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米商務長官、「日米ともに新たな原子力発電設備が必要」と強調

25 Dec 2019

©アトランティック・カウンシル(Twitter)

米商務省のW.ロス長官は12月18日、ハワード・ベーカー・フォーラムがアトランティック・カウンシルと共催した第12回「日米年次ラウンドテーブル」で講演し、「世界中でますます電化が進む中、古くて非効率的な発電設備に代わる新たな原子力発電能力を日米ともに必要としている」と強調した(=写真)。
ロス長官は、日本のエネルギー自給率が2017年に世界第34位の10%以下になったという事実に触れ、日本が固有の安全性を有する最新の原子炉を複数建設できれば、多大な恩恵を被ることができると指摘。米国にとっても、原子力は今後も長期にわたってエネルギー・ミックスの重要部分でなくてはならず、日本のような同盟国と協力して一層効率的な許認可システムを確保し、固有の安全性を有する経済的にも実行可能な新しい世代の原子炉を建設していきたいとしている。

「日米ラウンドテーブル」は原子力分野における日米協力プログラムの1つで、様々な会合やワークショップの開催に加えて、ワシントンDCで毎年、原子力に影響を及ぼす最新情勢や日米間の協力強化などについて協議。原子力に関わる両国の産官学が参加する機会となっている。

今回のラウンドテーブルでロス長官は、過去数十年にわたり米国はエネルギー自給の道を模索してきたが、炭化水素産業が革新的な回収技術を採用したことで、この目標は達成されたと明言。石油や天然ガスの主要生産国となり日本の需要にも応える一方、原子力発電産業については、米国はこれまで以上に、技術力の再生・復活を必要としているとした。
同長官によると、トランプ大統領は原子力産業の復活を公約しており、今年1月に「原子力技術革新・規制最新化法(NEIMA)案」に署名。これにより、新型炉の審査プロセスを2年以内に策定することを米原子力規制委員会(NRC)に指示した。また、2018年9月には「2017年原子力技術革新対応法(NEICA2017)案」を成立させており、1954年の原子力法以来、65年ぶりに原子力関係の法制が刷新されたとしている。

日本との協力については、福島第一原子力発電所事故後の廃止措置と除染問題に触れ、日本で閉鎖予定の商業炉24基で安全かつ効率的な廃止措置を行うため、数十年の経験を有する米国の原子力産業界が支援を提供する用意があるとした。これと同時にロス長官は、その他の電源との競争に打ち勝てるような、設計も合理化された原子炉の将来的な建設に向けて、両国が協力していかねばならないと述べた。
福島第一発電所事故の発生以前、日本の原子力発電シェアは25%だったが、発電部門で石炭やLNG、石油への依存が増加したことで2017年にはわずか3%に低下。日米ともに新たな原子力発電設備が必要だが、電力需要量の増加といった状況は世界でも同じであり、背景には沢山の人々が一層多くの電子機器を購入し、輸送部門が電気自動車の利用にシフトしつつある点を指摘した。

ロス長官はまた、世界全体の電力需要量が昨年23兆kWhを越えたが、国際エネルギー機関(IEA)が2040年までに需要量はさらに13兆kWh以上増加すると予測している点に言及。増加分の3分の2が中国やインド、東南アジアなどインド太平洋地域からのものだが、持続可能な発展を世界レベルで達成し、再生可能エネルギーが利用できない時間帯の電力需要を満たすには、原子力以外で実行可能なオプションはないとした。
「日本と米国がこのような原子力ルネッサンスを主導しなければ、ほかの誰かがやってしまう」と同長官は明言。両国はすでに、新世代の原子炉を設計し建設するという技術的ノウハウや運転経験を共有しており、あとはそれを実行に移す意志が必要なだけだと呼びかけた。

(参照資料:米商務省の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月20日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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