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米エネ省、既存炉の早期閉鎖防止プログラムで申請の募集開始

21 Apr 2022

©DOE

米エネルギー省(DOE)は4月19日、既存の原子力発電所が早期閉鎖に追い込まれるのを防止するために設置した総額60億ドルの「民生用原子力発電クレジット(CNC)プログラム」で、初回分の申請書を受け付けると発表した。

CNCプログラムでは、有資格と認定された商業炉に対しDOEが認定日から4年にわたり、一定の発電量に対して一定の適用価格で「クレジット」を付与。クレジットの総量に応じて支援金を支払うと見られており、DOEはプログラム基金に残金がある限り、2031年9月末までクレジットを付与していく考えだ。

今回発表した申請ガイダンスで、DOEは経済的事情により早期閉鎖の可能性がある原子力発電所の所有者や運転事業者にプログラムへの申請方法を示している。有資格と認定されるには、経済的理由により早期閉鎖のリスクにさらされていること、当該炉の閉鎖が大気汚染物質とCO2の排出量増加につながること等を実証しなければならない。また、当該炉が安全に運転継続できることを原子力規制委員会(NRC)が保証し、DOE長官がこれを確認する必要がある。DOEはプログラムの手続きを迅速に進めるため、これらの認定に応募するための申請書と、クレジットの付与を求める「封かん入札」の申請書を一つにまとめて提出するよう指示している。

初回の申請書締切日は5月19日で、DOEは初回に限り「早期閉鎖の方針をすでに公表済みの商業炉」を優先的に認定する。これは一般市民からの意見に促された措置であり、2023会計年度の第1四半期に予定されている2回目以降、このような優遇措置はなくなるとしている。

CNCプログラムの実施は、昨年11月にJ.バイデン政権が承認した「超党派のインフラ投資法」で約束されていたもの。バイデン大統領は「2035年までに電力部門を100%カーボンフリーとし、2050年までに米国経済全体のCO2排出量を実質ゼロ化する」を目標に定めており、既存の原子力発電設備はその達成に極めて重要な役割を担うと考えている。

DOEの説明によれば、国内電力市場の自由化およびその他の経済的ファクターにより、米国では2013年以降すでに12基の商業炉が早期閉鎖されている。これにともない、これらが立地していた地域では代替電源によりCO2の排出量が増大し大気の質も低下。地元コミュニティに財政的な貢献をしてきた高サラリーの雇用が、数千人規模で失われた。

CNCプログラムでDOEはこのような課題に公平に取り組むことを目指しており、既存の原子力発電所の早期閉鎖を防ぐことでクリーンエネルギー関係の雇用を維持し、低炭素電力の供給量を確保する。全米のコミュニティが今後も持続可能なエネルギー・インフラから恩恵を受け続けられるよう、バイデン大統領のクリーンエネルギー政策の目標達成を促していく。

DOEは60億ドル相当の戦略的投資計画となるCNCプログラムの開始に先立ち、今年2月に実施の意向を示した文書(NOI)と関連情報の提供を依頼する文書(RFI)を一般市民や関係者に発出している。RFIでDOEは、プログラムの仕組みや適用を受けるための認定プロセス、適格性の判断基準、クレジットの入札募集とその割り当て方法等について、120件以上のコメントを受領。同プログラムの策定に一般市民が幅広く参加したことについて、DOEは謝意を表明している。

今回の募集に際しDOEのJ.グランホルム長官は、「米国における無炭素電力の半分以上は原子力によるものであり、バイデン政権はクリーンエネルギー政策の目標達成のため、既存の原子力発電所を最大限に活用する方針である」と表明。「目標の達成に利用できるツールはすべて活用しており、原子力発電所の運転継続を優先するのもその一環だ」と説明している。

(参照資料:DOEの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月20日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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