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フィンランドのポシバ社、建設中の使用済燃料最終処分場で操業許可を申請

11 Jan 2022

ポシバ社のONKALO ©Posiva

世界初の使用済燃料最終処分場をフィンランドで建設中のポシバ社は2021年12月30日、地上の使用済燃料封入プラントと地下の最終処分設備について、2024年3月から2070年末まで操業するための許可申請書を雇用経済省に提出した。

雇用経済省は今後、この申請書に対するコメントを処分場から影響を受ける地域の利害関係者や一般国民から募集する。また、原子力関係施設の建設と操業を監督するフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)が処分場の長期的な安全性評価を実施し、雇用経済相に見解を提示。肯定的なものであれば、同省が内閣から承認を取り付けることになっており、同処分場は2020年代半ばにも実際の処分活動を開始できる計画である。

最終処分の実施主体であるポシバ社は、フィンランドで原子力発電所を操業するティオリスーデン・ボイマ社(TVO)およびフォータム社が共同で設立した。ポシバ社は2000年、フィンランド南部のユーラヨキ地方にあるオルキルオト原子力発電所の近郊を使用済核燃料最終処分場の建設サイトに選定。2004年からは同地点の地下450m部分の岩盤地質や水文学特性を調査するため、地下研究調査施設「ONKALO」を着工した。

「ONKALO」は最終的に同処分場の一部となる予定で、政府が使用済燃料を深地層に最終処分する施設の建設プロジェクトを2000年12月に「原則決定(DIP)」した後、議会も翌2001年に同DIPを承認した。ポシバ社は2012年12月に同処分場の建設許可を政府に申請し、2015年11月にこれを取得。2016年末からは総工費約5億ユーロ(約653億円)の建設工事を開始している。

この処分場は使用済燃料封入プラントと3種類の地下設備で構成されており、ポシバ社は2019年6月から封入プラントの建設に着手した。2021年3月には、試験用処分坑道の総合機能試験を2023年に実施するため、試験用処分坑道の掘削予定を発表、同年5月には実際の処分坑道の掘削開始を明らかにした。

ポシバ社のJ.モッカ社長兼CEOは、今回の操業許可申請について「温室効果ガスを排出せず、地球温暖化の防止に貢献する原子力部門全体にとって重要な節目になった」とコメント。国内の様々な原子力発電関係者が責任ある長期的アプローチを取ろうとしていることを誇りに思うと述べたほか、「ポシバ社は世界で初めて、安全・確実な最終処分の実施能力をオルキルオトで持つことになる」と強調した。

同社では過去40年以上にわたる研究を通じて地層処分の長期的な安全性を実証し、オルキルオトのサイト条件に即した最終処分施設の概念を「ONKALO」で開発してきた。これらの作業が最終的な局面を迎えたことから、今後は処分場の操業を開始する準備活動として、封入プラントと地下処分設備の機器類設置に集中的に取り組んでいくとした。

同社はまた、使用済燃料をフィンランドで安全に処分していくだけでなく、同社の処分概念を世界の原子力産業界全体の解決策に発展させると表明。最終処分プロジェクトで得られる専門的知見を、同社の技術マーケティング子会社であるポシバ・ソリューションズ社が輸出していけるよう支援する。ポシバ社はすでに2016年10月、チェコの使用済燃料最終処分プロジェクトに専門的知見を提供するサービス契約をチェコ放射性廃棄物処分庁(SURAO)と締結。チェコのプロジェクトにはフィンランドの関係エンジニアリング企業や地質調査所とともに、ポシバ・ソリューションズ社が参加している。 

(参照資料:ポシバ社雇用経済省の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月5日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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