
海外NEWS
06 Jul 2026
248

スウェーデン政府 SMR開発会社の株式60%取得へ
海外NEWS
06 Jul 2026
228

米DOE 原子力サプライチェーン再建に向けた融資を発表
国内NEWS
06 Jul 2026
338

日本維新の会 60年運転期間制限の廃止や新増設の検討を提言
海外NEWS
03 Jul 2026
765

米国 3基目の先進炉が臨界を達成
海外NEWS
03 Jul 2026
413

英EDFエナジーと米ホルテック 英政府にSMR建設を共同提案
国内NEWS
03 Jul 2026
436

電事連のエネルギー教材が2年連続優秀賞 消費者教育教材コンテスト
国内NEWS
03 Jul 2026
422

玄海4号機 30年超運転に向け長期施設管理計画を提出
海外NEWS
02 Jul 2026
989

カナダ 原子力戦略を発表

スウェーデン政府は6月25日、ヴェーロー半島にあるリングハルス原子力発電所3-4号機(PWR、各110万kWe級)の近隣サイトで新規建設計画を進めるプロジェクト会社「ビデバーグ・クラフト(Videberg Kraft)」社の株式60%を取得し、筆頭株主となることを決定した。政府は、官民連携による原子力開発を本格化させる方針。ビデバーグ・クラフト社は、国営電力会社バッテンフォール(Vattenfall)が新規建設に向けて2025年4月に設立したプロジェクト会社。政府による株式取得前は、バッテンフォールが80%、産業企業連合インダストリクラフトが20%の株式を保有。政府は今回の措置により、バッテンフォールの持ち株から60%を取得するため、最終的にバッテンフォールとインダストリクラフトはそれぞれ20%を保有する。政府は2026年春の改正予算で、スウェーデン議会(リクスダーゲン)に対し、ビデバーグ・クラフト社の株式60%を最大18億スウェーデンクローナ(約300億円)での取得と将来の資本注入の許可を求め、議会が6月9日にこれを承認した。株式の正式な移転は、2027年後半に行われる見込み。ビデバーグ・クラフト社は今年6月に、英ロールス・ロイスSMR社製のSMR(PWR, 47万kWe)の採用を決定し、同サイトに3基のSMR建設に向けた詳細な計画策定を進めている。同社は、2025年12月に政府に対し国家補助を申請。国家補助制度は、多額の投資と高いリスクを伴う新規建設に対して、低利な政府融資の利用による資金調達コストの削減や原子力発電自体のコスト削減を目的とするもので、2025年8月から施行されている。このほど、政府融資や差金決済契約(CfD)、リスクと利益を分担する国家補助の基本条件も合意された。政府は今後、欧州委員会(EC)へ国家補助の承認を申請し、2027年後半の承認を見込んでいる。なお、原子力発電はリードタイムが長く、将来の政権交代などに伴う政策変更による政治リスクを抱える。このため政府は2025年10月、投資家の予見可能性を高め、政治リスクの低減と新規建設への民間投資を促すため、将来の政治的決定により原子力が中止又は廃止された場合の国による補償制度の在り方を検討する調査委員会を設置した。同調査委員会は6月30日、中間調査報告を発表。報告では、政治的理由による事業中止の場合、許認可を申請した事業者に対し、①事業で発生した実費および中止後に生じる必要経費(政府支援分を除く)、②投下資本について、本来得られるはずだった合理的な収益、③試運転開始後に運転開始前で廃止となった場合、20年間の運転を前提とした合理的な将来収益――などの補償を認めることを提案している。なお、補償制度の法的枠組みや補償の具体的な要件、補償額の詳細な算定方法などは、2026年末に提出予定の最終報告で示される予定。
06 Jul 2026
248

米エネルギー省(DOE)のエネルギー主導融資局(Office of Energy Dominance Financing: EDF)は6月23日、米国の商用原子力サプライチェーンの再建に必要な長納期機器の調達資金を支援する、総額175億ドル(約2.8兆円)に上る条件付き融資を実施すると発表した。同融資制度により、米国で唯一、運転実績のある第3世代+(プラス)の大型炉であるウェスチングハウス(WE)社のAP1000(PWR, 125.0万kW)×10基の建設を支援する。DOEからの融資はWE社の特別目的会社(SPV)を通じて実施される見込み。SPVは全米で最大5社の電力会社・エネルギー企業と提携し、同融資制度の下で、1サイトに2基建設する。各プロジェクトはWE社と提携企業の共同所有となり、SPVは原子炉圧力容器や蒸気発生器などの長納期機器を2基分まとめて固定価格契約で調達する。これにより、建設・運転を最大3年前倒しするとともに、大量一括発注方式によるコストの削減、サプライチェーンの大幅な効率向上が見込まれている。2025年5月に発令された大統領令「原子力産業基盤の再活性化」で設定された、2030年までに設計済みの大型炉10基の着工という目標を後押しするものとなる。なおDOEからの融資を受けるにあたり、WE社と提携企業はそれぞれ5億ドルずつ(合計10億ドル)自己資本を拠出する必要があり、各プロジェクトの機器調達は、自己資本の拠出時期などに応じて段階的に進められる。また、DOEが最終的な融資契約を締結・融資を実行する前に、WE社とその所有者、提携企業は一定の技術的、法的、環境的、および財務的条件を満たす必要がある。DOEによると、WE社はすでに建設予定地が特定されている候補企業7社と基本合意書(Letter of Intent)を締結しているが、企業名やサイトは明らかにされていない。WE社は2025年10月、親会社である資産運用会社ブルックフィールド社(51%)とウラン供給大手カメコ社(49%)とともに、米商務省と原子力発電所の新設を推進する戦略的提携を締結。政府は融資面や許認可面で支援し、米国全土で少なくとも800億ドル規模のAP1000の新規建設を想定している。DOEは2024年時点の約1億kWeから2050年までに4億kWeへ原子力発電設備容量を拡大する目標を掲げており、多くの措置の実施を通じて、次世代の技術開発を加速させ、国内サプライチェーンを再建したい考えだ。
06 Jul 2026
228

