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チェコ電力によるスコダ社買収を承認

21 Sep 2022

チェコ政府内で独立した第三者機関である経済競争保護局(UOHS)は9月14日、国営電力であるチェコ電力(CEZ)グループが6月に公表していた、原子力機器サプライヤーのスコダ社買収計画を承認すると発表した。同時に、スコダ社の非住居用不動産を管理しているミドル・エステート社の買収も認めるとしており、これらの決定がすでに法的に有効となったことを明らかにしている。

1859年にチェコで創業されたスコダ社は、1950年代から原子力関係機器も取り扱う重電メーカー。これまでに、40万kW~50万kWのロシア型PWR(VVER-440)を21基、100万kW級のVVER-1000を3 基、チェコのほかにスロバキアやハンガリーなど中・東欧諸国に納入した実績があり、CEZとは主に原子燃料と一次系機器のメンテナンス分野で長期的な協力関係にある。しかし、同社は数年前にロシアの大手重機械製造企業OMZ社のグループ企業となり、実質的にロシア三大銀行の一つであるガスプロムバンクの支配下に置かれている。

CEZの6月の説明では、ウクライナに対するロシアの軍事侵攻にともない、スコダ社は制裁対象となるリスクにさらされている。同社がCEZ所有の原子力発電所に提供している機器やサービスにも重大な影響がおよぶ可能性があるため、CEZはスコダ社の単独所有者となることでこのような課題を解決する方針である。

UOHSは、CEZの買収計画が電力卸売市場の競争原理や、新しい原子力発電所の設計・建設、および一次系のメンテナンス等サービス業務の提供にどのような影響が及ぶかを評価。最終的に、買収によってCEZが電力市場で競争原理を歪めるほど大きな影響力を持つことはないと結論付けている。

(参照資料:UOHS(チェコ語)CEZの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

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