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X-エナジー社、小型HTGRの建設企業を選定

29 Jul 2022

©X-Energy

米メリーランド州のX-エナジー社は7月21日、開発しているペブルベッド式小型高温ガス炉(HTGR)「Xe-100」の初号機や後続機を全米で設計・建設する大手建設企業2グループを発表した。

今回選定されたのは、電力・エネルギーなど各種の生産設備分野で設計や建設、保全サービス等を手掛けるザクリー(Zachry)グループ、および建設エンジニアリング・サービス専業企業であるバーンズ&マクドネル(Burns & McDonnell)社とディ&ジマーマン(Day & Zimmermann)社の合同グループである。

X-エナジー社は今後、これらの建設企業やサプライヤーと「Xe-100」の設計や機器および全体プラント建設などのあらゆる段階で協力。最新の施工技術やデジタル技術を活用して、建設プロジェクトの詳細なコストや作業プラン、合理的な建設スケジュール、安全性関係の4次元モデルなどを開発する。これまで、新規の原子力発電所建設プロジェクトでは、事業者がプロジェクトの後半に建設サービス関係の契約企業と関わるのが標準的な方式だったが、同社は「X-エナジー社のプロジェクト納入モデル(X-PDM)」と名付けた共同アプローチを活用することで、出来るだけ早い段階から「Xe-100」の建設にともなうリスクや不確実性を大幅に排除していく考えである。

X-エナジー社は今回の2グループを選定した理由として、これらのグループが複雑な大規模プロジェクトで培った深い経験や先進的建設技術を、X-PDMに沿って複数の「Xe-100」建設に向けて活用し、専門的知見もX-エナジー社と共有していくなど、同社との協力に強い意欲を示したことを挙げた。

同社の説明によると、「Xe-100」は過去数10年間の研究開発や運転経験に基づいて開発された第4世代のHTGRで、一基当たりの電気出力は8万kW、熱出力は20万kWである。これを4基接続した発電プラントでは32万kWの発電が可能になるだけでなく、電気出力とプロセス熱の生産量を柔軟に変更することができる。海水脱塩や水素生産など幅広い分野に適用可能で建設工期が短縮されるほか、物理的にメルトダウンが発生せず、冷却材の喪失時にも運転員の介入なしで安全性が保たれる。

バーンズ&マクドネル社のR.コワリックCEOは、「原子力発電ではコスト面で市場における競争力や予定コスト内での建設が求められるが、同時に必要とされる安全性や建設スケジュールの短縮、品質等の点でも、当社の先進的な施工企画をこの設計の建設に活用するのは正しいやり方だ」と述べた。

米エネルギー省(DOE)は2020年5月に開始した「先進的原子炉設計の実証プログラム(ARDP)」で、X-エナジー社を初回の支援金交付企業の1つに選定。「Xe-100」の実証炉建設を支援するための資金として8,000万ドルを2020会計年度から交付しており、その一部は同設計で使用する3重被覆層・燃料粒子「TRISO」の商業規模の製造施設建設にも活用される。

「Xe-100」の初号機については、ワシントン州の2つの公益電気事業者が2021年4月、同州内で協力して建設すると表明。州内の使用電力を2045年までに100%無炭素にすることを目指した法令の下で、「Xe-100」商業化を実証することになる。

(参照資料:X-エナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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