米原子力新興企業のDeployable Energy社は6月30日深夜、アイダホ国立研究所(INL)において、同社が開発するマイクロ炉「Unity」のゼロ出力臨界((原子炉において、熱出力がほぼゼロ(核分裂による熱がプラントの温度に影響を与えない極めて低い出力レベル)の状態で、核分裂の連鎖反応が持続する状態(臨界)に達すること。))試験を成功裏に完了した。これにより、2025年5月に発令された大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」で設定された期限である7月4日(独立記念日および建国250周年)までに少なくとも3基の先進炉を臨界に到達させるという目標が達成された。今月初めには、Antares Nuclear社の「Mark-0」と、Valar Atomics社の「Ward 250」が、DOEの原子炉パイロットプログラム(RPP)の下でゼロ出力臨界を達成している。Deployable Energy社のUnityは、国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)がアイダホ国立研究所(INL)で運営する「Nuclear Energy Launch Pad」イニシアチブの下、初めて臨界を達成した原子炉。同イニチアチブは、RPPをさらに発展させた取組みで、DOEによる認可を活用した先進炉の認証・建設・実証を迅速に進め、その先の実用化・商用化に向けて支援する制度である。Unityは、コンパクトな0.1万kWe級の水減速・ガス冷却式の原子力バッテリー。遠隔地のコミュニティ、緊急対応活動、防衛任務、重要インフラのレジリエンス強化、産業用エネルギー需要など、幅広い用途への活用が想定されている。Unityは、プロジェクト開始から約150日の短期間で初臨界を達成した。今後は段階的な試験プログラムへと移行する。原子炉物理特性のさらなる検証、負荷追従運転の確認、固有安全性の検証、定格出力運転の実証などが含まれる。試験期間中に収集されたデータは、継続的なシステムの検証、性能の最適化、および今後の米原子力規制委員会(NRC)からの許認可取得および商用化に向けた取組みに活用される。DOEのC. ライト長官は、「昨夜、多くの人が実現不可能だと考えていたスケジュールで重要なマイルストーンを達成した。Unityのような先進的な原子力技術は、次世代の産業を支え、エネルギー安全保障を強化し、米国が世界の原子力イノベーションをリードし続けることを可能にする」と語った。
03 Jul 2026
765

英EDFエナジー社は6月23日、米ホルテック・インターナショナル社と共同で、英国ノッティンガムシャー州にあるコッタム石炭火力発電所の跡地に小型モジュール炉(SMR)の建設を提案する文書を英政府に提出した。ホルテック社製SMR-300(PWR, 30万kWe)×4基の2030年代初めの完成を目指し、併設するデータセンター向けに電力を供給する計画である。両社は、プロジェクト開発の推進に向けて合弁企業の設立でも合意。ホルテック社はプロジェクトコストを約110億ポンド(約2.4兆円)と試算している。プロジェクトでは、EDFエナジー社の原子力発電所の運営・開発経験と、ホルテック社の原子炉安全技術、製造ノウハウなどを生かし、英国のエネルギー安全保障強化と地域経済の活性化を図る考え。コッタム発電所は、ノッティンガムシャー州の東端、コッタムにあるEDFエナジー社が所有する200万kWeの石炭火力発電所。50年以上の運転期間を経て2019年に閉鎖された。同発電所跡地は、送電網や重要インフラがすでに整備されており、地域のエネルギー関連の雇用基盤もあることから、石炭から原子力への転換に適した立地とされている。今回の共同提案は、SMR-300が英国の包括的設計審査(GDA)を完了し、基本的な安全面やセキュリティ面、環境面について、英原子力規制庁(ONR)を含む規制当局から評価を得たことを前提にしている。ホルテック社が米ミシガン州で韓国の現代E&C社と建設計画を進めるパイオニア発電所の2基のSMR-300は、FOAK(First of a Kind: 初号機)であり、現在、米原子力規制委員会(NRC)が建設許可申請を受けて審査中である。英国のコッタム・プロジェクトは、それに次ぐSOAK(Second of a Kind)となる。今後は、英ONRと米NRCの連携により、米国の初号機建設で得られる知見や経験が英国のコッタム・プロジェクトに反映され、英国での建設・運転リスクの低減と円滑なプロジェクト推進を目指す。
03 Jul 2026
413

カナダ政府は6月22日、電力需要の増加やエネルギー安全保障、2050年のカーボンニュートラル実現を見据え、同国初となる「原子力戦略」を発表した。本戦略では、原子力を安定した低排出電源として位置付け、2050年までに原子力関連の人材を倍増させ、数十億加ドル規模の民間投資を促進し、国内産業の競争力強化を目指している。カナダでは現在、オンタリオ州とニューブランズウィック州のカナダ型加圧重水炉(CANDU炉)17基が同国電力の約13%を供給。原子力産業の経済貢献は年間220億加ドル(約2.5兆円)に上る。また同国は2024年時点で、世界第2位のウラン生産国で、世界生産量の約24%を占め、その約90%が他国に輸出されている。70年以上にわたり培ってきたCANDU炉技術やウラン資源、サプライチェーンや技術者、安全規制体制といった独自の強みを基盤に、新規建設や既設炉の活用、ウラン開発、医療用アイソトープや核融合を含む先端技術の研究開発を推進する計画だ。また、最新CANDU炉の設計開発や、小型モジュール炉(SMR)の先駆けとなるダーリントン新原子力プロジェクト(DNNP)への支援を通じて、原子力分野におけるリーダーシップを強化する方針である。同戦略は、①国内での新規原子力発電所建設の推進、②世界市場における原子力技術・サービスの輸出拡大、③ウラン生産・燃料供給の強化と放射性廃棄物の長期管理、④核分裂・核融合を含む新たな原子力技術の開発を柱に構成される。今後は州政府、先住民、産業界、大学などと連携しながら実施し、エネルギーの安定供給と経済成長を両立させる原子力大国としての地位強化を目指している。カナダ原子力協会(CNA)は同戦略の発表を受け、政府は原子力を単なる電源としてではなく、カナダの経済、エネルギー、地政学的未来を形作る戦略的国家資産とする歴史的な一歩を踏み出したと評価している。世界市場へのカナダの原子力技術展開に関連して、同国のアトキンス・リアリス(AtkinsRéalis)社は6月24日、CANDU炉の米国市場展開に向けて、米原子力規制委員会(NRC)に許認可取得プロセス開始の意向通知書(Notice of Intent)を提出した。同社はCANDU炉技術の独占商業権を所有。米国におけるデータセンターやAI、先進製造業の拡大、電化の進展に伴う電力需要増加を背景に、実証済みの大型CANDU炉の導入を図る方針である。同社によると、CANDU炉は世界で34基の建設実績と約1,000炉年の運転経験を有し、天然ウラン燃料を使用、運転停止せずに燃料交換が可能。医療用コバルト60などの放射性同位体の生産にも寄与する。同社は米国の電力会社や州政府、データセンター事業者などと導入可能性を協議し、既存の原子力サイトを中心に展開を検討している。海外からの濃縮ウラン供給に依存しない燃料仕様により、米国のエネルギー安全保障や燃料サプライチェーンの強化にも貢献したい考えだ。
02 Jul 2026
989

