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ベルギーのドール3号機が永久閉鎖

28 Sep 2022

ドール3号機 © Electrabel

ベルギーの商業炉7基すべてを保有・運転しているエレクトラベル社は9月23日、同国北部のドール原子力発電所で40年間稼働した3号機(PWR、105.6万kW)を永久閉鎖したと発表した。同炉による累計の総発電量は2,700億kWhにのぼっている。

同国ではこれまでに、PWRのプロトタイプ原子炉「BR3」(1.1万kW)が1987年に永久閉鎖されたが、商業炉の閉鎖は今回が初めて。同炉より先に運転開始したドール1、2号機(各PWR、46.5万kW)とチアンジュ1号機(PWR、100.9万kW)については、原子力税の支払いなどと引き換えに運転期間を2025年まで延長することが決まっている。

ベルギーは、ドールとチアンジュ両原子力発電所の合計7基で総発電量の約半分を賄ってきたが、2003年に緑の党を含む連立政権が脱原子力法を制定。運転期間を40年に制限した上で、2025年までにこれらをすべて閉鎖すると決定した。しかし、代替電源が確保できないことから、2009年当時の政権はドール1、2号機とチアンジュ1号機の運転期間を10年延長する代わりに、税金の支払いを求める覚書を事業者と締結している。その後、2011年に発生した福島第一原子力発電所事故の影響により、運転期間の延長はチアンジュ1号機に限定されたものの、2015年に当時の政権はドール1、2号機についても、電力の安定供給の観点から2025年まで運転期間を延長することでエレクトラベル社と合意。両炉では運転を継続しつつ設備の近代化を図り、最新の安全基準を順守するため、総額約7億ユーロ(約969億円)をかけた改修作業が行われている。

近年はまた、ロシアによるウクライナへの軍事進攻にともない近隣諸国への天然ガス供給が停止するなど、地政学的な状況が大きく変化。ベルギー政府は今年3月、脱原子力の達成時期を延期し、7基のうち最も新しいドール4号機(PWR、109万kW)とチアンジュ3号機(PWR、108.9万kW)の運転期間を2035年まで10年延長すると決定した。7月にはこの決定の実施に向け、エレクトラベル社の親会社である仏エンジー社と原則合意したことを明らかにしている。

一方、今回閉鎖されたドール3号機、および来年1月末に閉鎖が予定されているチアンジュ2号機(PWR、105.5万kW)は、ともに2012年夏に原子炉容器からクラックの兆候が検出されていた。このため、どちらも営業運転開始後40年以上の運転継続は見送られたと見られている。

閉鎖後のドール3号機について、エレクトラベル社は直ちに燃料を取り出し冷却プールに貯蔵すると表明。来年の春以降、十分に冷却されたものから専用の貯蔵施設に移送するが、冷却プールが空になるまでに4年以上を要する見込みだ。また、3号機からすべての放射性物質が取り除かれた後は、2026年から本格的な廃止措置を開始するとしている。

(参照資料:エレクトラベル社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月27日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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