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ポーランドの原子力事業会社、建設サイトの環境影響評価報告書を提出

05 Apr 2022

ポモージェ県の地図(左)。拡大した青い部分はルビアトボ-コパリノ地区、黄色がジャルノビエツ地区 ©PEJ

ポーランド初の原子力発電所建設計画を進めているPEJ(=Polskie Elektrownie Jądrowe)社は3月30日、この発電所(合計出力375万kW)が建設される同国北部ポモージェ県内での環境影響評価(EIA)報告書を、29日付で環境保護総局(GDOS)に提出したと発表した。

これと同時に、PEJ社は同県近隣のロシアとの国境付近におけるEIA実施に向けた文書も提出。これにより、建設計画では「環境条件に関する意思決定」の発給に向けた許認可手続きが再開されるとしている。

ポーランドでは1980年代に40万kW級のロシア型PWR(VVER)をポモージェ県内のジャルノビエツ地区で建設する計画が進展したが、ウクライナのチョルノービリ原子力発電所事故の発生を受けて、同計画は1990年代に頓挫した。政府はその後、エネルギー源の多様化と温室効果ガスの排出量削減を図るには原子力の導入が不可欠と判断、2009年に改めて原子力開発ロードマップを策定している。

ポーランド政府がさらに2021年2月に決定した「2040年までのエネルギー政策」によると、同国では2043年までに複数のサイトで最大6基の原子炉(600万~900万kW)を稼働させるとしており、初号機については2033年までに運転を開始させる方針。採用設計としては、確証済みの技術を採用した安全な第3世代+(プラス)の大型PWRを検討中である。

PEJ社は、国営エネルギー・グループ(PGE)が原子力発電所の建設・運営のために2010年1月に設立した事業会社で、2021年6月に社名を当初のPGE EJ1社から改名。同年12月には、同社はポーランド初の原子力発電所建設に適した地点として、バルト海に面したポモージェ県内のルビアトボ-コパリノ地区を選定していた。

今回の環境影響評価の一環として、PEJ社は同県内ホチェボの地方自治体内に位置するルビアトボ-コパリノ地区のほか、クロコバとグニエビノの両自治体が管轄するジャルノビエツ地区の2地点で、原子力発電所の建設と運転が及ぼす影響等を分析。両地区はともに、2014年時点ですでに建設候補地区として名前が挙がっており、PEJ社は今回、原子力発電所の海水冷却や冷却塔の使用等の技術的サブ・オプションの比較などを含む分析を行った。

同社のEIA最終報告書は、GDOSが2016年に定めた要項に沿って、これらの候補地区や技術面のサブ・オプションを評価しているほか、発電所に付随するインフラも検討対象にしている。作成にあたっては、米国とポーランドが2020年10月に締結した政府間協力協定に基づき、米国の環境事業会社であるジェイコブス社が技術アドバイザーを務めた。

なおPEJ社によると、同報告書の内容は環境保全や住民参加に関係する法律が定めた原則に則り、いずれ開示されるとしている。

(参照資料:PEJ社(ポーランド語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月31日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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