米国のElementl Power社は6月18日、オハイオ州南東部メイグズ郡で、最大150万kWe規模の先進原子力発電所の開発を進めると発表した。同社はGEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」(30万kWe)の採用を計画しており、GVH社と先行作業協定(Early Works Agreements: EWA)を締結した。Elementl社は2022年設立の独立系発電事業者で、先進原子力プロジェクトの開発を手掛ける。規制下にある電力会社や独立系発電事業者、技術サプライヤーと協力し、2035年までに米国で合計発電設備容量1,000万kWe以上の原子力発電の実用化を目標としている。2025年5月には、大手IT企業Google社と、サイト候補3地点で先進的原子力プロジェクト開発の準備向けに初期段階の資金提供に関する契約を締結。サイト候補地や契約金は明らかにされていない。各プロジェクトは少なくとも60万kWの発電設備容量を有し、Google社はプロジェクト完了後に、オフテイカーとして電力購入の優先権を持つ。Elementl社は今回のBWRX-300の採用にあたり、オハイオ州の公共電力会社American Municipal Power社から約2.8㎢の建設予定地を取得。まずは60万kW分について系統運用者PJMへ系統接続を申請しており、審査結果は年内に示される見通し。建設費は民間資金で賄い、電気料金への転嫁は行わない方針である。初号機の建設は、最終投資決定と米原子力規制委員会(NRC)やオハイオ州の規制当局の承認を条件に2030年に開始、2034年の運転開始を目指しており、建設から運転開始後まで数千人規模の雇用創出が見込まれている。オハイオ州・地域の行政機関や経済団体、建設業界からも、電力安定供給や地域経済の活性化、雇用拡大に寄与するプロジェクトとして期待を集めている。
01 Jul 2026
1052

米国の大手電力会社コンステレーション社は6月23日、小売大手ウォルマート社と長期の電力購入契約(PPA)を締結したと発表した。契約に基づき、イリノイ州で運転するドレスデン・クリーン・エネルギー・センター(旧・ドレスデン原子力発電所2-3号機、各BWR, 90万kWe級)から電力を供給する。原子力発電の大口需要が、大手IT企業やAIデータセンターにとどまらず、大規模な小売・物流産業へと広がりを見せている。電力供給規模は約17.6万kWeで、設備効率の改善を通じた出力増強分3万kWeを含む。ウォルマート社は、2029年および2030年からそれぞれ開始される2件の15年間の電力購入契約を通じて、電力を調達。これにより、ドレスデン発電所で設備効率の改善に向けた投資が可能となり、発電量の増加が見込まれる。出力増強は、新規建設と比べて短期間かつ低コストで発電容量の追加が可能な手法。ウォルマート社は、よりクリーンで安定した電力を確保し、地域の電力インフラ強化にも貢献したい考えだ。出力増強による追加電力は、イリノイ州ベルビディアで建設中の同社の最新鋭の生鮮食品物流センターに供給される。なお今回の契約は、同社にとって初の原子力PPAであり、米国では大手小売企業と原子力発電所との間で締結される先行事例でもある。ドレスデン発電所は2025年12月、米原子力規制委員会(NRC)から2号機が2049年、3号機が2051年まで、それぞれ80年間の運転認可を取得した。地域に安定した脱炭素電力を供給するとともに、1,100人以上の雇用を支えている。両社はイリノイ州に長年にわたり拠点を置いており、今回の契約を地域社会への長期的な貢献を示す取組みと位置付けている。
30 Jun 2026
528

海洋分野の原子力利用プロジェクトを進める英国のコアパワー社は6月17日、米国の原子力機器・燃料サービス企業であるBWXテクノロジー(BWXT)社が開発した小型モジュール炉(SMR)「mPower」を浮揚式原子力発電所(Floating Nuclear Power Plants: FNPP)へ搭載するための実行可能性調査(F/S)を開始したと発表した。mPowerは、電気出力約19.5万kWeの第3世代+(プラス)の一体型加圧水型炉。コアパワー社は同炉を海上に設置するFNPPに統合できるか、技術・規制・事業面から検討する。FNPPは造船所で建造され、完成後に電力需要の高い地域や送電網が未整備の地域へ曳航・配備することを想定。陸上の原子力発電所に比べて、建設リスクの低減や量産化によるコスト削減のほか、迅速な電力供給が期待されている。特に、用地確保が難しい地域やインフラ整備に長期間を要する地域への電力供給手段として注目されている。今回の調査では、両社間の技術情報の共有をはじめ、システム設計、運用コンセプトの策定、製品要件の定義、規制対応の検討、海洋用途への適用、経済性の分析などを実施する。本調査は、コアパワー社のM. ボーCEOが、2025年2月に発表した2030年代半ばまでにFNPPの市場投入をめざす米国主導の海事民生用原子力プログラム「リバティ(Liberty)」の一環。ボーCEOは、世界的な電力需要の急増に対し、従来型インフラの整備速度では対応が難しくなっていると指摘。そのうえで、市場をリードする米国が持つ原子力技術、産業基盤、海事分野の強みを活用し、FNPPの実用化を加速させたいとしている。本調査はコアパワー社の資金で実施され、今後の設計開発、規制当局との協議、事業スキームの構築、そして商業化に向けた次のステップを判断するためのベースとなる見込みである。なおコアパワー社は、デンマークのコンテナ船大手のマースク(Maersk)社、英国のロイド船級協会(LR)、オランダのロッテルダム港と共同で、原子力推進商船(コンテナ船など)の主要なEU港への寄港に関する安全性および規制上の考慮事項について調査。このほど発表された調査結果において、既存の港湾安全管理の枠組みは原子力推進商船の受入れに活用できる一方で、原子力特有の規制、安全・セキュリティ対策、緊急時対応、責任・保険制度の整備や社会的受容性の確保に向けた取組みが必要であると示された。また、国際海事機関(IMO)の現行規則は旧来の原子力船を前提としているため、将来の民間商業用原子力推進船の実用化に向けた近代化を提言している。
30 Jun 2026
612

トルコのアックユ原子力発電所1号機(ロシア製PWR=VVER-1200, 120.0万kWe)が6月22日、完成した。同機では同日より、冷態機能試験が開始された。冷態機能試験を数週間実施し、その後、温態機能試験を経て、原子炉を起動する。同1号機のスタッフは1,930人で、その40%以上がトルコ人。ロシアの国立原子力大学/モスクワ工科物理大学(MEPhI)などの専門工科大学を卒業し、現在、ロシアのシミュレーターや原子力発電所で研修や実習を受けているという。アックユ原子力発電所は、トルコで建設中の初の原子力発電所。ロシア設計の第3世代+(プラス)のVVER-1200×4基から構成される、総工費約200億ドルのプロジェクト。同プロジェクトは「BOO(建設・所有・運転)」方式を採用し、ロスアトム傘下のAKKUYU NÜKLEER社がプロジェクト実施主体である。1号機は2018年に建設許可を取得して、着工。2~4号機もそれぞれ2020、2021、2022年に着工している。全4基の運転により年間発電電力量は350億kWh、原子力シェアは約10%に達すると見込まれている。運転サイクルは18か月。原子炉の耐用年数は60年とされ、さらに20年の運転延長も可能とされている。1号機は今年末までに送電を開始する予定。当初は、トルコ建国100周年となる2023年の稼働開始を見込んでいたが、COVID-19のパンデミックや経済制裁による機器調達への影響などを受けて遅延した。トルコは2050年までに、アックユ発電所を含め、同国北部のシノップとトラキア地域で大型炉12基(計1,500万kWe)を建設し、さらに小型モジュール炉(計500万kWe)を追加導入して、原子力発電設備容量を2,000万kWeに増強することを目指している。
29 Jun 2026
679

