていきましょう」と呼び掛けた。変革は始まっている——そして次の段階へセッションを通じて明らかになったのは、原子力産業がすでに変革に着手しているという事実である。各社は過去の課題を認識し、それに対する具体的な対応を進めている。しかし、それらを現場に定着させ、再現性のある形で運用していくには、さらなる取り組みが求められる。技術と制度の整備が進む中で、最終的に変革を前に進めるのは人である。そして、その変革を持続的なものとするためには、専門領域の内側にとどまらず、外部からの視点も取り込みながら当事者を広げていくことが不可欠であり、その原動力となるのが「楽しむ力」である。原子力DXは確実に進んでいる。その真価が問われるのは、まさにこれからなのだ。
16 Apr 2026
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東京電力は4月16日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の再稼働に向け、午前7時から、営業運転直前の工程にあたる総合負荷性能検査を実施。午後4時過ぎに使用前確認証等を交付され、営業運転を開始した。同機が営業運転に入るのは14年ぶり。総合負荷性能検査は、原子炉が定格熱出力に到達し、運転状態が安定した段階で、使用前事業者検査の最終段階として実施される。原子炉圧力や蒸気の流量、熱出力などのデータを記録し、プラント全体が正常に機能しているかを総合的に確認する。あわせて、原子力規制委員会が使用前確認を行い、事業者による検査が適切に実施されているかを確認。これらの結果、問題がないと判断され、規制委から使用前確認証が交付され、営業運転へと移行。赤沢亮正経済産業大臣は4月14日の会見で、同6号機の再稼働について、「東日本における電力供給の脆弱性の解消、電気料金の抑制、さらには脱炭素電源の確保の観点から極めて重要だ」と述べ、「大きな節目であり重要な一歩」との認識を改めて示していた。また、中東情勢の緊迫化を受け、「原子力はエネルギー安全保障に寄与する脱炭素効果の高い電源」と位置付け、再稼働の意義を改めて強調した。大臣は、6号機の再稼働によって、ホルムズ海峡経由で輸入しているLNGの年間約3割を節約する効果があると指摘。今後の電力需要の増加を見据え、「原子力と再生可能エネルギーの双方を活用していく」とする第7次エネルギー基本計画の方針に変化はないと述べた。
16 Apr 2026
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