ロシアの高速実証炉「BN-800」がフルMOX炉心に
21 Sep 2022
ロシアのBN-800 ©Rosatom
ロシア国営の総合原子力企業ロスアトム社はこのほど、ベロヤルスク原子力発電所4号機として営業運転中の高速実証炉「BN-800」(FBR、88.5万kW)に、ロシアの原子力史上初めて全炉心にMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料が装荷されたと発表した。同炉はすでに燃料交換とメンテナンスのための停止期間を終え、送電網に再接続されている。
高速実証炉である同炉の主な目的は、高速炉を活用した核燃料サイクルの各段階の技術を実証すること。2016年10月に同炉が営業運転を開始した当時から、初期炉心はウラン燃料とMOX燃料のハイブリッド炉心になっており、2020年1月に初回の燃料交換を行った後、炉内のMOX燃料集合体は合計18体に増加した。2021年2月の燃料交換時にはMOX燃料のみを160体装荷したことから、同炉は炉心の三分の一までがMOX燃料になった。その後もMOX燃料だけで燃料交換を行っており、ロスアトム社は今回すべてのウラン燃料集合体がMOX燃料集合体に置き換わったと説明している。
装荷したMOX燃料集合体は、クラスノヤルスク地方ゼレズノゴルスクにある鉱業化学コンビナート(MCC)で製造されたもの。MCCでは、燃料製造設備が備え付けられ、2018年後半からMOX燃料集合体の連続製造を開始していた。
(参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)