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欧州初のEPR、フィンランドのオルキルオト3号機が送電開始

15 Mar 2022

OL3 ©TVO

フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は3月12日、オルキルオト原子力発電所で建設中だった3号機(OL3)(出力172万kWの欧州加圧水型炉=EPR)を同日の午後12時ごろ、出力が10.3万kWの時点で初めて国内送電網に接続したと発表した。2005年8月に同炉を本格着工して以降、約17年が経過している。

OL3は欧州で完成した仏アレバ社(現・フラマトム社)製EPRの初号機で、フィンランドでは約30年ぶりの新規炉となる。TVOは今後約4か月の試運転期間にOL3の出力を定格まで徐々に上げ、7月には営業運転を開始する予定だ。

TVOは試運転期間中にOL3が発電する電力量を30億~40億kWhと見積もっており、これはフィンランドにおける(試運転期間中の)電力需要の約10%に相当する。営業運転の開始後も、OL3はフィンランドの年間電力消費量の約14%を賄うなど電力の自給率を改善、CO2排出量の実質ゼロ化にも貢献することになる。

OL3が完成した2019年3月、フィンランド政府は同炉に運転許可を発給しており、TVOは2020年4月に燃料の装荷許可をフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)に申請した。しかしその際、建設工事を担当した仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合は、同炉でこれまでに実施した試験で技術的課題が浮上するなど、いくつかの問題に遭遇したと指摘。2021年3月以前に同炉に燃料を装荷することは難しくなった。

その後、2021年3月にSTUKが燃料の装荷許可を発給したことから、TVOはその翌月に燃料の初装荷を完了。この段階で同炉は同年10月にも送電開始できると見られていたが、2018年に完了した温態機能試験を改めて実施したところ、タービンで総点検を行う必要性が生じ、同炉の起動はさらに遅れた。

2021年12月にOL3はようやく臨界条件を達成、TVOは熱出力5%や30%の段階で起動試験を実施するなど、送電開始に向けた作業を慎重に進めてきた。TVOのM.ムストネン発電担当上級副社長によると、OL3はクリーンエネルギーの生産に関してもフィンランド全体の生産量拡大に大幅に貢献。フィンランドが輸入しなければならない電力量も半分以下に削減されるとしている。

OL3は世界で初めて、EPR設計を採用した原子炉で、2007年には同じくEPRを採用したフラマンビル3号機(FL3)(165万kW)がフランスで着工された。しかし、FL3でもOL3と同様、様々なトラブルが発生して建設工事が遅延。FL3では現在、2023年の第2四半期に燃料の初装荷が予定されている。

一方、中国で2009年11月と2010年4月に着工された台山1、2号機(各175万kW)では、これらの先行計画における作業経験が生かされ、世界初のEPRとしてそれぞれ2018年12月と2019年9月に営業運転を開始した。また、これらに続くEPR計画として、英国のヒンクリーポイントC・1、2号機(各172万kW)が、それぞれ2018年12月と2019年12月から建設中である。

(参照資料:TVOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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