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中国で2基目の「華龍一号」、福清6号機に燃料を初装荷

09 Nov 2021

福清6号機の燃料装荷作業 ©CNNC

中国核工業集団公司(CNNC)は11月8日、「華龍一号」設計の実証プロジェクトとして福建省福清原子力発電所で建設中の6号機(PWR、115万kW)で、6日から燃料集合体177体の装荷作業を開始したと発表した。同炉は2015年12月にCNNCが本格着工していたもので、建設工事はこれによりシステムの起動に向けた重要段階に入った。

「華龍一号」は中国が知的財産権を保有する第3世代の原子炉設計で、CNNCと中国広核集団有限公司(CGN)が双方の第3世代炉設計を一本化して開発。革新的な技術を数多く炉心設計に採用しており、安全系には静的と動的2つのシステムを組み合わせている。格納容器は二重構造であり、これらによって同設計は国際的に最も厳しい安全基準をクリア。運転サイクル期間は18か月で、設計耐用期間は60年間である。

CNNCの発表によると福清6号機の完成は、習近平国家主席が原子力産業に対して提唱した「三新一高」(科学技術の新しい成果や新興技術を応用し、新たな開発コンセプトの産業モデルを高品質で構築する)の精神を、CNNCが着実に実行中であることを示している。低炭素な電力を発電することで、CO2排出量をピークアウトさせ実質ゼロ化目標の達成に導き、国家のエネルギー供給確保に貢献するなど、質の高い産業の開発に向けた具体策でもあると説明している。

なお、福清6号機と同型の5号機はともに「華龍一号」実証プロジェクトとして建設され、5号機はすでに今年1月、世界初の「華龍一号」実証炉として営業運転を開始、これまでの発電量は70億kWhに達した。CNNCがパキスタンで建設したカラチ2号機も、国外初の「華龍一号」として今年5月に営業運転を開始している。同じく「華龍一号」設計を採用した同3号機は先日、温態機能試験を完了したことから、来年完成すると見られている。CNNCはこのほか、福建省の漳州1、2号機にも「華龍一号」を採用、それぞれ2019年10月と2020年9月から建設工事中である。

一方、CGNは2015年12月以降、CGNバージョンの「華龍一号」の実証プロジェクトとして江西省の防城港3、4号機を本格着工しており、どちらも2022年に運転開始する見通しとなった。これらに加えて、CGNは広東省の太平嶺1、2号機も、「華龍一号」として2019年12月と2020年10月にそれぞれ着工。2020年12月には、浙江省の地元電力企業や建設企業、投資企業らが出資する三澳1号機についても、建設工事を開始している。

(参照資料:CNNC(中国語)中国政府国務院(英語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月8日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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