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チェコのスコダ社、ハンガリー・パクシュⅡ期工事の建設準備作業を受注

30 Sep 2021

パクシュⅡ期工事の完成予想図 ©Paks II. Ltd.

チェコの原子力機器サプライヤーでもあるスコダ社は9月23日、ハンガリー国営の電気事業者MVMグループに所属するエンジニアリング・コンサルティング企業のMVM ERBE社から、パクシュ原子力発電所Ⅱ期工事(120万kWのロシア型PWR=VVER×2基)の建設準備作業を受注したと発表した。

建設プロジェクトの一部となる枠組み契約をMVM社と締結したもので、スコダ社は同発電所I期工事の4基(各50万kWのVVER)すべてで原子炉圧力容器を製造した経験から、Ⅱ期工事についてもプロジェクトの評価作業を実施するほか、一次系機器などのエンジニアリング作業を支援。今後もⅡ期工事の準備作業や建設工事には一層積極的に関わっていく方針であり、すでに参加が決まっている欧州の大手企業やErőterva社などのハンガリー企業とともに、今回、建設プロジェクトの国際チームに加わったと表明している。

Ⅱ期工事で建設する5、6号機は、最終的にI期工事の1~4号機を代替することになっており、ハンガリーは2014年1月にロシアと結んだ政府間協定に基づき、この増設計画をロシア政府の低金利融資で実施すると発表。同年12月には、両国の担当機関が両炉のEPC(設計・調達・建設)契約を含む3つの関連契約を締結した。

ハンガリー側で建設工事を担当するMVMグループのパクシュⅡ開発会社は、2020年6月に同プロジェクトの建設許可をハンガリー国家原子力庁(HAEA)に申請した。同年11月にハンガリーの公益企業規制庁(MEKH)は、同プロジェクトが電力供給網のセキュリティ面で悪影響を及ぼす可能性は低いと判断、電力法の義務事項に照らし合わせた発電実施許可を発給した。プロジェクトの安全面に関する審査結果は、今年の秋にHAEAが建設許可発給の可否という形で発表する見通しである。

スコダ社は今回の発表の中で、「スロバキアやウクライナなどと並んで、ハンガリーは当社の最も重要な国外市場の一つだ」と表明している。パクシュ発電所I期工事については、機器の製造のみならずメンテナンスや改修作業にも深く関与しており、2019年に同社は他のチェコ企業とともに総額10億コルナ(約51億円)の改修契約を獲得、これら4基に設置されていた1980年代のアナログ式制御システムをすべて、デジタル式に取り換えた。今年4月には、2~4号機の原子炉圧力容器について、供用期間中検査業務を落札している。

なお、今月24日付のロシア国営タス通信によると、ハンガリー外務貿易省のP.シーヤールトー大臣は23日、パクシュⅡ期工事の2基について「2028年から2029年にかけて、両炉とも運転可能になる」との見通しを示している。

(参照資料:スコダ社の発表資料(チェコ語)、パクシュⅡ開発会社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

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