米国で先進炉と燃料リサイクルの開発を進めているオクロ社とウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー(旧・米国濃縮公社, USEC)社は6月18日、オハイオ州南部で建設を計画する「オーロラ(Aurora)」発電所向けに、高純度低濃縮ウラン(HALEU)を供給する意向表明書(LOI)を締結した。今回の合意は、HALEU燃料確保を確実なものとし、燃料供給能力の拡大を後押しするものと期待されている。オクロ社は同州南部パイクトンにあるセントラス社の米国遠心分離プラント(ACP)に隣接する120万kWe規模を想定したクリーンエネルギーキャンパスにおいて、最大5基のオーロラ発電所を建設する計画。契約が正式化すれば、セントラス社は2029年から数年間にわたりHALEUを供給する。同発電所は大手IT企業のMeta社のデータセンター向けに電力を供給する計画である。LOIでは、オクロ社が将来供給を受けるHALEU燃料の代金の一部を前払いする仕組みも検討されている。セントラス社による生産能力拡大を資金面で後押しするとともに、オクロ社としても燃料の安定確保につなげる狙いがある。この他、セントラス社は、ACPの大規模拡張を計画しており、数十億規模の民間資本に加え、米エネルギー省(DOE)からの今後10年間にわたる9億ドルの随時受注契約を活用する方針である。オクロ社はまた、米建設大手キウィット(Kiewit)社とも協力し、設計・調達・建設計画を進める方針である。本計画全体で、数十億ドル規模の民間クリーンエネルギー投資と、南オハイオに数百の雇用をもたらすと期待されている。オクロ社は今年3月、セントラス社のパイクトン・サイトでHALEUやその他の燃料サイクル技術のための再転換サービスの共同事業の実施に向けた協議を進めることでも合意している。発電、燃料供給、建設体制の一体的整備により、先進原子力産業の商業展開の加速が期待されている。開発中の「オーロラ」は、高速炉設計を採用し、構造を簡素化することで長期間の安定運転を目指す小型炉で、金属燃料を用いる点が特徴。現在、アイダホ国立研究所(INL)敷地内で建設準備が進められている。
26 Jun 2026
503

インド原子力発電公社(NPCIL)は6月18日、同社がマハラシュトラ州に所有・運転するタラプール原子力発電所(TAPS)2号機が送電を開始したことを明らかにした。NPCILは2020年7月から同2号機の大規模な改修・近代化プログラムを実施。今年5月に原子力規制委員会(AERB)から10年間の運転期間延長の承認を受けた。同1号機も同様の大規模改修を経て、2026年2月に送電を開始。両機は現役最古の商業用原子炉である。この機を捉え、インド原子力省(DAE)長官兼原子力委員会(AEC)委員長のA. K. モハンティ博士は同発電所を訪問。一次冷却材ポンプ試験施設(PCPTF)の開所式を行った。両機は、1969年10月28日に運転を開始した16万kWeの沸騰水型炉(BWR)で、運転期間は56年と商業炉としては世界最長。インド初の商用原子力発電所であり、同国唯一のBWRでもある。いずれも1963年のインドと米国間の協定に基づき、GE社とベクテル社によって建設された。なお、インドで現在稼働する他の原子炉は主に国産の加圧重水炉(PHWR)。1974年のインドの核実験実施を契機に西側が原子力技術協力を停止し、国際的な輸出規制のために原子力供給国グループ(NSG)が設置され、インドは原子力関係の資機材や技術の輸入ができなくなり、国産で賄わざるを得なくなった。今回の改修プログラムでは、重要なシステムや機器の包括的な点検、改修、交換および更新、原子炉の健全性評価のための先進的な国産技術の導入、電気システムの近代化、長期運転にむけた安全性向上のための対策が実施され、モハンティ長官は、10年間の運転期間延長はインドの規制と技術成熟度と技術的自立を象徴するものだと強調している。なおTAPSには、2005年および2006年に運転を開始したPHWR型の3-4号機(各54万kWe)がある。同サイトには、政府が掲げる「原子力エネルギーミッション」の下、バーバ原子力研究所(BARC)において開発中の実証用SMRのバーラト小型モジュール炉「BSMR-200」(PWR、20万kWe)、「SMR-55」(PWR、5.5万kWe)の先行炉が建設される予定である。
26 Jun 2026
504

仏に拠点を置く先進炉開発企業のニュークレオ(newcleo)社は6月17日、米国の先進原子力技術企業シャイン・テクノロジーズ(SHINE Technologies)社と米国における使用済み燃料の再処理技術の推進を目的とした提携で合意した。今回の提携により、原子力発電で発生する使用済み燃料に含まれる有用な核物質を回収・再利用し、米国でのクローズド・サイクルの構築をめざしている。今回の合意は、両社の技術プラットフォームを相互補完するもの。シャイン社は使用済み燃料からウランやプルトニウムなどの有用物質を抽出する効率的かつ核拡散抵抗性に優れた再処理技術の開発を進めており、オラノUSA社との共同開発により、2030年代初頭に年間100トンの使用済み燃料の再処理能力のある商業パイロット施設の稼動を計画している。一方、ニュークレオ社は回収された核物質を原料とするMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料)の製造技術と、その利用による鉛冷却高速炉(LFR)の開発を進めており、米国市場への参入も視野にいれている。今回の提携により、シャイン社が回収した核物質をニュークレオ社の燃料サプライチェーンへ組込み、ニュークレオ社のLFRから発生する使用済み燃料を再びシャイン社が再処理するモデルを評価する。また、米政府による資金支援制度の活用や、使用済み燃料の備蓄が戦略的優先課題となっている米国および欧州連合の双方において協力の機会を共同で検討する方針である。両社は使用済み燃料の有効活用によリ、放射性廃棄物の量と長期的な環境負荷とコストを低減させ、次世代炉向け燃料の安定供給の実現に貢献したい考えだ。
24 Jun 2026
557

