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バッテンフォール社、ロシア企業からの燃料供給停止後、米仏企業と新たに燃料契約

11 May 2022

バッテンフォール社とWH社の幹部による燃料供給契約 ©Westinghouse

スウェーデンのバッテンフォール社は5月5日、国内の2サイト・5基の商業炉で2024年以降に使用する燃料を確保するため、米ウェスチングハウス(WH)社および仏フラマトム社の2社と、長期の燃料供給契約を新たに締結したと発表した。

同社は2016年12月、保有するリングハルス(100万kW級のPWR×2基)とフォルスマルク(100万kW級のBWR×3基)の両原子力発電所用に、WH社とアレバ社(当時)に加えて、ロシアのTVEL社からも2018年から2025年までの期間、3社の合計で約12億クローナ(約156億円)の燃料供給を受ける契約を締結していた。

しかし、2月24日にロシアがウクライナに軍事侵攻したのを受け、同社は即日、「新たな方針が決まるまでロシアからの燃料供給を停止する」と発表。その際、新しい供給契約についても「ロシアと結ぶ予定はない」と明言しており、ロシアによる軍事侵攻と欧州における深刻な安全保障状況を深く憂慮していた。

バッテンフォール社は今回、「信頼出来る2社との協力を継続出来ることに非常に満足している」と表明。同社は関係資機材の調達について、個別の企業や国家に依存しない戦略を堅持しており、原子力発電所の燃料は異なる国の複数サプライヤーから調達している。商業炉毎に有資格のサプライヤーを少なくとも2社確保する方針で、サプライヤーの評価と決定については技術面と商業面における同社の基準、および持続可能なサプライチェーンという観点から判断を下している。バッテンフォール社はまた、欧州原子力共同体(ユーラトム)の供給局(ESA)、および国際原子力機関(IAEA)の規制や指針に沿って燃料関係の取引を行っており、米仏の2社については、「ともに当社の燃料供給規約に適合している」と強調した。

なお、WH社は同じく5月5日、同社のスウェーデン支社が同国中部のバステラスにある最新鋭の燃料製造施設で、バッテンフォール社向けの燃料を引き続き製造・納入することになったと発表した。「スウェーデンの燃料供給保証に今後も貢献できることを嬉しく思う」とした上で、同社が燃料製造の分野で有する広範な知見と革新的な技術により、安全で信頼性の高い無炭素なエネルギーをスウェーデンにもたらしたいとしている。

(参照資料:バッテンフォール社の発表資料WH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

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