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加カメコ社とブルックフィールド社の再エネ投資会社がWH社を買収

13 Oct 2022

©Westinghouse Electric

カナダのウラン生産大手であるカメコ社と、再生可能エネルギーに特化した投資会社のブルックフィールド・リニューアブル・パートナーズ(BEP)社による戦略的企業連合は10月11日、米国の大手原子力発電機器メーカーであるウェスチングハウス(WH)社を総額78億7,500万ドルで買収すると発表した。

この総額には負債も含まれており、これを除いた株式の価値は約45億ドル。WH社の株式は現在、ブルックフィールド・ビジネス・パートナーズ(BBU)社が44%、残りを提携する機関投資家が保有しており、カメコ社は約22億ドルで全体の49%を取得しWH社の最大株主となるほか、BEP社と複数の機関投資家が共同で約23億ドルを支払い、それぞれ17%と34%取得する。買収手続きは、BBU社の関係投資家や規制上の承認を得たうえで、2023年後半に完了する予定である。

BBU社の発表によると、同社とBEP社の親会社であるブルックフィールド・アセット・マネジメント社が2018年に東芝からWH社を買収して以降、WH社はBBU社の下で中核事業である原子力発電機器や関連サービスに改めて集中。運営費の削減や社内の専門技術を強化することにより、その収益性は2倍近くに拡大した。また、原子力発電は近年、脱炭素化という世界的な目標の達成に有効な、信頼性の高いクリーンエネルギー源として認識されつつあり、WH社の事業はこうした強力な追い風の恩恵を受ける理想的な位置にある。 

このような背景から、カメコ社とBEP社はそれぞれが保有する原子力関係とクリーンエネルギー関係の専門的知見を統合、クリーンエネルギー社会移行への中核事業として原子力を位置づけている。今回の買収を通じて、原子力部門を戦略的成長の中心基盤とする考えだ。

BBU社のC.マドンCEOは、「この4年以上の間に当社はWH社の事業運営を大幅に改善しており、売り上げを拡大するとともに世界的リーダーとしての立場も強化。同社の経営状態は非常に良好だ」と述べた。

カメコ社のT.ギッツェル社長兼CEOは、「原子力部門にとって、市場はかつてないほど良好な状態にあり、原子力は安全・確実かつ安価に無炭素なベースロード電力を生み出せる数少ない発電方法の一つだ」と表明。電化や脱炭素化、エネルギーの供給保証が優先される世界の中で、その重要性はますます大きくなると指摘した。

同CEOはまた、「WH社の買収によって、原子力のバリュー・チェーン全体が成長するための基盤が築かれるほか、当社の戦略とも完全にマッチする」と強調。エネルギーの原産国や輸送の安全性が大きな関心事となっている現在、既存の顧客のみならず新たな顧客のニーズに応えるカメコ社の能力が増強されるとした。さらに、「WH社が提供する原子力発電設備製造や関連サービス、原子燃料は強力な収入源となり、当社のウラン燃料事業を補完する安定したキャッシュ・フローが生み出される」と説明している。

(参照資料:BBU社カメコ社WH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月12日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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