日本維新の会は7月2日、経済産業省の赤澤亮正大臣に「エネルギー安全保障に関する提言」をとりまとめ、提出した。提言は大きく6項目で構成され、このうち原子力関連では、「原子力発電と核燃料サイクル」と「次世代革新炉及び核融合炉の開発加速化」を掲げている。「原子力発電と核燃料サイクル」の中では、「安全を高めながら、利活用を進めていく」と題して、規制当局と事業者との対話の促進や、審査の見通しの早期共有、運転中保全活動(オンラインメンテナンス)の実施、規制当局の人材育成強化などを進言した。さらに、IAEA・総合規制評価サービス(IRRS)ミッションで指摘されたノーリターンルールなどの規制人材の流動性の問題については、規制の独立性の確保のために、規制庁の幹部職員が規制側と推進側を行き来することは現状通り認めるべきでないとする一方、若手および中堅については視野と経験の獲得のためにルールを緩めるべきとの立場を示した。そのほか、電気事業法による原子力発電所の60年の運転期間制限の廃止や長期サイクル運転の実現なども求めている。「次世代革新炉及び核融合炉の開発加速化」の中では、電力需要の増加から原子力発電所の新増設の検討が必要と明記。原子力発電所の新設に向けた資金調達について、公的融資や長期脱炭素電源オークションの改善など、あらゆる制度・支援措置を検討すべきとしている。また、小型モジュール炉(SMR)などの次世代革新炉の規制基準の整備にあたっては、規制当局、事業者、メーカーの技術的な意見交換を必要に応じて開催すべきと提言した。今回の提言では、エネルギー価格高騰への対応に向け、経済効率性を重視する姿勢を打ち出しており、「やれることは全てやる」という基本姿勢が強調されている。
06 Jul 2026
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電気事業連合会(電事連)が制作した中学生向け教材「探究!どうする日本のエネルギー」が、(公財)消費者教育支援センター主催の「消費者教育教材資料表彰2026」の企業・業界団体部門で優秀賞を受賞した。6月30日、都内で表彰式を兼ねたシンポジウムが開かれた。 コンテストは、学校などの教育現場で活用できる消費者教育教材を発掘・普及することを目的に1997年から実施されている。行政部門、企業・業界団体部門、消費者団体・NPO部門の3部門があり、企業・業界団体部門では応募15点の中から5点が優秀賞に選ばれた。 今回受賞した教材は、今年3月に公開した「探究!どうする日本のエネルギー」の動画、教師用手引書、生徒用ワークシートで構成される。電事連の教育支援サイト「ENE-LEARNING(エネラーニング)」から無料でダウンロードできる。 教材は中学校の地理の授業での活用を想定し、第7次エネルギー基本計画を踏まえて制作された。資源に乏しい日本における電気の安定供給とCO2排出削減の両立をテーマに、生徒自身がエネルギーミックスのあり方を考える内容。ワークシートを通じて、生徒が自ら考え、その内容を言語化しながら議論できる構成となっている。受賞教材では金融教育や情報リテラシーに関するテーマが目立つ中、唯一、エネルギー問題を扱う教材として選ばれた。 電事連は昨年も「エネルギーアカデミー 探究編」で同部門の優秀賞を受賞しており、2年連続の受賞となった。教材の制作を担当した電事連広報部の手塚宏樹氏は「中東情勢などの影響もあり、エネルギー問題への関心が高まっている」と話した。 今回の優秀賞は最終審査に向けた選考を兼ねたもので、全部門で優秀賞を受賞した20教材を対象に、全国から募集した評価教員が約半年間、実際の授業で活用した上で評価を行う。その結果を踏まえ、来年5月に内閣府特命担当大臣賞など各賞が決定される予定だ。 手塚氏は「まずは教材の存在をより多くの方に知っていただきたい。今後、新たなエネルギー基本計画などの動きがあれば、内容の更新をはじめ、最新の情報を分かりやすく提供していきたい」と今後の展望を語った。
03 Jul 2026
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九州電力は7月2日、来年7月に運転開始から30年を迎える玄海原子力発電所4号機(PWR, 118.0万kW)について、長期施設管理計画を策定し、原子力規制委員会(規制委)へ提出した。原子炉等規制法に基づき、原子力発電所が運転開始から30年を超えて運転を継続する場合に、事業者は原子炉施設の経年劣化などを管理するための点検方法やその結果、劣化の予測・評価方法などを記載した長期施設管理計画を策定し、規制委の認可を受ける必要がある。また、長期施設管理計画は30年経過後も、10年を超えない期間ごとに規制委の認可を受けなければならない。玄海発電所では既に3号機(PWR, 118.0万kW)が、昨年3月に長期施設管理計画の認可を受け、30年を超えて運転を継続している。
03 Jul 2026
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自民党の資源・エネルギー戦略調査会は6月25日、「自律的で強靭なエネルギー供給構造の構築に向けた提言」をとりまとめ、高市首相に提出した。提言は大きく3つの視点で構成されており、2番目に「原子力の活用やペロブスカイト太陽電池をはじめとする国産エネルギー導入加速化を通じたエネルギー自給率の向上」が挙げられている。提言の中で特に原子力に対して、①中長期的な原子力発電の見通し・将来像の提示、②脱炭素電源が安定して発電収入を確保できる環境整備、③廃炉段階の事業環境、④核燃料サイクルの確立や最終処分場建設に向けた取組みの促進、⑤再稼働や次世代革新炉の開発・設置に向けた審査の合理化、検査の効率化による設備稼働率の向上、⑥次世代革新炉・フュージョンエネルギーの早期社会実装に向けた、公的な支援体制の抜本的な強化――の6項目で言及。原子力を含めた発電事業収入の予見性確保に向け、長期脱炭素電源オークションの着実な実施や、需要家と発電事業者によるコーポレートPPA(電力購入契約)等の推進を主張した。廃炉に関しては、先進技術導入による円滑化の推進や廃棄物の処理・処分の加速に向けた国から電気事業者への支援などのほか、クリアランス物のリサイクル利用拡大も訴えた。再稼働および次世代革新炉の開発・設置に対して、安全性の確保を大前提に、審査プロセスの合理化に取組むことを求め、具体的にはハザード審査(地盤・地震・津波等)を先行実施する仕組み作りを挙げた。提言では、日本の原子力の強みは自国のサプライチェーンで建設・運転する技術を有している点とした上で、今後について、「『国策民営』の形で推進されてきたが、現下のエネルギー情勢を踏まえ、さらに国が一歩前に出てこの強みを生かす政策を打っていかなければならない」と指摘している。
02 Jul 2026
