米国の原子力発電所共同組合と韓国KHNP社が協力合意
14 Dec 2021
協力協定への調印©KHNP
米国で原子力発電所を運営する電気事業者8社の非営利共同組合「Utilities Service Alliance=USA」と韓国水力・原子力会社(KHNP)は12月6日、原子力発電所における安全性、その他の性能向上に向けた革新的技術開発で協力するため、協定を締結したと発表した。
この協定を通じて、両者は米韓両国の原子力産業界相互の関係を強化するとともに、最新の安全への取組みや技術開発情報を交換して利益の拡大を互いに支援。韓国の商業炉24基すべてを保有・運転するKHNP社は、約40年間の運転経験を通じて得た専門的知見や運用・保守点検技術、機器・サービス関係の情報をUSAと分かち合う。一方のUSAは、原子力産業界の中でメンバー企業が占めている立場や25年もの事業経験等で得たものをKHNP社に提供していく考えだ。
USAに所属しているのは、テキサス州でコマンチェピーク原子力発電所を運転するルミナント社やサウス・テキサス・プロジェクト(STP)原子力発電所を運転するSTP原子力運転会社、ミネソタ州でモンティセロ原子力発電所とプレーリー・アイランド原子力発電所を保有・運転するXcelエナジー社などである。
第三国の原子力開発プロジェクトへの共同参加も含め、米韓両国が諸外国の原子力市場で連携協力していくという方針は、今年5月に米国のJ.バイデン大統領と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が共同声明の中で確認していた。今回の協力協定への調印は、韓国原子力産業会議(KAIF)と米原子力エネルギー協会(NEI)が12月2日と3日の両日、米ワシントンDCで「米韓原子力協力ワークショップ」を共催したのに合わせ、3日付けで行われた。同ワークショップでは、米国で小型モジュール炉(SMR)や先進的原子炉設計を開発中のニュースケール・パワー社やテラパワー社からも専門家が参加、両国間の全般的な事業協力、なかでもSMR開発における協力の具体化などが主に議論された。
今回の協定調印にともないKHNP社はUSAへの加入を決めており、USAに所属する企業との交流を通じて、持続可能な原子力産業の構築を目指す方針。同社のチョン・ジェフンCEOは「脱炭素化という時代のなかで原子力産業が競争力を持つためには、原子力機器や核物質の信頼できるサプライチェーンを確立することが何より大切だ」と指摘した。同社が原子力発電所の運転やサプライチェーンで培った経験をUSAのメンバー企業と分かち合い活用できれば、米韓両国の原子力産業界はともに競争力を高めていくことができるとしている。
USAのJ.クリステンセンCEOは、「今回の協定を通じてKHNP社はUSAとの関わりを一層深め、新たな事業チャンスを得ることになるが、安全性や性能を向上させる協力の中から、産業界全体で利益を得るものがあるはずだ」と表明。「USAとそのメンバー企業は、商業用原子力発電所における技術革新と市場に関する協力をKHNP社と直ちに進められるよう、行動を起こすつもりだ」と述べた。
(参照資料:USA、KHNP社(韓国語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月9日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)