フィンランドのTVO、オルキルオト3号機の起動に向けた許可を申請
09 Dec 2021
TVOのOL3 ©TVO
フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は12月8日、オルキルオト原子力発電所で建設中の3号機(172万kWの欧州加圧水型炉=EPR)(OL3)を初めて臨界状態とし、低出力試験を開始するための許可をフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)に申請した。この試験運転期間中、OL3が国内送電網に接続されることはないとTVOは説明している。
OL3の現在のスケジュールでは、2022年1月に臨界条件を達成した後、翌2月から送電開始、定常的に発電(営業運転)を始めるのは同年6月になっている。STUKから許可が下り次第、TVOはこれらのスケジュールへの影響について、建設工事を請け負っている仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合と協議を行う予定である。
OL3の建設工事は2005年8月、世界で初めてEPR設計を採用して開始されたが、規制関係文書の確認作業や土木建設工事、品質検査等に想定外の時間を費やし、当初予定されていた2009年の完成スケジュールは大幅に遅延した。TVOは2018年3月、同企業連合と結んだターンキー契約の固定価格である約32億ユーロ(約4,200億円)が工事の遅延にともない大きく超過したとして、この超過コストと損害賠償金に関する包括的和解契約を同企業連合と締結。TVOに対し同企業連合側から、総額4億5,000万ユーロ(約580億円)が支払われることになった。
その後、OL3では各種の機能試験が行われ、2019年3月には運転許可が発給されている。TVOは2020年4月に燃料の装荷許可を申請したものの、この時期に世界では新型コロナウイルスによる感染が拡大。同年8月にTVOが発表した基本スケジュールによると、OL3の送電開始は2021年10月、営業運転の開始は2022年2月に改定されたが、今年3月に燃料の装荷許可が下りたのを受け、TVOは同炉で直ちに燃料の装荷作業を開始した。
今年5月、TVOは企業連合側と建設プロジェクトを完了する際の条件について改めて協議を行い、2022年2月末までにOL3を完成できなかった場合、実際の完成日に応じて企業連合側から追加の補償金をTVOに支払うことで合意。両者は翌6月に合意文書に調印した。
しかし、同炉で改めて温態機能試験を実施した結果、TVOは今年7月、「タービンで総点検を行う必要性が出てきた」と発表している。その際、2021年10月の送電開始と2022年2月の営業運転開始スケジュールを1か月間先送りすることが決定。8月にはさらに3か月延期しており、TVOは最新スケジュールの「2022年2月の送電開始と同年6月の営業運転開始」に向けて、鋭意作業を実施中である。
(参照資料:TVOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月8日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)