英ヒンクリーポイントBが永久閉鎖
04 Aug 2022
ヒンクリーポイントB原子力発電所 ©EDF Energy
現在英国で運転中のすべての商業炉を保有・運転しているEDFエナジー社は8月1日、イングランド南西部サマセット州のヒンクリーポイントB(HPB)原子力発電所1号機(改良型ガス冷却炉=AGR、65.5万kW)を永久閉鎖した。
HPBではすでに今年7月、1号機よりも先に運転開始した2号機(AGR、65.5万kW)が閉鎖されており、無炭素な電力を46年以上にわたり発電してきた同発電所は今回、その主要業務を終了。今後は数週間から数か月の間に燃料の抜き取り準備を行い、3~4年かけて抜き取りの実作業とセラフィールドにある貯蔵施設への移送を実施する。その後発電所は原子力廃止措置機構(NDA)に引き渡される。
ヒンクリーポイントでは、A発電所として出力約30万kWの黒鉛減速ガス冷却炉(GCR)が2基、1965年から2000年にかけて稼働した。B発電所では1976年2月に2号機が送電開始した後、同年10月に1号機が送電を開始しており、両機による閉鎖までの総発電量は3,110億kWhにのぼる。EDFエナジー社によると、この電力量は英国の全世帯が必要とする需要量の約3年分に相当するほか、同発電所が立地する南西部においては33年分に相当する。
B発電所はまた、1億700万トンのCO2排出を抑制したことになり、これを76.89ポンド(約1万2,500円)/トンの炭素排出量価格で換算した場合の価値は83億ポンド、車両からの排出量に換算すると5,100万台分に相当する。同発電所だけで約500名の従業員と約250名の契約業者を雇用しており、地元サマセット州に対する経済貢献は年間約4,000万ポンド(約65億1,200万円)だったと同社は強調している。
隣接するヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所では、170万kW級のフラマトム社製・欧州加圧水型炉(EPR)を2基建設する計画で、2018年12月に1号機が本格着工。EDFエナジー社が同計画の最終投資判断を下した2016年9月当時、1号機の送電開始は2025年末に予定されていたが、新型コロナウィルスによる感染の世界的拡大等により、現在は2027年6月に再設定されている。
(参照資料:EDFエナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月1日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)