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東京電力と新潟県は6月26日、東京電力から新潟県への資金拠出に関する確認書を締結したと発表した。昨年10月16日の新潟県議会連合委員会で東京電力が、新潟県内での地域経済の活性化や安全・安心な暮らしのための基盤整備を進めるため、約10年間で1,000億円規模の資金拠出を表明していた。資金拠出は、柏崎刈羽原子力発電所の発電電力量の実績に応じた寄附として行われる。前年度における同発電所の発電電力量(送電端)の実績値が100億kWh以上の場合、寄附額は115億円、90億kWh以上100億kWh未満の場合は100億円、80億kWh以上90億kWh未満の場合は85億円、80億kWh未満の場合は70億円となる。これを受け、新潟県は拠出された資金の活用案を策定。柏崎刈羽原子力発電所の立地に伴う安全・防災対策の実施に約400億円、原子力災害対策重点区域かつ電源立地地域対策交付金の対象外地域への支援に約300億円、地域・産業の振興に約300億円としている。今後、県議会6月定例会(会期は7月21日まで)で同案が審議される予定。
01 Jul 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は6月26日、理事長会見を行い、記者団からの質疑に応じた。増井理事長は会見冒頭、6月5日に開催された原子力小委員会での自身の発言を紹介した。「今後の原子力政策の方向性と行動指針」の改定案に、中期目標(2040年代までに約220万~550万kW)と長期目標(2050年代までに約1,270万~1,600万kW)が基数とともに明記されたことについて、「産業界としても、未来への希望と長期的展望を持つことができ、大変意義深い」と評価した。また対米投資に関する協議では、数百億ドルから1,000億ドル規模の原子力案件が複数取り上げられていることに触れ、我が国の原子力産業の技術・製品・サービスが活用される大きな機会になるとの期待を示す一方、コストオーバーランなどの事業リスクや米国の制度・政策リスクへの懸念を表明。日本企業に過度な負担が生じないよう、日米双方で十分に協議が行われることを期待した。続いて、nucleareurope2026(欧州原子力産業協会 年次大会)への参加を報告。欧州では、原子力は安定供給と脱炭素に加え、欧州の産業基盤の競争力を支える電源と位置づけられており、欧州全体で課題解決に取り組む姿勢を強く感じたと述べた。また、欧州全体で原子力分野の技術や人材、サプライチェーンを支える体制を強化する「Nuclear Airbus」構想を紹介し、利用可能なクリーンエネルギーを総動員しなければ、欧州は経済的な競争力を維持できないという強い危機感が共有されていると説明。さらに、オランダやポーランドなど、欧州各国における原子力新設の最新動向についても紹介した。会見後半では、欧州で導入されている差金決済取引(CfD)モデル((事前に定めた基準価格と市場価格の差額を精算する仕組み))について、記者から「コスト超過となった場合にCfDモデルがリスクを吸収できるのか」との質問があった。これに対し増井理事長は、「リスク要因を過度に織り込むと基準価格が高くなり、国民の理解を得ることが難しくなる」と述べ、制度設計に当たっては十分な試算を行う必要性を指摘した。加えて、ルーマニアのチェルナボーダ原子力発電所の改修工事でCfDモデルが活用される事例も紹介。運転実績や機器交換の経験を通じて、より精度の高い基準価格の設定に繋がるとの見方を示した。また、記者から、行動指針改定案で示された長期目標に対し、現在の日本の電気事業者の状況を鑑み、リスク補償の仕組みについて問われた増井理事長は、現在検討されている電力広域的運営推進機関(OCCTO)を通じた融資制度について、30%とされている融資上限や金利の高さが課題との認識を示した。そのうえで、融資上限を過半以上にすることに加え、民間金融機関の融資決定後にOCCTOが融資を決定する仕組みではなく、OCCTOが先に融資の枠組みを示し、それに民間金融機関が参加する協調融資の仕組みが重要との考えを示した。
30 Jun 2026
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政府は6月24日の経済財政諮問会議で、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の骨子案を示し、次世代革新炉を成長産業と位置付けた。2040年度までに官民合わせて5兆円を投資し、約11兆円の経済波及効果を想定。研究開発やサプライチェーン強化、人材育成を投資対象とした。資料の中で次世代革新炉は、2050年には年間1,000億ドル規模の世界市場に成長すると見込まれる。次世代革新炉への建て替えを進めることが、我が国のエネルギー安全保障や安定・脱炭素電源の確保に寄与するとした。また、達成すべき戦略的な目標として、サプライチェーンの維持・強化、国内での次世代革新炉へのリプレースを効率的かつ迅速に進められる持続可能な産業構造が挙げられた。そして官民投資促進に向けた課題として、①サプライチェーンや人材など産業基盤の劣化、②投資環境・事業の予見性向上、③研究開発基盤の劣化――を指摘。対応策として、サプライチェーンの製造能力強化や、産官学による原子力人材育成の司令塔整備、長期脱炭素電源オークション制度の活用・改善、グレーデッドアプローチに基づいた予見性の高い規制・審査制度の構築、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を念頭に置いた資金供給機能の強化などを盛り込んだ。あわせて政府は、核融合についても2040年度までに3.1兆円の官民投資を見込んでいる。
29 Jun 2026
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原子力委員会は6月23日、令和7年度版の「原子力白書」を公表した。白書冒頭の「特集」では「次世代に向けた核燃料サイクルの展望」をテーマとし、核燃料サイクルの意義や技術、国内外の動向等が記された。テーマの選定理由について原子力委員会は、エネルギー安全保障への関心の高まりを挙げ、核燃料サイクルの実現は①海外資源への依存度を低減、②高レベル放射性廃棄物の減容化と有害度低減の2つの効果があると強調。原子力委員会は「国民に正しく理解していただくことが重要」と説明した。また、核燃料サイクルに対する国民理解について、「仕組みが複雑で分かりにくい側面がある」と説明。全体像や各工程の役割を理解するには一定の知識が必要であり、今回の白書ではできるだけ平易な表現で情報を整理することを心掛けたという。原子力委員会は、核燃料サイクルの確立はエネルギー安全保障の強化や将来世代の負担軽減につながる重要な取組みであると強調。その上で、安全確保と平和利用を大前提に、国際原子力機関(IAEA)の保障措置や透明性の高い情報発信を通じて国際社会への説明責任を果たしながら、国際協力の下で取組みを着実に進める必要があるとした。また、核燃料サイクルの将来像を見据えた長期的な戦略のもとで研究開発を推進するとともに、人材育成や技術継承を通じてサプライチェーンを含む技術基盤を維持・発展させることの重要性も指摘した。なお、白書の本文は9章立てとなっており、令和7年度の原子力利用を巡る幅広い分野の最新動向を取り上げている。また、15本のコラムを収録し、AI活用、放射線の宇宙利用、STEAM教育など、多様なテーマを紹介。本紙も多く引用されている。
