米ホルテック社、インドでVVER関連サービスを受注
08 Aug 2022
ロシア製のクダンクラム原子力発電所 ©Holtec International
米ホルテック・インターナショナル社のインド現地法人は8月3日、インドで稼働するロシア製原子炉向け「燃料ラック」を、インド原子力発電公社(NPCIL)から受注した。クダンクラム原子力発電所で発生する使用済燃料や破損燃料を、サイト外で貯蔵する際に使用される。
NPCILはインドで稼働する民生用原子力発電所をすべて保有・運転しており、インド南端タミルナドゥ州の東海岸にあるクダンクラム発電所では、同国で唯一の大型軽水炉である1、2号機(各100万kWのロシア型PWR=VVER-1000)をそれぞれ2014年と2017年から運転中。ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は、引き続き現地で3~6号機(各VVWE-1000)も建設中だが、エネルギー関係の総合ソリューション企業であるホルテック社が今回受注した燃料ラックは1、2号機用として使われる。
ホルテック社のインド子会社はすでに今年2月、クダンクラム1、2号機の使用済燃料を発電所外貯蔵施設まで輸送するための同社製キャスク「HI-STAR 149」を2台、NPCILから受注した。このキャスクでは、同社がウクライナの原子力発電所に納入した3台のキャスク「HI-STAR 190」と同様、VVER燃料の輸送と貯蔵に必要な機器の設計や安全解析が施されており、優れた放射線遮へい性能や放熱性能、臨界制御性能などを有している。
今回の燃料ラックでは、同社が開発した中性子吸収材「メタミック(Metamic)」を使用する。ホルテック社の説明によると、同材および同じく独占使用権があるハニカム構造技術を採用することで、地震時にラックの動的レスポンスを最小化。想定されるすべての事故事象の下で、最大の臨界制御裕度を維持することが可能である。
同社はまた、インドのN.モディ首相が2014年に提唱した外国資本の投資呼び込み政策「メイク・イン・インディア」に従って、米オハイオ州の製造部門が供給したメタミック板をインドに持ち込み、ラックを製造する方針。インド西海岸のグジャラート州ダヘジに同社のアジア子会社の製造プラントがあることから、同社はそこで、NPCILが現地で承認済みの機器サプライヤーと協力してラックを組み立てる。その際、インド西部のマハラシュトラ州プネーにある同社のエンジニアリング・設計センターが、顧客であるNPCILとの調整など、製造プロジェクトの運営にあたるとしている。
(参照資料:ホルテック社の発表資料①、②、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月4日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)