フィンランドの最終処分場建設、封入プラントへのシステム設置準備が完了
08 Jun 2022
最終処分場の使用済燃料封入プラント ©Posiva
フィンランドで世界初の使用済燃料・深地層処分場を建設しているポシバ社は6月2日、地上設備となる「封入プラント」の建屋がスケジュール通りに5月末に地元の建設工事会社から引き渡され、同建屋で使用済燃料封入システムの設置準備が整ったと発表した。
ポシバ社は、フィンランド国内で原子力発電所をそれぞれ運転するティオリスーデン・ボイマ社(TVO)とフォータム社が共同で設立した企業で、同国における使用済燃料最終処分の実施主体である。ポシバ社は2000年、フィンランド南部サタクンタ県のユーラヨキ地方にあるオルキルオト原子力発電所の近郊を最終処分場の建設サイトに選定し、2012年12月には同処分場の建設許可を政府に申請した。同許可を2015年11月に取得した後は、2016年末に総工費約5億ユーロ(約711億円)で同処分場の建設工事を開始しており、2019年からは封入プラントの建設工事を進めていた。
地下430m地点の設備となる処分坑道については、2021年3月にポシバ社が試験用の処分坑道を掘削するスケジュールを発表、同坑道では2023年に総合機能試験を実施することになった。また、2021年5月に同社は実際に使用する処分坑道の掘削を開始、同年12月には、最終処分場を2024年3月から2070年末まで操業するための許可を雇用経済省に提出している。
ポシバ社の計画では、中間貯蔵施設に貯蔵されている使用済燃料を輸送キャスクで封入プラントに運び込み、厚さ1.3mのコンクリート壁で囲われた取扱セル内で、鋳鉄製と銅製の二重構造になっているキャニスターに封入する。その後アルゴン・ガスを充填し、蓋を溶接してキャニスターを密閉、リフトで地下の処分設備まで運ぶ工程である。
封入プラントの建設工事には、地元サタクンタ県の企業が数多く参加しており、多国籍の建設企業であるスカンスカ(Skanska)社のサタクンタ支部および下請企業に加えて、同県の建設企業や空調設備企業がポシバ社との契約に基づいて建屋の建設や建屋設備の作業を実施。このほか、スウェーデンの大手コンサルティング企業であるスウェコ(Sweco)社が封入プラントの技術構成を、設計エンジニアリング・サービス企業のアフリー(AFRY)社と技術コンサルティング企業のエロマティック(Elomatic)社が電気機器や冷暖房設備の設計を担当している。
ポシバ社の発表によると、封入プラントでは沢山の技術や機器が採用されている。延べ床面積は約1万1,500m2で、約1万7,500m3のコンクリート構造物を使用している。
(参照資料:ポシバ社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月7日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)