26 Jun 2026
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福島県大熊町で6月22日、「特定帰還居住区域」の一部において立入規制が緩和された。規制緩和の対象は、野上2区、下野上1区のほぼ全域と熊2区、熊3区、町区の一部で、面積は約200ヘクタール(約2平方キロメートル)、世帯数は179。大熊町での規制緩和は初めて。「特定帰還居住区域」とは、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域(特定復興再生拠点区域を除く)に、帰還意向のある住民が帰還できるよう、必要な箇所の除染を進め、避難指示を解除し、住民の帰還・居住が可能と定められた区域を指す。立入規制が緩和されたエリアではバリケードがなくなり、自由に通行することが可能になった。大熊町の吉田淳町長は「今回の規制緩和は、当該地域の方々の利便性向上のみならず、町の復興に向けた大きな前進と受け止めている」とコメントした。また、今回の立入規制の緩和にあたり、インフラの復旧など一定の要件を満たす場合、生活を再開するために自宅の清掃等の帰還準備が必要な住民などが宿泊を行うことが出来る準備宿泊の受付も始まった。準備宿泊には事前申請が必要で、大熊町と内閣府原子力災害現地対策本部が確認を行った上で宿泊が可能になる。1回の準備宿泊で認められる期間は約3週間。
26 Jun 2026
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日本エネルギー経済研究所(IEEJ)と東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)は6月23日、都内で「ASEAN原子力市場のポテンシャルと日本の貢献可能性」と題するセミナーを開催した。脱炭素化、エネルギー安全保障、電力需要の増大を背景に、ASEAN諸国では原子力発電への関心が高まっている。今回の議論で浮かび上がったのは、その関心が単なる将来構想にとどまらず、制度整備、人材育成、立地、資金調達、現地産業の参画といった実装段階の課題へ移りつつあることだ。日本側からは、SMRに加え、人材育成、規制・安全文化の共有など伴走型支援の可能性が示された。セッション1では、世界原子力協会(WNA)と米原子力エネルギー協会(NEI)が、世界および米国における原子力利用の動向を紹介した。WNAのサマ・ビルバオ・イ・レオン事務局長は、エネルギー安全保障と気候変動対策を背景に、原子力の役割が世界的に再評価されていると説明。アジア地域では経済成長と産業化に伴い電力需要が増加しており、化石燃料依存の低減や安定電源確保の観点から、原子力の重要性が増しているとした。一方、NEIのマーカス・ニコル副理事長は、米国で既設炉の長期運転、出力向上、停止炉の再稼働、新型炉・SMR開発が同時に進んでいる状況を紹介した。特に、米国ではデータセンターやAI関連企業が原子力発電の大口需要家、いわゆるアンカーカスタマーとなる動きが出ていると説明した。これを受け本紙は、ASEANでもデータセンター需要が伸びるなか、こうした大口需要家が原子力新規導入国における初期プロジェクトの事業リスク低減に寄与し得るかを質問。ニコル氏は「Yes」と明確に答え、米国ではデータセンターがアンカーカスタマーとなる動きが進んでいるとした上で、製造業なども同様の役割を果たし得ると指摘。その理由として、製造業では、信頼性の高い、手頃なクリーン電源を強く必要としていることを挙げた。原子力はそのニーズに応える有力な選択肢であり、同様の動きは他国でも起こり得るとの見方を示した。セッション2では、IEEJの遠藤聖也主任研究員が、ASEAN地域の電力需要見通しを報告した。遠藤氏は、ASEANでは産業化や所得向上に伴う電力需要の増大に加え、国によってはデータセンター需要も新たな押し上げ要因となると説明。一方、太陽光や風力などの変動性再生可能エネルギーは有望であるものの、日内・季節変動への対応が課題となるため、原子力や火力、水力なども含めた電源の組み合わせが必要になると指摘した。続いて、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムの代表が、それぞれの原子力導入に向けた取り組みを紹介した。インドネシアは、2032年に初の原子力発電所を運転開始し、2060年までに原子力を段階的に拡大する計画を示した。一方で、島嶼国としての送電網整備、地震・津波などの自然災害リスク、規制・法制度、国民理解、資金調達を課題に挙げた。マレーシアは、過去に原子力発電導入を検討したものの一度計画を停止し、現在は再び選択肢として慎重に検討している状況を説明した。同国ではMyPOWERが原子力発電導入に関する調整機関として位置付けられており、政策・法規制、技術評価、ステークホルダー対応、人材育成などの基盤整備を進めている。ただし、現時点では原子力発電導入に関する最終的な政府決定には至っていない。フィリピンは、エネルギー計画に原子力を組み込み、2032年に120万kWe、2035年に240万kWe、2050年に480万kWeの導入目標を掲げている。バターン原子力発電所の再活用、新規サイトでの大型炉建設、新規サイトでのSMR導入の3つの選択肢を検討しており、米国、韓国、フランス、日本などとの協力も進めている。フィリピン・マニラ電力傘下MGen社のフェリノ・ベルナルドCEO は、政府目標は「非常に野心的」としつつも、民間企業として制度整備や技術評価、人材育成を進めていると説明した。ベトナムは、凍結したニントゥアン原子力発電所計画を再開する方針へ転換した。発表では、急速な経済成長に伴い電力需要が年率約10%で伸びていること、2050年カーボンニュートラル目標の達成、石炭依存の低減、安定的なベースロード電源の確保が原子力再開の背景として示された。2027~2035年に初号機の建設・運転開始を目指し、合計設備容量は400万kWe~640万kWeを想定。2050年には原子力シェアを少なくとも8%とする構想を掲げた。各国の進捗には差があるものの、共通していたのは、原子力を「いつかの選択肢」としてではなく、電力需要増と脱炭素を同時に満たすための現実的な政策課題として捉え始めている点だ。質疑では、原子力発電分野が若手人材にとって魅力ある進路であるかも論点となった。ASEAN地域では核医学など放射線利用分野が学生に比較的身近である一方、発電分野の原子力が、エネルギー安全保障、脱炭素化、SMRなどを背景に学生や若手技術者を引きつけているのかが問われた。マレーシアで原子力プロジェクトを担当するMyPower社CEOのアスディライム・ビン・アブドゥル・ラシブ氏は、学生の関心は政府が原子力を長期的な国家戦略として位置付けるかどうかに左右されると説明した。過去に政府が原子力導入を検討していた時期には、国内大学で原子力工学課程が設けられていたが、計画停止後には関連プログラムも縮小したという。一方、フェリノ・ベルナルド氏は、かつてのバターン原子力発電所建設当時、原子力発電所で働くことは優秀な学生が目指す進路だったと振り返った。その上で、現在についても「nuclear is becoming sexy」と表現。