スロバキアでモホフチェ3号機が初臨界
25 Oct 2022
モホフチェ原子力発電所 ©Slovenské electrárne
スロバキア政府が34%出資する同国最大手のスロバキア電力(SE)は10月22日、同国で20数年ぶりの新規原子炉となるモホフチェ原子力発電所3号機(ロシア型PWR=VVER、47.1万kW)が、同日に初めて臨界条件を達成したと発表した。
1987年1月に本格着工して以降、同炉の建設工事は途中約16年にわたり中断しており、起動段階に到達するまで約35年を要した。同炉は来年初頭にもフル出力に達する見込みだが、同時着工した同型の4号機(VVER、47.1万kW)については、約2年後に起動段階に入ると説明している。
スロバキアでは現在、モホフチェとボフニチェの2サイトで稼働する合計4基の原子炉で総発電量の50%以上を賄っており、原子力は国内の基幹電源という位置付け。モホフチェ3、4号機では格納容器がないタイプの第2世代のVVERを採用したため、安全性の改良とそれにともなう資金調達問題等で1992年から2008年まで建設工事が中断した。
工事を再開する際、両炉の主要機器はチェコのスコダ社が供給する一方、計装制御(I&C)系については仏アレバ社(当時)と独シーメンス社、タービン発電機のエンジニアリングやプロジェクト管理はイタリア電力公社(ENEL)が担当することになった。
今年8月になり、スロバキア原子力安全局(ÚJD)は3号機に対して運転許可を発給しており、これを受けてSE社は、9月9日に燃料の初装荷を開始。同月12日から20日までは原子炉容器の組み立て作業を行っている。同炉はその後、一次系と格納容器の気密試験や強度試験などを順調にクリアしており、SE社は今後実施する物理的起動試験で炉心の様々な特性を確認する計画だ。
また、この試験が完了した後は、炉内で発生した蒸気で実際にタービンを回す段階に移行し、出力が20%に到達した時点で同炉は国内送電網に接続される。SE社は出力の各段階で多くの試験を実施する予定で、同炉が最終的にフル出力で144時間の連続試運転をクリアすれば、2023年から少なくとも60年間の営業運転に入る。この段階でスロバキアは、電力分野でのカーボンニュートラルを達成できると表明している。
(参照資料:SE社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)