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英国の新興企業、小型の鉛冷却高速炉の開発でイタリアのENEAと協力

25 Mar 2022

©Newcleo, ENEA

昨年9月に英国で設立された先進的原子力技術の開発企業、ニュークレオ(Newcleo)社は3月16日、第4世代の原子力システムである(小型の)鉛冷却高速炉(LFR)の開発に向け、イタリア経済開発省の新技術・エネルギー・持続可能経済開発局(ENEA)と協力する枠組み協定を締結したと発表した。

イタリアでは1990年までにすべての商業炉が閉鎖されているが、ENEAは液体鉛の分野で世界レベルのノウハウを蓄積。欧州原子力共同体(ユーラトム)が進めているLFR開発プロジェクトでは、同国のアンサルド社とともに主導的役割を担っている。

このため、ニュークレオ社はENEAとの協力を通じて、今後7年以内に原子燃料や放射性物質を使わない電気加熱式のLFRプロトタイプ装置を、原子力推進の国で建設する。ニュークレオ社とENEAの共同研究では、LFRの熱力学的性能や機器の性能を研究するだけでなく、加速器駆動核変換システム(ADS)の設計研究も進め、現存する放射性廃棄物の大幅な削減を目指す。

最終的に同社は、革新的技術を用いた安全で信頼性の高い小規模のモジュール式・先進的原子力システム(AMR)を(商業炉の運転が行われていない)イタリア以外の国で完成させ、国際市場に売り出す方針。これにより同市場では、第2世代や第3世代の原子炉設計が徐々に第4世代炉に切り替わっていくとしている。

開発に際してニュークレオ社は、ENEAが保有するブラジモネ研究センターのインフラや技術力を活用。安全性分析や試験等を行うが、今回の協力協定の一環として新たな研究設備も同センターに設置する。そのために同社が投資する金額は10年間で5,000万ユーロ(約67億円)を上回る見通しで、新たに25~30名のエンジニア・チームも雇用する。同チームは今後約10年にわたり、ブラジモネ研究センターで働くことになる。

ニュークレオ社のS.ブオノCEOは、ENEAとの協力について「当社には地球の今後のエネルギー・バランスを保つという重要な使命があり、そのための意欲的なスケジュールも設定した」とコメント。「ENEAの研究者との協力やブラジモネ研究センターへの投資を通じて、プロジェクトを実現するだけでなく、イタリアにおける研究開発の進歩にも貢献したい」と抱負を述べた。

ENEAのG.ディアルーチェ局長も、LFRで安全かつ長期的な発電を行うという目標の達成に向け、ともに協力していく考えを表明。両者が研究活動を実施するブラジモネ研究センターの立地地域では、核融合技術の開発や放射性医薬品の製造など、その他の戦略的プロジェクトも行われている点を強調した。

(参照資料:ニュークレオ社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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