原子力が新技術やデータセンターと結びつくことで、若者の関心を集めつつあると述べた。セッション3では、日本企業・機関が、SMRなど原子力輸出、人材育成・国際協力の取り組みを紹介した。日立GEベルノバニュークリアエナジーの木藤和明氏は、GEベルノバ日立ニュークリアエナジーと共同開発するBWRX-300について説明した。同炉は300MWe級の小型軽水炉で、既存BWR技術をベースにシステムを簡素化し、受動安全性や建設期間短縮、コスト低減を目指す。カナダ・オンタリオ州のダーリントン新設サイトでは、BWRX-300初号機の建設が進んでおり、2030年の運転開始を予定している。木藤氏は、ASEANのような新規導入国では、系統規模、初期投資、ファイナンスの観点から、SMRには大型炉とは異なるメリットがあると説明した。日揮グローバルの谷宜憲氏とIHIの鮎澤康正氏は、米NuScale Powerとの協力によるSMR事業を紹介した。NuScale SMRは1モジュールあたり7.7万kWeで、4基、6基、12基など需要に応じた構成が可能。原子炉圧力容器、蒸気発生器、格納容器を一体化したNuScale Power Module(NPM)を原子炉プール内に設置し、事故時には外部電源や運転員操作に依存せず冷却できることを特徴とする。JGCは、米国の支援を受けたインドネシアでのフィージビリティスタディに参画し、西カリマンタン州の候補地点を対象に、立地選定、プロジェクト計画、投資コスト、リスク分析などを担当した。IHIは、NuScale SMR向けの大型機器製造技術や高耐震化に向けた取り組みを紹介した。特に、東南アジアでも地震リスクが課題となることを踏まえ、米国標準設計をベースに、東南アジアや日本での展開を見据えた高耐震コンセプトの検討を進めているという。原子力国際協力センター(JICC)の原貴センター長は、日本が新規導入国・拡大国に対し、人材育成や基盤整備支援を行ってきた実績を説明した。JICCは経済産業省の支援のもと、日本原子力産業協会(JAIF)、日本電機工業会(JEMA)、電気事業連合会(FEPC)、日本原子力研究開発機構(JAEA)などの関係機関と連携し、原子力導入国のニーズに応じた研修やセミナーを実施している。国際原子力機関(IAEA)との協力による研修に加え、米国のFIRSTプログラムとも連携し、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどを対象に、人材育成、規制、立地評価、ステークホルダー対応に関する協力を進めている。セッション3の質疑で本紙は、ASEAN展開における現地企業の参画、いわゆるローカリゼーションの可能性について質問した。新規導入国側から現地化への期待が示される一方、原子力では品質保証や安全基準への適合が不可欠となる。これに対し、谷氏は、ローカリゼーションは段階的に進むものだと説明。高い品質保証が求められる範囲と、一般産業レベルで対応可能な範囲を分けることで、SMRでは比較的早い段階から一定の現地化が可能になるとの見方を示した。木藤氏は、メンテナンス分野では相当程度の現地化が進む可能性がある一方、中核部品の製造は国際的な市場からの調達になると指摘した。セミナー全体を通じて浮かび上がったのは、ASEAN諸国の原子力導入検討が、もはや抽象的な関心段階にとどまらず、電力計画、制度整備、立地、人材育成、国際協力を含む具体的な準備段階に入りつつあるという点である。一方、日本側の貢献可能性も、炉型や機器供給に限られない。日本が蓄積してきた耐震対応、製造・施工技術、人材育成、規制・安全文化の共有を組み合わせ、各国の事情に応じた伴走型支援を提供できるかが問われている。
26 Jun 2026
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経済産業省は6月23日、国際原子力機関(IAEA)との間で、小型モジュール炉(SMR)を含む原子力エネルギー開発およびキャパシティビルディング(能力構築)に関する協力覚書(MoC)に署名した。署名式には赤沢亮正経済産業大臣とラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長が出席し、原子力分野における協力強化を確認した。両者は今後、SMRなど原子力導入を検討する国々に対するインフラ整備や人材育成などで連携を進める。会談の冒頭、赤沢大臣は、昨年のグロッシー事務局長による柏崎刈羽原子力発電所の視察について言及し、今年4月の同発電所の再稼働が東日本の電力需給の安定化や供給力の強化につながっていると強調。安全性を最優先に既設炉の最大限活用や次世代革新炉の開発、バックエンド対策を進めていく方針をIAEAに説明した。そして、福島第一原子力発電所の廃炉については、ALPS処理水の海洋放出を含め、安全性の確保と丁寧な情報発信を継続していく重要性を強調し、IAEAによる継続的な支援と協力を要請。また、グロッシー事務局長が2023年7月の福島訪問時にALPS処理水について、「最後の一滴まで安全に放出されるまでIAEAは現地にとどまる」と述べたことに触れ、「非常に心強く、印象深い言葉だった」と振り返り、改めて謝意を表した。さらに、六ヶ所再処理工場の竣工に向けた取組みに言及し、国際的な信頼確保に向けて、保障措置体制の強化等、IAEAとの連携を引き続き進めていく考えを表明した。これに対しグロッシー事務局長は、日本との原子力分野における協力関係について「極めて重要で戦略的な意義を持つ」と評価。今回の協力覚書についても、原子力分野の将来に関する共通のビジョンと相互の信頼を反映したものであり、日本だけでなく世界の原子力産業の発展にも資する、との認識を示した。また、福島第一原子力発電所をめぐっては、廃炉作業やALPS処理水の海洋放出に関する日本とIAEAの協力体制を高く評価。「日本政府、経済産業省、東京電力による透明性確保の取組みは国際的な模範となるものだ」とコメントした。
24 Jun 2026
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量子科学技術研究開発機構(QST)は6月16日、英国原子力公社(UKAEA)との核融合分野の協力強化を目的とした協力覚書(MOU)を締結した。今回のMOUは核融合のプラント技術や燃料サイクルと安全性、人材育成、経済性など幅広い範囲を網羅しており、両者はこれに基づいて共同プロジェクトや共同研究の立ち上げ、施設の共同利用、専門的な知識の共有が可能になる。QSTの小安重夫理事長は「今回のUKAEAとの連携は、日本と英国が築いてきた長年のフュージョンエネルギー開発に関わる連携を一層深化させるとともに、発電実証に向けた重要課題に挑むために双方の知見を結集する新たな機会」とコメントした。QSTは先日、国際核融合プロジェクトITERでも技術的な実績を評価され、仮設プラグ用溶接・切断ツールの開発及び調達に関する新規タスク取決め((一般的な企業間における契約にあたる))を締結するなど、国際的な存在感を強めている。
23 Jun 2026
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