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韓国原子力産業活性化へ、KHNP社など3者が協力協定締結

18 Aug 2022

3者による協力協定の調印©MOTIE

韓国の産業通商資源部(MOTIE)は8月11日、慶尚南道(県)の昌原市で地元企業を含む原子力産業界との懇談会を開催し、この席で韓国水力・原子力会社(KHNP)と斗山エナビリティ社(前「斗山重工業(株)」)、および複数の原子力資機材関係企業の3者が、原子力産業の活性化を目指して協力協定を締結したと発表した。

3者がともに成長することで同業界の競争力を向上させ、共通目標であるCO2排出量の実質ゼロ化やエネルギー供給危機への対応、電力需給の安定化などを推し進めていくのが目的。これらに基づき、韓国原子力産業界は新たな建設プロジェクトの獲得や共同技術開発、人材交流、輸出の拡大等で緊密に協力していく。

この懇談会は10日に開催されたもので、MOTIEのイ・チャンヤン長官は原子力関係の5分野で進めている政策プログラムの現状や今後の方向性として、①新たな建設プロジェクト、②資金調達、③研究開発、④「エネルギー産業複合特区」の設置、⑤原子力輸出を説明。特に新規プロジェクトの確保と資金調達問題の解決に向けて、政府が産業界を重点的に支援する用意があるとした。

このため、MOTIEは年末までに新規プロジェクトで1,306億ウォン(約134億円)規模の緊急発注を見込んでいる。このうち862億ウォン(約88億円)についてはすでに発注済みで、残りについても10月までに確認するとしている。MOTIEはまた、7月に1,000億ウォン(約102億円)規模の政策資金ファンドと特別保証制度を新設して原子力関係企業への支援を開始。現在、約60社が提出した申請書を審査中である。

MOTIEの発表によると、ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権は前政権が白紙撤回した新ハヌル原子力発電所3、4号機(各PWR、140万kW)の建設計画を再開するため、先月から両炉の環境影響評価を開始している。2024年の着工を目指して手続きを進めており、機器製造では年内の発注を目指し、早期に主要機器の製造契約を促す考えである。政府はまた、MOTIEと科学技術情報通信部、KHNP社を中心に、年内にも6,700億ウォン(約686億円)規模の原子力関係の研究開発基金を立ち上げる。このほか、中小企業のみを対象とした215億ウォン(約22億円)の研究開発基金でも、今月から申請を受け付けている。

MOTIEはまた、斗山エナビリティ社を始め昌原市には多くの原子力関係企業が集中していることから、同市が原子力産業地域として成長できるよう「エネルギー産業複合特区」に指定し、研究開発支援や税金控除、地方投資補助などの支援提供を検討中。同市を擁する慶尚南道(県)側も現在、指定の申請準備を進めており、MOTIEは申請書が提出され次第、迅速に指定審査を実施する。また、この指定にともない、公益電気事業者や原子力関係企業が新たな受注機会を得られるよう、MOTIEは約1兆ウォン(約1,025億円)の資機材発注の提供を計画している。

このほか、MOTIEは原子力発電所や関係資機材の輸出を最大限に促進する官民協力のための管制塔として、「原子力発電所輸出戦略推進委員会」の活動を来週から本格的に開始する。これには、関係する政府機関と韓国電力および同社の子会社であるKHNP社、金融機関、民間企業がすべて参加するとしている。

(参照資料:産業通商資源部(MOTIE)の発表資料①(英語)②(韓国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月11日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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