中国で2基目の「華龍一号」が初臨界、HTR実証炉が送電網に接続
17 Dec 2021
福清6号機の中央制御室©CNNC
中国核工業集団公司(CNNC)は12月14日、同国が知的財産権を保有する第3世代のPWR設計「華龍一号」の国内2基目である福建省の福清原子力発電所6号機(PWR、115万kW)が、11日付で初めて臨界条件を達成したと発表した。
また、同国の原子力発電専門メディアである「中国核電網」は同じく14日、CNNCの一部出資企業が山東省で建設している「ペブルベッド型モジュール式高温ガス炉(HTR-PM)」の実証炉(電気出力21.1万kW)が、13日に初めて国内送電網に接続されたことを伝えた。
福清5、6号機の建設工事は、「華龍一号」設計の実証プロジェクトとして、それぞれ2015年5月と12月に始まった。5号機はすでに今年1月、世界初の「華龍一号」として営業運転を開始しており、6号機についてもCNNCは11月に燃料を装荷、建設工事はシステムの起動に向けた重要段階に入っていた。CNNCは今後、6号機の営業運転開始を目指して、減圧沸騰や送電網へのタービン発電機接続試験を行う。
「華龍一号」はCNNCと中国広核集団有限公司(CGN)、双方の第3世代炉設計を一本化して開発されており、安全系には静的と動的2つのシステムを統合。格納容器は二重構造となっており、設計耐用年数は60年を想定している。
CNNCの今回の発表によると、一足先に営業運転を開始した5号機は最初の運転サイクルを終えて、燃料交換のための停止期間に入った。福清発電所ではすでに、第2世代改良型の100万kW級PWR「CP1000」を採用した1~4号機が稼働中であることから、1~6号機すべてが完成すれば同発電所の総設備容量は660万kW以上となり、年間の発電量は500億kWhを超える見通し。これらを通じて、地元の地域社会には高品質の経済発展に不可欠のクリーンエネルギーを供給し続け、CO2排出量の実質ゼロ化に貢献させたいとしている。
一方、山東省栄成の石島湾では、2012年12月に本格着工したHTR-PMで送電が開始された。中国のHTR-PMは、電気出力10万kW超のモジュールユニット2基で一つの発電機を共有する設計になっており、今年3月までに冷態機能試験や温態機能試験が完了、国家核安全局(NNSA)は8月に運転許可を発給した。これにともない、建設プロジェクトを主導する華能山東石島湾核電有限公司(SHSNPC)は同炉への燃料装荷を開始。ツインユニットの2基目は、今年11月に臨界条件を達成した。なお、1基目についてもすでに9月に同条件を達成している。
(参照資料:CNNCの発表資料①(中国語)、②(英語)、中国核電網ニュース、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月13日、16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)